母子家庭の貸付金制度(母子父子寡婦福祉資金貸付金)とは?審査と金額は?

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

婚姻中に専業主婦期間が長かった場合や、パート・アルバイトの経験しかない場合、離婚後に安定した生活を送るだけの収入がある仕事に就くのは困難なことが多く、経済的に困窮する傾向にあります。

児童手当や児童扶養手当など各種公的支援制度を利用してもなお、日々の生活に窮しているというシングルマザーは少なくありません。

また、離婚後に事業を開始したり、家族を養うだけの収入が得られる仕事に就くための資格や技能を習得したりするにも、経済的な事情から断念せざるを得ないこともあります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、こうした離婚後に経済的な問題を抱える母子家庭のシングルマザーなどに対する貸付制度で、一定の要件を満たすことで生活資金などを貸し付けてもらうことができます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度とは、母子家庭のシングルマザーなどが、生活の困窮、就労、子どもの就学・進学などで資金が必要になった場合に、自治体から貸付けを受けることができる制度です。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、母子家庭のシングルマザーなどの経済的自立を支援し、その生活意欲を促進するとともに、母子家庭などで養育される子どもの福祉を増進することを目的としています。

資金の種類によって3年間から20年間までの間、連帯保証人がいれば無利子、連帯保証人がいなくても1.0%という低い利子で貸し付けを受けることができます。

カードローンが利息の上限が15%~20%であることを踏まえると、優遇されていることが分かるでしょう。

また、事業開始、修学、技能習得、生活資金など目的に応じた幅広い種類があることも特徴です。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の貸付対象

貸付対象は、以下のとおりです。

  • 20歳未満の子どもを扶養する母子家庭のシングルマザー
  • 20歳未満の子どもを扶養する父子家庭のシングルファザー
  • 寡婦
  • 父母のいない子ども
  • 配偶者のいない人が扶養する子ども
  • 40歳以上の配偶者のいない女性で、子どもを扶養していない人
  • 母子・父子福祉団体

なお、自治体によっては異なる要件を挙げているところもあるため、利用を希望する場合は、住んでいる自治体の子育て担当窓口(名称は自治体によって異なる)に事前確認してください。

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連帯債務者

子どもに関する資金の貸付けを受ける場合、子どもも保護者と連来して債務を負担する義務を負います。

つまり、子どもが連帯債務者となります。

連帯保証人

原則として、連帯保証人は必要ありません。

ただし、連帯保証人を立てれば無利子となるところ、連帯保証人を立てない場合は1.0%/年の利子が課されることになります。

また、20歳未満の子どもが申請する場合や、償還能力が乏しいと判断された場合などは、連帯保証人を立てるよう求められることがあります。

連帯保証人となることができるのは、以下の要件を満たす人です。

  • 独立した生計を営んでおり、債務を弁済できる資力がある
  • 申請者と生計が別
  • 1年以上居住し、今後も居住することが見込まれる
  • 原則として60歳以下

自治体によっては異なる要件を課しているところもあります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の種類と金額

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の貸付の種類は、以下のとおりです。

貸付の種類 貸付対象 内容
事業開始資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 母子・父子福祉団体
  • 寡婦
事業開始に必要な設備などの購入資金
事業継続資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 母子・父子福祉団体
  • 寡婦
現在営む事業の継続に必要な商品などを購入する運転資金
修学資金
  • 母子家庭の母が扶養する子ども
  • 父子家庭の父が扶養する子ども
  • 父母のいない子ども
  • 寡婦が扶養する子ども
授業料など、子どもを就学させるために必要な資金
技能習得資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦
事業の開始や就職に必要な知識技能を習得するために必要な資金
修業資金
  • 母子家庭の母が扶養する子ども
  • 父子家庭の父が扶養する子ども
  • 父母のいない子ども
  • 寡婦が扶養する子ども
事業の開始や就職に必要な知識技能を習得するために必要な資金
就職支度資金
  • 母子家庭の母または子ども
  • 父子家庭の父または子ども
  • 父母のいない子ども
  • 寡婦
衣服や靴など就職に直接必要な物を購入する資金
医療介護資金
  • 母子家庭の母または子ども
  • 父子家庭の父または子ども
  • 寡婦
医療又は介護を受けるために必要な資金
生活資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父または子ども
  • 寡婦
生活の安定・継続に必要な生活補給資金
住宅資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦
住宅の建設、購入、補修、保全、改築、増築などに必要な資金
転宅資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦
移転による住宅の貸借に必要な資金
就学支度資金
  • 母子家庭の母が扶養する子ども
  • 父子家庭の父が扶養する子ども
  • 父母のいない子ども
  • 寡婦が扶養する子ども
衣類や靴など就学や修業に必要な物を購入する資金
結婚資金
  • 母子家庭の母
  • 父子家庭の父
  • 寡婦
子どもの婚姻に必要な資金

参考:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度|内閣府男女共同参画局

貸付の金額

貸付の種類ごとに貸付金額が異なります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の貸付の種類は、以下のとおりです。

貸付の種類 貸付金額
事業開始資金
  • 限度額:2,850,000円
  • 据置期間:1年
  • 償還期間:7年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
事業継続資金
  • 限度額:1,430,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:7年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
修学資金
  • 限度額:(高校、専修学校(高等課程))月額52,500円、高等専門学校月額[1~3年]52,500円、[4~5年]90,000円、短期大学、専修学校(専門課程)、月額90,000円、大学月額96,000円、専修学校(一般課程)月額48,000円
  • 貸付期間:就学期間中
  • 据置期間:当該学校卒業後 6ヶ月
  • 償還期間:20年以内(専修学校(一般課程)5年以内)
  • 利率:無利子(親に貸付ける場合は子どもが連帯借受人(連帯保証人は不要)、子どもに貸付ける場合は親などが連帯保証人)
技能習得資金
  • 限度額:【一般】月額68,000円、【特別】一括816,000円(12月相当)、運転免許 460,000円
  • 貸付期間:知識技能を習得する期間中5年をこえない範囲内
  • 据置期間:知識技能習得後1年
  • 償還期間:20年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
修業資金
  • 限度額:月額68,000円、特別460,000円
  • 貸付期間:知識技能を習得する期間中5年をこえない範囲内
  • 据置期間:技能習得後1年
  • 償還期間:6年以内
  • 利率:無利子(親に貸付ける場合は子どもが連帯借受人(連帯保証人は不要)、子どもに貸付ける場合は親などが連帯保証人)
就職支度資金
  • 限度額:一般100,000円、特別330,000円
  • 据置期間:1年
  • 償還期間:6年以内
  • 利率:親に係る貸付けの場合は保証人有が無利子、保証人無が年1.0%、子どもに係る貸付けの場合は、無利子(親に貸付ける場合は子どもが連帯借受人(連帯保証人は不要)、子どもに貸付ける場合は親などが連帯保証人)
医療介護資金
  • 限度額:【医療】340,000円、【特別】480,000円、【介護】500,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:5年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
生活資金
  • 限度額:【一般】月額103,000円、【技能】月額 141,000円
  • 貸付期間:知識技能を習得する期間中5年以内、医療又は介護を受けている期間中1年以内、離職した日の翌日から1年以内
  • 据置期間:知識技能習得後、医療・介護終了後または生活安定期間の貸付・失業中の貸付期間満了後6ヶ月
  • 償還期間:(技能習得)20年以内、(医療又は介護)5年以内、(生活安定貸付)8年以内、(失業) 5年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
住宅資金
  • 限度額:1,500,000円、特別2,000,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:6年以内、特別7年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
転宅資金
  • 限度額:260,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:3年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%
就学支度資金
  • 限度額:小学校40,600円、中学校47,400円、国公立高校等160,000円、修業施設100,000円、私立高校等420,000円、国公立大学・短大等380,000円、私立大学・短大等590,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:就学20年以内、修業5年以内
  • 利率: 無利子(親に貸付ける場合は子どもが連帯借受人(連帯保証人は不要)、子どもに貸付ける場合は親などが連帯保証人)
結婚資金
  • 限度額:300,000円
  • 据置期間:6ヶ月
  • 償還期間:5年以内
  • 利率:(保証人有)無利子、(保証人無)年1.0%

参考:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度|内閣府男女共同参画局

利子

いずれの貸付けについても、連帯保証人がいる場合は無利子です。

連帯保証人がいない場合は1.0%/年です。

ただし、修学資金、就業資金、就職支度資金については、連帯保証人の有無に関わらず原則として無利子です。

貸付要件

いずれの貸付けについても、以下の貸付要件が設定されています。

  • 返済能力がある
  • 世帯所得が所得制限限度額以下
  • 年齢が65歳未満(返済期間時に70歳未満)
  • 健康保険料や住民税などを滞納していない

その他、貸付の種類ごとに個別の要件が設定されており、自治体によって要件が異なることもあるため、事前に確認する必要があります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の申請

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の申請先は、住んでいる地域の子ども担当課(名称は自治体によって異なる)や福祉事務所です。

住んでいる市区町村によって異なるので、注意してください。

申請の流れを確認しておきましょう。

事前相談

子ども担当課の窓口で制度利用を希望すると、担当職員(相談員)が対応してくれます。

最初に相談カードへの記入を求められ、記入が終わると担当職員から制度概要が説明されます。

その後、家庭の状況、収入、子どもの状態、貸付けを希望する資金の希望、連帯保証人の有無などを聴取され、申込書の書き方や申込みに必要な書類を教えてもらいます。

申請書類の準備

申請の必要書類は、以下のとおりです。

  • 申請者の所得証明書:源泉徴収票のコピーなど
  • 申請者の印鑑証明書
  • 家計費内訳書:市区町村が作成している様式を使用
  • 世帯全員の戸籍謄本:発行後3ヶ月以内のもの
  • 世帯全員の住民票:本籍地・続柄が記載された、発行後3ヶ月以内のもの
  • 保証人の所得証明書:源泉徴収票の写しなど
  • 保証人の住民票:本籍の記載があり、発行後3ヶ月以内のもの
  • 保証人の印鑑証明書
  • 福祉資金貸付に係る同意書
  • 法定代理人の貸付申請同意書:子どもが申請する場合、父母がいない子どもの場合
  • 在留カードのコピー及び母子家庭などを証明する書類:外国人の場合
  • 事実婚(内縁)関係解消申立書:事実婚(内縁)関係にあった場合
  • 医師の診断書または身体・精神障害者手帳のコピー:配偶者に障害がある場合
  • 官公署発行の書類:遺棄、拘禁、生死不明、配偶者が海外居住の場合など

その他、貸付の種類によって別途追加資料の提出を求められます。

連帯保証人の面接

連帯保証人がいる場合、担当職員が連帯保証人との面接を行うことがあります。

基本的には申請者と連帯保証人が一緒に担当窓口へ行き、面接することになります。

申請と審査

申請書と必要書類を担当窓口に提出する方法により申請を行と、不備や不足がなければ受理されます。

申請が受理された後、市区町村が審査を行います。

貸付決定

審査の結果、貸付けが決定すると、その旨が申請者に通知されます。

貸付不決定の場合も通知されます。

事前相談から貸付決定までの期間は、通常は1ヶ月程度です。

ただし、申立書や必要書類に不備不足がある場合などは、貸付決定が出るのが遅れることがあります。

貸付の実行

担当窓口に借用書と口座振替書を提出すると、後日、指定した口座に貸付金が振り込まれます。

貸付金の償還(返済)方法

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、貸付要件や金利が金融機関などのローンより優遇されていますが、貸付金であることに違いはないため、償還(返済)しなければなりません。

償還方法は、貸付の種類ごとに規定された期間内に、指定口座からの引き落とし(月払い、年2回の支払い、年払いなど)です。

返済しなかった場合

支払期日に返済しなかった場合、延滞元利金額につき年5%の割合で、支払期日の翌日から支払当日までの日数により計算した違約金が徴収されます。

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