相手方として離婚調停に参加する場合の流れと留意点

離婚調停の申立人は、調停で離婚紛争を解決したいと希望して自ら調停を申し立て、万全の準備を整えて第1回期日に臨みます。

しかし、申し立てられた相手方は、申立書などで申立人の主張を把握することはできますが、申立人と比較すると準備が難しく、第1回期日は様子見で参加することが多いものです。

そこで今回は、相手方として離婚調停の第1回期日に参加する場合の流れと留意点について書いていきます。

なお、相手方が離婚調停までに準備しておくことについては、関連記事で解説しています。

関連記事

離婚調停を申し立てられた相手方が調停第1回期日までに準備すること

離婚調停の第1回期日の流れ

まず、離婚調停の第1回期日の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 受付
  2. 待合室で待機
  3. 調停室に入室、離婚調停に関する調停委員の冒頭説明
  4. 調停期日の進行
  5. 次回調停期日の指定

第1回期日の流れは申立人と共通ですが、留意すべき点は異なります。

以下、調停期日の段階ごとに解説していきます。

受付

調停期日は、原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で開かれます。

家庭裁判所に到着したら、調停期日通知書に記載されている呼出時間までに、同通知書記載の場所へ行き、窓口で離婚調停のために出頭したことを伝えて通知書を提示します。

時間午前は10時前後、午後は2時前後が多い
場所調停担当窓口(家事事件の裁判所書記官室が多いが「調停センター」など独自の窓口がある家庭裁判所もある

呼出し場所は他の調停事件の相手方などの当事者で混雑していることが多いため、調停期日通知書はあらかじめ取り出しておきましょう。

事件番号と氏名を伝える方法もありますが、プライバシーの観点からおすすめはできません。

調停期日通知書を提示すると、窓口の職員が期日簿で調停室を確認して相手方待合室の場所を教示してくるか、待合室まで案内されます。

申立人と相手方の呼出時間について

調停の呼出し時間は、申立人と相手方で30分程度ずらす取扱いとなっています。

第1回期日は申立人の方が早く呼び出され、相手方が受付をする頃にはすでに調停室で調停委員と話をしているため、顔を合わせることはほぼありません。

ただし、申立人が呼出時間に遅れて来たり、稀ですが相手方を確認するためわざと窓口付近で待ち伏せしていたりするケースもあります。

離婚調停の話し合いは調停室で調停委員を介して行うのが基本であり、調停室以外で鉢合わせても、話をせず待合室に向かうようにします。

万が一、申立人に詰め寄られるなどした場合は、近くにいる裁判所職員に助けを求めてください。

また、DVやモラハラがあった場合などは、事前に裁判所へ事情を伝えておけば、申立人と会わないように動線を調整する、調停室以外の場所では職員や調停委員が付き添うなどの対応を検討してもらうことができます。

待合室で待機

調停の待合室は、相手方と申立人で別々の部屋が準備されており、調停委員が呼びに来るまで待機することになります。

小さな本庁や支部などでは同じ階に相手方と申立人の待合室が設けられていることがあり、トイレや自動販売機へ行く時に鉢合わせするおそれがあるため、できる限り調停室の中で過ごすようにしてください。

調停期日の半分は待合室で過ごす

離婚調停は、申立人と相手方がおおむね30分ごとに交互に調停室に入室して調停委員と話をする方法で進みます。

そのため、申立人が調停室で話している間は待合室で待機することになります。

また、調停委員は調停の進行を裁判官に報告に行くことがありますが、その間も相手方は待合室で待機しなければなりません。

つまり、調停期日の少なくとも半分の時間は待合室で過ごすことになるのです。

待合室の様子

家庭裁判所の待合室は、長椅子が並べられただけの殺風景な部屋です。

壁に調停制度に関する貼り紙があり、本棚に古い雑誌類や家庭裁判所の手続きに関するパンフレットが並べられているだけで、テレビがある場合も手続き関連のアナウンスが延々と流されています。

待合室の中には他の事件の当事者が待機しますし、代理人の弁護士が一緒に待機していることもあるため、日によっては座る場所がないくらい混雑していることもあります。

また、申立人と相手方という括りで待合室を分けているため、離婚調停を申し立てられた夫と、別件で離婚調停を申し立てられた妻が同じ待合室で待機することになります。

通常の待合室を利用できない場合

例えば、DV被害を受けている場合や、申立人と接触すると体調が悪くなる場合などは、通常の待合室以外の場所で待機させてもらえることがあります。

事前に担当の裁判所書記官(調停期日通知書に記載)まで電話連絡して事情を伝えておけば、空いている調停室などを待合室代わりに使わせてもらえます。

ただし、主張した事情や部屋の空き具合によっては、待合室はそのままで、待合室と調停室を移動するときに職員や調停委員が付き添うという配慮がなされるケースもあります。

調停室に入室、離婚調停に関する調停委員の冒頭説明

呼出時刻近くになると、調停委員が待合室まで来て、調停室まで来るように言われます。

個人情報保護の観点から、事件番号や受付窓口で手渡された番号札の番号で呼ばれるため、自分の番号を暗記しておくか、通知書または番号札をすぐ確認できるようにしておいてください。

身分証明書の提示

調停室に入室すると、テーブルをはさんで調停委員の前にある椅子に座ります。

調停委員から身分証明書の提示を求められるので、運転免許証などを提示してください。

顔写真付きの身分証明書の提示が原則ですが、保険証などの提示でも問題はありません。

調停委員による調停に関する冒頭説明

本人確認が完了すると、調停委員から調停に関する冒頭説明を受けます。

  • 調停は、裁判官と調停委員2人(男女各1人)で構成される調停委員会が運営する
  • 調停に関与する人(調停委員、裁判官、裁判所書記官、家庭裁判所調査官など)には守秘義務が課されており、調停の内容は外部に漏れない
  • 調停は、裁判所が判断や強制をする手続ではなく、夫婦の合意で紛争解決を目指す手続きであり、夫婦が合意しないと何も決めることができない
  • 調停は、申立人と相手方が概ね30分交代で調停室に入室して調停委員に主張や意見を伝え、それを調停委員が相手に伝える方法により進行する
  • 調停の1期日は2~3時間であり、時間内に合意ができない場合は次回期日を指定する
  • 夫婦の一方または両方が調停の継続を希望しても、調停委員会が夫婦に合意の見込みがないと判断した場合は調停を終了させる場合がある
  • 調停室内の録音録画は禁止

以上は、申立人と相手方に共通する説明の内容です。

相手方に対しては、「すでに申立人から申立ての事情や主張を聴取しているこ」とや、「申立人と相手方は対等な立場であり、申立てをしたからといって申立人が有利になるわけではないこと」も伝えられます。

相手方だと不利になるか

調停の手続き上、申立てをした人を申立人、申し立てられた人を相手方としています。

しかし、調停委員の冒頭説明にもあるとおり、申立人と相手方の立場は対等であり、調停委員が差別的に取り扱うこともありません。

強いて言えば、第1回期日では申立人が先に事情を聴取されることですが、聴取内容は相手方にも伝えられますし、公平性を欠くものではありません。

調停室における基本的なマナー

調停委員は、裁判所の手続きである家事調停を運営する立場であり、当事者に偏見を持ったり差別したりしないというのが建前です。

しかし実際のところ、当事者の外見、言動、態度などを自分の価値観に照らし合わせ、「裁判所にTシャツで来るなんて。」、「敬語も使えないなんて」などと悪印象を抱き、意識的無意識的に偏見や差別的な取り扱いをしてしまう調停委員は少なくありません。

そのため、調停委員に気に入られようとへりくだる必要はありませんが、調停委員が「この人のために調停が成立するよう尽力しよう。」と思えるように、社会人として裁判所という公的な場に来ているということを意識して振る舞うことは大切です。

以下、調停室における基本的なマナーを示しておきます。

(挨拶・態度)

  • 入退室時は「失礼します」と挨拶する
  • ドアは静かに開け閉めする
  • 着席時は「よろしくお願いします」と挨拶して軽く頭を下げる
  • 調停委員の話は、目を見て、軽く相槌を打ちながら聞く
  • 敬語を使う
  • 感情的にならない
  • 調停委員の意見に反論する場合は、言い方に気を付ける

(禁止事項)

  • 飲食
  • 録音録画

基本的には、職場の上司や先輩、得意先の担当者に接するのと同じようにすると良いでしょう。

同席調停について

家事事件手続法が施行された後、第1回調停期日の冒頭説明場面では申立人と相手方を調停室に同室させる「同席調停」を行う家庭裁判所が増えています。

家庭裁判所の方針や調停委員会の判断にはなりますが、同席調停を原則とする家庭裁判所が増えてきているのは間違いなく、申立人と同席する可能性があることは意識しておかなければなりません。

ただし、同席調停は調停進行を円滑にするためのものであり、同席によって問題が生じるおそれがある場合まで実行されるわけではありません。

例えば、DVやモラハラのあるケース、当事者同士の関係性が極めて悪く同席すると罵り合いや殴り合いになりかねないケース、顔を合わせると当事者の一方が不安定になる可能性が高いケースなどでは、同席調停ではなく、申立人と相手方に対して個別に冒頭説明が行われます。

そのため、同席できない上がある場合は、事前に連絡しておくようにしてください。

調停室に入室できるのは当事者と代理人弁護士だけ

調停室に入室することが認められているのは、原則として、当事者である申立人と相手方、そして当事者の代理人弁護士だけです。

当事者が一人で調停期日に出頭することができない場合、家族や友人などと一緒に出頭することは可能ですが、その場合でも入ることができるのは待合室までであり、調停室への入室は認められません。

当事者が一人になるとパニックを起こすなど、ごく例外的な場合に限って家族の同席が認められることはありますが、寄り添うだけで発現までは認められないことが多くなっています。

調停期日の進行

調停委員は、冒頭説明を終えると、申立人から聴取した申立て動機や主張についての説明を始めます。

相手方としては、まず、申立人が調停期日で主張した内容を確認した上で、自分の主張を伝えることになります。

伝える内容は家庭の事情などによって異なりますが、最低限、以下の内容については伝えるべきであり、伝えないと調停委員から質問されるはずです。

  • 離婚調停を申し立てられたことへの意見
  • 現在の生活状況(同居か別居か、夫婦間のやりとり、就労と収入、婚姻費用分担の有無、面会交流の有無、子どもの状態など)
  • 復縁の可能性があるか
  • 離婚を希望する場合の離婚条件(子どもの親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割など)

調停期日の流れ

離婚調停の調停期日は、概ね30分ごとに申立人と相手方が交互に調停室に入室し、調停委員から相手の主張や意見を聴き、調停委員に対して主張や意見を伝えることの繰り返しで進行します。

同席調停が実施された場合でも、同席するのは冒頭場面のみであることが多く、離婚するかどうかや離婚条件の話し合いは調停委員を介して行います。

調停期日の時間

調停期日は、平日の午前または午後に指定され、家庭裁判所の開庁時間の関係で1期日あたりの時間は2~3時間程度です。

午前午前9時30分~正午(相手方の呼出時刻は午前10時が多い)
午後午後1時30分から午後4時30分(相手方の呼出時刻は午後2時が多い)

すでに書いたとおり、申立人と相手方が概ね30分ごとに交互に調停室に入室するため、通常は双方が2~3回ずつ調停委員と話をすると終了時刻になります。

しかし、第1回期日は、夫婦関係が悪化した事情なども話すことになるため時間がかかりやすく、交代するまでに1時間程度かかることもあります。

特に、申立人の1回目の聴取に時間がかかることが多く、「呼出時刻に出頭したのに30分以上も待たされた」という相手方は珍しくありません。

もし申立人からの聴取が長引いている場合は、担当の裁判所書記官に声をかけると、調停委員に連絡してくれることがあります。

調停時間は延長されることがある

調停の進行によっては、時間が延長されることがあります。

例えば、当事者の話が要領を得ない上に調停委員の聞き方も拙く、必要な情報を得るまでに時間がかかった場合、当事者が「この問題が解決するまでは帰らない」などとごねた場合などは、終了予定時刻を過ぎても調停が延長されがちです。

本来、調停のタイムキープは調停委員の役割ですが、時間を気にせず調停を長引かせてしまう調停委員が多いため、調停期日後に予定を入れている場合は、調停開始時点でタイムリミットを伝えておく必要があります。

待合室での待機時間

調停委員との話がひと段落すると待合室に戻り、再び調停委員が呼びに来るまで待機します。

通常の待ち時間は30分程度ですが、申立人の話が長引いたり、調停委員が調停進行を裁判官に伝えに行ったりした場合(評議)、1時間以上待たされることもあります。

特に、評議の場合は時間がかかります。

裁判官は、1人で100件を超える家事調停事件を担当しており、1日に10件を超える家事調停が入っていることもあるため、調停委員が評議を求めても他の調停の評議中で順番待ちとなり、評議までに時間がかかるのです。

調停の方針は裁判官と調停委員会が評議で決定するため、評議を抜きにして調停を進めてもらうわけにもいかず、悩ましいところです。

調停委員の多くは、待ち時間が長くなることが見込まれる場合、「評議で時間がかかると思います。〇〇分程度はかかるかもしれません。」などと知らせてくれますし、「外に出られていても構いませんが、○○時までに調停室に戻っておいてください。」と言ってくれる人もいます。

しかし、中には待合室での待機だけを指示し、申立人から長時間話を聞いたり、評議に行ったりする調停委員もおり、その場合、「調停委員が今どこにいて、何をしているのか分からない状態」で待ち続けることになります。

一般的な待ち時間である30分が経過しても調停委員が呼びに来ない(または時間がかかることを伝えに来ない)場合は、担当の裁判所書記官に状況を確認してもらってください。

裁判所書記官に伝えた内容は裁判官にも伝わるため、裁判官から調停委員に対して対応の改善を促してもらうことが期待できます。

なお、調停室に行くことは、申立人の話が長引いていた場合に申立人と顔を合わせてしまうため避けるべきです。

次回期日の指定

調停終了時刻までに夫婦の合意ができなかった場合は、次回期日を指定して調停期日を終えることになります。

次回期日は、以下の事情を考慮して指定されます。

  • 担当裁判官の開廷日(家事調停を行う曜日と時間帯)
  • 調停室の空き状況
  • 担当裁判官、担当調停委員の予定
  • 申立人・相手方と代理人弁護士の予定

調停室の空きがない場合、予備室などが代用されることもあります。

調停期日が指定される時期

次回調停期日が指定されるのは、約1ヶ月後というのが一般的です。

ただし、開廷日、調停室の空き状況、関係者の予定などによっては1ヶ月以上先に指定されることもあります。

特に、夏季休廷時期(7月~9月)や年末年始は予定が入りにくく、2ヶ月以上先に指定されるケースも散見されます。

調停期日の振り返り

次回期日指定の前後では、以下の内容について、調停期日の振り返りが行われます。

  • 到達点:夫婦が合意したまたは合意しなかった内容の確認
  • 次回期日までの課題:検討事項や提出物など
  • 留意事項:調停内で合意した内容を除いて当事者間のやりとりを控えるなど

冒頭説明と同じく同席で行われることもありますが、同席できない事情を伝えている場合は個別に対応してもらうことができます。

なお、振り返りを実施していない家庭裁判所もありますが、次回期日を円滑に進めるための重要な手続きであり、調停委員に実施するよう促してみても良いでしょう。

特に、次回期日までの検討事項や提出物、期日間のやりとりなどを取り決めた場合は、振り返りの中で確認しておくことが大切です。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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