合意に相当する審判とは?対象は離婚無効や認知?特殊調停との関係は?

家庭裁判所の家事調停は、離婚、養育費、遺産分割など様々な内容が対象となっています。

その中には、協議離婚無効・取消し、認知、嫡出否認など身分関係の形成や存否確認に関する事項も含まれていますが、これらの事項は公益性が高く、個人の意思や当事者の合意によって解決することが相当ではありません。

そこで、特殊調停と合意に相当する審判という、通常の調停とは異なる手続を経なければならないとされています。

合意に相当する審判とは

合意に相当する審判とは、身分関係の形成や存否確認に関する事項について、特殊調停を経た上で家庭裁判所が審判を行う手続です。

合意に相当する審判は、家事審判法第23条にも規定があり、23条審判と呼ばれていました。

身分関係の形成や存否確認に関する事項は、当事者だけでなく戸籍の記載や第三者にも影響を及ぼすことから、個人の意思や当事者の合意による解決は許されておらず、人事訴訟事件を起こして裁判所が判決で判断すべきものです。

しかし、人事訴訟事件は、裁判を起こすのに相当な時間、手間、費用がかかり、法律的な知識も必要とされるため、仕事をしている個人が手軽に利用できる制度ではありません。

そこで、一定の要件を満たすときに限り、人事訴訟以外の方法で解決する方法が準備されており、それが特殊調停と合意に相当する審判です。

合意に相当する審判の条文

合意に相当する審判は、家事事件手続法第277条に規定されています。

1 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第1号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。

一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。

二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。

2 前項第一号の合意は、第258条第1項において準用する第54条第1項及び第270条第1項に規定する方法によっては、成立させることができない。

3 第一項の家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、合意に相当する審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。

4 第272条第1項から第3項までの規定は、家庭裁判所が第1項第1号の規定による合意を正当と認めない場合について準用する。

(家事事件手続法第277条)

合意に相当する審判が行われる要件

合意に相当する審判は、全ての特殊調停事件について行われるわけではありません。

家事事件手続法第277条に定められている要件は、以下のとおりです。

  • 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項
  • 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立している
  • 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わない
  • 家庭裁判所が必要な事実を調査をして、当事者の合意を相当と認めること

人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項

合意に相当する審判の対象となる事件についての要件です。

具体的には、以下の事件が対象となります。

  • 婚姻の無効・取消し
  • 協議離婚の無効・取消し
  • 婚姻関係の存否確認
  • 嫡出否認
  • 認知
  • 認知の無効・取消し
  • 父を定める訴え
  • 実親子関係の存否確認
  • 養子縁組の無効・取消し
  • 協議離縁の無効・取消し
  • 養親子関係の存否確認
  • その他の身分関係の形成又は存否確認

当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立している

合意に相当する審判は、その名前のとおり、当事者間に合意が成立していることが要件となります。

必要なのは、「申立ての趣旨のとおり審判を受けること」についての合意です。

つまり、当事者が問題を審判で解決することに合意している必要があります。

当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わない

当事者が、申立てに至る原因や事情について争っていないことも、合意に相当する審判の要件となります。

申立ての原因や事情について当事者間に争いがあると、審判をしても当事者の一方または双方から不服が申し立てられる可能性が高いため、合意に相当する審判は行われません。

申立て時に争いがあり、調停の中で争いが解消されたときも、争いが再燃する可能性を考慮して慎重に判断されることになります。

家庭裁判所が必要な事実を調査をして、当事者の合意が相当と認めること

当事者の合意を前提として、家庭裁判所が事実の調査を行い、当事者の合意が相当であると認めることも要件となります。

身分関係に関する事項の公益性の高さから、当事者の合意だけで判断するのではなく、公的機関である家庭裁判所が職権で必要な調査をする必要があるのです。

家庭裁判所に提出した書面の精査、審問期日における当事者の発言、家庭裁判所調査官による当事者面接や関係機関調査などが事実の調査に含まれています。

事件の内容によって、事実の調査の内容も異なります。

合意に相当する審判の流れ

家庭裁判所が合意に相当する審判を行うには、必ず特殊調停を経る必要があります。

特殊調停から合意に相当する審判までの流れは、以下のとおりです。

  1. 家庭裁判所に特殊調停の申立て
  2. 特殊調停において、調停委員会が、当事者間に①申立ての内容を審判で解決する合意があり、②申立ての原因や事実に争いがないことを確認
  3. 家庭裁判所が、職権で必要な事実の調査を実施し、当事者の合意の相当性を判断
  4. 家庭裁判所が、当事者の合意が相当と認めたときは合意に相当する審判
  5. 審判から2週間で審判が確定

合意に相当する審判の効力

合意に相当する審判が確定すると、確定判決と同じ効力をもちます。

つまり、人事訴訟を提起して判決を得たときと同じ効力をもつということです。

特殊調停が不成立で終了した場合

合意に相当する審判は、特殊調停で当事者間に合意がある時に限り行われる手続です。

特殊調停で当事者間の合意ができない場合、調停は不成立で終了し、合意に相当する審判は行われません。

問題を解決するには、改めて人事訴訟事件を提起し、裁判で解決しなければなりません。

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合意に相当する審判に対する異議申立て

家事事件手続法第279条では、当事者と利害関係人からの異議申立てについて定められています。

当事者による異議申立て

合意に相当する審判は、特殊調停において当事者間の合意を確認した上で行われる手続です。

そのため、当事者から異議申し立てが認められるのは、合意がないまたは合意が無効であるにも関わらず審判が行われた場合などに限られています。

また、異議申立てを行うには、審判から2週間以内に、異議申立ての理由を書いた書面と、その理由を証明する資料を添付しなければなりません。

異議申立てが適法で、異議申立ての理由が正当であるときは、家庭裁判所が異議申立てを認め、合意に相当する審判は効力を失います。

異議申立てが却下されたときは、即時抗告により高等裁判所で再審理してもらうことができます。

利害関係人からの異議申立て

利害関係人が異議申立てを行うときは、審判から2週間以内に、利害関係の内容とそれを証明する資料を提出する必要があります。

異議申立てが適法であれば、家庭裁判所が異議申立てを認め、合意に相当する審判の効力は失われます。

異議申立てが却下されたときは、即時抗告ができます。

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投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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