寡婦控除とは?住民税の控除額と要件は?特別寡婦控除でいくら戻るか?

寡婦控除は、母子家庭のシングルマザーなどの所得税や住民税の負担を少なくする制度です。

しかし、「聞いたことはあるけど、税金のことってややこしそう。」、「何となく手続きが面倒くさそう。」などと敬遠してしまう人は少なくありません。

また、「住民税はいくら戻るの?」「所得(収入)がいくらなら所得税が免除されるの?」などと関心を持ちながら放置してしまい、経済的に苦しい生活を送るシングルマザーも一定数います。

寡婦控除は、一定の要件を満たせば誰でも利用できる控除ですし、基礎さえ理解すれば簡単に手続きをすることができるので、是非利用してみてください。

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寡婦控除とは(母子家庭の所得税の免除・減免)

寡婦控除とは、納税者が一般の寡婦である場合に、一定の金額を所得から控除を受けることができる税法上の制度です。

寡婦とは、以下のいずれかに当てはまる女性です。

  • 法律上の婚姻をした夫と死別した後に婚姻をしていない、夫と離婚した後に婚姻をしていない、または、夫の生死が明らかでない人で、子どもや扶養親族を養っている
  • 法律上の婚姻をした夫と死別した後に婚姻をしていない、または、夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下

寡婦控除は、上記の要件を満たす女性の所得から一定の金額を差し引くことにより、税金の負担を軽減させる所得控除の一つです。

後述しますが、寡婦控除の制度には男性を対象とした寡夫控除もあります。

寡婦控除の法的根拠

寡婦控除は、所得税だけでなく住民税でも利用することができ、それぞれ根拠条文が異なります。

所得税の寡婦控除

所得税の寡婦控除は、所得税法第81条に規定されています。

1 居住者が寡婦又は寡夫である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から27万円を控除する。

2 前項の規定による控除は、寡婦(寡夫)控除という。

(所得税法第81条)

住民税の寡婦控除

住民税の寡婦駆除は、地方税法第34条に規定があります。

道府県は、所得割の納税義務者が次の各号のいずれかに掲げる者に該当する場合においては、それぞれ当該各号に定める金額をその者の前年の所得について算定した総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除するものとする。

(中略)

寡婦又は寡夫である所得割の納税義務者 26万円

(以下略)

(地方税法第34条第8項)

寡婦控除の種類

寡婦控除には、3つの種類があります。

  • 寡婦控除
  • 寡婦控除(特別の寡婦)
  • 寡夫控除

それぞれに所得控除の条件が設定されており、条件を満たせば、一定の金額を所得から差し引くことで税金の負担を減らす所得控除を受けることができます。

寡婦控除

寡婦控除とは、その年の12月31日の時点で、以下のいずれかに当てはまる女性が、所得控除を受けることができる制度です。

  • 法律上の婚姻をした夫と死別した後に婚姻をしていない、夫と離婚した後に婚姻をしていない、または、夫の生死が明らかでない人で、親きょうだいまたは同一生計の子どもがいる
  • 法律上の婚姻をした夫と死別した後に婚姻をしていない、または、夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下

控除額

寡婦控除所得税住民税
控除額27万円26万円

寡婦控除の子どもとは

寡婦控除の子どもとは、総所得金額が38万円以下で、寡婦控除の請求者以外の控除対象配偶者や扶養親族になっていない子どもに限定されています。

合計所得金額とは

合計所得金額とは、繰越控除をする前の全ての所得を合計した金額です。

年収と勘違いされがちですが、合計所得金額と年収は別物ですので、注意してください。

具体的には、以下の金額の合計金額が合計所得金額です。

  1. 純損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失及び雑損失の繰越控除をしないで計算した総所得金額
  2. 分離短期譲渡所得の金額(特別控除前)
  3. 分離長期譲渡所得の金額(特別控除前)
  4. 分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後で、繰越控除の適用前の金額)
  5. 株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除及び特定株式に係る譲渡損失の繰越控除の特例の適用前の金額)
  6. 先物取引に係る雑所得等の金額(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用前の金額)
  7. 山林所得額(特別控除後)
  8. 退職所得金額(2分の1後)

給与収入のみの場合、年収から給与所得控除(給与所得者が給料をもらうのにかかる費用の概算、いわゆる「必要経費」を控除すること)を差し引いた金額が合計所得金額です。

つまり、合計所得金額が500万円以下とは、年収が約688万8000円以下の人と考えてください。

寡婦控除(特別の寡婦)

寡婦控除(特別の寡婦)とは、以下の要件の全てを満たす寡婦が、通常の寡婦控除27万円に8万円を加算した35万円(住民税は30万円)の所得控除を受けることができる制度です。

  • 法律上の婚姻をした夫と死別した後に婚姻をしていない、夫と離婚した後に婚姻をしていない、または夫の生死が明らかでない
  • 扶養親族である子どもがいる
  • 合計所得金額が500万円以下である

子どもとは、総所得金額が38万円以下で、寡婦控除の請求者以外の控除対象配偶者や扶養親族になっていない子どもです。

合計所得金額とは、繰越控除をする前の全ての所得を合計した金額です。

詳しい解説は、寡婦控除の欄のとおりです。

控除額

特別の寡婦控除所得税住民税
控除額35万円30万円

寡夫控除

寡夫控除とは、その年の12月31日の時点で以下の全ての要件を満たす男性が、27万円(住民税は26万円)の所得控除を受けることができる制度です。

  • 法律上の婚姻をした妻と死別した後に婚姻をしていない、妻と離婚した後に婚姻をしていない、または妻の生死が明らかでない
  • 扶養親族である子どもがいる
  • 合計所得金額が500万円以下である

子どもとは、総所得金額が38万円以下で、寡夫控除の請求者以外の控除対象配偶者や扶養親族になっていない子どもです。

合計所得金額とは、繰越控除をする前の全ての所得を合計した金額です。

詳しい解説は、寡婦控除の欄のとおりです。

控除額

寡夫控除所得税住民税
控除額27万円26万円

寡婦控除の控除額

寡婦控除が適用された場合の所得税と住民税の控除額をまとめておきます。

区分所得税住民税
寡婦控除27万円26万円
寡婦控除(特別の寡婦)35万円30万円
寡夫控除27万円26万円

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母子家庭の所得税の税金対策:使える控除と計算方法、免除になる年収

寡婦控除によって「いくら戻るか(いくら安くなるか)」

寡婦控除は、所得から一定額を差し引く制度です。

控除額=負担が軽減される金額」だと勘違いされがちですが、控除額は課税所得の計算に使われる数値に過ぎず、税金額から直接差し引かれるわけではありません。

住民税や所得税は、課税所得(寡婦控除を含む各種控除が年収(収入)から差し引かれた後の金額)に基づいて、負担する額が決まります。

寡婦控除の控除額についてはすでに解説しましたが、控除によって「いくら戻るか(いくら税金が安くなるか)」についても確認しておきます。

寡婦控除で軽減される税金額の計算方法

寡婦控除が適用されることで軽減される税金額については、以下の計算式で計算することができます。

控除額×税率

所得税や住民税の税率は課税される所得金額によって異なりますが、ここでは分かりやすいように一律10%として試算しています。

試算であり、その他の控除が適用されることで実際の負担額は変動します。

寡婦控除・寡夫控除

所得税27万円×0.1(10%)=27,000円
住民税26万円×0.1(10%)=26,000円

寡夫控除(特別の寡婦)

所得税35万円×0.1(10%)=35,000円
住民税30万円×0.1(10%)=30,000円

寡婦控除の留意点

最後に、寡婦控除の留意点について触れておきます。

事実婚(内縁)や未婚では寡婦控除を受けることはできない

事実婚(内縁)とは、実質的には法律上の夫婦と同様の関係にありながら、婚姻の届出をせず法律上の夫婦と認められない状態です。

夫婦生活を成立させる意思がある点は法律婚と同じで、婚姻届を提出・受理されていないという形式面のみが異なります。

男女が単に一緒に住んでいるだけの同棲とは区別されます。

寡婦控除は、法律上の婚姻をした人を対象とした所得控除であり、事実婚(内縁)関係にある男女には適用されません。

また、シングルマザーであっても、「未婚」のシングルマザーは寡婦控除の対象には入っていません。

この点、シングルマザーの経済的な困窮を税金面から援助するという制度の趣旨を踏まえ、税法の改正を求める声が強まっています。

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寡婦控除のみなし適用

寡婦控除のみなし適用とは、寡婦控除が適用されない未婚のシングルマザーなどのひとり親が行政の各種サービスを利用する場合に、寡婦控除に相当する分を差し引き、サービス利用の可否を判定する制度です。

価値観の多様化に伴って事実婚(内縁)を選択する男女が増え、未婚のシングルマザーも増加傾向にある現状に即して、各自治体が独自に寡婦控除のみなし適用制度を設けています。

例えば、寡婦控除のみなし適用により、未婚のシングルマザーの保育料の減免、児童扶養手当の支給基準緩和、公営住宅の家賃を軽減するなどの自治体が増えてきています。

【追記】

これまでは各自治体レベルで実施されていた寡婦控除のみなし適用ですが、2018年6月以降は国レベルで実施されるようになり、厚生労働省が管轄する25の事業については、全国の自治体でみなし適用が受けられるようになりました。

寡婦控除のみなし適用が全国的に実施されている子どもに関係する事業は、以下のとおりです。

事業みなし適用の内容
子どものための教育・保育給付費負担金利用負担額の決定
児童扶養手当手当の支給を制限する場合の所得の額の計算方法
高等職業訓練促進給付金給付額の決定
ひとり親家庭等日常生活支援事業利用料の決定
児童入所施設措置費等徴収額の決定
未熟児童養育医療費給付事業
結核児童療育給付事業

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【参考】

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
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サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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