再婚した場合の児童手当の受給者は?受給者は再婚相手になる?

子供を連れて再婚した場合、「児童手当の受給者を再婚相手に変更する必要があるのか。」、「再婚相手と子どもに養子縁組させると受給者が変わるのか。」などと児童手当の受給者に関する悩みを抱えることがあります。

児童手当の受給者

児童手当の受給者(申請者)は、生計中心者(主に生計を担っている、子どもの父または妻)です。

もう少し詳しく言うと、以下のような項目を総合的に判断して決定されます。

  • 父母の所得(恒常的に所得の高い父または母)
  • 所得税などの扶養控除の適用状況(子どもが父母いずれの被扶養者か)
  • 子供に関する手当の状況(父母いずれに支払われているか)
  • 健康保険の適用状況(子供は父母いずれの扶養親族か)
  • 住民票上の扱い(父母のいずれが世帯主か)

共働きの場合は、恒常的に所得が高い父または母が受給者になるのが原則です。

父母が別居中の場合

父母が離婚協議中で別居しており、そのことを証明する資料がある場合は、「児童手当における受給者の同居優先認定」制度が適用され、子どもと同居する父または母が受給者になることができます。

児童手当における受給者の同居優先認定を受けるには、「児童手当・特例給付の受給資格に係る申立て」と「児童手当認定請求」という2つのステップを踏む必要があります。

児童手当・特例給付の受給資格に係る申立て別居後に子供と同居する人に児童手当の受給資格があることを確認する手続き
児童手当認定請求新たに児童手当受給の認定を請求する手続き

別居に伴って住民票を異動させていない場合は、児童手当における受給者の同居優先認定を受けることができません。

ただし、別居中で住民票上の住所が同じでも、世帯分離をしていれば別居とみなされ、児童手当の受給者を変えられるこことがあります。

父母が別居した場合の児童手当の受給者を変更する方法については、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事

離婚や別居時に児童手当の受給者を夫から妻に変更する方法を解説

再婚後の児童手当の受給者

再婚後の児童手当の受給者は、再婚相手と子どもが養子縁組をしたかどうか、父母の収入によって異なります。

再婚相手の収入(あなたと比べて)
少ない多い
養子縁組なし
  • 氏名変更届
  • 振込先口座依頼書
あり
  • 氏名変更届
  • 振込先口座依頼書
受給者変更手続き

再婚相手と子どもの養子縁組なし、収入は再婚相手<あなた

再婚後も再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合、両者の間には法律上の父子関係は存在せず、単なる同居者のような関係です。

再婚相手に子供を扶養する義務はなく、再婚相手が死亡しても子どもに相続権は発生しません。

こうした法律上は親子でない状態では、あなたよりも再婚相手の収入が高くても、児童手当の受給者が再婚相手になることはありません。

したがって、受給者を変更する手続は必要ありません。

ただし、再婚後の苗字が変わる場合は氏名変更届が必要です。

また、児童手当は再婚後の苗字に変更した口座へ振り込まれることになるため、振込先口座依頼書を提出しなければなりません。

再婚相手と子どもの養子縁組なし、収入は再婚相手>あなた

再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合は、再婚相手の方が収入が多くても、児童手当の受給者になることはありません。

必要な手続きは、氏名変更届と振込先口座依頼書の提出のみです。

再婚相手と子どもが養子縁組し、収入は再婚相手<あなた

再婚相手と子どもが養子縁組すると、両者の間に法律上の父子関係が生じます。

具体的には、以下のような効力が再婚相手(養親)と子ども(養子)の間に生じることになります。

  • 扶養義務:互いに相手を生活保持義務(あなたと同じ生活水準を送らせる義務)の範囲で扶養する義務
  • 相続権:互いに相手が死亡した場合に相続人になる権利
  • 親権:養親は実親(再婚相手)と一緒に養子の監護教育を行う権利義務を負う

つまり、法律上は実の父子関係と同じ効力が生じ、配偶者と一緒に親として子どもを適切に監護教育する義務を負うことになるのです。

しかし、あなたの方が再婚相手よりも収入が多い場合、「児童手当の受給者(申請者)は、生計中心者(主に生計を担っている、子どもの父または妻)」という原則に基づいて、あなたが受給者のままとなります。

再婚に伴って苗字が変わっていれば、氏名変更届と振込先口座依頼書を提出します。

再婚相手と子どもが養子縁組し、収入は再婚相手>あなた

再婚相手と子どもが養子縁組して両者の間に法律上の父子関係が生じ、再婚相手の方があなたより収入が多い場合は、再婚相手が生計中心者となり、児童手当の受給者となります。

そのため、児童手当の受給者変更手続きをする必要があります。

再婚に伴う児童手当の手続き

再婚に伴って必要になる可能性のある手続きは、上の項目に出てきた氏名変更届(振込先口座依頼書の提出)と児童手当の受給者変更の2つです。

以下、各手続について解説していきます。

氏名変更届(振込先口座依頼書の提出)

正式名称は氏名住所等変更届です。

届出先

住んでいる地域の市区町村役場の児童手当担当課(名称は地域によって異なる)です。

必要書類

  • 児童手当・特例給付氏名住所等変更届:窓口で交付(HP上で書式を掲載している自治体もある)
  • 児童手当・特例給付振込先口座依頼書:同上
  • 名義変更済みの振込先口座情報が分かる資料:口座通帳やキャッシュカードなど
  • 本人確認書類:運転免許証、住民基本台帳カード、パスポートなど
  • 印鑑:認印可、シャチハタ不可

児童手当の受給者変更

再婚相手と子どもが養子縁組し、再婚相手の方があなたより収入が多い場合は、児童手当の受給者をあなたから再婚相手に変更する必要があり、「再婚相手を申請者・受給者とする児童手当の認定請求」をすることになります。

児童手当・特例給付受給事由消滅届の提出

再婚相手を受給者とする児童手当の申請をするには、事前にあなたの受給事由が消滅したことを届け出なければなりません。

児童手当・特例給付受給事由消滅届は、区町村役場の窓口で交付してもらえる他、自治体のウェブサイトに書式が掲載されていることもあります。

消滅届を作成して提出・受理されると受給者ではなくなり、児童手当の支給が停止されます。

消滅届の提出はあなた自身が行わなければなりません。

再婚相手が児童手当の認定請求をする

あなたへの児童手当の支給が停止されたら、今度は再婚相手が児童手当の認定請求をします。

請求に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 児童手当・特例給付認定請求書
  • 養子縁組受理証明書または戸籍謄本(養子縁組をした事実が確認できる書類)
  • 印鑑(認印可能、シャチハタは不可)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)
  • 請求者名義の預金通帳など(児童手当の振込みを希望する口座の情報)
  • 請求者、配偶者及び児童(別居中の場合のみ)のマイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードまたはマイナンバー通知カード、マイナンバーの記載された住民票のコピー)
  • 請求者本人の健康保険証(厚生年金などに加入中の場合)

このほかにも追加で資料提出を求められることがあります。

認定されると、認定通知書が申請者宛に送付されます。

手続きをするタイミング

児童手当が支給されるのは、2月、6月、10月の年3回(各回、前月までの4ヶ月分)です。

2月10月~翌年1月分
6月2月~5月分
10月6月~9月分

例えば、1月に児童手当の受給者変更の申請をすると、2月支給分の児童手当は前の受給者に支給されます。

離婚後の受給者が元配偶者の場合は早急に手続きが必要ですが、あなた自身であれば急いで手続きする必要はありません。

ただし、養子縁組の有無や収入などの実態に即して受給者を決めるのは大切なことであり、再婚後はできるだけ早めに手続きしておきましょう。

>>>「シングルマザー」の記事一覧に戻る

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権
    離婚後単独親権に対する問題提起や批判は以前からありましたが、近年、欧米諸国などで採用されている離婚後…
  2. 専業主婦 離婚 準備
    「専業主婦(主夫)だけど離婚したい。でも、離婚後の生活が不安。」、「離婚したいが、専業主婦は離婚後に…
  3. 離婚協議書 公正証書
    協議離婚する場合、離婚することと諸条件について夫婦で話し合い、合意した内容を離婚合意書にまとめた上で…
  4. 離婚調停 相手方 準備
    「ある日突然、見知らぬ住所と差出人の名前が書かれた茶封筒が自宅のポストに届き、中を開けてみると「調停…
  5. 弁護士会照会制度
    離婚紛争を弁護士に依頼すると高額な費用がかかりますが、依頼によって得られるメリットもあります。 …
  6. モラハラ 離婚
    配偶者のモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。 しかし…
  7. 離婚調停 成立 調停条項
    離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件面の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。 …
  8. 養育費 強制執行 手続き 流れ
    夫婦間で取り決めた養育費が支払われない場合の対応には、履行勧告、履行命令、強制執行があります。 …
  9. 離婚 弁護士費用 相場
    離婚を弁護士に依頼する場合、注意しなければならないのが弁護士費用です。 「離婚 弁護士費用 相…
  10. 離婚調停 弁護士
    「離婚調停で弁護士は必要か。」と聞かれたら、弁護士としての立場では「必要です。ぜひご依頼ください。」…

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権

    選択的共同親権とは?法務省が検討する「離婚後の親権の選択制」の意味

  2. 専業主婦 離婚 準備

    専業主婦の離婚準備:仕事と生活費、子どもの親権、年金のことなど

  3. 離婚協議書 公正証書

    離婚協議書を自分で作成:書き方サンプル付き!公正証書の作り方も解説

  4. 離婚調停 相手方 準備

    離婚調停を申し立てられた相手方が調停第1回期日までに準備すること

ページ上部へ戻る