離婚調停は欠席できる?欠席によるデメリットは?

離婚調停 欠席
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離婚調停は、調停委員という第三者を交えて、夫婦が離婚やそれに伴う諸条件について話し合う手続きです。

家庭裁判所という公的機関の手続ですが、夫婦の合意を前提としており、裁判所が判断を判断を下したり強制したりすることはないため、夫婦が合意しないとどのような内容でも調停を成立させることはできません。

では、夫婦の一方が欠席を続けると調停はどうなるのか、また、欠席を続けることによるデメリットはあるのでしょうか。

離婚調停は欠席できる

結論から言うと、離婚調停は欠席することができます。

原則として、事前連絡をして欠席することも、無断で欠席することも可能です。

離婚調停を欠席するパターン

離婚調停が申し立てられると、家庭裁判所は、担当裁判官と調停委員を指定して調停期日を決め、調停期日通知書の入った封書を夫婦に発送します。

通常、申立人宛ての封書には調停期日通知書のみが封入されますが、相手方宛ての封書には以下の書面も同封されます。

  • 調停期日通知書:事件番号、調停期日(日時と場所)、担当裁判所書記官名などが記載された書面
  • 申立書のコピー:申立人が作成した申立ての動機や理由が書かれた書面のコピー
  • 進行に関する照会回答書:申立書の内容や調停の進行に関する相手方の意見を記載する書面
  • 離婚調停の説明文書:調停制度の概要が記載された文書
  • 家庭裁判所の地図:調停が行われる家庭裁判所の周辺地図

配偶者に離婚調停を申し立てられた(相手方になった)場合、調停期日通知書などが届いた後は、申立書のコピーを見て申立人の主張を把握し、進行に関する照会回答書を作成します。

調停期日通知書が届いた段階で欠席を決めた場合

調停期日通知書等を見た段階で欠席することにした場合、4つの方法があります。

  • 進行に関する照会回答書に欠席する旨を記載する
  • 通知書に記載された担当裁判所書記官宛てに欠席の連絡をする
  • 申立人に調停を欠席することを伝える
  • 無断欠席することにする

進行に関する照会回答書の返送後から調停期日までに欠席を決めた場合

調停期日通知書が届いた時点では出席するつもりで進行に関する照会回答書を返送したが、その後、心変わりしたり、急な予定が入ったりして欠席することにした場合、担当裁判所書記官または申立人に欠席の連絡をするか、無断欠席するかを決めることになります。

調停当日に欠席を決めた場合も同じです。

なお、調停には欠席するが自分の主張を家庭裁判所に伝えたい場合、手書きまたはパソコンで「上申書」を作成して郵送または直接持参することができます。

調停期日に出頭した後に欠席を決めた場合

調停期日に出頭した後、今後の期日は欠席すると決めることもあります。

例えば、調停での解決が困難だと感じた場合、調停委員が明らかに申立人の肩を持って過剰な譲歩を求めてきた場合、平日の日中に仕事を休んでまで出頭する価値がないと思った場合などが考えられます。

調停期日後に欠席を決めた場合、担当裁判所書記官または申立人に欠席の連絡をするか、無断欠席するかを決めることになります。

戦略としての欠席

調停を思いどおりに進めるための戦略として、離婚調停の欠席を繰り返す当事者(弁護士に教示された場合も含め)がいます。

通常、申立人は、夫婦の協議ではらちが明かないと考え、離婚紛争を早期解決するために離婚調停を申し立てます。

そのため、申立人を焦らして離婚を諦めさせたり、譲歩を引き出したりするための手段として、欠席が利用されることがあるのです。

また、調停の引き延ばしを目的として調停期日への出頭と欠席を繰り返す相手方もいます。

例えば、離婚したくない場合や、申立人に不利な証拠を集める期間を稼ぎたい場合などに、欠席が利用されることがあります。

離婚調停を欠席するデメリット

離婚調停の欠席には、以下のようなデメリットがあります。

過料に処せられる

家事調停の手続きについて定めた家事事件手続法第258条では、同法第51条の準用し、調停に欠席した場合の制裁を規定しています。

(中略)第51条から第55条までの規定は家事調停の手続の期日について、(中略)準用する。

(家事事件手続法第258条)

これだけでは意味が分からないため、第51条も記載します。

  1. 家庭裁判所は、家事審判の手続の期日に事件の関係人を呼び出すことができる。
  2. 呼出しを受けた事件の関係人は、家事審判の手続の期日に出頭しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
  3. 前項の事件の関係人が正当な理由なく出頭しないときは、家庭裁判所は、5万円以下の過料に処する。

(家事事件手続法第51条)

つまり、事件の関係人(離婚調停では申立人と相手方)が、家庭裁判所からの呼び出しに対して正当な理由なく出頭しなかった場合、5万円以下の過料に処されると規定されているのです。

ただし、実際のところ、離婚調停に欠席した当事者に過料が命じられることはほぼなく、欠席の抑止要因とはなっていません。

出頭勧告を受ける

調停期日の欠席を繰り返すと、裁判官が「出頭勧告」の命令を出すことがあります。

出頭勧告とは、裁判所の手続きに出頭しない当事者に出頭を促す手続きです。

裁判官の命令を受けて出頭勧告を担当するのは、家庭裁判所調査官や裁判所書記官です。

通常は、担当職員が欠席をした当事者に対して「出頭勧告書」を郵送し、調停のメリットを示して次回期日への出頭を促します。

書面が功奏しない場合は、電話や面接による聴取が行われることもあります。

出頭勧告はあくまで「勧告」であり、調停期日への出頭を強制されるものではありませんが、裁判所から書面が届くことで心理的圧力がかかりますし、電話や面接となると時間と手間もかかります。

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申立人の主張を前提とした調停進行になる

調停期日の欠席を繰り返すと、出頭した申立人は、思う存分主張を調停委員に伝えることができますが、欠席した相手方の主張は調停委員に伝わりません。

また、事情の有無に関わらず、家庭裁判所からの呼び出しに応じなかったという事実は、裁判官や調停委員の心証を悪くします。

表面上、欠席を理由として調停期日で不利な取り扱いを受けることはありませんが、「欠席を繰り返す相手方よりも、毎回欠かさず出頭する申立人を応援したい。」、「裁判所の呼び出しに応じないなんて非常識だ。」と思われるおそれがあります。

結果、調停委員会が申立人の主張を前提として調停を進行し、相手方が出頭して主張を述べても十分に聞き入れられなくなりがちです。

婚姻費用分担調停は審判移行する

婚姻費用分担調停は、調停手続と審判手続の両方を利用できる別表第2事件であり、調停が不成立で終了すると、裁判官が判断する審判に自動的に移行します。

そのため、離婚調停と一緒に婚姻費用分担調停が申し立てられている状況で欠席を繰り返すと、離婚調停の進行に関わらず、婚姻費用分担調停が不成立で終了して審判移行し、裁判官に婚姻費用の金額を決定されるおそれがあります。

「婚姻費用の進行に関わらず」というのは、離婚調停が継続していても、不成立で終了しても、裁判所に「婚姻費用について合意の見込みがない」と判断された時点で審判移行するということです。

また、審判期日も欠席を続けると、「主張の機会を与えたのに無視をした。」と見なされて、申立人の主張のみを根拠として婚姻費用の支払額を決定されてしまいます。

離婚訴訟への影響

調停期日を欠席した事実は、離婚訴訟にも影響を及ぼします。

例えば、「裁判所の手続きを軽視する人物であり、親権者としてふさわしくない。」などと、申立人が離婚条件と関連付けて主張することがあります。

調停期日の欠席だけで親権者の適格性を疑われることはありませんが、不利な要因の一つになる可能性は否定できません。

欠席によるデメリットを少なくする方法

離婚調停を欠席するデメリットは、調停中だけでなく離婚訴訟にも及ぶため、離婚に応じるか否かに関わらず、できる限り調停期日には出頭して自分の主張を調停委員に伝えるべきです。

やむを得ず欠席する場合は、調停期日通知書に記載された裁判所職員に電話連絡し、理由も含めて欠席することを伝えることが大切です。

初回調停期日については、家庭裁判所が相手方の事情を踏まえず指定しているため、事情を伝えれば変更してもらえることがあります。

なお、申立人と連絡がつく場合、調停期日に欠席することを申立人に伝える方法もありますが、紛争を悪化させるおそれがありますし、欠席の連絡について申立人が裁判所に伝えない可能性もあるため、避けるべきです。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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