調停に代わる審判(審判離婚、284条審判)とは?異議申立書で失効?

調停の話し合いが大筋で合意できているにも関わらず、些細な条件面の食い違いや、当事者の一方が出頭できないなどの理由で調停が成立させられないときに、家庭裁判所が審判を行うことがあります。

これを調停に代わる審判といいます。

調停に代わる審判は、家事事件手続法施行後に対象事件が拡大されたことで活用される機会が増えています。

調停に代わる審判(284条審判、審判離婚)とは

調停に代わる審判とは、当事者同士の話し合いでは調停の成立が難しい場合に、家庭裁判所が相当と認めるときに審判を行う手続です。

家事事件手続法第284条に規定されているため、284条審判とも呼ばれます。

家事調停は、本来、当事者間の合意ができることで成立します。

しかし、大筋で合意できているにも関わらず、当事者の感情的な対立や些細な食い違いなどが原因で調停成立に至らないことがあります。

そうした場合に調停を不成立で終了させると、当事者は、訴訟や審判で解決を目指すことになりますが、当事者の対立構造が鮮明になって調停での合意が無駄になることがある上、時間や金銭面での負担もかかります。

そこで、家庭裁判所は、当事者の状況や調停での合意の内容などを踏まえ、調停不成立で終わらせるよりも何らかの結論を出すことが相当だと判断したときは、職権で調停に代わる審判を行うことがあります。

調停に代わる審判の条文

調停に代わる審判は、すでに書いたとおり、家事事件手続法第284条に規定されています。

  1. 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。
  2. 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
  3. 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

(家事事件手続法第284条)

調停に代わる審判と審判離婚

審判離婚とは、家庭裁判所の調停に代わる審判で離婚する方法です。

日本では、離婚する夫婦の約90%が協議離婚、約9%が調停離婚、約1%が裁判離婚しており、審判離婚するのはごく稀ですが、制度としては存在しています。

また、家事事件手続法施行により調停に代わる審判が利用しやすくなったことから、今後は審判離婚の件数が伸びていくと予想されています。

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家事審判法と家事事件手続法における調停に代わる審判の違い

調停に代わる審判は、家事審判法第24条第2項にも規定があり、従前は24条審判と呼ばれていました。

しかし、当事者双方の申立ての趣旨を聴取する必要がある、審判の対象が一般調停事件に限定されているなど使い勝手が悪く、実務ではほとんど活用されておらず、制度自体を知らない調停委員もいました。

家事事件手続法では、調停に代わる審判を活用しやすくする工夫がされています。

「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度」という要件

家事審判法では、「当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。(家事審判法第24条)」と定められていました。

つまり、当事者の一方が不出頭などにより申立ての趣旨を述べていないケースでは、「当事者双方の申立ての趣旨」が確認できていないことを理由に、調停に代わる審判を行うことができなかったのです。

家事事件手続法では、「当事者双方の申立ての趣旨」という文言が削除され、調停に代わる審判を行うことができるようになっています。

調停に代わる審判の対象となる事件

家事事件手続法第284条第1項では、調停に代わる審判の対象について、以下のとおり定められています。

  • (家庭裁判所が)調停が成立しない場合において相当と認めるとき
  • 第277条第一項に規定する事項を除く

家事事件手続法第277条第1項に規定する事項というのは、合意に相当する審判の対象となる事項です。

合意に相当する審判とは、身分関係の形成や存否確認に関する事項について、特殊調停を経て審判で判断する手続です。

つまり、家事事件手続法において調停に代わる審判の対象となる事件は、家事調停(別表第2調停事件、特殊調停事件、一般調停事件)のうち、合意に相当する審判の前提となる特殊調停を除く調停ということになります。

家事調停の種類調停に代わる審判の対象か否か
別表第二調停事件対象
特殊調停事件対象外(第277条第1項の規定による)
一般調停事件対象

別表第1事件は、事件の性質上、調停を利用することができないため、当然に対象外です。

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家庭裁判所が調停に代わる審判(284条審判)を行う要件

調停に代わる審判は、対象となる全ての調停事件で行われるわけではありません。

家事事件手続法第284条では、家庭裁判所が調停に代わる審判を行う要件について、以下のとおり定められています。

  • 調停が成立しない場合において(家庭裁判所が)相当と認めるとき
  • 当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮する
  • 第277条第1項に規定する事項(合意に相当する審判の対象となる事項)を除く
  • 調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聞く

以下、各要件について詳細に解説します。

調停が成立しない場合において(家庭裁判所が)相当と認めるとき

当事者の主張が真っ向から対立してあらゆる合意形成が困難なときには、調停に代わる審判をしても意味がありません。

家庭裁判所が「相当と認めるとき」とは、主な争点について当事者の合意が大筋では形成されているにも関わらず、以下のような事情があり、調停を成立させられないときです。

  • 条件面の合意が整ったにも関わらず、体裁から調停成立を拒否している
  • 紛争性は乏しいにも関わらず、感情面の対立から調停成立を拒否している
  • 金銭を支払うことの合意はできているにも関わらず、わずかな金額で折り合わない
  • 当事者の一方が遠隔地在住・長期入院中・長期出張中などで調停期日に出頭できない
  • 当事者の一方が外国人(本国法が調停離婚を認めていない国の国籍を有する人)で調停離婚できない
  • 迅速に調停を成立させないと、子どもに不利益が及ぶ

当事者双方のために公平に考慮し、一切の事情を考慮する

調停に代わる審判をする上で家庭裁判所が考慮するのは、以下のような事情です。

  • 当事者の合意内容が、当事者の一方に有利な内容ではないか
  • 当事者の合意内容が、違法ではないか
  • 当事者の合意内容が、実現可能か

家庭裁判所が審判で判断を示す以上、当事者間のバランス、適法性、実現可能性が慎重に検討されることになります。

第277条第1項に規定する事項(合意に相当する審判の対象となる事項)を除く

特殊調停やそれに伴う合意に相当する審判の対象となる事項は、法律上、審判で解決しなければならないと定められており、調停に代わる審判にはなじみません。

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調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聞く

一切の事情を考慮するにあたり、実際に調停を行った家事調停委員から、当事者の様子、調停の進行、当事者の主張、審判することへの意見を聴取することになっています。

家事調停委員の意見のみで決まるわけではありませんが、調停の様子を知る貴重な情報源です。

なお、裁判官が単独で調停を行い、家事調停委員が調停に関与していない場合は、意見を聴取する対象がいないため、当然に省略されます。

家事事件手続法第284条第3項

例えば、離婚調停で離婚やその条件について大筋で合意できていた場合、調停に代わる審判で離婚することだけ判断しても意味がありません。

そこで第284条第3項では、給付に関する離婚条件(子の引き渡し、養育費、財産分与など)についても併せて判断できると定められています。

調停に代わる審判(284条審判)の特則

家事事件手続法第285条では、調停に代わる審判の特則が3つ定められています。

  1. 家事調停の申立ての取下げは、第273条第1項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。
  2. 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。
  3. 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。

(家事事件手続法第285条)

取下げの制限

調停に代わる審判がされた後は、申立てを取り下げをすることができません。

審判によって問題全体の解決を期待する相手方に配慮した規定です。

つまり、調停に代わる審判の結果が申立人に不都合な内容だったときに申立ての取下げが認められると、審判による解決を期待した相手方に不利益が及ぶため、これを防止するための規定です。

公示送達による告知ができない

公示送達とは、相手方の住所・居所など送達すべき場所が分からないときなどに、法的に送達したことにする手続です。

裁判所書記官が送達すべき書面を作成・保管するとともに、送達すべき場所が分かった時点で交付することを、家庭裁判所の掲示板に掲示して知らせます。

掲示から2週間が経過すると、送達の効果が生じます。

調停に代わる審判で公示送達が認められていないのは、当事者が審判内容を知る前に審判が確定することのないよう、当事者に異議申立ての機会を確実に与えるためです。

告知できない時の審判の取消し

調停に代わる審判が告知できないと、当事者が異議申立てをする機会が確保されないため、審判が取り消されることになります。

通常、審判が取り消された後は、調停が不成立で終了します。

調停に代わる審判(284条審判)の異議申立て(意義申立書の提出)

調停に代わる審判は、審判の形式をとっていますが、実際のところ、家庭裁判所が当事者の問題について解決案を示すものです。

調停において調停委員会が示す調停条項案と、通常の審判の中間のような手続と言えます。

そのため、当事者からの異議申立てが認められており、当事者の一方または双方から異議申立書が提出されると、当然に調停に代わる審判の効力がなくなります。

調停に代わる審判の異議申立ては、家事事件手続法第286条に定められています。

  1. 当事者は、調停に代わる審判に対し、家庭裁判所に異議を申し立てることができる。
  2. 第279条第2項から第4項までの規定は、前項の規定による異議の申立てについて準用する。
  3. 家庭裁判所は、第1項の規定による異議の申立てが不適法であるときは、これを却下しなければならない。
  4. 異議の申立人は、前項の規定により異議の申立てを却下する審判に対し、即時抗告をすることができる。
  5. 適法な異議の申立てがあったときは、調停に代わる審判は、その効力を失う。この場合においては、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
  6. 当事者が前項の規定による通知を受けた日から2週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。
  7. 第五項の規定により別表第2に掲げる事項についての調停に代わる審判が効力を失った場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。
  8. 当事者が、申立てに係る家事調停(離婚又は離縁についての家事調停を除く。)の手続において、調停に代わる審判に服する旨の共同の申出をしたときは、第1項の規定は、適用しない。
  9. 前項の共同の申出は、書面でしなければならない。
  10. 当事者は、調停に代わる審判の告知前に限り、第8項の共同の申出を撤回することができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。(調停に代わる審判の効力)

(家事事件手続法第286条)

異議申立てができる人

調停に代わる審判の異議申立てができるのは、当事者のみです。

家事審判法には申立権者に関する規定がなく、利害関係のある当事者以外の第三者などが意義申立てを行うことも認められていましたが、家事事件手続法では当事者のみとなっています。

異議申立て先

調停に代わる審判をした家庭裁判所です。

異議申立ての効力

異議申立てが適法になされたとき(意義申立書が提出されたとき)は、調停に代わる審判は効力を失います。

調停に代わる審判が効力を失ったことは当事者に通知され、その後は調停手続に戻りますが、ほとんどのケースでは不成立となります。

別表第2調停事件は、調停が不成立になると自動的に審判手続きに移行しますが、一般調停事件は手続が終了し、問題を解決するには改めて訴訟を提起する必要があります。

なお、不適法な異議申立てが却下されたときは、即時抗告により争うことができます。

異議申立ての理由の要否

調停に代わる審判の異議申立てでは、申立てに理由は必要ありません。

理由を伝えることはできますが、理由の有無や内容に関わらず、適法な異議申立てがなされると、調停に代わる審判の効力は失われます。

調停に代わる審判に服する旨の共同の申出

当事者が調停に代わる審判の結果に従う旨の合意をして、「調停に代わる審判に服する旨の共同の申出」を行うと、異議申立てができなくなります。

申出を行っておくことで、異議申立てで審判が効力を失う心配をしなくて済みますが、審判の内容に口出しできなくなってしまいます。

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サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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