不妊で離婚したい原因は?不妊を理由に離婚や慰謝料を請求できる?

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不妊を理由に離婚したいと考える人は、男性にも女性にもいます。

不妊治療の経済的負担による経済的困窮、不妊治療に対する夫婦の考え方の違い、治療者の負担感と見守る側の感覚のズレなど様々な事情がありますし、離婚したいと思いながら婚姻生活を続ける人もいますが、不妊離婚を希望する人は少なからず存在します。

不妊で離婚したいと思う原因

まず、不妊で離婚したいと思う主な原因に触れておきます。

夫婦間で「子どもを望む気持ち」に差がある

不妊治療の前提として「子どもを望む気持ち」があります。

しかし、必ずしも夫婦の両方が子どもを望んでいるとは限らず、「妻(夫)が子どもを欲しがっているから、協力しよう。」という気持ちで不妊治療に臨む人もいます。

また、夫婦の両方が子どもを望んでいても、「子どもを望む気持ち」の強さは夫婦間で差があるものです。

例えば、妻が「たとえ不妊治療で貯金を使い果たし、治療に通うために働けなくなったとしても、子どもが欲しい。」と思っている一方で、夫は「今の生活水準を下げない範囲で不妊治療を行いたい。」と思っていることがあるのです。

夫婦間の「子どもを望む気持ち」の差が大きいほど、「なぜ不妊治療にもっと協力しないのか。」、「日々の生活を犠牲にしてまで不妊治療を続けるなんておかしい。」と互いに相手への不満や苛立ちを募らせて夫婦関係が悪化し、離婚したいと考えるようになります。

夫婦の一方が頑張りすぎる

夫婦の一方が不妊治療を受けている場合、夫婦の一方が妊娠のために頑張りすぎることがもう一方の負担になり、離婚したいと思わせてしまうことがあります。

例えば、不妊治療中の妻が、妊娠するためという理由でそれまでの生活習慣や食生活を自分の一存で変更し、同じことを夫に強制すると、夫としては良い気持ちはしないでしょう。

また、妻が、不妊治療中の夫に対して厳しい食事制限を課し、飲酒喫煙や趣味、夜の夫婦生活を徹底的に管理すると、日々の生活に味気なさを感じ、不妊への意欲が減退するばかりか妻への不満や苛立ちが募っていき、離婚を考えるようになってしまいます。

不妊治療中の配偶者を責める

不妊治療中の人は強い不安と責任を感じながら治療を続けているので、配偶者は常に優しく見守り、時に励ましたり労ったりしてサポートすることが大切です。

「時間も費用もかけているのに、どうして妊娠しないのか。」、「(不妊治療に伴う)痛みくらい我慢しろよ。」などと責めてしまうと、責められた側は不満や苛立ちを募らせ、不妊治療への意欲を低下させます。

そして、不妊治療をめぐって夫婦間で言い争いを続けるうちに関係が悪化し、互いに相手に対する不満を募らせて離婚を考えるようになることがあります。

不妊治療の負担

不妊治療には経済的負担、精神的負担、身体的負担がかかります。

不妊治療は高額な上に継続しても成果が出ないこともあり、治療期間が長引くほど経済的な負担とともに精神的な負担も重くなります。

また、不妊治療には、子宮口から造影剤を注入する卵管造影検査や度重なる注射など痛みを伴う治療が多く身体的な負担も相当かかります。

こうした3重の負担から治療者が疲弊し、配偶者の心無い言葉に傷ついたり、配偶者に八つ当たりしたりして夫婦関係が悪化し、離婚に至るケースもあります。

不妊を理由に離婚できるか

結論から言えば、不妊を理由として離婚することはできます。

通常の離婚と同じく、まずは夫婦間の話し合いで協議離婚を目指し、離婚できない場合は調停離婚(審判離婚)や裁判離婚と手続きを進めます。

不妊治療と協議離婚

協議離婚とは、夫婦間で離婚とそれに伴う諸条件について合意し、離婚届を市区町村役場に提出して離婚する方法です。

夫婦間で合意ができれば離婚の理由は問われないため、不妊を理由として離婚することができます。

夫婦間で離婚や条件面の合意ができない場合は離婚ができず、調停離婚を検討することになります。

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不妊治療と調停離婚(審判離婚)

調停離婚とは、家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停を申し立て、調停委員会を交えて離婚やそれに伴う諸条件について話し合い、夫婦間の合意形成を目指す方法です。

離婚調停は、調停委員という非常勤の裁判所職員が、調停室に夫婦を個別に呼んで主張を聴取し、それを相手に伝えるという方法によって進行します。

調停委員が間に入り、必要に応じて助言や調停案の提示を行ってくれるため、夫婦だけで話すよりも冷静に主張することができ、法律に基づいた解決策を模索することができます。

離婚調停は裁判所の手続きですが、夫婦間の合意を前提としており、裁判所が夫婦の離婚を判断したり、離婚や復縁を強制したりすることはありません。

したがって、離婚やそれに伴う諸条件について夫婦間で合意できれば調停が成立して離婚できますが、合意しなければ不成立で何も決まらず終了します。

夫婦の間で大筋合意できたにも関わらず、夫婦の一方が調停に出頭できない、些細なことが合意できないなどの事情がある場合、家庭裁判所が夫婦の合意に基づいて調停に代わる審判を行うこともあります(審判離婚)。

しかし、異議申立てがあると理由に関わらず失効する手続きであり、夫婦間の対立が激しい場合は効果が見込めません。

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不妊治療と裁判離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所に夫婦の離婚を判断させる方法です。

夫婦の合意を前提とする協議離婚や調停離婚(審判離婚)と異なり、裁判離婚では裁判所が夫婦の離婚を判断し、請求があれば附帯事項(養育費、面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割)の判断も下します。

離婚紛争について裁判所が判断を示すという強い手続きであるため、民法第770条第1項に規定された法定離婚事由があることを立証できない場合は、離婚が認められません。

夫婦の一方は、以下の場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  • 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 配偶者が強度の精神病に罹り、回復の見込みがないとき。
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

(民法第770条第1項)

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不妊を理由として離婚を請求する方法

協議離婚と調停離婚(審判離婚)では、夫婦間で合意ができれば離婚できるため、離婚したい理由が不妊であっても、配偶者が了解すれば離婚することができます。

しかし、裁判離婚の場合は法定離婚事由がないと離婚できません。

不妊を離婚の主な理由とする場合、不妊を「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」として主張するのが一般的です。

不妊治療そのものではなく、不妊治療の過程で生じた夫婦の亀裂、配偶者の態度や言動、負担の大きさなどで夫婦関係が破綻したと主張することになります。

例えば、「不妊治療を継続するうちに、夫婦間で「子どもを望む気持ち」に差があることが明らかになり、それをめぐって夫婦間の口論が絶えなくなり、夫婦関係が悪化した。」などと主張し、以下のような「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があることを強調します。

別居期間が長期にわたる

夫婦関係悪化が原因で長期にわたって別居していれば、離婚が認められることがあります。

離婚が認められるのに必要な別居期間は判例によって異なりますが、5年程度を目安にすると良いでしょう。

ただし、別居期間中に子どもの面会交流や養育費に関してやりとりがあった場合などは、婚姻関係が破綻したと認められにくくなります。

DVやモラハラがあった

不妊治療をめぐる夫婦の争いの中で配偶者の暴力やモラハラの被害に遭った場合、DVやモラハラを前面に出して婚姻の破綻を主張します。

特にDVは、態様や程度にはよりますが、婚姻関係を破綻させる原因として過去の判例で認定された実績があるため、暴力を振るわれた事実がある場合は主張することになります。

ただし、DVのでっち上げ、いわゆる虚偽DVの主張は絶対に控えてください。

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精神疾患を発症した場合

不妊治療をめぐる夫婦の争いの中で疲弊して精神疾患を発症した場合も、婚姻を継続し難い事由として主張することを検討します。

精神疾患だけで離婚が認められる可能性は高くありませんが、発症の経緯、DVやモラハラの有無、別居中か否かなどその他の事情と併せて主張すれば、離婚が認められることがあります。

セックスレスになった場合

不妊治療の過程でセックスレスになる夫婦がいます。

「夫婦生活の過剰な管理に辟易した。」、「夫婦生活が事務的になって互いに避けるようになった。」など事情は様々ですが、不妊治療中にセックスレスになる夫婦は少なからずいるのです。

セックスレスも単体では婚姻を継続し難い事由とは言えませんが、その他の事情を合わせて主張することにより、離婚が認められる可能性があります。

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不妊を理由とする離婚で慰謝料は請求できるか

離婚の慰謝料とは、婚姻の破綻原因を作った人が配偶者に対して支払う慰謝料です。

慰謝料の性質は「不法行為によって生じた精神的苦痛に対する損害賠償金」ですが、不妊は不法行為ではありません。

したがって、不妊を理由とする離婚で慰謝料を請求することは困難です。

なお、不妊治療をめぐる夫婦間紛争の中で、配偶者からDVやモラハラ、悪意の遺棄など不法行為に当てはまる言動があった場合、それらを理由として慰謝料請求することは認められます。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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