離婚の弁護士費用の相場!裁判離婚と調停離婚の実際の費用が一目で分かるリストを公開

離婚問題を弁護士に依頼する場合にトラブルになりやすいのが、弁護士費用です。

「離婚 弁護士費用 相場」で検索すると、弁護士または弁護士事務所のウェブサイトや弁護士斡旋で利益を得ているサイトが上位表示されます。

しかし、こうしたサイトに記載されている弁護士費用の相場を鵜呑みにして弁護士に依頼するのは非常に危険です。

なぜなら、これらのサイトに書かれた相場は「集客用の費用」で、実際にかかる弁護士費用とは大きくかけ離れているからです。

簡単に言えば、表示されているのは「最低限、この程度の費用はかかります」という費用なのです。

子供の親権や養育費、財産分与や慰謝料などのお金の問題まで解決して離婚するには、表示金額の2~3倍は費用がかかるのが一般的です。

また、プロスポーツ選手や有名人などでない限り、離婚時の財産分与や慰謝料で得られる金額は多くて数百万円程度なので、弁護士費用の方が高くなり、離婚後に弁護士費用の返済に追われて生活が困窮するケースが後を絶ちません。

離婚紛争で弁護士を雇うか否かは個人の判断ですが、弁護士を雇ったことを離婚後に後悔しないよう、弁護士費用について正しい知識を持っておきましょう。

この記事では、離婚問題を弁護士に依頼したときにかかる費用の相場について、離婚調停と離婚裁判に分けて解説します。

弁護士費用は調停と裁判で別料金

離婚紛争で弁護士を依頼する場合に大前提として知っておくべきなのが、「弁護士費用は調停と裁判で別」ということです。

離婚したいと思ったら、まずは夫婦間で離婚について話し合い、それが困難な場合は離婚調停で夫婦間の合意形成を目指し、調停でも解決できない場合に離婚裁判を起こすというのが一般的な流れです。

こうした流れが社会的認識されているので、離婚の調停と裁判が一連の手続きだと思われがちですが、家庭裁判所の手続き上は別の手続きです。

離婚調停(夫婦関係調整(離婚))一般調停事件
離婚裁判(離婚訴訟)人事訴訟事件

離婚調停が不成立で終了すると、家庭裁判所の手続きは一旦終了します。

裁判で争ってでも離婚したい場合、改めて管轄の家庭裁判所に訴状を提出して離婚裁判を起こさなければならないのです。

弁護士費用は調停と裁判で別料金

弁護士への依頼は、原則として、事件単位で行うことになります。

したがって、調停と裁判の両方で弁護士を雇う場合、各手続きで弁護士費用が発生します。

調停と離婚で一括料金を設定している弁護士事務所もありますが、例外です。

調停と裁判で別の弁護士を雇う場合

調停と裁判で別の弁護士を雇う場合、各手続について個別に弁護士費用が発生します。

雇われた弁護士にとっては、どの段階で依頼されても新規顧客なので当然なのですが、依頼者からすると一連の手続きなので、「どうして個別に費用がかかるの」と思う人もいるようです。

調停と裁判で同じ弁護士を雇う場合

調停と裁判で同じ弁護士を雇う場合も、原則として、各手続について全ての弁護士費用が発生します。

弁護士事務所の方針により裁判の着手金が無料になることはありますが、すでに書いたとおり例外です。

離婚条件によっても弁護士費用が変動する

弁護士費用のうち成功報酬は、親権が得られたかどうか、金銭請求(養育費、財産分与、慰謝料など)で得られた金額によって弁護士に支払う金額が変動します。

ネット上の広告には「離婚のみ請求した場合の料金」が掲載されていることが多く、また、弁護士に相談しても同じ説明をされる可能性があるので、注意してください。

離婚調停の弁護士費用と相場と種類

弁護士費用には、相談費用、着手金、実費、日当、報酬金の5種類(私の所属事務所を含め多くの事務所がこのシステム)があります。

離婚調停を弁護士に依頼する場合にかかる費用の種類と相場を一覧表にまとめておきました。

弁護士費用の種類相場
相談費用5,000~1万円/30分
着手金20~50万円
実費10万円~
日当
  • 1万円/1時間
  • 5万円/半日
  • 10万円/1日
報酬金
  • 基本報酬:20~50万円

【離婚裁判の場合】

基本報酬に加えて

  • 親権:10~30万円
  • 養育費:1年間の養育費総額の10~20%
  • 財産分与:得た金額の10~20%
  • 慰謝料:得た金額の10~20%

相談費用が30分5,000円というのは知られていますが、その他の費用の高さに驚かれたのではないでしょうか。

相談費用の相場と内容

相談費用とは、弁護士を雇う前に、離婚について相談するためにかかる費用です。

通常は、弁護士事務所を訪問して離婚について弁護士に相談した上で、依頼するか否かを決めますが、相談だけでも30分につき5000~1万円という費用がかかります。

離婚紛争は、夫婦不和の原因から離婚条件まで争点が多い上、話すうちに相手への怒りの感情が湧いて話が逸れることも珍しくありません。

そのため、事前に相談する内容を絞っておかないと、相談時間が長引いたり、2回、3回と相談したりすることになり、相談費用だけで相当な金額がかかってしまいます。

相談費用が無料の事務所は要注意

初回の相談費用を無料にしている弁護士事務所も見かけるようになってきました。

「無料で相談できるなんてラッキー」と思うかもしれませんが、タダほど怖いものはありません。

よほどの大手でない限り「無料にしないと集客できない」事務所である可能性が高く、無料相談を経て依頼した結果、希望した内容が何も叶わず離婚する羽目になるリスクがあります。

相談だけして終わろうと思っているかもしれませんが、無料相談を実施している事務所ほど、しつこく勧誘を繰り返すケースが目立ちます。

相談するかどうかは個人の判断ですが、くれぐれも慎重に検討してください。

着手金の相場と内容

着手金とは、弁護士に依頼した場合にまず発生する、依頼した仕事を遂行させるための費用です。

20~50万円が一般的な相場ですが、依頼内容や事務所の方針などによって大きく異なります。

原則として、依頼した時点で支払わなくてはならず、一度支払うと返還されることはありません。

依頼した直後に協議離婚できることになって依頼をキャンセルするなど、弁護士が具体的な仕事に着手していなかったとしても、支払った後は返還されません。

また、希望した条件で離婚できなかったとしても、弁護士が仕事をしたことに変わりはないので、戻ってきません。

裁判離婚の場合

離婚裁判で弁護士を依頼する場合、金銭請求の額に応じて着手金を請求されることがあります。

例えば、財産請求額が300万円未満なら請求額の8%、請求額が300万円以上なら請求額の5%というように、費用が設定されていることがあるのです。

実費の相場と内容

実費とは、弁護士が依頼者のためにした手続きで実際にかかった費用のことです。

離婚調停申立てや訴訟の提起に必要な収入印紙や郵便切手、戸籍謄本や住民票の取得費用、記録の謄写(コピー)費用、交通費など、依頼内容を実現するために実際にかかった費用を請求されます。

依頼をした時点で着手金と一緒に10万円程度を支払い、不足したら追加で支払うというのが一般的です。

ただし、10万円以上請求されることもあるので、依頼時に確認しておくのが無難でしょう。

実費のごまかしに注意

稀ではありますが、契約終了後に余った実費が返金されなかったり、返金されても領収書が示されなかったりするケースがあります。

弁護士による不正は、報道される機会が少なく一般的にはあまり知られていませんが、成年後見人や財産管理人など他人の財産を預かる仕事に就いた弁護士を中心によく起こっています。

弁護士も人であり、高い職業倫理を植え付けられても、金に目がくらんで不正に及ぶ人も一定数いるのです。

したがって、依頼した弁護士を信用しすぎないことが大切です。

弁護士による不正や不正まがいの行動を予防するには、依頼前に実費の用途を事前申告するよう約束させる方法が有効です。

弁護士が難色を示すようなら、依頼するかどうか再検討した方が良いでしょう。

日当の相場と内容

日当とは、弁護士を時間的に拘束した場合に発生する費用です。

弁護士を調停期日や裁判期日に出席させた、遠方に出張させたなど、拘束時間に応じて日当を支払わなければなりません。

弁護士の日当は1日で10万円、半日で5万円、時間単位なら1時間につき1万円が相場です。

日当と聞いて、パートやアルバイトの時給や肉体労働の日給をイメージする人は多いですが、桁が違います。

注意したいのは、手続きが進まなくても、弁護士を働かせたら日当を支払わなければならないということです。

例えば、離婚調停では、調停期日に弁護士だけを出席させたが相手方が不出頭だったということがよくあります。

この場合、調停手続きは何も進まず、次回期日が調整されるだけですが、弁護士の拘束時間に応じて日当を支払わなければなりません。

また、遠方の家庭裁判所で行われる裁判期日に弁護士を出張させたが、台風の影響で電車が止まって期日が中止されたという場合でも、拘束時間に応じて日当が発生します。

成功報酬金の相場と内容

成功報酬金とは、離婚紛争が解決した場合に支払う費用です。

一般的な相場は20~50万円ですが、100万円以上を請求する弁護士もいます。

原則として、調停が成立した場合に成功報酬金を支払います。

しかし、必ずしも依頼人が望んだかたちで調停や裁判が終了するとは限りません。

例えば、弁護士に依頼する時点では相当額の財産分与や慰謝料を請求していたのに、離婚紛争の解決のために請求を諦めて調停を成立させることがあります。

この場合、依頼人の希望に沿った解決とは言えませんが、調停は成立で終了しているので、弁護士からは成功報酬金を請求されます。

たとえ、弁護士から「あなたが譲歩しないと解決できないよ」と言われて譲歩したとしても、調停成立後は「私は助言しただけで、譲歩すると決めたのはあなたでしょ」と言われ、成功報酬金の支払いを求められます。

弁護士費用の支払いに関しては、依頼人と弁護士の間で紛争が起きやすいものですが、特に成功報酬金の支払いに関するトラブルは頻発しています。

したがって、依頼前に「成功報奨金を支払う条件」を弁護士と決めておくことが重要になります。

離婚裁判では得た金額によって支払金額が変動する

離婚裁判で金銭請求をした場合、裁判の結果として得た金銭の額に応じて成功報酬金が変動します。

一般的な相場は、養育費が1年間の養育費総額の10~20%、財産分与が得た金額の10~20%、慰謝料が得た金額の10~20%程度です。

なお、弁護士によっては離婚調停でも変動制を採用している場合があるので、事前確認は必須です。

離婚調停や離婚訴訟で弁護士に依頼した場合にかかる費用

弁護士に依頼して離婚した場合の費用について、目安となる金額を確認しておきます。

離婚調停で弁護士を雇って調停が成立した場合

まず、離婚調停で弁護士を雇い、調停が成立して離婚が成立した場合です。

弁護士に依頼した場合の金額だけを提示しても実感がわかない可能性があるので、弁護士を雇わず離婚調停を行った場合にかかる金額も示しておきます。

依頼しなかった場合依頼した場合
  • 申立て費用:0円
  • 収入印紙代:1,200円
  • 郵便切手代:500円
  • 戸籍謄本取得費用:450円
  • 住民票取得費用:300円
  • 相談費用:5,000円
  • 着手金:30万円
  • 実費:10万円
  • 日当:15万円(5期日に出席)
  • 成功報酬金:40万円(基本20万円+親権10万円+金銭請求10万円)
合計:2,450円合計95万5,000円
差額:95万2,550円(95万5,000円-2,450円)

離婚調停のみの申立てで、相談費用、着手金、実費、日当、成功報酬金はいずれも一般的な金額の範囲内で仮定しています。

成功報酬のうち金銭請求については抑えめの金額にしているので、最低限このくらいの費用はかかると考えてください。

離婚調停で弁護士を雇い、調停不成立後に引き続き弁護士を雇って離婚裁判を起こした場合

離婚調停時から弁護士を雇ったものの調停が不成立で終了し、同じ弁護士を雇ったまま離婚裁判を起こした場合です。

調停のみ調停+裁判
  • 相談費用:5,000円
  • 着手金:30万円
  • 実費:10万円
  • 日当:15万円(5期日に出席)
  • 成功報酬金:40万円(基本20万円+親権10万円+金銭請求10万円)
【調停時】

  • 相談費用:5,000円
  • 着手金:30万円
  • 実費:10万円
  • 日当:15万円(5期日に出席)

※不成立のため成功報酬金はなし

【裁判時】

  • 着手金:30万円
  • 実費:10万円
  • 日当:30万円(10期日に出席)
  • 成功報酬金:60万円(基本30万円+親権10万円+金銭請求20万円)
合計:95万5,000円 合計:185万円
差額:90万5,000円(185万円-95万5,000円)

離婚裁判のみ弁護士に依頼した場合

離婚調停は自力で手続をして臨んだものの不成立で終了し、弁護士に依頼して離婚裁判を起こした場合です。

自力で行った調停費用も含めて試算しています。

調停(自力)+裁判(弁護士あり)
【調停時】

  • 申立て費用:0円
  • 収入印紙代:1,200円
  • 郵便切手代:500円
  • 戸籍謄本取得費用:450円
  • 住民票取得費用:300円

【裁判時】

  • 着手金:30万円
  • 実費:10万円
  • 日当:30万円(10期日に出席)
  • 成功報酬金:60万円(基本30万円+親権10万円+金銭請求20万円)
合計:130万2,450円
これでも良心的な方

上に挙げた弁護士費用を見て、「高い」と思ったでしょう。

しかし、これでも良心的な方です。

実際に弁護士に相談して費用を確認すると分かりますが、調停+裁判で200万円を超えることも珍しくはありません。

大手の弁護士事務所は、サイトや広告に驚くほど安い費用を表示していますが、先ほど説明したとおり最低限の費用です。

実際に希望通りの条件で離婚しようと思うと、表示された費用の2~3倍は軽くかかります。

不適切な料金表示で業務停止を食らった大手の弁護士事務所がありますが、それくらいグレーなことを資金力にものを言わせて平気でやっているのです。

最近、某弁護士事務所の料金体系を「雪だるま方式」とか「数え役満方式」と揶揄する投稿がありましたが、残念ながら、まさにその通りの状況になっています。

弁護士費用を支払う時期

弁護士費用を支払う時期は、費用の種類によって3つに分類することができます。

弁護士費用の種類支払時期
相談費用相談終了後
着手金、実費(日当)依頼契約時
実費、日当、成功報酬金契約終了後

相談費用については、相談修了後にその都度支払うのが原則です。

着手金と当面の実費は、弁護士に依頼する契約をした時点で支払います。

着手金が30万円、実費が10万円だとすると、合計40万円は依頼時に準備しておかなくてはなりません。

契約が終了した後は、成功報酬金に加え、実費の不足分や弁護士の日当を支払うことになります。

契約終了後に支払う金額は多額であるため、分割で支払うのが一般的です。

法テラスの弁護士費用立て替え制度に要注意

法テラスとは、国民が抱える法律問題の相談を受けつけ、制度説明、関係機関紹介、弁護士費用の立替えなどを行う機関です。

法テラスは、日本司法支援センターの愛称です。

全国各地に事務所が設置され、主に以下の業務を行っています。

法テラスの主な業務
  • 法律による紛争解決制度や法律職の仕事に関する情報提供
  • 民事法律扶助(無料法律相談や弁護士などの費用の立て替えなど)
  • 司法過疎地域で弁護士などに法律事務を実施させる
  • 国選弁護人の指名、国選付添人や国選被害者参加弁護士の選定
  • 被害者配慮制度の援助など

自治体の無料法律相談で弁護士を雇う費用がないことを相談すると、法テラスの民事法律扶助(弁護士費用の立て替え)の利用を勧められることがあります。

また、冒頭に書いた弁護士などが作成したサイトにも弁護士費用の立て替えが利用できると記載されています。

確かに、資力などの要件を満たせば、法テラスの弁護士費用の立て替え制度を利用することができますし、法テラスに相談しても立て替え制度について情報提供されるでしょう。

しかし、あくまで弁護士費用の「立替え」であり、費用を肩代わりしてくれるわけではありません。

個人で依頼するよりも報酬基準が安く抑えられることが多いですが、それでも決して安いとは言えず、少なくとも数十万円はかかります。

離婚後は経済的に困窮する家庭が多いところ、分割とはいえ、高額な弁護士費用を何年間も支払い続けなければならないのです。

離婚後に安定した収入が得られる見込みがあるなら利用を検討する価値はありますが、弁護士などに勧められたからといって安易に利用すると、弁護士費用の返済のせいで離婚後の生活が立ち行かなくなるおそれがあります。

なお、立替えというと聞こえは良いですが、「借金をしてでも顧客になる人が増える」という弁護士の食い扶持を確保するための側面もあります。

立替え制度を利用してから後悔しても、誰も助けてくれません。

個人が判断することではありますが、弁護士を雇うか否かと同じく、慎重に検討してください。

まとめ

弁護士費用の相場や実際にかかる費用について、実務経験や同業者の話に基づいて解説しました。

離婚問題を弁護士に依頼する場合の費用は、ネットの情報と実際に支払う金額の間に大きな乖離があります。

弁護士が商売である以上、依頼者を増やすために「客寄せ用の料金」を表示することはやむを得ないのかもしれませんが、それにしても最近は目に余るものが増えています。

弁護士の斡旋で稼ぐサイトも増えてきており、今後はますます利用者が勘違いしてしまうような料金表示が増えていくでしょう。

こうした状況で重要なのは、依頼者本人が弁護士の表示する料金を鵜呑みにせず、正しい情報を収集して判断することです。

例えば、家電製品を買うときは、予算を決めたり、口コミ評判を確認したり、最安値のショップを探したりするでしょう。

弁護士に依頼するかどうか決めるときも、きちんと情報を収集し、予算を決めた上で依頼することが大切です。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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