DV・暴力の相談先とDV夫との離婚方法!保護命令の要件、慰謝料の相場は?

DV 離婚

夫または妻からのDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)を理由に離婚を考える人はすくなくありません。

DVを理由に離婚を希望する場合、夫婦間の協議で離婚することは難しく、調停や裁判の手続きを利用しなければならないケースが多くなっています。

また、離婚までの間に配偶者の暴力を避けるために保護命令手続きを利用したり、DVに対する慰謝料を請求したりすることもあります。

DV(ドメスティックバイオレンス)とは

DV(ドメスティックバイオレンス)とは、配偶者や恋人など、親密な関係にある人や親密な関係にあった人からの暴力的行為のことです。

英語「domestic violence」と表記し、日本語ではドメスティックバイオレンスとカタカナ表記するか家庭内暴力と訳されますが、一般的にはDVと略して表記されることが多くなっています。

一般的には、身体的な暴力を指して使用されることが多い言葉ですが、モラハラ(モラルハラスメント)、性行為を強要する性的暴力、金銭的に制限を加える経済的暴力、人間関係を制限する社会的暴力などの意味を含めて使用されることもあります。

夫が妻に対してDVに及ぶ構図が一般的ですが、妻から夫に対するDVも増加傾向にあり、また、夫婦が互いに相手を傷つけあうことも少なくありません。

※この記事では、家庭内における配偶者からの暴力的行為としてDVを使用しています。

DV(ドメスティックバイオレンス)の原因

各家庭におけるDVの原因は、家庭環境や夫婦関係などによって異なりますが、一般的には以下のような原因があると考えられています。

  • 誤った社会通念:暴力を振るうなど、夫が妻に対して権威的・支配的に振る舞うことは、ある程度はやむを得ないという考え方が男女ともに残っている
  • 経済的格差:夫婦の一方が働いてもう一方が専業主婦(主夫)の場合、働いている方の立場が強くなる傾向がある
  • 外から見えにくい環境:家庭という閉鎖環境下では、加害行為がエスカレートしやすい

DVから身を守る方法

DVは、受けた人に深刻な肉体的、精神的ダメージを与える行為であり、命の危険に関わることもあります。

DV被害を受けたら、まずは自分と子どもの身の安全の確保を第一に考え、早急に避難することが大切です。

DVから身の安全を確保するために利用できる機関は、以下のとおりです。

警察署・交番

DV被害を受けて身の危険を感じた場合、最寄りの警察署や交番に駆け込むか、110番通報してください。

110番通報をして「配偶者からDV被害を受けたこと」と住所を伝えることで、短時間で警察官が駆け付けてくれます。

警察官は、大まかな住所はGPSで確認することができるため、余裕がない場合は建物名と部屋番号だけ伝えてください。

DVを受けた後に相談する場合は、都道府県の警察本部にある犯罪被害者の相談窓口を訪問するか、警察総合相談電話に電話をかけて「DV被害の相談をしたい。」と申し出てください。

つきまといやストーカー行為を受けている場合、ストーカー規制法に基づく警告及び禁止命令の措置を講じてもらうこともできます。

また、配偶者のDV行為が刑法に規定された犯罪行為に当てはまる場合、警察署で被害申告を行うことで配偶者の処罰を求めることもできます。

配偶者暴力相談支援センター

配偶者暴力支援センターとは、配偶者によるDVに関する相談受付、DV被害者のカウンセリング、一時保護、情報提供などを行う機関です。

通常は、婦人相談所や福祉事務所などが配偶者暴力相談支援センターに指定されていますが、各都道府県によって指定されている相談所などが異なるため、事前に確認してください。

配偶者暴力相談支援センターの主な業務内容は、以下のとおりです。

事前に電話連絡しておくと、迅速に対応してもらえます。

  • DV被害の相談
  • カウンセリング
  • DV被害者の安全の確保や一時的な保護
  • 自立した生活を促すための情報提供等
  • DV被害者の保護施設利用に関する情報提供等
  • 保護命令に関する情報提供等

民間シェルターなどに避難する

民間シェルターとは、DV被害者が緊急避難して一時的に生活することができる、民間団体が運営する施設です。

近年は、一時避難の受入れだけでなく、DV被害者の相談や自立に向けた支援などを行う施設も増加傾向にあります。

入居を希望する場合、事前に配偶者暴力相談支援センターに相談しておく必要があります。

地方裁判所に保護命令を申し立てる

保護命令とは、DV被害者が、婚姻相手からのDVで生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合に、地方裁判所がDV被害者への接近禁止などを命じる手続です。

保護命令の申立権者

DV被害者本人です。

保護命令の種類、内容、有効期間

種類 内容 有効期間
接近禁止命令 申立人の身辺つきまといや、申立人の住居や勤務先付近をうろつくことを禁止 6ヶ月間
退去命令 同居中の相手方に自宅からの退去を命じ、自宅付近をうろつくことを禁止 2ヶ月間
子への接近禁止命令 申立人と同居する子の身辺つきまといや、住居や学校などをうろつくことを禁止 6ヶ月間
親族等への接近禁止命令 申立人の親族等の身辺つきまといや、住居や勤務先付近をうろつくことを禁止 6ヶ月間
電話等禁止命令 申立人への面会要求、FAXや深夜電話などの迷惑行為を禁止 6ヶ月間

保護命令の要件

保護命令を申し立てるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 配偶者暴力相談支援センターまたは警察への相談
  • 宣誓供述書
  • 申立てを要する事情

保護命令の申立書には、配偶者暴力相談支援センターまたは警察に相談した事実を記載する必要があります。

配偶者暴力相談支援センターに指定されていない機関に相談しても申立ての要件を満たさないため、注意してください。

宣誓供述書とは、公証役場で交渉人にDV被害の内容を伝え、内容が真実であることを宣誓した上で作成してもらう文書です。

また、保護命令を申し立てるには、接近禁止などを要する事情を説明し、資料を提出なければなりません。

保護命令の種類 要件
接近禁止命令 申立人に対する身体的な暴力を防ぐ必要がある
退去命令 申立人が、相手方と同居する住居からの引っ越し準備などをする必要があるなど
子への接近禁止命令 子どもについて夫婦が会わざるを得ない状態を防ぐ必要がある
親族等への接近禁止命令 親族などに関して夫婦が会わざるを得ない状態を防ぐ必要がある
電話等禁止命令 深夜電話などの迷惑行為を防止する必要がある

保護命令の効力

命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

病院を受診する

DV被害を受けた場合、病院を受診して診断書をとっておくことが大切です。

診断書は、調停離婚や離婚裁判で相手のDVを主張する根拠になりますし、慰謝料請求する場合の証拠にもなります。

DV(ドメスティックバイオレンス)を理由に離婚する方法

離婚する方法には、協議離婚、調停離婚(審判離婚)、裁判離婚(認諾離婚、和解離婚、判決離婚)があります。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦の協議によって離婚する方法で、離婚届を市区町村役場に提出して受理された時点で離婚が成立します。

最も時間と手間がかからない離婚方法ですが、DVを理由に離婚する場合の話し合いの相手はDV加害者であり、協議が難航することが多いものです。

夫婦だけで話し合うと、肉体的または精神的な危害を受ける危険が高いため、必ず信頼できる第三者に同席してもらいましょう。

関連記事

協議離婚とは?進め方は?公正証書、離婚協議書、弁護士は必要?

調停離婚

調停離婚とは、夫婦で離婚の話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所で調停委員会を交えて協議することで離婚を目指す方法です。

調停委員、裁判官、家庭裁判所調査官など家庭裁判所の職員が離婚協議に加わり、協議がまとまって裁判官が調停を成立させた時点で離婚が成立します。

離婚調停では、夫婦が交互に調停室へ入って調停委員等に主張を述べるため、相手と直接顔を合わせずに離婚の話し合いを進めることができます。

ただし、原則として、相手と同じ時間に同じ裁判所に出頭するためで、受付、廊下、トイレの前などで鉢合わせする危険ががあります。

出頭時間をずらす、相手が調停室に入ったのを確認してから待合室を出るなどの対応が必要です。

申し立ての段階で、DV被害を受けたことを職員に伝えておくことで、相手と合わないよう家庭裁判所側に配慮してもらうことができます。

審判離婚

審判離婚とは、調停における夫婦の合意に基づいて、家庭裁判所が夫婦の離婚を決定することで離婚する方法です。

例えば、夫婦の一方が遠隔地在住で調停に出頭できない場合や、些細な条件で合意ができない場合などに、家庭裁判所が審判離婚をすることがあります。

関連記事

離婚調停とは?期間・流れ・費用、メリット・デメリット、弁護士の要否

裁判離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所が夫婦が離婚するか否かを方法です。

調停が不成立になった後、夫または妻が家庭裁判所に離婚裁判を提起(訴えを起こす)することで、離婚の裁判が始まります。

離婚裁判の終わり方には、認諾離婚、和解離婚、判決離婚の3種類あります。

認諾離婚 被告が原告の請求の認諾を行うこと(全面的に認めること)により離婚する
和解離婚 裁判の過程で夫婦が離婚や離婚条件に合意して離婚する
判決離婚 裁判所の判決で離婚する

裁判離婚では、原則として法廷の場で相手と主張を戦わせながら手続きが進みます。

したがって、夫婦が法廷で顔を合わせることになりますが、弁護士に依頼しておけば、裁判所に出頭する回数を抑えることができ、その分、相手と会う機会を減らすことができます。

ただし、弁護士費用は高額になりますし、離婚までにかかる時間も協議離婚や調停離婚より長くなります。

また、裁判で離婚する場合、法律に規定された離婚事由がないと離婚が認められません。

そのため、DV被害を受けたことを証明する資料を収集しておくことが大切になります。

関連記事

認諾離婚とは?裁判離婚の種類、認諾離婚の効力と制限、離婚後の手続

DV(ドメスティックバイオレンス)で慰謝料を請求する

DVの慰謝料とは、DV被害による精神的苦痛に対する損害賠償請求です。

慰謝料の相場

DVの慰謝料の相場は、50万円~300万円が一般的です。

DVの慰謝料額を決めるときに考慮される事情や証拠は、以下のとおりです。

  • DVを受けた回数
  • DVを受けた期間
  • DVを受けた理由(受ける側に落ち度があったか)
  • DVによるけがの程度・後遺症の有無
  • DVによって受けた精神的苦痛の程度(通院・入院・服薬治療を受けたか、うつ病など心の病気と診断されたか)

また、慰謝料請求に必要になる証拠は、以下のとおりです。

  • DVによるあざやけがの写真(肉体的DVの場合。年月日や撮影場所がわかるもの)
  • 相手の暴言等を録音したもの(モラハラの場合。年月日や録音日がわかるもの)
  • DVを受けたときの日記やメモ(年月日、時間、理由、状況、DVの内容などを詳しく書いたもの)
  • 医師の診断書

関連記事

離婚の慰謝料とは?慰謝料の相場と時効は?解決金との違いは?

アーカイブ

ページ上部へ戻る