児童扶養手当は5年で半額になる?減額されない要件と手続きを解説

児童扶養手当を受給している人は、毎年8月に現況届を提出し、受給要件を満たせば8月以降も引き続き児童扶養手当を受給することができますが、一定期間が経過すると要件が厳しくなり、支給額が半額まで減額されることがあります。

この記事では、児童扶養手当が減額される時期と理由、減額措置をされないための条件と手続の方法について解説します。

児童扶養手当が減額される時期と理由

児童扶養手当が減額される時期と理由から確認していきます。

児童扶養手当が減額される時期

児童扶養手当の減額については、児童扶養手当法第13条の3第1項に規定されています。

1 受給資格者に対する手当は、支給開始月の初日から起算して5年又は手当の支給要件に該当するに至つた日の属する月の初日から起算して7年を経過したとき(第6条第1項の規定による認定の請求をした日において3歳未満の児童を監護する受給資格者にあつては、当該児童が3歳に達した日の属する月の翌月の初日から起算して5年を経過したとき)は、政令で定めるところにより、その一部を支給しない。ただし、当該支給しない額は、その経過した日の属する月の翌月に当該受給資格者に支払うべき手当の額の2分の1に相当する額を超えることができない。

2 受給資格者が、前項に規定する期間を経過した後において、身体上の障害がある場合その他の政令で定める事由に該当する場合には、当該受給資格者については、厚生労働省令で定めるところにより、その該当している期間は、同項の規定を適用しない。

(児童扶養手当法第13条の3第1項)

条文に書かれている児童扶養手当の減額の要件をまとめると、以下のとおりとなります。

減額の時期①支給開始月の初日から5年が経過した
②支給要件を満たした月の初日から7年が経過した
③【認定請求をしたときに子供が3歳未満だった場合】

子供が3歳になった月の翌月から5年が経過した

減額の範囲支給額の2分の1以下(半額まで)

児童扶養手当が減額されるのは、①、②、③のうちいずれかに当てはまった月の翌月分の手当からです。

条文に「当該受給資格者に支払うべき手当の額の2分の1に相当する額を超えることができない。」と書かれているとおり、児童扶養手当は半額に減額されます。

減額の時期①:支給開始月の初日から5年が経過した

【例】

  1. 児童扶養手当の認定請求をした月:2013年7月
  2. 支給開始月の初日:2013年8月1日
  3. 支給開始月の初日から5年が経過したとき:2018年7月末
  4. 減額される時期:2018年8月から

児童扶養手当の支給開始月(初めて児童扶養手当の支給が開始された月)は、原則として、手当の認定請求をした月の翌月です。

例えば、7月1日に認定請求した場合、8月分から支給されることになります。

ただし、児童扶養手当の支給月は4月、8月、12月の年3回で、それぞれ前月までの4ヶ月分が支給されます(2019年11月からは奇数月に2ヶ月分ずつ支給するように変更)。

関連記事

児童扶養手当の支給月が変更!2ヶ月ごとになるのは2019年何月?

支給停止期間の取り扱い

支給開始月の初日からの5年間には、児童扶養手当の支給が停止されていた期間も含まれます。

所得要件を超えるなどして支給停止期間があったとしても、5年間の始まりは支給開始月です。

減額の時期②:支給要件を満たした月の初日から7年が経過した

【例】

  1. 児童扶養手当の支給要件を満たした月の初日:2013年7月1日
  2. 1.から7年が経過したとき:2020年6月松
  3. 減額される時期:2020年7月から

児童扶養手当の支給要件を満たした月とは、配偶者との離婚や死別をしたとき、裁判所から保護命令を受けたときなどです。

減額の時期③:子供が3歳になった月の翌月から5年が経過した

【例】

  1. 児童扶養手当の認定請求をした月:2013年7月
  2. 支給開始月の初日:2013年8月1日
  3. 子供が3歳になった月:2014年2月
  4. 子供が3歳になった月の翌月:2014年3月
  5. 4.から5年が経過したとき:2019年2月末
  6. 減額される時期:2019年3月から

児童扶養手当の認定請求をしたときに子供が3歳未満だった場合、減額措置のカウントは子供が3歳になった月の翌月からスタートします。

関連記事

児童扶養手当はいつからいくら支給?シングルマザーの受給要件は?

児童扶養手当が減額される理由

児童扶養手当は、「家庭の生活の安定と自立の促進」によって子供の心身の健やかな成長に寄与すること」を目的として支給される手当です。

自立の促進という目的があるので、働けるのに働かないなどの事情がある場合には減額されることになるのです。

ただし、全ての受給者が減額されるわけではなく、一定の条件を満たせば、5年または7年が経過した後も引き続き満額を受給し続けることができます。

児童扶養手当の減額措置を受けない要件と手続き

受給者が以下の要件を満たしている場合、児童扶養手当は半額に減額されません。

  1. 就業している
  2. 自立するための活動をしている(求職活動など)
  3. 身体上または精神上の障害がある
  4. 負傷または疾病などで就業が難しい
  5. 子供または親族の障害などがあり、介護のために就業が難しい

※いずれも児童扶養手当の受給資格は満たしている前提

いずれかの要件に当てはまる場合は、減額措置が始まるまでに、市区町村役場に届け出をする必要があります。

届出人受給者
届出先児童扶養手当を支給している市区町村の担当課
届出期間減額措置が開始される前
必要書類
  • 児童扶養手当一部支給停止適用除外事由届出書:役場で入手
  • 手当の支給額が2分の1に減額されない要件を確認できる書類など
  • 認印:シャチハタは不可
  • 本人確認書類:運転免許証、パスポートなど

減額措置が開始される1~2ヶ月前になると、市区町村役場から支給額が半額になるという通知と「児童扶養手当一部支給停止適用除外事由届出書」が届くので、通知に従って手続きをしてください。

手当の支給額が2分の1に減額されない要件を確認できる書類は、要件ごとに異なります。

就業している

  • 会社員の場合:雇用証明書、賃金支払明細書のコピー、健康保険証のコピーなど
  • 自営業の場合:自営業従事申告書など

※いずれか1つ

自立するための活動をしている(求職活動など)

  • 求職活動中の場合:求職活動等申告書と申告内容に関する証明書
  • 雇用保険法に規定する求職者給付(傷病手当を除く)を受給している場合:受給資格者証のコピーなど
  • 公共職業訓練を受けている場合:職業安定所(ハローワーク)による受講指示書のコピーなど
  • 職業能力の開発と向上のために専修学校その他養成機関に在学している場合:在学証明書など

※いずれか1つ

身体上または精神上の障害がある

  • 身体障害者手帳(1~3級)のコピー
  • 療育手帳(A判定)のコピー
  • 精神障害者手帳(1級、2級)のコピーなど

※いずれか1つ

負傷または疾病などで就業が難しい

  • 特定疾患医療受給者証のコピー
  • 特定疾病療養受療証のコピー
  • 相当期間、負傷・疾病の療養など必要であることが書かれたかかりつけ医の診断書
  • その他、負傷や疾病などで就業が困難であることを明らかにできる書類

※いずれか1つ

子供または親族の障害などがあり、介護のために就業が難しい

  • 身体障害者手帳(1~3級)のコピー
  • 療育手帳(A判定)のコピー
  • 精神障害者手帳(1級、2級)のコピー
  • 特定疾患医療受給者証のコピー
  • 特定疾病療養受療証のコピー
  • 特別児童扶養手当証書のコピー
  • 親族が要介護状態にあることを明らかにできる書類
  • 児童や親族が障害・負傷・疾病・要介護状態などに類する状態にあり、介護が必要であることを明らかにできる書類

※いずれか1つ

民生委員が自宅を訪問し、介護状況を確認して証明する方法が一般的ですが、障害者手帳などの提出を求められることも多くなっています。

児童扶養手当一部支給停止適用除外事由届出書は現況届にも添付する

減額措置を受けないために提出する「児童扶養手当一部支給停止適用除外事由届出書」は、毎年8月、現況届の提出時にも作成することになります。

減額されない要件を満たすことを確認できる書類を添付して、現況届と一緒に提出します。

関連記事

児童扶養手当の現況届とは?書き方と必要書類は?未提出で支給停止?

>>>「シングルマザー」の記事一覧に戻る

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権
    離婚後単独親権に対する問題提起や批判は以前からありましたが、近年、欧米諸国などで採用されている離婚後…
  2. 専業主婦 離婚 準備
    「専業主婦(主夫)だけど離婚したい。でも、離婚後の生活が不安。」、「離婚したいが、専業主婦は離婚後に…
  3. 離婚協議書 公正証書
    協議離婚する場合、離婚することと諸条件について夫婦で話し合い、合意した内容を離婚合意書にまとめた上で…
  4. 離婚調停 相手方 準備
    「ある日突然、見知らぬ住所と差出人の名前が書かれた茶封筒が自宅のポストに届き、中を開けてみると「調停…
  5. 弁護士会照会制度
    離婚紛争を弁護士に依頼すると高額な費用がかかりますが、依頼によって得られるメリットもあります。 …
  6. モラハラ 離婚
    配偶者のモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。 しかし…
  7. 離婚調停 成立 調停条項
    離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件面の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。 …
  8. 養育費 強制執行 手続き 流れ
    夫婦間で取り決めた養育費が支払われない場合の対応には、履行勧告、履行命令、強制執行があります。 …
  9. 離婚 弁護士費用 相場
    離婚を弁護士に依頼する場合、注意しなければならないのが弁護士費用です。 「離婚 弁護士費用 相…
  10. 離婚調停 弁護士
    「離婚調停で弁護士は必要か。」と聞かれたら、弁護士としての立場では「必要です。ぜひご依頼ください。」…

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権

    選択的共同親権とは?法務省が検討する「離婚後の親権の選択制」の意味

  2. 専業主婦 離婚 準備

    専業主婦の離婚準備:仕事と生活費、子どもの親権、年金のことなど

  3. 離婚協議書 公正証書

    離婚協議書を自分で作成:書き方サンプル付き!公正証書の作り方も解説

  4. 離婚調停 相手方 準備

    離婚調停を申し立てられた相手方が調停第1回期日までに準備すること

ページ上部へ戻る