調停の取り下げ、成立、不成立、調停をしない措置、当然終了の効果は?

家事調停の終わり方として、調停成立と調停不成立はよく知られていますが、どのようなときに調停成立や調停不成立となるかについてはあまり知られていません。

また、調停の終わり方には、調停成立と不成立以外にも取下げ、調停をしない措置、当事者の死亡による当然終了がある他、調停を経て審判で判断が示されるという終わり方もあります。

家事調停(離婚調停や面会交流調停など)の終わり方

家事調停の始まりは、申立権者が管轄のある家庭裁判所に申し立てを行うことの一択ですが、終わり方はいくつもあります。

終わり方理由
調停成立当事者間で紛争について合意が成立
取下げ調停外で紛争が解決した、調停での解決を諦めたなど
調停不成立当事者間で合意が成立する見込みがない
しない措置当事者の希望が違法であるなど
当然終了当事者の死亡など
合意に相当する審判特殊調停事件
調停に代わる審判裁判所が、当事者の合意に基づいて審判すべきと判断
移送・回付管轄がないなど

まず、申立てのきっかけとなった紛争について当事者間の合意ができた場合、調停は成立というかたちで終了します。

一方で、いくら話し合っても当事者間の合意ができる見込みがない場合、申立人は申し立てを取り下げるか、調停委員会が調停を不成立にすることで調停が終了します。

また、当事者が調停での解決を望む内容が法律や社会正義に反する場合などは、調停委員会が調停をしない措置で調停を終了させることもあります。

紛争の当事者が死亡した場合、調停は当然に終了します。

その他、調停での当事者の合意と家庭裁判所の事実の調査を経て審判が出される合意に相当する審判や、調停の合意内容に基づく調停に代わる審判など、調停を経て審判で終わる手続もあります。

申し立てられた調停事件を事件を他庁や本庁・支部に送る移送や回付の手続も、各家庭裁判所単位で見れば調停手続の終了と言えます。

以下、調停の終わり方について一つひとつ詳しく解説します。

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調停成立

調停成立とは、調停で解決すべき紛争について申立人と相手方の間で合意ができた場合の調停の終わり方です。

調停での協議の中で申立人と相手方の合意ができると、調停委員会(裁判官1人、調停委員男女各1人)が合意内容を確認します。

調停は当事者間の合意に基づく解決を目指す手続きですが、家庭裁判所という司法機関の手続なので、違法な合意でないか調停委員会が確認するのです。

合意内容に問題がなければ、調停委員会と裁判所書記官が調停室に入室して申立人と相手方を調停室に呼び、裁判官が合意内容を読み上げて確認します。

合意内容について申立人と相手方から意義が出なければ、裁判官が調停成立で終了することを告げ、調停成立により事件が終了します。

ただし、家事事件手続法第268条1項では、調停の成立について以下のとおり定められています。

調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、確定判決(別表第2に掲げる事項にあっては、確定した第39条の規定による審判)と同一の効力を有する。

(家事事件手続法第268条1項)

つまり、実務上の成立時期と法律上の成立時期に時間差があるということです。

実務上は、調停成立後すぐに裁判所書記官によって調停調書が作成されることになっています。

調停成立の効力

調停が成立すると、調停調書の記載は確定判決または確定審判と同じ効力が生じます。

つまり、調停調書の内容が履行されない場合、履行勧告や強制執行の手続を利用できるようになります。

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申立ての取下げ

家事調停の申立人は、申立てを取り下げることができます。

家事事件手続法第273条1項では、申立ての取下げについて以下のとおり定められています。

家事調停の申立ては、家事調停事件が終了するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。

(家事事件手続法第273条1項)

申立ての取下げができるのは「家事調停事件が終了するまで」です。

取下げには相手方の同意は必要なく、取下げ制限事由も規定されていません。

したがって、申立人は、家事調停事件が終了するまでなら、原則として、相手方の同意なく、どのタイミングでも取下げを行うことができます。

取下書

取下げは、調停期日に口頭で行うことも認められていますが、原則、取下書を提出することになります。

なお、期日外に電話で取下げを申し出ても認められません。

担当の裁判所書記官に取下げの意向を伝えると、取下書の書式が郵送されるので、必要事項を記入して返送します。

調停の取下げの効果

調停を取り下げると、調停で話し合った内容は何一つ決まることなく手続きが終了します。

成立まであと一歩のところまで辿り着いていたとしても、全て水の泡となります。

なお、離婚調停を取り下げた後に離婚訴訟を提起できるかどうか(調停前置主義の要件を満たすかどうか)は、取下げ理由によって異なります。

離婚調停では解決の見込みがないことを理由に取り下げた場合は要件を満たしますが、期日に一度も出頭しないまま取り下げた場合は要件を満たしません。

ただし、各家庭裁判所によって運用が異なることがあるため、「どのような経緯や理由で取下げをすれば、離婚訴訟を提起することができるか。」について、事前に担当裁判所書記官に確認しておくことが大切です。

調停不成立

調停不成立とは、調停で解決すべき紛争について申立人と相手方の間で合意ができる見込みがない、または、合意できた内容が相当でない場合の調停の終わり方です。

調停期日を重ねても合意に至らず、調整の余地もない場合、調停委員会が調停を不成立として終了させます。

また、申立人と相手方の合意ができたとしても、その内容を調停で取り決めることが相当でないと調停委員が判断した場合も、調停は不成立で終了させられることになります。

調停不成立については、家事事件手続法第272条1項に定められています。

調停委員会は、当事者間に合意(第277条第1項第1号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第284条第1項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。

(家事事件手続法第272条1項)

調停不成立は調停委員会の判断であり、裁判ではないため、当事者が不服を申し立てることはできません。

調停前置主義

調停前置主義とは、人事訴訟事項については、訴訟提起の前に調停を行わなければならないという制度です。

通常、調停が不成立で終了した後、調停不成立調書を添付して訴訟を提起することになります。

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調停をしない措置

調停をしない措置とは、調停委員会が、調停を行うことが適当でないと判断して調停を終わらせることです。

「調停なさず」と呼ばれることもあります。

調停をしない措置は、家事事件手続法第271条に規定されています。

調停委員会は、事件が性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるときは、調停をしないものとして、家事調停事件を終了させることができる。

(家事事件手続法第271条)

調停委員会が調停をしない措置で調停を終了させるのは、以下のような場合です。

  • 事件の性質上調停を行うのに適当でないと認めるとき:愛人契約を求める、子どもの認知を要求しない代わりに金銭の支払いを求めるなど
  • 当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたと認めるとき:申立人が調停期日に欠席を繰り返す、自己都合で調停期日を何度も変更するなど

調停をしない措置は調停委員会の判断であり、調停不成立と同様、不服の申立てはできません。

当事者の死亡による当然終了

調停は、当事者の協議によって紛争の解決を目指す手続きです。

したがって、調停の当事者が死亡した場合、紛争の相手がいなくなり、協議による解決ができなくなるため、調停は当然に終了します。

合意に相当する審判(277条審判)

合意に相当する審判とは、人事訴訟事項について、特殊調停で当事者の合意や前提事実に争いがないことを確認した上で、家庭裁判所が必要な調査を行ったうえで審判を出す手続です。

身分関係の形成や存否確認に関する事項は、第三者にも影響を及ぼすため、個人の意思や当事者の合意で解決することが許されておらず、人事訴訟事件を提起して裁判所の判断を求めるべきとされています。

しかし、人事訴訟事件には相当な時間、手間、費用がかかり、法律的な知識も要求されることから、個人が手軽に利用できる制度ではありません。

そこで、一定の要件を満たすときに限り、人事訴訟以外の方法で解決する方法が準備されており、それが特殊調停と合意に相当する審判です。

合意に相当する審判の根拠は家事事件手続法第277条です。

1 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第1号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。

一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。

二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。

2 前項第一号の合意は、第258条第1項において準用する第54条第1項及び第270条第1項に規定する方法によっては、成立させることができない。

3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

4 第272条第1項から第3項までの規定は、家庭裁判所が第1項第1号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。

(家事事件手続法第277条)

合意に相当する審判の対象となる事件は、以下のとおりです。

  • 婚姻の無効・取消し
  • 協議離婚の無効・取消し
  • 婚姻関係の存否確認
  • 嫡出否認
  • 認知
  • 認知の無効・取消し
  • 父を定める訴え
  • 実親子関係の存否確認
  • 養子縁組の無効・取消し
  • 協議離縁の無効・取消し
  • 養親子関係の存否確認
  • その他の身分関係の形成又は存否確認

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調停に代わる審判(284条審判)

調停に代わる審判とは、当事者同士の協議のみでは調停の成立が難しいときに、家庭裁判所が調停での協議の内容を踏まえて審判を行う手続です。

家事調停は、当事者間の合意ができることで成立しますが、中には、大筋の合意ができたのに、感情的な対立や些細な食い違いなどが原因で調停が成立させられないことがあります。

そうした場合に、家庭裁判所が、調停を不成立とするより家庭裁判所が判断を示すことが相当と判断すると、職権で調停に代わる審判を行うことがあります。

調停に代わる審判の根拠は、家事事件手続法第284条です。

1 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第277条第1項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。

(家事事件手続法第284条)

調停に代わる審判の対象となる事件類型は、以下のとおりです。

家事調停の種類調停に代わる審判の対象か否か
別表第一事件対象外
別表第二調停事件対象
特殊調停事件対象外(第277条第1項の規定による)
一般調停事件対象

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移送・回付

ある家庭裁判所に申し立てられた事件が、移送または回付された場合、申立てがあった家庭裁判所の調停事件は終了することになります。

  • 移送:他の家庭裁判所に事件を送る手続
  • 回付:家庭裁判所の本庁と支部間で事件を送る手続

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投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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