結婚の意味・婚姻の定義とは?法律上の要件、結婚と婚姻の違いを分かりやすく解説

    最終更新日: 2019.11.14

離婚は、法律上の(婚姻届を出して婚姻している)夫婦が婚姻関係を解消し、婚姻によって生じた権利や義務を消滅させることです。

そのため、離婚について理解するには、まず、法律上の婚姻について理解しておく必要があります。

この記事では、結婚の意味と法律上の要件について解説します。

法律上の婚姻(結婚の定義・意味)とは

婚姻とは、一組の男性と女性が社会的に承認されて夫婦(継続的な性的結合や社会的協力などを伴う同棲関係)になることです。

子供の視点でみると、男女の間に生まれた子どもが嫡出子として認められる関係になることとも言えます。

日本では、「民法」という法律の中で、婚姻の要件や生じる権利義務(効果、効力)などが定められています。

結婚と婚姻の違い

婚姻と結婚は、いずれも「男女が夫婦になること」を意味する言葉で、違いはありません。

民法では「婚姻」と記載されていますが、一般的には「結婚」が使われることが多くなっています。

どちらを使っても問題はありませんが、話し言葉では結婚、書き言葉では婚姻を使う傾向があります。

内縁・事実婚との違い

内縁とは、事実上は夫婦関係(継続的な性的結合や社会的協力などを伴う同棲関係)がありながら、婚姻届を提出していないので法律上の夫婦と認められない状態です。

「事実婚」ということもあります。

法律上の婚姻と内縁・事実婚の違いは、婚姻届を提出しているか否か(婚姻成立要件を満たしているか否か)です。

男女間に夫婦として生活する意思があり、実際に共同生活を営んでいる状態なので、法律婚の夫婦と同じような効果が生じるところもあります。

また、内縁関係を解消する場合、法律婚の夫婦が離婚するときと同じような条件を取り決めます。

内縁関係については、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事

内縁関係とは:内縁の妻・夫の定義と権利・メリット、事実婚との違いを解説

入籍の意味・定義

一般的な入籍とは、婚姻届を提出して男女が同じ戸籍に入ることです。

「籍を入れる」ということもあります。

夫婦になるという意味合いも含まれていますが、籍を入れるという行動や籍を入れた状態を表現する言葉として定着しています。

なお、戸籍法上の「入籍」は、「すでにある戸籍に入ること(一員になること)」です。

婚姻による戸籍の変動(婚姻する男女が互いの親の戸籍から離れ、男女のみの新戸籍が作られる)は、戸籍法上の入籍には含まれません。

婚姻の法律上(民法上)の要件

日本では、市区町村役場に婚姻届を提出して受理されるだけで婚姻が成立します。

しかし、婚姻が「有効に」成立するには、法律上(民法上)、以下の要件を満たす必要があります。

婚姻が有効に成立する要件
  1. 男女の間に婚姻する合意(婚姻意思の合致)があること(民法第742条)
  2. 婚姻の妨げとなる法律上の事由(婚姻障害)がないこと(民法第731~737条)
  3. 婚姻の届け出をすること(民法第739条)

1.と2.を実質的要件、3.を形式的要件といいます。

先ほど書いた内縁(事実婚)というのは、「実質的要件は満たしているけれど、形式的要件を満たしていない」状態です。

つまり、夫婦間に婚姻意思や夫婦共同生活を送る意思はあるけれど、婚姻の届け出をしていないということです。

実質的要件:男女の間に婚姻する合意(婚姻意思の合致)があること

婚姻が有効に成立するには、婚姻する男女が①婚姻する意思と②夫婦関係を成立させる意思を有している必要があります。

婚姻意思の合致は、「婚姻届の受理時」に存在している必要があります。

婚姻届が受理される時点で、男女の一方または両方に婚姻する意思と夫婦関係を成立させる意思がない場合、婚姻届を提出したとしても、その婚姻は「無効」となります。

婚姻届が受理されるまでに婚姻する意思を失くした人が、婚姻を有効に成立させないようにするには、婚姻届不受理申出をしなければならないとされています。

臨終婚について

臨終婚とは、男女の一方または両方が亡くなる直前に婚姻することです。

臨終婚では、自分や相手の死が近いことを認識しており、婚姻後に夫婦で生活する意思が乏しいまたは欠いていることが多いので、「婚姻意思の合致がなく、婚姻は有効に成立しない」と指摘されています。

しかし、「婚姻意思を失う特段の事情がない限り、婚姻の一部の効果のみを目的として婚姻届が提出され、婚姻の効果を生じたとしても、婚姻する男女に問題が生じない場合には婚姻を有効と認める。」という判例もあります。

婚姻障害(婚姻の妨げとなる法律上の事由)がないこと(民法第731~737条)

婚姻が有効に成立するには、法律上の婚姻障害がないという要件も満たさなければなりません。

日本の民法では、婚姻障害として以下のようなものが規定されています。

婚姻障害
  • 婚姻適齢に達していること(民法第731条)
  • 重婚でないこと(民法第732条)
  • 女性について再婚禁止期間を経過していること(民法第733条)
  • 近親婚でないこと(民法第734~736条)
  • (未成年者については、父母の同意があること(民法第737条))

いずれかの婚姻障害があると、婚姻は有効に成立しません。

手違いなどで婚姻届が受理されて婚姻が成立したとしても、その婚姻は無効で、後日、無効や取消しになることがあります。

婚姻適齢に達していること(民法第731条)

婚姻適齢とは、法律上、婚姻が認められる年齢のことです。

日本の民法では、男性が満18歳以上、女性が満16歳以上と定められています。

婚姻適齢を満たさないでした婚姻は、請求によって取り消すことができます。

なお、2018年3月、女性の婚姻適齢を満18歳以上に引き上げる民法改正案が閣議決定されており、今後、男女の婚姻適齢に差がなくなる見込みです。

重婚でないこと(民法第732条)

重婚とは、夫または妻のある人が重ねて婚姻することです。

日本の民法では重婚を禁止しています。

重婚が生じた場合は、請求によって後婚(後からした婚姻)を取り消すことができます。

なお、民法で禁止されているのは法律婚の重婚であり、法律上の婚姻と事実上の婚姻が重複することは重婚には当たりません。

女性について再婚禁止期間を経過していること(民法第733条)

再婚禁止期間とは、前婚の解消または取消しの日から100日間は再婚できない仕組みのことです。

待婚期間と呼ばれることもあります。

離婚した女性から生まれた子どもの父親が誰であるか推定できるようにするための仕組みですが、男女平等権を定めた日本国憲法に違反するという批判があります。

なお、以前の民法では、前婚の解消または取消しの日から「6ヶ月間」と定められていました。

しかし、2015年12月16日の最高裁判所大法廷が「100日間を超える部分については過剰な制約であり無効」という判断を示したことで、翌年の民法改正で再婚禁止期間が「100日間」に短縮されています。

近親婚でないこと(民法第734~736条)

近親婚とは、近い親族関係にある男女が婚姻することです。

日本の民法では、以下の親族との婚姻を禁止しており、婚姻の無効の原因となります。

近親婚に当てはまるケース
  • 直系血族:親子、孫と子など
  • 三親等内の傍系血族:兄妹、姉弟、伯父・叔父と姪、伯母・叔母と甥
  • 直系姻族:夫や妻の父母や祖父母など
  • 養親とその直系尊属
  • 養子とその直系卑属

未成年者について父母の同意があること(民法第737条)

日本の民法では、未成年者は、婚姻について父母の同意を得る必要があると定めています。

ただし、父母が死亡している、行方不明になっている、同意の意思を表示することができないなどの場合は、例外的に父母の同意なしに婚姻することができます。

また、父母の一方しか同意しないまたは同意できない場合は、一方のみの合意で足ります。

形式的要件:婚姻の届け出をすること(民法第739条)

婚姻は、戸籍法に定められた届出をし、市区町村長に受理されることで有効に成立します。

戸籍法上は、届出によって効力を生じると記載されていますが、婚姻の届出は婚姻の成立条件とされています。

つまり、婚姻を有効に成立させるには、実質的要件に加えて、婚姻することを市区町村役場に届け出て受理される必要があるのです。

通常、婚姻の届け出は、婚姻届に必要事項を記載して捺印し、証人2人の署名捺印を得た上で市区町村役場に提出する方法で行います。

いわゆる「婚姻届を作成して提出する」方法です。

婚姻届は、本籍地や住所地に限らず、どこの市区町村役場でも提出することができます。

また、第三者による婚姻届の代筆(本人の押印)が認められている他、第三者が提出したり郵送したりする方法によっても婚姻届は受理されます。

提出時期についても、法律上の規定はありません。

なお、戸籍法上は口頭による婚姻の届け出について規定されていますが、現在はほとんど利用されていません。

まとめ

事実上、結婚するときは婚姻届を作成して市区町村役場に提出し、受理されれば結婚が成立します。

そのため、「婚姻届を提出すれば結婚が成立する」と思っている人がほとんどです。

しかし実際は、婚姻届の提出・受理は形式的な要件に過ぎず、「婚姻意思」や「婚姻障害がないこと」という実質的要件を満たさないと結婚は有効に成立しません。

有効でない結婚は無効や取消の対象となるので、男女の地位が安定しませんし、その間に生まれた子供も不安定な状態に置かれることになります。

法律婚をするなら、実質的要件を満たしていることを確認した上で婚姻届を提出しましょう。

また、近年は「夫婦別姓」などを理由に内縁(事実婚)関係を続けるカップルが増えています。

内縁関係は、法律婚と同じ効果・効力が生じるところもあれば、異なるところもあるので、「どこが同じでどこが違うのか」をしっかり確認しておくことが大切です。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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