調停の効果・効力は?調停で決まったことを守らないと強制執行?

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家庭裁判所の家事調停で当事者間の合意がまとまると、裁判官が合意の内容を確認した上で、裁判所書記官が調停調書を作成し、調停が成立します。

調停調書は、確定判決や確定審判と同じ効力があり、原則、調停成立後に不服を申し立てることはできません。

また、調停で決まったことが守らない相手には、守らせるための法的な手続をとることができます。

家事調停の種類

家庭裁判所が取り扱う家事調停には3つの種類があります。

  • 別表第二調停事件
  • 特殊調停事件
  • 一般調停事件

別表第二調停事件

別表第二調停とは、家事事件手続法の別表第二に規定されている事件です。

別表第二事件には、婚姻費用分担、子どもの親権者の変更、養育費、面会交流、財産分与、遺産分割などがあります。

別表第二事件は、調停と審判の両方を利用することができますが、当事者の話し合いによる自主的な解決が望ましい内容であるため、まずは、調停手続から始め、調停が成立しなかったときに審判手続に移行することが多くなっています。

最初から審判を申し立てたとしても、家庭裁判所の判断で調停に回される(付調停)ことがあります。

別表第二調停事件が成立したときの効力

当事者間で合意ができ、合意の内容が調停調書に記載されると、調停調書の記載は確定審判と同じ効力をもちます。

特殊調停事件

特殊調停事件とは、人事訴訟事件で解決すべき事項(離婚や離縁の訴えを除く)について、調停を経て審判で判断する事件です。

特殊調停事件には、婚姻の無効・取消し、協議離婚の無効・取消し、嫡出否認、認知、認知の無効・取消しなどがあります。

特殊調停事件では、人事訴訟事件で解決すべき内容について、当事者間に①審判を受ける合意があり、②申立ての原因事実に争いがないときに、家庭裁判所が必要な事実の調査を行い、当事者間の合意が正当と認めたときに合意に相当する審判をします。

調停で当事者間の合意を形成した上で、家庭裁判所が事実の調査を行って審判で判断する2段構えの特殊な手続です。

特殊調停事件が成立したときの効力

当事者間の合意ができると、家庭裁判所が必要な事実の調査を行い、合意が相当と認めたときに、合意に相当する審判を行います。

合意に相当する審判が確定すると、確定判決と同じ効力をもちます。

一般調停事件

一般調停事件とは、家庭に関する紛争等の事件のうち,別表第二調停事件と特殊調停事件を除く事件です。

一般調停事件には、夫婦関係調整(離婚)、夫婦関係調整(円満)、離婚後の紛争などがあります。

一般調停事件が成立したときの効力

当事者間で合意した内容が調停調書に記載されると、調停調書の記載は確定判決と同じ効力をもちます。

調停成立の効力

調停が成立すると、別表第二調停事件は「確定審判と同じ効力」、特殊調停事件と一般調停事件は「確定判決と同じ効力」を持ちます。

法律上、「確定審判と同じ効力」と「確定判決と同じ効力」は異なるものですが、いずれも、調停で決まったことを守らない相手に対して、守らせるための手続を利用できる効力を有しています。

具体的には、以下の手続を利用することにより、調停で決まった義務を履行するよう促したり、強制したりすることができます。

  • 履行勧告
  • 履行命令
  • 強制執行(間接強制・直接強制)

以下、各手続について、詳しい内容を確認していきましょう。

履行勧告

履行勧告とは、家庭裁判所の調停・審判・裁判で決まった内容(債務)を守らない相手に対して、決まったとおりに履行する家庭裁判所が促す手続です。

当事者同士では取り決めの内容を守らない相手に対して、家庭裁判所が勧告することで心理的なプレッシャーを与え、履行することを促すのです。

例えば、離婚調停で決めた養育費が支払われなくなった、子どもと面会する取り決めが果たされなくなったときに、履行勧告を申し出て、家庭裁判所から決まったことを守るよう促してもらうことができます。

調停などをした家庭裁判所の窓口または電話で「履行勧告をしたい。」と伝え、自分と相手の氏名、住所、連絡先、勧告を希望する内容を口頭で伝えるだけで利用することができます。

費用はかからず、申出書や添付資料なども必要ありません。

勧告を受けつけた家庭裁判所は、書面または電話により、履行勧告を行います。

手軽に利用できる反面、あくまで履行を「勧告」する手続なので、相手が履行しないときは、担当者が強制的に履行させることはできず、未履行のまま勧告手続きが終了することになります。

また、相手の住所や連絡先は自力で調べる必要があり、それらが分からないと勧告を受けつけてもらえないことがあります。

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履行命令

履行命令とは、調停・審判・裁判で決まった内容を守らない相手に対して、決まったとおりに履行するよう家庭裁判所が命令する手続です。

履行勧告によっても取り決めを守らないときに、調停などをした家庭裁判所に申し出ることにより、利用することができます。

家庭裁判所の窓口で履行命令を申し出たい旨を伝え、自分と相手の住所、氏名、連絡先、相手に履行させたい取り決めの内容を伝えることで、手続を勧めることができます。

履行勧告と異なり、手数料として500円程度必要になります。

履行命令を申し出ると、家庭裁判所が、履行されていない取り決めの内容や履行期限などを記載した書面を相手に郵送し、期限までに履行されないときは、10万円以下の過料が課されます。

しかし、相手が命令を無視したときに、履行を強制することはできません。

また、過料というのは「履行命令に従わないことに対する制裁」で裁判所に支払われる金銭罰なので、履行命令を申し出た人がもらえるわけではありません。

履行勧告に比べると手間や費用がかかり、強制執行に比べると効果が薄いことから、あまり利用されていないのが現状です。

履行勧告が功を奏さず履行命令を申し出ようとしているのに、家庭裁判所の窓口対応をしている職員からは履行勧告を続けることを勧められることもあります。

強制執行

強制執行とは、家庭裁判所の調停・審判・裁判で決まった内容について、強制的に履行させたり金銭的な制裁を課したりする手続きです。

履行勧告や履行命令を利用しても取り決めが守られないときに、最終手段として利用を検討することになります。

債務の履行の矯正や金銭的制裁など強力な効力を持つため、厳格な手続きが定められており、履行勧告や履行命令よりも手続に時間、手間、費用がかかります。

そのため、弁護士などに依頼せざるを得ないケースもあります。

また、養育費などの金銭の履行を求める場合、支払われる養育費より弁護士費用の方が高くなることもあり、利用については慎重に検討する必要があります。

強制執行には、直接強制と間接強制の2種類があります。

直接強制とは

直接強制とは、調停などで決まった内容について、給料や財産を差し押さえるなどして強制的に履行させる手続です。

例えば、養育費の支払いの取り決めが守られないときに、相手の給料を差し押さえて強制的に支払わせることができます。

間接強制とは

間接強制とは、調停などで決まった取り決めを守らない相手に対して、間接強制金を課して心理的なプレッシャーを与え、支払いを強制する手続です。

例えば、子どもとの面会交流について、「平成○年◯月○日までに、△△と▢□の面会交流を実施しないときは、10万円を支払え。」という間接強制が考えられます。

調停が不成立で終了したとき

特殊調停事件と一般調停事件が不成立になると、何も決まらないまま手続きが終了し、人事訴訟事件を提起しなければなりません。

家庭裁判所が調停に代わる審判で判断することもありますが、当事者から異議が申し立てられると効力を失います。

別表第二調停が不成立になると自動的に審判に移行し、家庭裁判所が審判で判断することになります。

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