住民税:退職後の支払い手続を解説!再就職までは普通徴収か一括徴収?

「退職すると住民税の支払いはどうするの。」「退職後の住民税は高いと聞くけど、減免できるの。」などと不安を抱える人は少なくありません。

一方で、「退職後は収入がなくなるので住民税の支払は必要ない。」と思っている人もいますが、退職後も住民税を支払わなければなりません。

この記事では、退職後の住民税の支払方法、住民税の減免の手続き、再就職した場合について解説します。

退職後の住民税の支払方法

住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納付する地方税の1つです。

前年の1年間(1月1日から12月31日まで)の所得(収入)に対して課税され、ある年の6月から翌年の5月までに後払いする仕組みになっています。

ある年に支払う住民税は、前年の収入に対して発生しているので、前年に所得があった人は退職した後も住民税を支払う必要があります。

退職後に無職で収入がなくなっても、住民税の支払義務は残ります。

例えば、2018年6月から2019年5月までに支払った住民税は、2017年1月1日から12月31日までに働いて得た所得に対する住民税です。

前年2017年1月~12月の所得
本年前年の所得に基づいて住民税の算出
2018年6月~2019年5月まで住民税を12回払い
翌年

※特別徴収の場合

住民税の支払方法は「特別徴収」と「普通徴収」の2つ

住民税の支払方法には、特別徴収と普通徴収の2つあります。

徴収方法支払方法
特別徴収毎月の給与や年金から天引きされる
普通徴収納税者が納付書や口座振替によって自分で支払う

2017年度からは、全国的に住民税の特別徴収が徹底されており、会社に勤めていれば毎月の給与から住民税が天引きされ、会社から市区町村へ納付されています(特別徴収)。

しかし、退職後は、給与がなくなり、勤務先も住民税の支払を代行してくれなくなるので、自分で納税することになります。

住民税の支払方法

退職後に住民税を支払う方法は、一括徴収と分割納付(普通徴収)の2種類があります。

一括徴収

一括納付とは、ある年に支払う住民税の残額について、退職前の最後の給与から一括で住民税を天引きしてもらい、会社から市区町村へ支払ってもらう方法です。

例えば、11月に退職する場合、11月分の給与から7ヶ月分(11月~5月分)の住民税が天引きされます。

毎月、住民税が2万円ずつ天引きされていた人の場合、2万円×7ヶ月=14万円を一括で支払うことになります。

しかし、一括徴収されると家計へのダメージが大きい人も多いので、普通徴収を選択することもできるようになっています。

普通徴収

普通徴収を選択した場合、市区町村から届く納付書をコンビニなどに持っていき、住民税を支払います。

普通徴収の場合、前年の所得に対する住民税を4回(6月、8月、10月、翌年の1月)に分けて支払うことになります。

例えば、2018年8月に退職した場合、10ヶ月分の住民税を10月と翌年の1月の2回に分けて支払います。

前年2017年1月~12月の所得
本年前年の所得に基づいて住民税の算出
6月、7月分は給与から天引き
8月に退職
10月、翌年1月に10ヶ月分(8月~翌年5月分)の住民税を支払う
翌年

※地域によって支払月が異なることがある

納付する税金額は一括徴収の場合と同じで、自分で支払う手間はかかりますが、一括で支払うよりは家計への負担が少なくて済みます。

先ほどの9月に退職した人の例に当てはめた場合、住民税(9ヶ月分)の支払いを2回払い(10月31日までと翌年1月31日まで)にすることができます。

一括徴収は負担が大きいので、一般的には普通徴収に切り替えることが推奨されています。

退職時期によって支払方法が限定される

退職時期支払方法
1月1日~4月30日一括徴収のみ

(5月は特別徴収の最終月なので、一括徴収でも5月分しか天引きされない)

5月1日~5月31日
6月1日~12月31日一括徴収か普通徴収を選択できる

一括徴収と普通徴収を選択できるのは、5月1日から12月31日に退職した場合です。

1月1日から4月30日に退職する場合、普通徴収は選択できず、必ず一括徴収されることになります。

厳密に言えば、5月に退職する場合も一括徴収されるのですが、5月は特別徴収の最終月なので、通常通り1ヶ月分(5月分)だけが徴収されます。

6月から12月に退職する場合、退職する月の給与からその月の住民税が天引きされますが、普通徴収を選択すれば、残りの住民税については納付書で分割払いすることができます。

支払方法の切り替え

住民税の支払方法の切り替えは、退職前に担当部署に希望する方法を伝えておけば、手続きをしてくれます。

担当部署の職員は、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を作成して市区町村へ提出しますが、その際に、特別徴収から普通徴収または一括徴収に切り替えることを届出書に記載します。

退職した翌年の住民税

住民税は、前年の収入に対して算出され、ある年の6月から翌年の5月に後払いするものです。

そのため、退職後は前年の住民税を支払い、翌年は退職した年の住民税を支払う必要があります。

【例】

2017年8月に退職し、普通徴収を選択した場合

  • 2017年8月分まで:前年の収入に対する住民税(6月~8月分)を、給与からの天引きで支払う支払う
  • 2017年9月~2018年5月:前年の収入に対する住民税(9月~翌年5月分)を、普通徴収で支払う
  • 2018年6月~2019年5月:退職した年の収入に対する住民税(1月~8月)を普通徴収で支払う

「退職した年に前年分の住民税を支払えば、支払いは終わり」だと思っている人が多いですが、退職した翌年には、退職した年の収入に対する住民税を支払う必要があります。

上の例の場合、2017年9月以降は退職して無職なので、同年の1月から8月分について、2018年6月から普通徴収で支払います。

退職した後に無職で収入がない状態が続いていれば、2019年6月以降は住民税の支払は発生しません。

再就職した場合の住民税の支払方法

退職時に再就職先が決まっている場合、手続きをすれば特別徴収を継続することができます。

具体的には、再就職先が市区町村に「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出するときに、「転勤(転職)等による特別徴収届出書」の欄に必要事項を記入してもらうのです。

2017年以降は、特別徴収が従業員や事情主の意思で特別徴収を中止できなくなっているので、何もしなくても再就職先が特別徴収を継続する手続きをしてくれます。

異動届出書が提出されるまでの流れ

異動届出書は、通常は従業員が目にすることはありませんが、市区町村に提出されるまでの流れを知っておくと、万が一、手続きに不備があったときに担当部署などに問い合わせることができます。

  1. 現在の勤務先が異動届出書を作成して必要事項を記入
  2. 現在の勤務先が再就職先へ送付
  3. 再就職先が必要事項を記入し、「転勤(転職)等による特別徴収届出書」にも記入して市区町村に提出

異動届出書は、異動事由(退職や再就職など)が生じた月の翌月10日までに提出されます。

ただし、特別徴収の継続には1~2ヶ月程度かかることもあり、その期間は、市区町村から届いた納付書で住民税を納付することになります。

特別徴収の継続の手続きにかかる期間は会社による差が大きいので、再就職先に確認してください。

退職してから期間を空けて再就職する場合

退職後、再就職するまでに期間が空く場合は、退職時に一括徴収か普通徴収に切り替えて住民税を支払い、就職後に特別徴収に切り替えることになります。

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離婚ハンドブック編集部

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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