進行に関する照会回答書とは?提出しないデメリットは?

離婚調停が申し立てられると、家庭裁判所から相手方(調停を申し立てられた人)に対して、調停期日通知書と一緒に「進行に関する照会回答書」という書面が届きます。

思いつくまま回答して返送したり無視したりする人が多いですが、記載内容に留意しないと調停が思うように進行しなくなったり、思わぬデメリットに悩まされたりするおそれがあります。

進行に関する照会回答書とは

進行に関する照会回答書とは、家庭裁判所が調停進行の参考とする目的で、当事者に作成・提出を求める書面です。

通常は、家庭裁判所から、調停期日通知書の入った封書に同封されて相手方に届きます。

書面には回答期限が記載されており、申立人の主張などを踏まえて質問事項に回答し、期限までに家庭裁判所へ返送します。

調停期日通知書に同封される書面

家庭裁判所は、離婚調停の申立てを受理すると、事件番号を割り当てて担当の裁判官と調停委員を指定し、調停期日を決定した上で、調停期日通知書を入れた封書を申立人と相手方に発送します。

通常、相手方宛ての封書には以下の書類が同封されます。

  • 調停期日通知書
  • 申立書のコピー
  • 進行に関する照会回答書
  • 離婚調停の説明文書
  • 家庭裁判所の地図

調停期日通知書

調停期日通知書には、事件番号、申立人と相手方の氏名、担当裁判所書記官名と連絡先電話番号、調停期日(日時と場所)、出頭時の窓口などが記載された書面です。

調停期日に担当窓口へ持参すると、職員が事件番号を確認した上で待合室まで案内してくれます。

申立書のコピー

家事審判法時代は、初回調停期日前に相手方が申立書の内容を知る手立てがなく、基本的に、申立に関して情報を持たないまま初回調停期日に出頭しなければなりませんでした。

しかし、家事事件手続法施行後は、調停期日通知書と一緒に申立書のコピーが送付される取扱いに変更されています。

これにより、相手方が事前に申立ての内容を知ることができるようになり、初回調停期日でも「申立人の主張を一から相手方に伝える」という調停委員の負担が軽減されました。

離婚調停の説明文書

初めて離婚調停に臨む人のために、調停制度に関する説明文書も同封されています。

調停の進行、1期日の時間、紛争解決にかかる期間、調停委員会の概要などが簡潔に記載されており、調停期日前に読んでおくと調停についての理解が深まり、不安や心配も緩和されるはずです。

家庭裁判所の地図

調停が行われる家庭裁判所が分かりにくい場所にある場合、周辺地図が同封されます。

特に、調停の場所が小さい支部の場合は地図が同封されていることが多いものです。

A4の用紙にプリントアウトされていることもあれば、調停期日通知書の余白に挿入されていることもあります。

進行に関する照会回答書の取り扱い

進行に関する照会回答書の取り扱いとして、「原則として、相手の目には触れない」、「申立人も作成している」という2点について触れておきます。

原則として、相手の目には触れない

裁判所に提出する書面は、相手の目に触れるものとそうでないものがあります。

相手の目に触れる申立書:コピーが送付される

申立事情説明書:閲覧謄写

上申書:閲覧謄写

相手の目に触れない進行に関する照会回答書

連絡メモ

非開示の希望に関する申出書

進行に関する照会回答書は、原則として、相手の目に触れない(送付されず、閲覧謄写もされない)書面です。

ただし、「相手方に見せることはありません。」、「記録に綴らない取扱いです。」などと家庭裁判所によって表現が分かれており、心配な場合は、調停をする家庭裁判所に問い合わせてください。

申立人も作成している

進行に関する照会回答書は、申立人も申立て時に作成して提出しています。

申立人と相手方では質問項目が少し異なりますが、いずれも調停進行のために家庭裁判所が作成・提出を求める書面であり、原則として相手の目に触れないことは同じです。

進行に関する照会回答書の書き方

進行に関する照会回答書は、質問項目について、当てはまる選択肢にチェックを入れるか、自由記載をする方法によって回答します。

調停での協議が円滑に進むか

「進められると思う」、「進められないと思う」、「分からない」から当てはまるものを選択します。

進められないと思う場合は、さらに当てはまる理由を選択したり、文章を書き込んだりします。

申立人の暴力やつきまといの状況

申立人の暴力の有無、治療の有無、保護命令申立ての有無、つきまといの有無、調停期日に付き添う人の有無、調停期日において予想される申立人の対応について、当てはまる項目にチェックを入れます。

暴力やつきまといの心配がなければ、心配がないにチェックを入れてください。

裁判所からの連絡先

住所と日中に連絡がつく電話番号を記入します。

申立書に記載された住所と同じ場合は、「申立書記載の住所」にチェックを入れます。

治療中の病気

申立人と相手方について、治療中の病気の有無を回答します。

治療中の病気がある場合は、病名、治療期間、服薬の有無、日常生活への支障など、できる限り具体的な情報を記入します。

裁判所への要望

調停について、家庭裁判所に要望があれば記入します。

主張についてではなく、調停の進行についての要望を記入してください。

初回調停期日の出頭の可否

初回調停期日に出頭できるか否かを回答します。

出頭できない場合は、具体的な事情を記入し、差支えの日・曜日・時間を記載しなければなりません。

出頭できない旨の回答をした場合、後日、担当の裁判所書記官から事情確認の電話が入ることがあります。

調停の初回期日は相手方の都合を考えずに指定されるため、別日であれば出頭できる場合、理由をつけて期日変更を求めると認められることが多いものです。

進行に関する照会回答書の作成時の留意点と提出しないデメリット

進行に関する照会回答書には期限が設定されていますが、提出するか否かは任意で、提出しなくても罰則はありません。

しかし、提出する場合は内容に留意する必要があり、提出しない場合はデメリットに悩まされるおそれがあります。

作成時の留意点

まず、作成する場合の留意点について解説します。

事実を記載する

質問項目に沿って事実を記載することが求められます。

嘘を記載してしまうと、発覚した場合に不利な立場に置かれます。

裁判官は経験上、嘘と真実を見分けることに長けていますし、必要に応じて調停に立ち会う家庭裁判所調査官は、心理学などの知識やノウハウを有しており、嘘をつきとおすことは容易ではありません。

また、嘘を隠すために嘘を重ねるうちに、本当に主張したいことが主張できなくなるおそれもあります。

相手への不平不満は記載しない

離婚紛争中の夫婦は、程度の差はあるものの、互いに相手に対する不平不満を抱えています。

しかし、進行に関する照会回答書は調停の進行に役立てるための書面であり、不平不満を記載しても調停委員や裁判官には取り合ってもらえません。

それどころか、「照会の趣旨も理解できない相手方だ。」と思われる可能性もあります。

そのため、相手に対する不平不安は極力控え、質問項目に沿って事実を記載することを意識することが大切です。

提出しないデメリット

進行に関する照会書を提出しないデメリットは、初回調停期日前に自分の主張を調停委員へ伝える機会を失うことです。

申立人は、申立て時に申立書、申立事情説明書、進行に関する照会回答書などを提出し、主張を存分に家庭裁判所へ伝えており、調停委員も裁判官も提出書面に目を通して内容を把握しています。

そのため、相手方が回答書を提出しないと、申立人だけの主張を頭に入れて初回調停期日に臨むことになります。

結果、調停委員が申立人の主張に基づいて調停を進行してしまうおそれがあります。

特に、申立人が相手方のDVやモラハラを主張し、相手方が回答書を提出しなかった場合、調停委員が相手方についてネガティブな印象を抱き、調停中に意識せず申立人の肩を持ってしまうことがあります。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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