母子家庭の税金(住民税):非課税世帯とは?免除の年収はいくらまで?

住民税

母子家庭のシングルマザーは、所得が低い場合、住民税の負担を免除・軽減できることがあります。

住民税が免除・軽減されることで、税金を支払うはずだった金銭を日常生活に回すことができるようになります。

また、住民税の課税金額は保育料や高校の支援制度などに影響するため、住民税を抑えることのメリットは大きいと言えます。

しかし、住民税の免除・軽減の制度を知らなかったり、知ってはいるけれど利用できていなかったりする人は少なくありません。

住民税とは

住民税とは、地方税の一つで、道府県民税と市町村民税(東京23区は特別区民税)を合わせたものの呼び方です。

住民税の課税方法

住民税は、市町村が税額を計算して課税する賦課課税方式が採用されており、1月1日時点で住んでいる市区町村(原則として住民票のある住所地)で課税されます。

1月2日以降に他の市区町村へ転居した場合も、1月1日時点で住んでいた市区町村に住民税の全額を納付することになり、転居先の市区町村では課税されません。

例えば、1月1日時点で大阪府枚方市に住んでいた人が、1月2日に大阪府高槻市に転居した場合、住民税の全額を大阪府枚方市に納付することになります。

住民税の納税時期

住民税の納税時期は、翌年6月から翌々年5月です。

毎年5月に、住民税の予定額が通知されます。

なお、住民税額については、1月1日から12月31日までの所得に基づいて計算されています。

住民税の仕組み

住民税(道府県民税と市町村民税)は、基本的に所得割と均等割の2つから構成されています。

所得割 前年の1月から12月の所得に応じて納税
均等割 同じ自治体に住む、税金を負担する能力を有する人が均等に納税

つまり、住民税は、道府県民税と市町村民税それぞれの所得割と均等割りで構成されているということです。

道府県民税の所得割 道府県民税の均等割
市町村民税の所得割 市町村民税の均等割

なお、住民税には利子割、配当割、株式譲渡所得割もありますが、この記事では解説する必要性が低いため割愛しています。

住民税の税率・税額

住民税の所得割の税率と均等割の税額は、以下のとおりです。

道府県民税 市町村民税 合計
所得割 4% 6% 10%
均等割 1,500円 3,500円 5,000円

※均等割は、臨時特例法対象期間(2014年から2023年)の金額(道府県民税と市町村民税いずれも500円増)を表示

上記の表の記載は標準税率や税額であり、独自の税率や税額を定めている自治体もあります。

  • 神奈川県:水源環境保全・再生のため、県民税所得割の税率に00.025%を上乗せ、県民税均等割の税額に300円上乗せ
  • 名古屋市:市民税の減税を実施し、市民税所得割の税率が7.7%に減率、市民税均等割の税額が200円減額

住民税が非課税(免除)になる場合

住民税が非課税になる場合について、所得割と均等割を区別してみておきます。

所得割・均等割の両方が非課税(免除)
以下のいずれかの要件を満たす人

  • 生活保護(生活保護法による生活扶助を受けている)
  • 未成年者、障害者、寡婦(特別の寡婦、寡夫)で、前年の合計所得金額が125万円以下(年収が約204万円以下)
  • 前年の合計所得金額が、各地方自治体の定める金額以下
所得割が非課税(免除)
所得<35万円×(控除対象配偶者・扶養親族の合計数+1)+32万円

※控除対象配偶者または扶養親族がいない場合は35万円(32万円も加算されない)

均等割が非課税(免除)
所得<35万円×(控除対象はいぐうしゃ・扶養親族の合計人数+1)+21万円

※控除対象配偶者または扶養親族がいない場合は35万円(21万円も加算されない)

なお、所得割や均等割の非課税基準は、各地方自治体によって異なります。

住民税の非課税世帯とは(世帯年収はいくらまでか)

住民税の非課税世帯とは、住民税の課税が免除される世帯のことです。

住民税(所得割と均等割の両方)が非課税(免除)されるには、以下のいずれかの要件を満たさなければなりません。

  • 生活保護
  • 寡婦または特別の寡婦で、前年の合計所得金額が125万円以下
  • 前年の合計所得金額が、各地方自治体の定める金額以下

「前年の合計所得金額が、各地方自治体の定める金額以下」という要件については、住んでいる地域で具体的な金額を確認する必要がありますが、一般的には以下のような要件が設けられています。

  • 扶養家族がいない:合計所得金額<35万円(給与収入の場合は約100万円以下)
  • 扶養家族がいる:合計所得金額<35万円×(本人+扶養親族の人数)+21万円

住民税が免除される世帯年収はいくらか

所得は、会社員であれば「年収−給与所得控除」、自営業などであれば「収入-必要経費」で算出されます。

住民税非課税世帯となるための要件である「世帯全員の合計所得金額が125万円以下」というのは、世帯年収が204万円以下の場合です。

「世帯年収が125万円以下」だと誤解する人が多いので、注意してください。

母子家庭が住民税非課税世帯となる場合

以上を踏まえると、母子家庭のシングルマザーの場合、寡婦または特別の寡婦で、前年の合計所得金額が125万円以下(年収が約204万円以下)の場合に、住民税「所得割と均等割の両方」が非課税(免除)になります。

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住民税が非課税か否かを確認する方法

前年の合計所得金額が125万円以下(年収が約204万円以下)かどうかは、源泉徴収票で確認することができます。

  • 前年の合計所得金額が125万円以下:源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄<125万円
  • 前年の年収が約204万円以下:源泉徴収票の「支払金額」欄<約204万円

母子家庭のシングルマザーの住民税の計算方法(給与所得者の場合)

住民税の計算方法について、具体的な事例で確認していきます。

なお、復興特別所得税については加味していません。

事例のプロフィール

  • 氏名:C子さん
  • 性別:女性
  • 年齢:45歳
  • 勤務形態:派遣社員
  • 年収:250万円
  • 1年間に支払った社会保険料:25万円
  • 1年間に支払った医療費15万円(C子さん本人と子どもの合計額)
  • 生命保険料:5万円
  • 家族構成:夫と離婚して子ども(18歳)と2人暮らし

前年所得の確認

会社員の所得とは、前年の1月1日から12月31日までの1年間に得た収入(年収)から給与控除所得を差し引いた金額です。

給与所得控除とは、会社員の所得税などの計算をするときに年収から差し引くものです。

個人事業主は自分で必要経費を差し引くことができますが、会社員はそうしたことができません。

そのため、税負担に関して個人事業主との公平性を担保するために、年収に応じて給与所得控除を差し引く仕組みが設けられているのです。

年収に応じた給与所得控除額は、以下のとおりです。

給与収入(支払金額) 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%(65万円未満の場合65万円)
180万円超360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超 220万円(上限)

※2017年(平成29年)~

C子さんの場合

C子さんの年収は250万円なので、給与所得控除額は「180万円超360万円以下」の収入金額×30%+18万円です。

  • 給与所得控除額:250万円×0.3+18万円=93万円

前年所得は、年収から給与所得控除額を差し引きます。

前年所得:250万円-93万円=157万円

所得控除額の計算

所得控除とは、税金を治める人の個別の事情を考慮し、税負担を調整するための制度です。

所得控除には、以下の種類があります。

  1. 雑損控除:災害、盗難、横領など資産が侵害された場合の控除
  2. 医療費控除:医療費を支払った場合の控除
  3. 社会保険料控除:社会保険料を支払った場合の控除
  4. 小規模企業共済等掛金控除:共済契約に基づく掛け金を支払った場合の控除
  5. 生命保険料控除:生命保険料を支払った場合の控除
  6. 地震保険料控除:地震保険料を支払った場合の控除
  7. 寄附金控除:寄付をした場合の控除(ふるさと納税でも利用できる)
  8. 障害者控除:障害者である場合の控除
  9. 寡婦控除・寡夫控除:寡婦(特別の寡婦)や寡夫である場合の控除
  10. 勤労学生控除:勤労学生である場合の控除
  11. 配偶者控除:所得が38万円以下の配偶者がいる場合の控除
  12. 配偶者特別控除:所得が38万円を超える配偶者がおり、一定の要件を満たす場合の控除
  13. 扶養控除:扶養親族がいる場合の控除
  14. 基礎控除:個別事情に関わらず一律に33万円控除

どの所得控除が適用されるかは、扶養親族の有無、生命保険料支払いの有無、寡婦の要件を満たすか否かなど個別の事情によって異なります。

適用される所得控除を足し合わせ、所得控除の合計額を計算します。

C子さんの場合

C子さんに適用される所得控除は、以下のとおりです。

  • 基礎控除:一律33万円
  • 扶養控除:33万円(子どもが18歳)
  • 社会保険料控除:15万円(支払った社会保険料全額)
  • 生命保険料控除:3万円(支払った保険料×1/4+17,500円)
  • 寡婦控除(特別の寡婦):30万円(離婚、扶養親族の子ども、合計所得金額の要件をすべて満たす)

所得控除の合計額=33万円+33万円+15万円+3万円+30万円=114万円

課税所得の計算

課税所得とは、年収から、非課税の手当などと所得控除を差し引いた所得です。

課税所得の計算式は、以下のとおりです。

  • 課税所得=前年所得(前年の年収-給与所得控除額-非課税の手当など)-所得控除合計額

非課税の手当など

非課税の手当などには、以下のものがあります。

  • 通勤手当
  • 旅費
  • 研修にかかる費用
  • 勤務に必要な衣服の購入費
  • 接待費

C子さんの場合

C子さんの前年所得136万円から所得控除合計額114万円を差し引いて課税所得を計算します。

課税所得:157万円-114万円=43万円

所得割額の計算

所得割額は、原則として道府県民税が4%、市町村民税が6%です。

道府県民税 市町村民税 合計
所得割 4% 6% 10%

C子さんの場合

  • 道府県民税:43万円×0.04=17,200円
  • 市町村民税:43万円×0.06=25,800円

所得割額:8800円+13,200円=43,000円

均等割額の計算

均等割額は、原則として道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円です。

道府県民税 市町村民税 合計
均等割 1,500円 3,500円 5,000円

C子さんの場合

  • 道府県民税:1,500円
  • 市町村民税:3,500円

均等割額の合計:1,500円+3,500円=5,000円

調整控除額の計算

調整控除額とは、所得控除のうち人的控除額(基礎控除、配偶者控除、扶養控除)に住民税と所得税で控除額に差があることから、税負担を調整するために導入されている制度です。

同じ所得額でも、住民税の方が所得税より課税所得が多くなるため、住民税の所得割額から一定額を控除(調整控除額)して調整します。

調整控除額の計算方法は、以下のとおりです。

課税所得が200万円以下 以下のいずれか少ない金額の5%

  • 所得税と住民税の人的控除額の差額の合計額
  • 課税所得額
課税所得が200万円以上
  • (所得税と住民税の人的控除額の差額の合計額-(課税所得額-200万円))×5%

※2,500円未満の場合は2,500円

C子さんの場合

C子さんの課税所得22万円で「課税所得が200万円以下」で調整控除額を計算します。

  • 所得税と住民税の人的控除額の差の合計額:15万円(基礎控除5万円+扶養控除5万円+寡婦控除5万円)
  • 課税所得額:43万円

所得税と住民税の人的控除額の差の方が額が少ないので、こちらを採用します。

調整控除額:15万円×0.05=7,500円

住民税額の計算

住民税額は、以下の計算式で計算します。

  • 住民税額=所得割額+均等割額-調整控除額

C子さんの場合

  • 所得割額:43,000円
  • 均等割額:5,000円
  • 調整控除額:7,500円

住民税額:43,000円+5,000円-7,500円=40,500円

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所得の低い母子家庭のシングルマザーは、一定の要件を満たすことで所得税も免除・減額されることがあります。

詳細については、関連記事で解説しています。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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