無職で収入がなくても国民健康保険料がかかる!月額と計算方法を解説

「無職で収入がないと、国民健康保険料は免除される」と思っている人、実はとても多いです。

しかし、国民健康保険に加入している間は、無職で収入がなくても国民健康保険料を支払う必要があります。

十分な収入がある人と比べると金額は下がりますが、無職や無収入だからといって0円(免除)になることはありません。

この記事では、国民健康保険料の仕組み、無職で収入がない人はいくら国民健康保険料を支払うのか、具体的な計算方法について解説します。

無職で収入がなくても国民健康保険料がかかる理由

無職で収入がなくても国民年金保険料がかかる理由を知るには、保険料の仕組みを理解する必要があります。

国民健康保険料の3つの区分

国民健康保険料には「医療分」、「支援分」、「介護分」という3つの区分があり、この3つの合計額が保険料として被保険者に請求されます。

国民健康保険料
医療分支援分介護分

国民健康保険料:医療分とは

医療分とは、国民健康保険料の加入者の医療費などに充てられる保険料です。

保険料算定の基礎となる部分で、各自治体内の加入者の前年医療費に基づいて算出され、国民健康保険の加入者全員が負担します。

平成31年度の最高限度額は61万円ですが、それ以下に抑えている自治体もあります。

国民健康保険料:支援分とは

支援分とは、後期高齢者医療制度の運営に必要な費用を、国民年金保険の加入者のうち0歳~74歳の人が負担する保険料です。

平成31年度の最高限度額は19万円ですが、それ以下に抑えている自治体もあります。

メモ
後期高齢者医療制度とは、75歳以上の高齢者が加入する公的医療保険制度です。

国民健康保険料:介護分とは

介護分とは、介護保険制度の介護納付金として、国民健康保険の加入者のうち40歳~64歳の人が負担する保険料です。

メモ
護保険制度とは、介護が必要になった人が必要な介護サービスを利用できるようにする制度です。

平成31年度の最高限度額は16万円ですが、それ以下に抑えている自治体もあります。

所得割、均等割り、平等割

国民健康保険料の3つの区分(医療分、支援分、介護分)には、それぞれ「所得割」、「均等割」、「平等割」が設定されており、各金額を合計して国民健康保険料が算出されます。

メモ
平等割の負担がない自治体もあります。
国民健康保険料
医療分

・所得割

・均等割

・平等割

支援分

・所得割

・均等割

・平等割

介護分

・所得割

・均等割

・平等割

所得割とは

所得割とは、国民健康保険の加入者のうち所得のある人が負担する保険料です。

所得がない専業主婦(主夫)、子供、赤ちゃん、高齢者、無職の人など、前年の所得がない人は支払う必要がありません。

前年の1年間の所得から基礎控除(33万円)を差し引いた金額に基づいて、各自治体が決めた割合を掛け合わせて算出されます。

所得割額は、各自治体が毎年見直しをしています。

均等割とは

均等割とは、国民健康保険の加入者全員が均等に負担する保険料です。

均等割は、各自治体が決めて「均等」に負担を求めるなので、無職で収入がなくても均等割については負担しなければなりません。

均等割の金額は、毎年、各自治体が見直しを行っています。

メモ

国民健康保険には、社会保険のような扶養の概念がありません。

そのため、国民健康保険に加入している専業主婦(主夫)や子供についても、1人1人均等割を負担する必要があります。

平等割とは

平等割とは、国民健康保険の加入者の世帯ごとに負担する保険料です。

国民健康保険の加入者が1人以上いる世帯が負担することになっており、無職で収入がなくても保険料を支払う必要があります。

メモ

平等割は、賦課されない自治体もあります。

住んでいる自治体に確認してみてください。

このように無職で収入がない場合でも『医療』『支援分』『介護分』の「均等割」と「平等割」の保険料は負担する必要があるため、国民健康保険料が発生してきます。

無職で収入がない人が負担する国民健康保険料

国民健康保険料には3つの区分(医療分、支援分、介護分)があり、それぞれ3つの金額で構成されています。

無職で収入がない人の場合、3つの区分の所得割は0円となりますが、その他の金額は支払う必要があります。

つまり、医療分(均等割、平等割)、支援分(均等割、平等割)、介護分(均等割、平等割)については、無職で収入がなくても負担しなければなりません。

無職で収入がない人の国民健康保険料の計算

前年に無職で収入がない人の国民健康保険料は、以下の計算式で算出することができます。

加入者の年齢国民健康保険料の計算式
0~39歳医療分(均等割+平等割)+支援分(均等割+平等割)
40~64歳医療分(均等割+平等割)+支援分(均等割+平等割)+介護分(均等割+平等割)
65歳~医療分(均等割+平等割)+支援分(均等割+平等割)

ある年の国民健康保険料の対象となるのは、前年の所得です。

現在、無職で収入がなくても、前年に収入があった場合は所得割も負担することになります。

国民健康保険料が決まる時期

国民健康保険料は、毎年6月に、前年の所得に対して、その年の4月から翌年の3月までの12ヶ月分の保険料が決まります。

支払期間は6月から翌年3月までで、10回または9回に分けて支払います。

令和元年度(平成31年4月から令和2年3月)の国民健康保険料を例にして確認しておきましょう。

項目説明
保険料が決定する時期令和元年6月
対象となる所得平成30年1月から12月の所得
決定する保険料平成31年4月から令和2年3月までの12ヶ月分
支払期間と回数令和元年6月から令和2年3月までに10回または9回

国民健康保険料の減免制度

国民健康保険には、減額(軽減)・減免・全額免除という保険料減免制度があります。

このうち、無職で収入がない人に関係があるのは、減額(軽減)制度と減免制度です。

国民健康保険料の減額(軽減)

国民健康保険料の減額とは、世帯所得が一定基準を下回る世帯について、保険料の3つの区分(医療分、支援分、介護分)の均等割を減額(軽減)する制度です。

世帯の所得に応じて「7割軽減」、「5割軽減」、「2割軽減」という3種類の減額(軽減)があります。

世帯人数7割軽減5割軽減2割軽減
133万円以下61万円以下84万円以下
289万円以下135万円以下
3117万円以下186万円以下
4145万円以下245万円以下

※平成31(令和元、2019)年の軽減判定所得

国民健康保険料の減免制度

国民健康保険料の減免とは、年度途中の退職など不測の事態によって一時的に保険料が支払えなくない人について、保険料を減額・免除する制度です。

具体的には、以下のような事情のある人が保険料減免の対象となります。

  • 被災者
  • 失業者(倒産や解雇など)
  • 退職者など
  • 65歳以上の高齢者(国民健康保険資格を取得した場合)
  • 生活保護受給者
  • 障害者
  • 拘禁中の人

国民健康保険料の減額(軽減)や減免については、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事

国民健康保険料の減免の要件は?母子家庭は免除・減額される?

無職で収入がない人の国民健康保険料の月額を計算する方法

無職で収入がない人の国民健康保険料を計算する方法について、事例を使って解説していきます。

基本的な流れは、保険料の3つの区分を計算し、計算結果を合算して年間保険料を求めて、月額を算出するという3ステップです。

事例

  • 氏名:Mさん
  • 年齢:45歳
  • 住所:大阪府大阪市(平等割あり)
  • 職業:無職(2年前から)
  • 前年の所得:0円(所得割は0円)
  • 家族構成:1人暮らし

ステップ1:保険料の3つの区分(医療分、支援分、介護分)を計算する

まず、保険料の3つの区分を計算していきます。

医療分

医療分は、均等割と平等割の合計で計算します。

医療分Mさんの場合
均等割大阪市の医療分均等割額:22,265円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得0円:均等割の7割減額が適用

22,265円×30%=年間6,680円(6,679.5円を四捨五入)

平等割大阪市の医療分平等割額:29,380円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得が0円:平等割の7割軽減が適用

29,380円×30%=年間8,814円

医療分額均等割6,680円+平等割8,814円=年間15,494円

支援分

支援分Mさんの場合
均等割大阪市の医療分均等割額:7,962円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得0円:均等割の7割減額が適用

7,962円×30%=年間2,389円(2,388.6円を四捨五入)

平等割大阪市の医療分平等割額:10,506円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得が0円:平等割の7割軽減が適用

10,506円×30%=年間3,152円(3,151.8円を四捨五入)

支援分額均等割2,389円+平等割3,152円=年間5,541円

介護分

介護分Mさんの場合
均等割大阪市の医療分均等割額:11,326円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得0円:均等割の7割減額が適用

11,326円×30%=年間3,398円(3,397.8円を四捨五入)

平等割大阪市の医療分平等割額:6,042円

Mさんは1人暮らしで世帯全体の所得が0円:平等割の7割軽減が適用

6,042円×30%=年間1,813円(1,812.6円を四捨五入)

介護分額均等割3,398円+平等割1,813円=年間5,211円

ステップ2:ステップ1の計算結果を合算して国民健康保険料の年額を算出する

保険料の3つの区分を合算し、国民健康保険料の年額を算出します。

Mさんの場合は、以下のとおりです。

医療分15,494円+支援分5,541円+介護分5,211円=年額26,246円

ステップ3:月額の国民年金保険料を算出する

最後に、月額の国民年金保険料を算出します。

Mさんの場合は、以下のとおりです。

26,246円÷12=2,188円(2,187.6円を四捨五入)

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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