アルコール依存症と離婚!アルコール依存症で離婚できる?

アルコール依存症

配偶者のアルコール依存症は、直接的または間接的に夫婦の離婚原因になることがあります。

例えば、「妻は、普段は穏やかで優しいが、お酒を飲むと豹変して暴力や暴言を繰り返すため、子どもが怯えているし私自身もしんどくなった。」という離婚原因を語る夫がいます。

また、「夫は、酒席の度に記憶を失って失敗を繰り返した挙句、降格させられて給料も大幅に下がり、生活が苦しくなった。」と訴える妻も少なくありません。

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、アルコールを長期的かつ習慣的に摂取したことで身体的・精神的な薬理学的依存性を獲得し、止めたくても止められなくなった状態です。

簡単に言い換えると、「お酒の飲み方を自分で制御できない状態」です。

例えば、「一週間のうち3日は休肝日にする。」と決めたにも関わらず毎日飲酒する、「飲み過ぎると記憶をなくすからセーブしよう。」と思っていても宴会の度に記憶を失うまで飲むなどの場合、アルコール依存症の可能性があります。

アルコール依存症の人の数

厚生労働省研究班が行った全国調査の結果では、アルコール依存症で治療が必要な人は約109万人とされています。

調査は、2013年7月、全国から無作為に抽出された成人のうち調査に同意した4,153人と面接を行い、飲酒習慣や治療経験などを聴取する方法で実施されました。

厚生労働省は、調査結果を2012年10月時点の日本人人口に当てはめると、調査時点でWHO(世界保健機関)が作成するICD-10(国際疾病分類第10版)のアルコール依存症の診断基準に当てはまる人が約58万人、過去に1度でも基準を満たした人が約109万人いるという推計を公表しました。

また、アルコール依存症で治療中と回答した人は約8万人に留まったことも公表され、治療が必要な状態にも関わらず治療を受けていない人が多数いることが明らかにされました。

つまり、アルコール依存症の人の多くが、自分がアルコール依存症であるという認識がないまま過ごしているということです。

アルコール依存症患者数の推移

厚生労働省が公表している平成26年患者調査(傷害分類編)で、アルコール依存症患者数の推移を確認することができます。

推計患者数 2008年 2011年 2014年
入院 9,100人 8,600人 8,700人
外来 4,000人 4,100人 5,100人
総数 13,100人 12,700人 13,800人
総患者数 44,000人 37,000人 49,000人

※推計患者数:調査日当日に、病院、一般診療所で受療した患者の推計数
※総患者数:調査日現在において、継続的に医療を受けている患者の推計数
出典:平成26年患者調査(傷病分類編)|厚生労働省

アルコール依存症の診断基準と簡易テスト

医療現場では、アルコール依存症の診断基準としてICD-10(国際疾病分類第10版)が使用されます。

ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版)の診断基準

過去1年間に以下の項目のうち3項目以上が同時に1ヶ月以上継続した、または、繰り返し出現した場合に、アルコール依存症の確定診断が下されます。

1.飲酒したいという強い欲望あるいは強迫感。
2.飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して、自らの行動を統制することが困難。
3.飲酒を中止もしくは減量した時の生理学的離脱状態。アルコールに特徴的な離脱症候群の出現や、離脱症状を軽減するかさける意図でアルコール(あるいは近縁の物質)を使用することが証拠となる。
4.はじめはより少量で得られたアルコールの効果を得るために、飲酒量を増やさなければならないような耐性の証拠。
5.飲酒のために、それにかわる楽しみ興味を次第に無視するようになり、アルコールを摂取せざるをえない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。
6.明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、依然として、飲酒する。たとえば、過度の飲酒による肝臓障害、ある期間物質を大量使用した結果としての抑うつ気分状態、アルコールに関連した認知機能の障害などの害。使用者がその害の性質と大きさに気づいていることを(予測にしろ)確定するよう努力しなければならない。

引用:ICD-10

DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)の診断基準

アメリカ精神医学会が出版しているDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版)では、アルコール依存症という名称は使用されなくなり、アルコール使用障害に分類されています。

DSM-5では、以下の項目のうち2つ以上の項目が12ヶ月以内に出現した場合に、アルコール使用障害と診断されます。

  • 物質使用の結果、社会的役割を果たせない。
  • 身体的に危険な状況下で反復使用する。
  • 社会・対人関係の問題が生じているにも関わらず、使用を続ける。
  • 反復使用による効果の減弱、または使用量の増加。
  • 中止や減量による離脱症状の出現。
  • 当初の思惑よりも、摂取量が増えたり、長期間使用する。
  • やめようとしたり、量を減らす努力や、その失敗がある。
  • 物質に関係した活動(入手、使用、影響からの回復)に費やす時間が増加する。
  • 物質使用のために重要な社会活動を犠牲にする。
  • 心身に問題が生じているにもかかわらず、使用を続ける。
  • 物質使用への強い欲求や衝動がある。

出典:DSM-5

ただし、医療現場ではICD-10が使用され、DSM-5は主に研究用に使用されています。

新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(新KAST)

新久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(新KAST)とは、久里浜医療センターが作成したアルコール依存症のスクリーニングテストです。

新KASTは、その結果だけで確定診断が下されることはありませんが、診断の補助として活用されています。

新KASTには男性版と女性版があり、男性は10項目、女性は8項目の質問に答え、その合計得点で「アルコール依存症の疑い群」、「要注意群」、「正常群」のいずれかが判定されます。

久里浜医療センターのウェブサイトでは、新KASTを受けて飲酒問題の有無を判定まで得られる他、書式をダウンロードすることもできます。

最近6ヶ月の間に次のようなことがありましたか?

男性版

  1. 食事は1曰3回、ほぼ規則的にとっている
    はい  いいえ
  2. 糖尿病、肝臓病、または心臓病と診断され、その治療を受けたことがある
    はい  いいえ
  3. 酒を飲まないと寝付けないことが多い
    はい  いいえ
  4. 二曰酔いで仕事を休んだり、大事な約束を守らなかったりしたことが時々ある
    はい  いいえ
  5. 酒をやめる必要性を感じたことがある
    はい  いい
  6. 酒を飲まなければいい人だとよく言われる
    はい  いいえ
  7. 家族に隠すようにして酒を飲むことがある
    はい  いいえ
  8. 酒がきれたときに、汗が出たり、手が震えたり、いらいらや不眠など苦しいことがある
    はい  いいえ
  9. 朝酒や昼酒の経験が何度かある
    はい  いいえ
  10. 飲まないほうがよい生活を送れそうだと思う
    はい  いいえ

合計点が 4 点以上: アルコール依存症の疑い群
合計点が 1 ~ 3 点: 要注意群(質問項目 1 番による 1 点のみの場合は正常群。)
合計点が 0 点: 正常群

女性版

  1. 酒を飲まないと寝付けないことが多い
    はい  いいえ
  2. 医師からアルコールを控えるようにと言われたことがある
    はい  いいえ
  3. せめて今日だけは酒を飲むまいと思っていても、つい飲んでしまうことが多い
    はい  いいえ
  4. 酒の量を減らそうとしたり、酒を止めようと試みたことがある
    はい  いいえ
  5. 飲酒しながら、仕事、家事、育児をすることがある
    はい  いいえ
  6. 私のしていた仕事をまわりの人がするようになった
    はい  いいえ
  7. 酒を飲まなければいい人だとよく言われる
    はい  いいえ
  8. 自分の飲酒についてうしろめたさを感じたことがある
    はい  いいえ

合計点が 3 点以上: アルコール依存症の疑い群
合計点が 1 ~ 2 点: 要注意群(質問項目 6 番による 1 点のみの場合は正常群。)
合計点が 0 点: 正常群

出典:久里浜医療センター|久里浜式アルコール症スクリーニングテスト

プレアルコホリズム

プレアルコホリズムとは、アルコール依存症の診断基準には達していないが、アルコールによって精神的・身体的に何らかの問題を抱えた状態です。

具体的には、アルコールに関する問題が生じているが、離脱症状も連続飲酒も経験がない場合にプレアルコホリズムが使用されます。

プレアルコホリズムはアルコール依存症の予備軍であり、気がつくと依存症になっていることも珍しくありません。

なお、ICD-10では、依存症の診断に当てはまらない場合に「有害な使用」が使用され、DSM-Ⅳ‐TRではアルコール乱用が使用されています。

  • ICD-10の有害な使用:飲酒により精神的または身体的障害が現れている
  • DSM-Ⅳ-TRのアルコール乱用:飲酒により社会的または家族的問題がある

アルコール依存症の症状

アルコール依存症は、お酒の飲み方がコントロールできなくなった状態であり、頭では飲酒を控えようと思っても、脳の異常によって飲酒を止められなくなります。

習慣的な飲酒はアルコールへの耐性をもたらすため、アルコールによる心地よさや快感を得ようと徐々に飲酒量が増えていきます。

また、生活習慣、人間関係、家庭や職場などよりも飲酒を最優先するようになり、飲む場所や時間も気にしなくなります。

そして、素面の状態の不全感や居心地の悪さを紛らわせようと飲酒を続け、アルコールを少しでも口にするとお酒の飲み方がコントロールできなくなります。

その結果、社会人としての振る舞いやまともな社会生活を送ることが困難になり、人間関係が壊れ、本人を取り巻く環境が悪化し、体調も悪くなりますが、飲酒を止められず、毎日のようにお酒を飲み続けます。

症状が進み、起きている時間は常にお酒を飲んでいるという連続飲酒の状態に陥ることもあります。

「依存症」というとおり、本人の意思の弱さとは関係がなく、自力で克服することは困難であり、適切な治療を受けることが求められます。

アルコール依存症の具体的な症状

アルコール依存症の具体的な症状としては、肝機能障害、糖尿病、脳の萎縮などがあります。

また、うつ病や摂食障害など精神疾患を併発する人もいます。

体内のアルコール濃度が下がることで不眠、手の震え、情緒障害、幻覚などの離脱症状が起こります。

離脱症状は、起こる時期によって早期離脱症状と後期離脱症状に分類されます。

早期離脱症状 時期:飲酒を止めてから数時間後

症状:手の震え、身体の震え、寝汗、不眠、吐き気、嘔吐、不整脈、焦燥感、血圧の上昇、幻覚など

後期離脱症状 時期:飲酒を止めてから2~3日後

症状:幻視、見当識障害、興奮、発汗、震え、発熱など

離脱症状は、飲酒によって一時的に治まるため、さらに飲酒を続けることになってしまいます。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症の治療は、専門の医療機関を受診して医師やSW(ソーシャルワーカー)と面談を行い、個人の状態や家庭の状況に応じた治療方針を立てるところから始まります。

アルコール依存症の治療の基本は、「本人の断酒」、「身体の治療と離脱症状への対応」、「心理社会的治療」の3つを組み合わせて行います。

本人が自ら受診して治療を受ける意思を示し、治療を実践する必要があるため、本人に一定程度のモチベーションと自制心がないと治療を行うことは困難です。

アルコール依存症の入院治療の流れ

アルコール依存症の入院治療は、以下の段階で行われるのが一般的です。

導入期→解毒期→リハビリテーション期(前期・後期、併行して心理社会的治療)
導入期

導入期とは、アルコール依存症の本人に治療へのモチベーションを高めさせる段階です。

本人にアルコール依存症であることを認識させ、医師や家族などから治療の必要性や本人へのメリットを説明し、治療への動機づけを行います。

解毒期

解毒期とは、断酒を開始するとともに、身体症状や離脱症状の治療を行う段階です。

治療として断酒を開始し、日常生活に支障を及ぼしている身体症状や離脱症状の治療を行い、本人の体調改善を図ります。

通常は、3週間程度で症状が落ち着き、次のリハビリテーション段階へと移行します。

リハビリテーション期(前期)

リハビリテーション期(前期)とは、退院後にアルコール依存症の影響を受けずに日常生活を送るためのリハビリを行う段階です。

飲酒への考え方や行動を見直すための精神療法、アルコール依存症患者の集団プログラム、レクリエーション活動などを受け、退院後にまともな社会生活が送れるようになることを目指します。

リハビリテーション期(後期)

リハビリテーション期(後期)とは、退院後に断酒を継続しながら必要な治療などを受ける段階です。

リハビリテーション期(前期)を乗り切って退院した後も、断酒を継続しなければなりません。

断酒を継続するために、専門医療機関への通院継続、自助グループへの参加、抗酒薬の服用などを行います。

ただし、通院や自助グループへの参加は任意であり、抗酒薬も服用は任意である上にお酒を飲みたい気持ちを抑えられるわけではないため、本人の治療へのモチベーション維持と自制心が求められます。

アルコール依存症と家族

アルコール依存症は、本人だけでなく家族にも大きな影響を与えます。

冒頭に書いた配偶者のアルコール依存症を理由として離婚したいというのも、アルコール依存症が夫婦関係を破壊した結果です。

お酒の飲み過ぎが夫婦関係を悪化させ、悪化した夫婦関係がアルコール依存症を進行させるという悪循環を引き起こして、離婚という最悪の結果に行きつくことになるのです。

アルコール依存症の家族への影響

アルコール依存症の人は、家庭や家族よりも何よりもお酒を飲むことを最優先に考えます。

そのため、家族から飲酒を制止されたり苦言を呈されたりすると激高し、家族に対する暴言や暴力に及ぶことがあります。

お酒の力を借りて気が大きくなったり粗暴傾向が顕著になったりすることもあり、家族としてはいつどのような被害を受けるか分からず怯えながら過ごさなくてはならなくなります。

また、常に飲酒しているため夫婦や親子のコミュニケーションがなくなり、家族の絆も失われていきます。

飲酒すると場所や時間を考えず騒いだり他人に喧嘩を売ったりする傾向があると、接待の席を台無しにして降格させられ、家計に影響が及ぶこともあります。

その他、酒代が家計を圧迫する、飲酒のし過ぎで体調を崩して医療費がかさむ、店で暴れて備品を壊して高額の請求を受けるなど、家計に絡む問題は少なくありません。

アルコール依存症の子どもへの影響

夫婦の一方または両方がアルコール依存症の場合、子どもにも大きな影響が及びます。

例えば、親がもう一方の親を殴るところを目撃する、飲んだくれた親の姿を目の当たりにする、経済的に困窮して進学を断念する、日中から飲酒しているため友人を自宅に呼べない、何とかしたいが何もできず無力感にさいなまれるなど、様々な影響を与えることが考えられます。

また、子ども自身が暴言や暴力の対象になる、アルコール依存症の影響で家事育児ができない親から放置されて食事も作ってもらえないなどの児童虐待を受けることもあります。

そして、アルコール依存症の親から受けた仕打ちの影響は、引きこもり、不登校、対人不信、自傷行為、性的逸脱、不良交友、非行など不健全なかたちで現れ、子どもの将来に暗い影を落とします。

アルコール依存症の親がいる家庭で育てられて成人した「アダルトチルドレン」として、つらく厳しい人生を歩むことになるリスクが高いのです。

アルコール依存症と離婚

配偶者のアルコール依存症を理由として離婚する場合、通常の離婚とは異なる点に注意しなければなりません。

協議離婚

夫婦の協議で離婚する場合、アルコール依存症の配偶者が素面(しらふ)のときに話し合うのが鉄則です。

アルコール依存症の症状が進むほど飲酒時間が長くなりがちですが、待ちきれずに飲酒した状態で離婚話を切り出すと、暴言や暴力の被害に遭うリスクがあります。

また、その場では離婚の合意ができたとしても、後になって「覚えていない」と言われることも珍しくありません。

したがって、時間はかかってもお互いにお酒を飲んでいない状態で話し合うことが大切です。

暴言や暴力がある場合

飲酒時に暴言や暴力に及ぶ配偶者の場合、夫婦だけで話し合うのは危険です。

素面の状態で話し始めても、途中でお酒を飲んで粗暴な言動に及ぶ可能性があるためです。

そのため、夫婦だけで話し合う前に実家や相談機関に相談し、安全が確保できる状況で、第三者を交えて離婚協議を進める必要があります。

「慣れているから。」と思って夫婦だけで協議に臨むのは、絶対に避けてください。

普段の何気ない状況でも飲酒して暴言や暴力を振るう相手が、離婚という人生の大問題を持ち出したときにどのような反応を示すかは誰にも予測できませんが、普段より良い反応が現れることは期待しにくいでしょう。

協議離婚の注意点

離婚を切り出されたアルコール依存症の配偶者は、「お酒を止めるからやりなおしたい。」と主張することがあります。

しかし、止めたくても止められないのがアルコール依存症という状態です。

お酒を止めるという主張を鵜呑みにせず、どこまで真剣に止めるつもりなのかを具体的に確認しなければなりません。

例えば、自分がアルコール依存症であることを自覚しているか、家族にどのような被害を与えたと思っているか、断酒のために何ができて何をするつもりかなどを具体的に聞き出します。

その上で、離婚を思いとどまるか、離婚の主張を続けるか判断します。

「何と主張しても離婚したい気持ちは変わらない。」と思い、話し合いの機会を持とうとしない人もいます。

しかし、夫婦で協議できる関係性がある場合、合意できないことが分かっていたとしても、協議したという事実を作ることが大切です。

調停離婚

アルコール依存症の配偶者と離婚する場合、初めから離婚調停を申し立てて家庭裁判所で協議することも一つの方法です。

特に、飲酒時に暴言や暴力がある、家庭で素面の状態になることがない、夫婦間に明確な上下関係があるなどの場合、夫婦だけで協議するのは危険なので、安全な場所に避難した上で調停を申し立てることも検討します。

調停離婚の注意点

離婚調停では、以下の点に注意する必要があります。

  • 離婚調停申立て時に、配偶者がアルコール依存症であることを担当職員に伝え、呼出し時間をずらす、調停室への動線の変更、待合室の変更などの配慮を求める
  • 調停の冒頭で、配偶者がアルコール依存症であることを調停委員に伝え、具体的な症状や従前の経緯を説明する
  • 配偶者が調停で粗暴な言動に及ぶおそれがある場合は、そのことも伝える
  • 調停委員に対し、配偶者より先に退庁させてもらえるよう頼んでおく

また、離婚調停は長引くことが多いことも、注意しておきたいところです。

申立てから初回期日までに1ヶ月程度、その後もおおむね1ヶ月ごとに期日が指定されるため、協議が難航すると1年近く調停期日を重ねることになります。

そうすると、調停期日を重ねるにつれて飲酒を重ねた配偶者の症状が悪化し、調停で協議すること自体が困難になる可能性があるのです。

裁判離婚

裁判で離婚が認められるためには、夫婦関係を破たんさせた法定離婚事由が存在することを立証しなければなりません。

相手がアルコール依存症になったことだけを離婚事由として離婚が認められた判例やケースは見当たらず、通常は、離婚事由に配偶者のアルコール依存症を関連づけて主張します。

例えば、アルコール依存症の夫がいつもお酒を飲みに出かけて家におらず、酒代がかさんで家計を圧迫していたところ、職場の宴席で傷害事件を起こして解雇された上、お酒を飲んでは家族に対する暴言・暴力に及ぶようになったような場合が考えられます。

こうした場合、悪意の遺棄や婚姻を継続し難い重大な事由にアルコール依存症を関連づけて主張するこ都を検討します。

裁判離婚の注意点

また、裁判離婚の場合で注意したいのが、アルコール依存症の配偶者が弁護士を立てず自力で対応する場合です。

離婚訴訟の期日は、離婚調停とは異なり、法廷で当事者が対面して進められます。

弁護士に依頼すれば期日の多くは代わりに出席してもらえますが、本人尋問などには配偶者のいる法廷に出頭しなければなりません。

夫婦が接触しないよう配慮はしてもらえますが、粗暴な言動に及ぶ配偶者の場合、リスクがあることは否定できませんし、精神的な負担も大きいものです。

【参考】

WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合的研究

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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