離婚が子供に与える影響は?子どもの気持ちを傷つけず離婚する方法は?

子ども 離婚 影響 気持ち

離婚すると決めた後、子どもの気持ちや離婚後の子どもの生活について考えたことはありますか。

親の離婚によって家族の誰よりも深い傷を負うのは子どもです。

子どもは、親の勝手な都合で親の一方と別れて暮らすことになる上、場合によっては面会交流も十分にできず、転居や転校を余儀なくされ、生活水準も下がるなど想像を絶する苦難に直面し、親が想像する以上に深刻な影響を受けます。

離婚すると決めたら、離婚が子どもに及ぼす影響について知り、離婚について子どもと話す機会を持つことが大切です。

離婚が子どもに及ぼす影響

親の離婚が子どもに及ぼす影響は、生活の変化から心や行動の変化まで様々です。

離婚の子どもへの影響:生活の変化

親が離婚すると、子どもの生活は一変します。

親の一方と離別

まず、ほとんどの場合、離婚後は親の一方と離れて暮らすことになります。

思春期に入って親子関係が険悪になった、親から虐待を受けたいたなど特別な場合を除き、子どもは両親を慕っており、一緒に生活することを望んでいます。

一緒に過ごす時間が長い母親の関係性が濃い子どもが多いですが、父親のことも頼りにし、一緒に遊んだり話したりしたいと思っているものです。

しかし、離婚によって強制的に親の一方と引き離されてしまいます。

また、父母の関係性の悪さから離婚後の面会交流もうまく調整してもらえず、非監護親と疎遠になってしまうことも珍しくありません。

子どもの健全な成長には、家庭の中で父と母の両方から愛情を注がれて大切にされる経験が欠かせないと考えられていますが、その機会を奪われてしまうのです。

転居や転校

日本においては、離婚後に母親が子どもを引き取って婚姻中の自宅を出るケースが多く、転居や転校を余儀なくされる子どもが多くなっています。

家庭で片親との離別を体験した上に、住み慣れた地域を離れて学校まで変わることになると、さらに大きな傷を負うことになります。

友人や近所の住民などと引き離され、親の離婚による心の傷を相談できる相手を失うだけでなく、心が癒えないまま新しい地域や学校で人間関係を築かなければならず、その心労は計り知れないものがあります。

生活水準の低下

離婚により子どもの生活水準が低下することもあります。

婚姻中に父母が共働きであった場合や、婚姻中に専業主婦(主夫)だった親に引き取られた場合、生活水準の低下が下がってしまうのが一般的です。

離婚の子どもへの影響:見捨てられ不安

見捨てられ不安とは、親きょうだいなど関係性の深い人から見捨てられるのではないかという不安を抱くことです。

親の離婚を体験した子どもは、たとえ離婚後に面会交流が円滑に継続されていたとしても、心のどこかで「見捨てられたのではないか。」という気持ちを抱いています。

そして、同居する親からも見捨てられるのではないかという不安を感じ、不安定になることがあります。

離婚の子どもへの影響:自己肯定感の低下

自己肯定感とは、「自分は大切な存在である。」、「自分が他人から大切に思われている。」など、自分に対する肯定的な感覚のことです。

離婚によって親の一方と離別した子どもは、自分のルーツである親から見捨てられたという思いを抱き、自己肯定感を著しく低下させる傾向があります。

離婚の子どもへの影響:他人への不信感

親の離婚により、親だけでなく周囲の人に対する不信感を強める子どもも少なくありません。

表面上は離婚前と変わらないように見えても、他人のことを信頼できなくなり、他人から蔑まれたり疎まれたりしていると感じて不安定になる子どももいます。

離婚の子どもへの影響:精神的なトラブルを抱えやすい

バージニア大学のヘザーリントン(E. Mavis Hetherington)教授は、親が離婚した子どもが精神的トラブルを抱える確率について、以下のとおり言及しています。

  • 「治療を要する精神的なトラブルを抱える子どもの確率は、両親がそろっている家庭の子どもは約10%であるのに対し、両親が離婚した家庭の子どもは25%である。」

離婚の子どもへの影響:片親引き離し症候群、片親疎外

片親引き離し症候群とは、離婚または別居後に子どもを引き取って育てている親(同居親、監護親)が、もう一方の親(別居親、非監護親)の悪口や誹謗中傷を吹き込んで子どもを洗脳し、子どもが非監護親を拒否するよう仕向けて面会交流実施を阻んでいる状態です。

片親疎外(PA)とは、子どもが監護親の影響を受けて、正当な理由がないのに非監護親との交流を拒否している状態のことです。

引用:片親引き離し症候群(PAS)、片親疎外(PA)とは?原因と症状、対応策は?

片親引き離し症候群や片親疎外は、非監護親との関係性を壊すだけでなく、洗脳を行った監護親との関係も歪(いびつ)なものとなりやすく、結果として両親からの愛情を受けにくい状況に陥ってしまいます。

離婚の子どもへの影響:学業成績の低下

親の離婚は、子どもの学業成績にも影響を与えることがあります。

子どもが親の離婚から立ち直るには、離婚した親以上に時間と周囲のケアが必要です。

離婚から立ち直れずにいる間は、気持ちが落ち込んで注意力や集中力が低下しやすく、勉強にも身が入らなくなるのです。

離婚の子どもへの影響:反社会的行動(非行)や非社会的行動(引きこもりなど)

おおむね小学校高学年以降になると、親の離婚を理解できるようになり、自分の意見を言葉で表現できるようになります。

そのため、親の離婚を反対したり、離婚後に一緒に住む親を選んだり、転居や転校を拒否したりすることがあります。

一方で、親に面と向かって意見を言えず、複雑な気持ちを抱えたままになってしまう子どもも少なくありません。

そうした子どもは、自分ではどうしようもないストレスを抱え、暴力、物を壊す、落書き、万引きなどの犯罪や、夜遊び、外泊、不良交友、援助交際、不登校などの問題行動で発散することがあります。

また、不登校になって自宅に引きこもるなど、社会とのつながりを断ってしまう子どももいます。

離婚の子どもへの影響:過熟現象

過熟現象とは、子どもが無理をして年齢以上の役割を果たそうとする状態を表す言葉です。

離婚により同居親が落ち込んだ状態になると、子どもが、自分のストレスを抑え込んで親を気遣ったり、家事やきょうだいの世話をしたりするようになることがあります。

家族を支えようと無理をしている状態であり、過熟が続くと「腐敗」、つまり子どもが疲弊して心身に不調が現れてしまいます。

離婚の子どもへの影響:将来への影響

親の離婚を経験した子どもは、夫婦が円満な家庭を築くイメージを持ちにくいため、将来、結婚したときに夫または妻としての役割をうまくこなせず、離婚してしまうことも少なくありません。

また、海外の研究結果では、学業不振や家庭のサポート不足などの影響により、成人後の社会的地位が低くなることも示されています。

米国価値研究所(nstitute for American Values)は、以下の調査結果を公表しています。

未婚の母 離婚、未婚、再婚家庭で育った女性が未婚の母になる確率は、両親がそろっている家庭で育った女性の約3倍
失業率、貧困 親の離婚を経験した子どもの失業率や経済的困窮率は、両親がそろっている家庭で育った子どもより高くなる
犯罪 ひとり親家庭【母子家庭、父子家庭)で育った子どもが30代初めまでに実刑を受ける確率は、両親がそろっている家庭で育った子どもの約2倍

離婚の子どもへの影響:身体反応

小学校低学年頃までの子どもは、離婚を頭で理解することはできません。

しかし、親の感情や家庭内の雰囲気から異変を敏感に察知しており、離婚の意味は分からなくても強い不安や心配を感じるものです。

そして、精神的なストレスを抱えきれなくなると、夜泣き、発疹、発熱、嘔吐といった身体反応で表現するようになります。

また、親から離れなくなる、何でも親にやってもらおうとする、父と母を一緒に行動させようとする、一切甘えなくなるなど、それまでとは態度が一変することもあります。

離婚が子どもに与える影響は父母の関わり次第

離婚が子どもに与える影響をなくすことはできませんが、父母の関わり方次第で、影響を最小限に抑えることはできます。

子どもが離婚を理解できる場合:離婚することを伝える

子どもが離婚を理解できると判断した場合は、親が離婚することを伝えてください。

夫婦そろって説明する

子どもに対する離婚することの説明は、できる限り父母がそろって行ってください。

父母の一方から説明されるだけでは、子どもは「本当だろうか。(父母のもう一方は)どんな気持ちなんだろう。」という思いを抱く可能性があります。

父母がそろって離婚について説明することで、つらいことですが子どもが親の気持ちと直面し、親の離婚と向き合うスタートになります。

DVやモラハラなど父母の同席が難しい場合は、父母の一方が説明した後で、何らかの方法でもう一方からも話をする機会を設けてあげましょう。

嘘やごまかしを言わない

子どもは、親が思っている以上に嘘やごまかしを見抜きます。

また、離婚の説明をした時点では信じたとしても、何かのきっかけで嘘やごまかしを知ると、親に対する強い不信感を抱き、親子関係が悪化したり、非行、不順異性交遊、問題行動などのきっかけになったりする可能性があります。

親の勝手な都合に巻き込むのですから、一人の人間として真実を伝えてください。

子どもは悪くないことを伝える

子どもは、年齢が低いほど、親の離婚を自分のせいだと思い込む傾向があります。

親から離婚することを伝えられると落ち込んで寝込んだり、過剰に良い子になったりする子供が少なくありません。

そのため、「離婚は親の都合で、悪いのは親であること」を率直に伝えた上で、子どもは悪くないことを伝えてください。

その上で、子供の気持ちや意見をしっかり聞き、子供の気持ちや意見を一番に尊重して離婚するようにします。

離婚する相手の悪口を言わない

子どもにとっては父も母も大切な親です。

そのため、離婚する相手のことを悪く言うと、幼い子どもは自分が悪口を言われたかのように傷つきますし、思春期前後の子どもは「自分のことを棚上げして。」と反感を抱きやすいものです。

子どもの年齢や発達に応じた分かりやすい言葉で、離婚することを率直に伝えてください。

離れて暮らす親に会えることを伝える

繰り返しになりますが、子どもにとっては父も母も大切な親であり、原則として、離れて暮らす親と交流を継続することが離婚からの立ち直りや成長に良い影響を与えます。

一方で、離婚後に親の一方との関係が途絶えると、子どもは見捨てられたと感じてさらに傷つきます。

そのため、親が離婚しても、離れて暮らす親とは会い続けられることを伝えてあげましょう。

子どもの年齢や発達に応じて、「お父さんとお母さんは一緒に暮らせないけれど、2人ともあなたの親であることは変わらないし、会うこともできるよ。」などと伝えることで、子どもを安心させてあげてください。

注意したいのが、「自由に会ってもいい」と伝えて良い場合と悪い場合があることです。

父母間で「子どもの希望どおりに面会交流を行う。」という合意ができていれば、自由に会えると伝えても問題はありません。

一方で、面会交流の合意ができていない場合、安易に「自由に会えるから。」などと伝えると、離婚後に実現できず子どもを傷つけることになりかねないため、慎重になるべきです。

関連記事

面会交流の調停条項案と調停条項例は?強制執行ができる条項は?

子どもが幼い場合:注意深く様子を観察しながら対応する

子どもが幼く離婚を理解できない状況では場合、毎日の子どもの様子を注意深く観察し、体調や態度の小さな変化を見逃さないようにしてください。

保育園、幼稚園、学校にも事情を伝え、子どもに異変があれば連絡してもらえる態勢を整えておくことが大切です。

子どもに異常が見られた場合、一人で悩んだり対応したりせず、家族、保育士、小児科医などに相談しながら慎重に対応してください。

なお、子どもが幼い場合は、離婚について子どもに説明しない親が多いのが現状です。

言葉が話せない乳児期のうちは仕方ありませんが、幼児期以降の子どもであれば、離婚という言葉の意味は分からなくても、感覚的に離婚のことを何となく分かっていることが多いものです。

そのため、子どもの年齢に応じた内容や言葉を選んで、伝えてあげましょう。

環境の変化は最小限にする

環境の変化は、子どもの心に大きな影響を及ぼします。

家庭内が混乱して不安定になっている時期に環境まで激変してしまうと、子どもはさらに混乱してしまうため、できる限り環境を変えない配慮が必要になります。

離婚によって転居や転校を余儀なくされる家庭は少なくありませんが、校区外通園(通学)を申請する、週末には地元に戻って友人と遊ばせてあげるなど、子どもの意見を聴いてできるだけ実現してあげましょう。

また、離婚後に就職活動や仕事をする場合、子どもを預ける実家、保育園、幼稚園、学童保育などを確保しておく必要があります。

最近は、待機児童の問題が大々的に報じられてるため、入園の可否や入園時期などを調べ、子どもに伝えておくことも大切です。

【参考】

  • Second Chances: Men, Women and Children a Decade After Divorce|Judith Wallerstein
  • Mortality, severe morbidity, and injury in children living with single parents in Sweden: a population-based study.|Weitoft GR, Hjern A, Haglund B, Rosén M.
  • Hetherington’s groundbreaking work shows how families cope with divorce|E. Mavis Hetherington
  • 離婚で壊れる子供たち 心理臨床家からの警告」| 棚瀬一代
  • 「独身者は損をしている」|アメリカ価値研究所編

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

関連記事

アーカイブ

ページ上部へ戻る