非嫡出子とは?嫡出子との違いは戸籍や相続分?認知・養子縁組すると?

嫡出子と非嫡出子の違いや、非嫡出子のデメリットを正しく理解していますか。

子どもが嫡出子になるか非嫡出子になるかは法律上の婚姻をした親から生まれたか否かの違いであり、本人には何の責任もありませんが、法律上、非嫡出子には様々なデメリットがあります。

この記事では、非嫡出子とは何か、嫡出子との違い、非嫡出子が嫡出子の身分を取得するための方法について解説します。

非嫡出子とは

非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもです。

子どもの特性や能力などとは何ら関係がなく、親が婚姻の届出をして法律上の婚姻関係にある状態で生まれれば嫡出子、同棲や事実婚(内縁)関係の状態で生まれれば非嫡出子になるのです。

非嫡出子の読み方

非嫡出子と書いて「ひちゃくしゅつし」と読みます。

なお、以前は、婚姻していない男女の間に生まれた子どもについて、認知の有無によって私生子(認知されていない子ども)と庶子(認知された子供)に分類しており、非嫡出子と歯呼ばれていませんでした。

しかし、私生子の差別が横行したことから、昭和17年の民法改正時に私生子と庶子がまとめて非嫡出子とされた経緯があります。

嫡出子と非嫡出子の違い(非嫡出子のデメリット)

嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもです。

嫡出子と非嫡出子の主な違いは以下のとおりであり、非嫡出子にデメリットが多いことが分かります。

戸籍の父親欄が空欄になる

嫡出子は、父または母が出生届を提出することで父母の戸籍に入り、子どもの父親欄には父親の氏名が記載されます。

一方で、非嫡出子は、母が出生届を提出することで母の戸籍に入ります。

母が親の戸籍に入っているなど戸籍の筆頭者でない場合、分析して母を筆頭者とする戸籍が編成され、そこに子どもが入ることになります。

しかし、出生届が提出されても、父母が婚姻関係にない場合は、父である男性と子どもの間に法律上の父子関係が生じないため、戸籍の子どもの父親欄は空欄のままです。

また、父の戸籍に入って父の氏を名乗ることもできません。

扶養義務がない

非嫡出子は、父に認知されない状態では父子関係が確定していないため、父が子どもを扶養する義務も生じていません。

そのため、扶養義務に基づいて養育費を請求することもできません。

親権

父に認知されない状態では、子どもの親権者は母であり、父を親権者とすることはできません。

相続権がない

非嫡出子は、父に認知されない状態では父子関係が確定していないため、親子関係に基づく相続権もありません。

したがって、父が死亡しても相続人になって遺産を取得することはできません。

相続分の問題は解消した

以前は、法律上、法定相続分について嫡出子と非嫡出子で差が設けられていました(非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1)。

同じ母親から生まれたにも関わらず、生まれたときに父母が婚姻していたか否かの違いだけで、非嫡出子の相続分が低くされていたのです。

しかし、最高裁判所が、非嫡出子と嫡出子の法定相続分に差を設けた民法の規定が違憲であるという判断を示したことで、2013年9月5日に民法が改正され、相続分の差に関する規定は削除されました。

非嫡出子と認知

認知とは、父親が「この子は自分の子どもである。」と認めることです。

認知の効果

非嫡出子が父から認知されることによって法律上の父子関係が成立し、以下のような効力が生じます。

戸籍

父の認知によって法律上の父子関係が成立すると、子どもの戸籍の父親欄に認知をした男性の氏名が記載されます。

また、身分事項欄に認知欄が追加され、認知日、認知者の氏名、認知者の戸籍、送付を受けた日、受理者が記載されることになります。

ただし、子どもは母の戸籍に留まり、氏も母の氏を名乗り続けます。

扶養義務

認知により、父子間に相互に扶養義務が生じます。

したがって、親の子どもに対する扶養義務に基づいて、認知をした父に養育費を請求できるようになります。

親権

父に認知されても、子どもは母の戸籍に留まり、親権者も母のままです。

しかし、父母が協議して親権者を父とすることに合意した場合、子どもの親権者を父に変更することができるようになります。

なお、子どもが父の戸籍に入って父の氏を名乗るには、家庭裁判所に子の氏の変更許可審判を申し立て、許可の審判を得た上で市区町村役場で入籍届をする必要があります。

関連記事

子の氏の変更許可審判とは?申立書の書き方と郵送方法、期間は?

相続権

認知による父子関係の発生により、子どもは父親の相続人となります。

父親が死亡した場合、相続人の一人として遺産分割協議や遺産分割調停に参加し、嫡出子と同じ相続分を主張することができます。

認知の方法

子どもを認知する方法には、任意認知、調停認知(合意に相当する審判)、強制認知(認知の訴え)、遺言認知4種類あります。

任意認知父が自らの意思で認知届を作成して提出する
調停認知認知の調停+審判で認知する

(調停で父母が認知の問題を審判で解決することに合意し、前提事実などにも父母間で争いがない場合に、家庭裁判所が必要な調査をし、相当と認めたときに審判を出す)

強制認知認知の訴えを提起し、裁判所の判断に委ねる

(父が任意認知や調停認知に応じない場合)

遺言認知子どもを認知する旨の遺言書を作成する

(生前には認知できない事情がある場合など)

通常は、父が自らの意思で認知する任意認知を求め、応じない場合に認知調停を申し立てます。

父が任意認知も調停認知も応じない場合、最終的な手段として認知の訴えを提起し、強制的に認知させることになります。

ただし、「扶養義務を果たさせたい(養育費を請求したい)」という理由で認知を求める場合、強制認知によって父子関係が成立して父子間に扶養義務は生じますが、父が態度を硬化させて養育費の支払いを頑なに拒むことがあります。

そのため、できる限り父母の協議や調停での話し合いの中で、父が自らの意思で認知に応じるよう促すことが大切です。

なお、任意認知は子どもが生まれる前にすることも認められています(胎児認知)。

子どもの母の同意が必要ですが、事実婚関係にある男女が子どもを授かった場合、外国人女性と日本人男性が子どもを授かった場合、父が病気や怪我などで子どもが生まれる前に死亡するおそれがある場合などに利用されることがあります。

関連記事

胎児認知とは?胎児認知届の必要書類と戸籍の記載、デメリットは?

準正(非嫡出子が嫡出子になること)

準正とは、非嫡出子が嫡出子の身分を得ることです。

父に認知されただけでは、法律上の父子関係が成立しただけであり、子どもは非嫡出子のままです。

しかし、認知に加えて父母が婚姻した場合、子どもは嫡出子の身分を得ることができ、これを準正といいます。

準正は、父の認知と父母の婚姻の順番によって2つに区別されています。

婚姻準正父が子どもを認知した後、父母が婚姻した場合
認知準正子どもの出生後に父母が婚姻した後、父が子どもを認知した場合

非嫡出子と養子縁組

養子縁組とは、血縁関係とは関係なく、法律上の親子関係を発生させることです。

一般的には、血縁関係のない者同士の間に親子関係を発生させるために養子縁組が行われますが、法律上は、非嫡出子との養子縁組も認められています。

養子縁組をすれば、子どもは嫡出子の身分を得ることができます。

嫡出子と非嫡出子の相続分に差が設けられていた頃は、相続分の差をなくす目的で実の親が非嫡出子を養子にして嫡出子の身分を得させるという方法がとられていました。

しかし、相続分の差が解消された現在では、あえて非嫡出子と養子縁組するメリットは見当たりません。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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