家事調停委員会とは?家事調停委員会の構成と役割は?

家事調停委員会

離婚調停は、原則として、家事調停委員会が運営します。

「離婚調停は調停委員会次第で決まる。」とも言われるように、調停委員会によって調停の進行は大きく変わります。

そのため、離婚調停に臨む前に、調停委員会という組織や役割の概要程度は理解しておくことが大切です。

家事調停委員会とは

調停委員会とは、離婚調停を含む家事調停の運営のために、原則として、裁判官1人と調停委員2人で構成される家庭裁判所の組織です。

家事調停手続は、家族や親族などの紛争解決のために、裁判所が仲介して当事者間の合意を成立させる手続です。

家事調停委員会は、裁判官または家事調停官と家事調停委員から構成され、当事者双方の話し合いを踏まえた合意をあっせんすることにより、紛争解決を行います。

当事者の一方を勝たせる手続きではなく、当事者間の合意によって紛争解決を目指すという家事調停の性質上、家事調停委員会は、当事者とともに個別の紛争に即した解決策を探るために、当事者の主張だけでなく気持ちや感情を聴き取って調停を進行させなければなりません。

家事調停委員会の構成

家事調停委員会は、原則として、裁判官1人と調停委員2人で構成されます。

調停委員会は、裁判官1人及び家事調停委員2人以上で組織する。

(家事事件手続法第248条第1項)

民事調停では調停委員の性別に規定はありませんが、家事調停の場合、原則として、1つの事件につき男女各1人の調停委員が担当します。

実務上は、家事調停委員としての経験年数、担当件数、力量、性格、職業などを考慮し、裁判所職員が男女のペアを決めているようです。

条分上は「家事調停委員2人以上で組織する」となっていますが、1つの事件を2人以上の調停委員が担当するのは、退職や体調不良による交代など特別な事情がある場合のみで、調停期日に3人の調停委員が同席することはありません。

家事調停委員会の裁判官

家事調停委員会の裁判官とは、家事事件を担当する裁判官です。

都市部の大きな家庭裁判所の場合、家事事件または調停事件専門の裁判官が常勤していますが、地方や支部の場合、刑事事件、民事事件、少年事件などと兼務していたり、決まった曜日だけてん補で家事調停を担当したりすることもあります。

また、裁判官ではなく家事調停官が家事調停を担当することもあります。

家事調停官とは

家事調停官とは、5年以上の実務経験のある弁護士が、弁護士の身分を有したまま、週1日だけ家庭裁判所に登庁し、裁判官と同等の権限を持って家事調停手続を主催する制度です。

家事調停官は、弁護士で五年以上その職にあったもののうちから、最高裁判所が任命する。

(家事事件手続法第250条第1項)

最高裁判所によって任命される非常勤職員であり、2年は任期(再任可能)です。

司法制度改革によって新設された制度で、基本的には裁判官と同じ権限を持って家事調停を行っており、調停期日において違いが気になることはありません。

ただし、週1回しか登庁しないため、期日が特定の曜日にしか入らない、期日直前に提出した資料に目を通していないなどのデメリットは存在します。

家事調停委員会の調停委員(家事調停委員)

家事調停委員とは、家事調停事件を行う非常勤の裁判所職員(国家公務員)です。

原則として、弁護士資格を有する者、家事紛争の解決に役立つ専門的知識経験を有する者(司法書士、医師、臨床心理士など)、社会生活上で豊富な知識経験を有する者(地域貢献度の高い人など)のうち、40歳以上70歳未満の人が選任されます。

家事調停委員の報酬は、家事調停1件(半日)あたり8,650円、1日の上限額は1万7,250円と定められています。

非常勤の裁判所職員という立場上、その立場を利用した選挙活動、調停当事者から職務上の利益供与を受けること、調停中などに知り得た情報を外部に漏らすことなどが制限されます。

ただし、調停委員をしている時間以外は民間人であり、調停委員の身分を有したまま民間企業に勤務することは妨げられませんし、自営業を営むことも問題ありません。

また、調停委員の職務を離れていれば政治的行為も認められています。

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単独調停

家事調停は、裁判官が単独で行う場合もあります。

  1. 家庭裁判所は、調停委員会で調停を行う。ただし、家庭裁判所が相当と認めるときは、裁判官のみで行うことができる。
  2. 家庭裁判所は、当事者の申立てがあるときは、前項ただし書の規定にかかわらず、調停委員会で調停を行わなければならない。

(家事事件手続法第247条)

家事事件手続法第247条では、家庭裁判所が相当と認める場合には、裁判官単独による調停を認めています。

ただし、第2条で当事者の申立てがあれば調停委員会を組織することとされています。

なお、調停委員のみで家事調停を運営することは認められません。

家事調停委員会の役割

家事調停委員会が取り扱う家事事件の当事者は家族や親族であり、紛争の背景には気持ちや感情のもつれがあります。

そのため、法律的な判断を下して事件が終結しても、気持ちや感情のもつれが解けない限り真の意味での紛争は続き、家族と親族の関係性はより一層悪化してしまいます。

そのため、家事調停委員会には、家庭裁判所の組織として法的判断を示すだけでなく、当事者の気持ちや感情のもつれをほどき、少なくとも申立て前よりも紛争が悪化しないように働きかけることが求められています。

通常、これらの機能は司法的機能と後見的機能に分けて説明されます。

司法的機能

家事調停は家庭裁判所の手続きであり、家事調停委員会は家事調停を運営するために組織される家庭裁判所の組織です。

したがって、裁判所という立場から法的判断を示すことが求められます。

ここでいう「法的判断」とは、通常の裁判のように裁判所の判断を示すのではなく、調停の中で当事者に法的な助言や教示を行うということです。

また、法律に詳しくない当事者が、違法な内容の合意をしようとした場合には、家事調停委員会が法律の範囲内で取り決めるよう軌道修正を掛けることになりますが、これも重要な司法的機能の一つです。

ただし、法的知識が乏しく、司法的機能を十分に果たせていない調停委員が多いのが現状であり、裁判官の同席を求めたり、期日間に裁判所書記官に問い合わせたりする対応が必要になることもあります。

後見的機能

家事調停の当事者は、紛争の背景に気持ちや感情のもつれを抱えているため、表面化した紛争だけを解決しても、互いにわだかまりが残り、調停終了後に紛争が続いたり、調停前よりも関係が悪化したりしかねません。

家事調停委員は、当事者の気持ちや感情を引き出し、それを踏まえた合意形成の道を探り、当事者が互いにある程度は納得できる合意を形成させることに努める必要があります。

そのためには、当事者同士が主張をぶつけ合うのを静観するのではなく、当事者の権利や義務、子どもの福祉などに配慮しながら、調停委員会としての意見や案を提示することが求められます。

ただし、実際の家事調停では、調停委員の意見と調停委員会としての意見が混同して伝えられたり、調停委員間で意見が割れていたりするケースが散見されます。

そのため、調停委員から調停案や意見を提示された場合、調停委員個人の意見なのか、裁判官を含めた調停委員会としての意見なのかを確認しなければなりません。

そして、調停委員が個人的な意見を述べている場合は、調停にとって何の意味もも持たないため即刻中断させ、調停委員会としての意見なり調停案なりを示すよう求めましょう。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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