離婚とネット上の書き込みや嫌がらせ!浮気暴露や誹謗中傷の相談と対策

離婚 ネット 書き込み

近年、関係が悪化した夫婦(または元夫婦)間のネット上のトラブルに関する相談を受ける機会が増えています。

その多くが、「別居中の妻が、Facebook上で私の不貞に関する書き込みをしているのを止めさせたい。」、「元夫が、私に対する誹謗中傷をブログに書き記しているのを削除させたい。」など、書き込まれた情報への対応を求めるものです。

ネット上に書き込まれた情報は不特定多数の目に触れ、社会生活に深刻な影響を及ぼすおそれがありますが、「どこに相談すれば良いか分からない。」、「どのように対策すれば分からない。」という人が多いのです。

ネット上の書き込み(誹謗中傷)

現代は、思ったことや考えたことを簡単にネット上へ発信することができます。

現実社会では、人間関係や社会的地位などのしがらみを意識して慎重に表現しますが、ネット上ではストッパーになるものが乏しいため、その場の感情や気持ちのままに表現しやすく、現実社会では誰にも言えないことでも躊躇わずに書き込むことができてしまいます。

そして、ネット上に書き込まれた情報は、書き込んだ本人の想像以上に拡散し、書き込まれた相手の社会生活に深刻な影響を及ぼしてしまいます。

ネット上の書き込み(誹謗中傷)の内容

離婚と関連したネット上の書き込みの多くは、相手の名誉を棄損したり、プライバシーを侵害したりする内容です。

例えば、夫の不貞を知って、Twitterに「夫が浮気してた」などとLINEの履歴や写真と一緒に書き込む、元妻が再婚して幸せな生活を送るのが妬ましくて、婚姻中の家事育児の至らなさを書き込むなどの嫌がらせがあります。

また、不貞をした妻への嫌がらせや復讐のために顔写真や不貞の証拠をネット上に掲載する、夫のモラハラ場面の録音をブログ上にアップする、離婚紛争の詳細をFacebookに書き込む、ありもしない不貞や犯罪歴を書き込まれるなどのケースも報告されています。

いずれも他人の目を引きやすく拡散されやすい内容であり、個人が特定できる情報が含まれていれば、書き込まれた人の被害は計り知れません。

ネット上の書き込み(誹謗中傷)の法的責任

法的責任には、刑事上の責任(刑罰)と民事上の責任(損害賠償)があります。

刑事上の責任(刑罰)

まず、刑事上の責任について解説します。

名誉棄損罪

名誉棄損罪とは、事実を摘示して、公然と人の名誉を傷つける(棄損する)犯罪です。

名誉棄損罪は、刑法第230条第1項に規定されています。

  1. 公然と事実を摘示し、人の名誉を損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50円以下の罰金に処する。

(刑法第230条第1項)

用語がやや難しいため、簡単に解説しておきます。

用語 意味
公然と 不特定または多数の人が認識できる状態

例:ネットの書き込み、掲示板への貼りだしなど

事実を摘示し 人の社会的評価を低下させる具体的な事実を、不特定または多数の人が認識できる状態にすること

例:不貞の事実をネットに書き込む、不貞現場の写真をばらまくなど

棄損 名誉や信用を傷つける(損なわせる)こと

名誉棄損罪は、「公然と事実を適示し、人の名誉を棄損した」と認められる場合に成立し、事実か否かは問わず、実際に社会的評価が下がったか否かも問われません。

つまり、人の社会的評価を低下させる具体的な事実をネット上に書き込み、不特定または多数の人が認識できる状態にして他人の名誉を傷つけた場合、書き込んだ内容が事実であっても、書き込みによる影響がなかったとしても、名誉棄損罪が成立するのです。

書き込みの内容が虚偽であり、書き込みによる影響が大きい方がより悪質性が高いと言えますが、事実や影響を問わず犯罪が成立するところが特徴です。

ただし、注意したいのは、事実の有無は問わない一方で、具体的な事実が適示されている必要はあるということです。

例えば、ネット上に「夫は不貞している」と書き込めば名誉棄損罪が成立する可能性がありますが、「夫は無能だ」などと抽象的または主観的な内容を書き込んでも成立せず、侮辱罪が成立する可能性があります。

名誉棄損罪
  • 夫は不貞している
  • 妻は借金まみれである
侮辱罪
  • 夫は無能だ
  • 妻は不細工だ

なお、例外として事実の公共性、目的の公益性、真実性の証明が認められる場合は名誉棄損罪となりません(刑法第230条の2)が、離婚や夫婦の問題でこれらの要件を満たすことは稀であり、割愛しています。

また、刑法上の名誉棄損罪が構成される場合、民法上の名誉棄損として不法行為になり、損害賠償を請求できるケースがあります。

侮辱罪

侮辱罪とは、事実を適示せず、公然と人を侮辱する犯罪です。

侮辱罪は、刑法第231条に規定されています。

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

(刑法第231条)

侮辱罪は、名誉棄損罪のように人の社会的評価を低下させる具体的な事実を示さなくても、公然と他人を名誉を傷つけた場合に成立します。

例えば、「妻は馬鹿で無能だ」、「夫は何の役にも立たない」などとネット上に書き込むと、侮辱罪に問われる可能性があります。

信用棄損罪及び業務妨害罪

信用棄損罪・業務妨害罪とは、虚偽の情報を流したり人を欺く計画を用いたりして、人の信用を傷つけたり業務を妨げたりする犯罪です。

信用棄損罪・業務妨害罪は刑法第233条に規定されています。

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50円以下の罰金に処する。

(刑法第233条)

虚偽の風説の流布とは、事実とは異なる情報を不特定または多数の人に流すことです。

例えば、別居中の妻が、事実に反して「夫が自営する飲食店では、客が使用した皿を水洗いするだけで次の客の料理を盛る。」とTwitterでつぶやいた場合、信用棄損罪・業務妨害罪が成立する可能性があります。

民事上の責任(損害賠償)

ネット上の書き込みが名誉棄損罪や侮辱罪など刑事上の責任に問われる場合、書き込まれた人は、書き込んだ人に対して不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。

つまり、ネット上の書き込みによって精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料を請求できるのです。

プライバシー権の侵害に対する損害賠償(慰謝料)請求

プライバシー権とは、「私生活上の情報・事柄について正当な理由がなく公開されない権利」であり、「自分に関する情報を自ら管理する権利」です。

例えば、個人の氏名、住所、出身学校、学歴、職業、家族構成、前科・前歴・違反歴、婚姻・離婚歴などがプライバシーとして保護される対象です。

関係の悪い姑や配偶者の不貞相手の写真・実名・勤務先・電話番号などをネット上にさらす行為は、プライバシー権の侵害となる可能性があります。

また、配偶者の写真を無断でネット上に公開したり、悪意なく個人情報を掲載したりした場合でも、プライバシー権の侵害となり、不法行為に対する損害賠償請求の対象となりえます。

ネット上の書き込み(誹謗中傷)の相談先

ネット上の書き込みの主な相談先を確認しておきます。

サイバー犯罪相談窓口

ネット上の書き込みや嫌がらせを発見したら、原則として、住んでいる地域を管轄する警察署へ相談します。

全国の警察本部にはサイバー犯罪相談窓口が設置されており、詐欺や公然わいせつなどだけでなく、ネット上の書き込みや嫌がらせについての相談も受け付けています。

サイバー犯罪相談窓口は警察の窓口なので、相談の中で必要性があると思えば被害届を提出することもできます。

なお、書き込み相手が配偶者(または元配偶者)の場合、警察への相談や被害届の提出をためらう人もいます。

相談するか否かは個人の判断ですが、放置すると自分の社会生活が脅かされるおそれがあることは十分に認識しておく必要があります。

法務省の人権擁護局

ネット上の書き込みや嫌がらせについては、法務局の人権擁護相談窓口に相談することもできます。

人権擁護局とは、法務省の内部部局の一つで、人権擁護に関する相談を受けつけ、必要に応じて事実を調査した上でサイト運営者への削除要請などを行います。

ただし、削除要請を拒否された場合はそれ以上の対応はなく、削除後の手続きも行うことはできません。

弁護士

書き込みがなされたサイトなどの運営者への削除要請、発信者情報の開示請求、損害賠償請求、刑事告訴など、ネット上の書き込みや嫌がらせに対して多様な対応を行う権限を有しています。

ただし、適切かつ迅速な対応ができるか否かは弁護士個人や事務所の能力やノウハウによるところが大きいのが実情です。

また、損害賠償で得られる金額以上の弁護士費用がかかることもあり、依頼するか否かは慎重に判断しなければなりません。

離婚訴訟を弁護士に依頼している場合、ネット上の書き込みや嫌がらせについてもオプションで対応するよう交渉する方法があります。

関連記事

離婚調停の弁護士費用の相場は?裁判の弁護士費用とは金額が違う?

ネット上の書き込みの対策

ネット上の書き込み対策には、以下のような方法があります。

対策 具体的内容
削除要請 書き込みの削除を要請
民事上の責任 損害賠償請求
刑事上の責任 刑事告訴

まずはネット上の書き込みを削除した上で、民事上や刑事上の責任を問うのが基本です。

削除要請は、個人のブログやサイト、Facebook、Twitterなどに書き込んだ本人に行うだけでなく、サイトなどの運営者やプロバイダに要請することが重要です。

サイトやプロバイダなどがウェブサイト内に掲載している削除要請に関する規定を読み、所定の書式に必要事項を記入して要請すれば、プロバイダ側から削除したか要請を拒否するかの回答があります。

削除に応じない場合、裁判所に仮処分の申立てをして削除させることになります。

個人で行うことが困難な場合、人権擁護局に相談・依頼するか、費用はかかりますが弁護士を雇ってください。

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【参考】

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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