アルコール性認知症の特徴・症状・初期症状は?治療で治る?寿命は?

アルコールの過剰摂取により認知症になることがあります。

いわゆる「アルコール性認知症」や「アルコールによる認知症」と呼ばれる認知症で、アルコールを過剰摂取することで脳血管障害などが起こり、認知症の症状が現れます。

この記事では、アルコール性認知症の概要、特徴・症状、治療について解説します。

アルコール性認知症とは

アルコール性認知症とは、アルコールを大量に摂取し続けることで発症する認知症です。

アルコールの大量摂取によって脳が委縮することや、大量摂取で起こる脳血管障害などで認知症になると考えられています。

認知症の原因には、アルツハイマー病、レビー小体病、前頭側頭葉変性症など様々な種類がありますが、いずれにも該当せずアルコール以外に原因がない場合、アルコール性の認知症だと判断されます。

アルコール性認知症は医学用語ではなく、アルコールが原因と考えられる認知症をまとめてアルコール性認知症と呼んでいるにすぎません。

高齢者だけでなく65歳未満の比較的若い世代も発症します(若年性認知症)が、疲れやストレスのせいと考えて見過ごしてしまいがちです。

適切な治療により症状が改善する可能性がありますが、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症を合併することがあり、合併してしまうと、これらの認知症の症状を改善させる術は見つかっていないため、回復は見込めません。

アルコール性認知症と寿命

アルコール依存症・大量摂取と寿命の関係については複数の研究結果がヒットしますが、アルコール認知症と寿命の関係について証拠を示して説明している研究結果は見当たりません。

ただし、アルコール性認知症にはアルコールの大量摂取が影響していると考えられており、大量摂取が寿命に影響を及ぼす可能性は否定できません。

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アルコール性認知症の原因

アルコール性認知症の主な原因は、以下のとおりです。

  • アルコールの大量摂取
  • アルコール大量摂取による脳血管性障害
  • その他

アルコールの大量摂取

アルコール依存症患者やアルコール大量飲酒者には高い割合で脳萎縮が認められること、アルコール乱用や大量飲酒経験のある人は認知症を発症する確率が高いことなどから、アルコールの大量摂取が認知症のリスクと高めるとされています。

アルコール大量摂取による脳血管性障害

脳血管障害とは、頭蓋内外の血管の病変によって生じる、脳神経や脳機能の障害の総称です。

脳出血(くも膜下出血、脳内出血など)や脳梗塞(脳血栓、脳塞栓など)などが代表的な脳血管障害です。

アルコールだけでなく、疲労、ストレス、血栓が血管に詰まる、喫煙、塩分過多など様々な原因で起こります。

障害された血管の場所や障害の程度により、半身まひ、阪神の痺れ、言語障害、運動障害、認知機能の低下など様々な症状が起こります。

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その他

アルコールの大量摂取や、それに伴う脳血管障害の他、栄養障害などによって認知症を発症することもあります。

アルツハイマー型認知症の特徴

アルツハイマー型認知症の症状は、「緩やかに」かつ「確実に」進行していきますが、アルコール性認知症の症状は、徐々に進行することもあれば、急に重い症状が現れることもあります。

また、アルツハイマー型認知症などを合併していなければ、アルコールを断つことで症状が改善することがあります。

また、症状の進行を遅らせる治療が中心のアルツハイマー型認知症などと異なり、早期発見・早期治療により症状が改善することがあるのも特徴です。

アルコール性認知症の特徴・症状(初期症状)

アルコール性認知症は、アルコールの大量摂取を原因とする脳の萎縮、脳血管障害、その他の原因によって様々な症状が現れます。

多くのアルコール性認知症の人に見られる症状は、以下のとおりです。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力の障害
  • アルコール依存症に似た症状

アルコール性認知症の特徴・症状1:記憶障害

アルコール性認知症の記憶障害とは、体験したことそのものを忘れる(覚えられない)障害です。

加齢による物忘れでは、体験したことの一部を忘れ、忘れたことを自覚しています。

しかし、認知症の記憶障害では、体験したことそのものを忘れており(覚えておらず)、忘れている(覚えられていない)という自覚もないため、ヒントを出されても思い出すことができません。

下の図の「記銘」段階が障害されており、そもそも脳内に情報がインプットされていないため、いくらヒントを出されても思い出せないのです。

記憶の三段階モデル

例えば、約束や予定を入れたこと自体を忘れる、通帳をタンスにしまったことを忘れて探し回る、薬を飲んだことを忘れて何度も飲もうとするといった症状が見られます。

アルコール性認知症の特徴・症状2:見当識障害

見当識障害とは、時間、場所、季節、年月日、人など、自分自身のことや自分が置かれた状況を正しく認識する力です。

記銘力が障害されると、今日の年月日が言えなくなる、季節が分からず季節外れの服を着る、今いる場所が分からず迷子になる、取引先の職員を認識できず初対面のように振る舞うなど、日常生活で様々な支障が出ます。

アルコール性認知症の特徴・症状3:理解・判断力の障害

物事を正しく理解したり、状況に応じて適切に判断したりする能力も低下します。

例えば、複数のことを同時処理できなくなる、新しい場面に出くわすと混乱する、抽象的な表現を現実と結びつけるのが困難になるなどの症状が現れます。

アルコール性認知症の特徴・症状4:アルコール依存症に似た症状

歩行がおぼつかなくなる、意欲が著しく低下する、暴言暴力など攻撃性が高まる、幻覚、反社会的行動をいとわなくなるなど、アルコール依存症の人と同じような症状も現れます。

アルコール性認知症の治療

アルコール性認知症の人には、どのような関わりが必要になるでしょうか。

早期発見・早期治療

他の病気と同じで、アルコール性認知症も早期発見と早期治療が何より重要です。

アルコール性認知症は治療できる認知症の一つで、アルツハイマー型認知症など進行性かつ根治法が見つかっていない認知症を合併する前であれば、適切な治療を受けることで症状を改善させられる可能性があります。

精神科、心療内科、神経科、神経内科など認知症を扱う病院はたくさんありますが、これらの病院を受診することに抵抗のある人が多いものです。

また、初診時には医師が本人の情報を全く持ち合わせておらず、本人の生活や症状の聞き取りなどに時間を要し、診断に時間がかかります。

そのため、まずはかかりつけの病院へ行って主治医に相談し、必要に応じて他の病院や専門病院を紹介してもらうことが大切です。

アルコールを断つ

他の認知症を合併していない場合、アルコールを断つことで症状が改善することがあります。

ただし、年齢、脳の萎縮、脳血管障害の程度によっては、適切な治療を受けても症状が改善しない可能性もあります。

特に、大量飲酒機関が長期間にわたり、脳が回復の見込めない程度に委縮していると、症状の改善は困難です。

生活習慣の改善

アルコール性認知症の予防や、症状改善後の再発防止のためには、アルコールの大量摂取を控え、食生活や適度な運動など生活習慣を改めることが大切です。

アルコールの大量摂取が日課になっている状態から自力で抜け出すのは困難なので、家族がサポートし、医師とも相談を重ねながら対応する必要があります。

アルコールによる認知症の症状が軽いうちであれば、できるだけ本人の能力や希望を考慮したサポートを心がけましょう。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
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