母子家庭の住宅手当・家賃補助を受ける条件を解説!シングルマザーは住宅費免除?

母子家庭(シングルマザー)は、住んでいる地域によっては、市区町村が定める一定の要件を満たすことで住宅手当(家賃補助)を受けられます。

母子家庭のシングルマザーが抱えやすい問題の一つに経済的な困窮があります。

中でも、月々の家賃負担は母子家庭の家計を大きく圧迫する要因となるので、市区町村から手当や補助を受けることができれば、それだけ金銭面の負担を軽くすることができます。

しかし、母子家庭の住宅手当・家賃補助制度を知らなかったり、申請方法が分からず手続せずにいたりするシングルマザーが少なくありません。

そこで、この記事では、母子家庭の住宅手当・家賃補助を利用できる条件と地域について解説します。

母子家庭の住宅手当と家賃補助とは

母子家庭の住宅手当・家賃補助とは、母子家庭などの生活の安定と向上を図る目的で、母子家庭のシングルマザー(ひとり親)が月々負担する家賃の一部を助成する制度です。

市区町村が独自に実施する母子家庭向けの制度で、国が規定する制度ではありません。

2019年10月時点では制度を設けている市区町村は限定的であり、利用を希望する場合は事前に住んでいる市区町村の窓口に確認しておく必要があります。

名称も市区町村によって異なり、母子家庭の住宅手当、母子家庭の家賃補助、母子家庭の住宅補助、母子家庭等家賃助成など様々です。

この記事では、「母子家庭の住宅手当・家賃補助」と記載しています。

父子家庭(ひとり親家庭)も対象となることが多い

母子家庭の住宅手当・家賃補助は、制度の名称に「母子家庭の」と付いていることが多いものです。

しかし実際は、父子家庭も対象に含め、「ひとり親家庭」に対する手当や補助として制度を整備している市区町村が大半です。

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母子家庭の住宅手当・家賃補助の受給資格(対象者)

母子家庭の住宅手当・家賃補助制度を設けている市区町村が規定している受給資格は、以下の要件を全て満たすことです。

受給資格
  • ひとり親家庭のシングルマザーなどで、子供と同居して養育している
  • 制度を実施する市区町村の中に住所がある
  • 民間の賃貸住宅に家賃を支払って住んでいる
  • 家賃月額が一定額以下
  • 所得が一定額以下
  • 生活保護法の住宅扶助を受けていない

受給資格は市区町村によって微妙に異なることがあります。

制度実施の有無と一緒に確認してください。

ひとり親家庭のシングルマザーなどで、子供と同居して養育している

子供とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子供のことです。

母子家庭のシングルマザーだけでなく、父子家庭のシングルファザーや父母がいない子供を養育する祖父母なども受給の対象となります。

具体的には、以下のような子供と同居して養育している人が対象です。

受給資格の「子供」
  • 父母が離婚した子供
  • 父または母が死亡した子供
  • 父または母に一重度の障害がある子供
  • 父または母が生死不明の状態にある子供
  • 父または母から1年以上遺棄されている子供
  • 父または母が1年以上拘禁されている子供
  • 未婚の母が出産した子供(未婚のシングルマザーが産んだ非嫡出子など)
  • 保護命令を受けている子供

制度を実施する市区町村の中に住所がある

母子家庭の住宅手当・家賃補助制度は、各市区町村の制度です。

したがって、制度を利用するには、制度を設けている市区町村に住んでいる(住民票がある)必要があります。

民間の賃貸住宅に家賃を支払って住んでいる

制度の対象となるのは、原則として民間の賃貸住宅に住んで家賃を支払っている人です。

例えば、社宅、社員寮、公営住宅(市営住宅、県営住宅、都営住宅など)、UR賃貸住宅などに住んでいる人は対象から除外されます。

また、元夫や三親等以内の親族が所有する住宅に住んでいる場合も、家賃を支払っていたとしても対象にはなりません。

家賃月額が一定額以下

所得の低い母子家庭などの生活の安定と向上を図るための制度なので、高額な家賃を支払っている場合は対象から除外されます。

家賃月額の上限額については、各市区町村が独自に定めています。

所得が一定額以下

所得の低い母子家庭などの生活の安定と向上を図るための制度なので、所得制限が設けられています。

所得制限は子供など扶養親族の人数によって変動します。

扶養親族などの人数所得額
0人192万円未満
1人230万円未満
2人268万円未満
3人306万円未満

扶養人数が1人増えるごとに、所得制限限度額が38万円ずつ加算されます。

対象となるのは前年または前々年の所得

制度利用で審査対象となるのは、前々年の所得(1~3月に申請する場合)または前年の所得(4~12月に申請する場合)です。

申請する年の所得ではないので、注意してください。

所得=年収ではない

所得と年収は混同されがちですが、違うものです。

会社員の場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されている金額から、所得控除合計額を差し引いた金額です。

所得の計算方法については、関連記事で詳しく解説しています。

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母子家庭の税金対策:所得税が控除されるシングルマザーの年収は?

生活保護の住宅扶助を受けていない

生活保護の住宅扶助を受けている場合、併せて母子家庭の住宅手当・家賃補助を受けることはできません。

なお、住宅に関するその他の手当などを受けている場合も、対象から除外されます。

母子家庭の住宅手当・家賃補助の申請方法

まず、住んでいる地域の市区町村役場の生活支援担当窓口(名称は市区町村によって異なる)で、制度の有無を確認します。

制度を設けている場合、申請書類を受け取り、申請に必要な資料を教えてもらいます。

市区町村の多くが申請時に提出を求める書面や資料は、以下のとおりです。

必要書類
  • 申請書
  • 借家賃貸借契約書の写し
  • 児童扶養手当証書
  • 戸籍謄本
  • 所得証明書
  • 家賃領収書などのコピー
  • 住民税課税・非課税証明書
  • 申請者名義の口座がわかるもの:振込用
  • 印鑑:認印で可、シャチハタは不可

その他にも提出を求められる可能性があるため、担当窓口で確認してください。

母子家庭の住宅手当・家賃補助の支給額

母子家庭の住宅手当・家賃補助制度がある主な市区町村、制度の名称、支給額は、以下のとおりです。

市区町村名称月額または上限額
山形県遊佐町遊佐町ひとり親家庭等家賃助成制度上限1万円
東京都東久留米市ひとり親家庭住宅手当3,500円
東京都東村山市ひとり親家庭等家賃補助5,000円
東京都武蔵野市ひとり親家庭住宅費助成1万円(家賃が1万円以下の場合は家賃全額)
東京都国立市住宅費助成上限1万円(家賃の1/3)
千葉県浦安市ひとり親家庭住宅手当上限1万5,000円
千葉県君津市ひとり親家庭住宅手当上限5,000円
埼玉県蕨市ひとり親世帯民間賃貸住宅家賃助成
  • 6,000円(家賃1~3万円)
  • 10,000円(家賃3~6万円)
神奈川県海老名市母子・父子家庭のための住宅手当家賃月額により3,000~7,000円
神奈川県大和市ひとり親家庭等家賃助成上限10,000円
神奈川県厚木市母子家庭等家賃助成家賃月額により1,300~1万円
神奈川県鎌倉市ひとり親家庭などへの家賃助成上限8,000円(家賃月額から15,000円を控除した額)
茨城県石岡市子育て世帯家賃助成補助金上限2万円(勤務先の住宅手当を差し引いた額)
富山県富山市ひとり親家庭等家賃助成事業上限1万円(勤務先の住宅手当を差し引いた額)

※2019年10月時点

各自治体が独自に実施している制度なので、名称も家賃の補助額もバラバラです。

母子家庭の住宅手当・家賃補助の支給時期

児童扶養手当と同じく、3~4ヶ月ごとにまとめて指定口座へ振り込む方法により支払われる市区町村が多くなっています。

例えば、2月(10~1月分)、6月(2~5月文)、10月(6~9月分)の年3回、各前月までの分が支払われる自治体があります。

また、支給日は各市区町村によって異なります。

例えば、支給期月の15日前後や月末などに支払われます。

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まとめ

母子家庭の住宅手当・家賃補助は、賃貸住宅に住むシングルマザー(ひとり親)で一定の要件を満たす人について、家賃の一部が補助される制度です。

各自治体がひとり親家庭支援の一環として実施している制度なので、住んでいる自治体によって実施の有無や補助の内容が異なります。

事前に住んでいる地域の役場に確認しておきましょう。

実施されている場合は、利用することで家賃の負担が軽くなり、生活の質を向上させることができます。

なお、「シングルマザーなら住宅費が免除される」と勘違いされる人がいますが、免除ではなく補助です。

家賃が100%免除されるケースはごく稀なので、注意してください。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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