認知症による暴言や暴力、感情の起伏が激しくなる原因と対応は?

認知症 暴言 暴力

認知症の症状が進行すると、暴言を吐く、暴力を振るうなどの症状が現れることがあります。

暴言や暴力などは、認知症の中核症状に本人の性格や環境などが絡み合って生じる周辺症状の一つです。

それまで温厚で優しかった人が、突然暴言を吐いたり、暴力を振るったりするようになると、家族は混乱してしまいます。

また、対人関係を悪化させ、トラブルの原因になるなど日常生活に支障が出る上、介助の負担も大きくなります。

この記事では、認知症による暴言、暴力、感情の起伏が激しくなる原因と対応について解説します。

暴言、暴力、感情の起伏が激しくなる原因

認知症によって暴言や暴力などの症状が起こる主な原因は、以下のとおりです。

  • 脳の機能低下
  • 不安や焦り
  • 表現力の低下

脳の機能低下

誰でも不満や怒りの感情を抱くことはありますが、脳の機能を維持されているうちは、感情を態度や言動に出さずに抑えることができます。

しかし、認知症を発症して脳機能が低下すると感情のコントロールが難しくなり、不満や怒りを抑えられずストレートに表現してしまうようになります。

不安や焦り

認知症の人は、症状に無自覚だと勘違いされがちですが、実は、一番早く症状に気づくのは発症した本人であることが多いものです。

以前はできたことができなくなる、周りの人と話がかみ合わなくなるなど自分や周囲の変化を敏感に察知して「何となくおかしい。」と感じ、不安や焦りを募らせるようになります。

不安や焦りを抱えた状態では、周囲の刺激を否定的に受け止めたり、すぐ感情的になったりしやすく、暴言や暴力に及んでしまうことがあります。

表現力の低下

怒り、不満、不安、焦りなどを感じていても、適切な方法で発散することができれば、暴言や暴力に至ることはあまりありません。

しかし、認知症を発症すると、思うように気持ちや感情を言葉で表現する力が低下し、愚痴を言ったり、不満を伝えたりすることが難しくなります。

そのため、不快な感情を鬱積させて、暴言や暴力など不適切な方法で表現してしまうのです。

暴言や暴力が出やすい認知症

認知症は原因疾患によっていくつもの種類に分類されますが、暴言や暴力などの症状が出やすいのは前頭側頭型認知症とレビー小体型認知症です。

前頭側頭型認知症では、意思や思考、感情のコントロールなどを司る前頭葉が障害されるため、理性的な行動、社会的なマナー、礼儀正しさなどが失われます。

また、共感性や他人に同情する気持ちが乏しくなり、他人の目線や評価などを気にしなくなります。

その結果、犯罪や性的な行動に加え、暴言や暴力など他人への攻撃的な言動が増えていきます。

発症前は理性的で温厚だった人が、突然、感情の起伏が激しくなり、攻撃的な行動が見られるようになるのが特徴です。

レビー小体型認知症では、幻視を中心とする幻覚やそれに伴う妄想が見られます。

そして、幻覚を振り払うためや、妄想に取りつかれて他人に攻撃的な言動を繰り返すことがあります。

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認知症による暴言や暴力が出やすい状況

認知症による暴言や暴力が出やすい状況は、以下のとおりです。

  • 否定された
  • 自尊心を傷つけられた
  • 思い通りにならない

否定された

物盗られ妄想や幻覚・妄想に基づく言動など、周囲の人から見ると不可解な言動でも、本人にとっては現実です。

そのため、本人の認識を無視して注意したり行動の是正を求めたりすると、本人は、「否定された」と感じて不満や怒りを募らせ、攻撃的な行動に出やすくなってしまいます。

自尊心を傷つけられた

認知症を発症しても、それまでの生活の中で培われた自尊心は残っています。

そのため入浴や排泄など望まない介助をされて自尊心が傷つけられると、攻撃的な行動に出やすくなります。

家庭内でも、車の運転や一人での外出などを家族から止められて「年寄り扱いするな。」と怒り出し、家族と口論になることも多いものです。

家族としては本人のことを考えて声をかけていても、本人は自尊心を傷つけられたと感じてしまうことがあるのです。

思い通りにならない

認知症を発症すると、気持ちや感情をうまく表現できなくなります。

周囲の人が自分の気持ちや感情を察してくれず、望まないことをしたり、望んだことをしてくれないと、思い通りにならない不満を攻撃的な行動で表現しやすくなります。

「思い通りにならない」には、他人が自分の思うような行動をしてくれないことだけでなく、自分が思うように意思疎通や行動ができないことも含まれています。

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認知症による暴言や暴力への対応

認知症の人の暴言や暴力は、本人にとっては明確な理由がありますが、周囲の人には分かりづらいものです。

また、暴言や暴力に及ぶくらい本人の感情が高ぶっている状態では、周囲の人が何をしても火に油を注いでしまうので、暴言や暴力が始まったら距離をとって身の安全を確保することが大切です。

力で無理やり抑えつけたり、叱りつけたりすると、より一層怒り出して暴言や暴力もひどくなる傾向があります。

本人が落ち着いたら近づいて声をかけ、話をよく聞いてあげましょう。

この時、できる限り笑顔と穏やかな口調で話しかけ、本人の言い分を共感的に聞いてあげることで、本人の気持ちも落ち着いていくものです。

認知症による暴言や暴力を予防するための対応

認知症による暴言や暴力は、周囲の人の関わり方次第で改善することがあります。

  • 関わり方を変える
  • 関わる人を変える
  • 体調を確認する
  • 危険な物を片付ける
  • 医師に相談する

関わり方を変える

本人から聞き取った理由や事情と、本人が怒って暴言や暴力に及んだ状況を踏まえて原因を探り、今後の対応を考えます。

本人が怒り出す原因の多くは、周囲の人の関わり方です。

行動を制限していなかったか、強制していなかったか、予告なしに関わっていなかったか、本人ができることを代わってやっていなかったかなど関わり方を見直し、必要に応じて関わり方を変えてみましょう。

ポイントは、本人の気持ちや意見をできるだけ尊重することと、できることは本人にやってもらうことです。

また、同性であれば適度なボディタッチも本人の気持ちを落ち着けるために効果があります。

関わる人を変える

認知症の人が暴言や暴力に及ぶ対象は、家族であることが多いものです。

身近な分だけ不満や怒りも感じやすく、それを行動に移しやすいところがあるのです。

そのため、ヘルパーに介護を任せる、デイサービスを利用させるなど家族以外の人に関わってもらうと、症状が落ち着くことがあります。

ただし、関わる人が頻繁に代わるとかえって混乱してしまうので、注意が必要です。

体調を確認する

体調不良が原因で気分が悪くなり、暴言や暴力に及んでいることがあります。

発熱、下痢、便秘などの有無を確認し、体調不良の場合は適切な治療を受けさせてあげましょう。

危険な物を片付ける

直接的な殴る蹴るだけでなく、物を投げつけることもあります。

認知症の人が暴力を振るうようになったら、当たると危険な物や割れ物などは近くに置かないようにしましょう。

コップやお皿をプラスチック製にする、ティッシュ箱にカバーをかけておく(角を隠す)など、身の回りの日用品も危険が少なくなるよう工夫する必要があります。

医師に相談する

以上の対応をしても症状が改善しない場合は、医師に相談します。

放っておくと、症状が悪化してケガや事故に発展することもあるため、早めに相談することが大切です。

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