国民年金の繰り下げで受給割合はどう変わる?手続き前に確認すべきデメリット3つ

65歳になると国民年金(老齢基礎年金)を受給できるようになりますが、繰り下げ手続きをすれば受給開始を後にすることもできます。

国民年金の繰り下げには、65歳から受給するよりも受給割合(受給額)が増えるという大きなメリットがありますが、裏にはデメリットも潜んでいます。

この記事では、国民年金の繰り下げ手続きによる受給割合の変化、手続きによるデメリットについて解説します。

国民年金の繰り下げ手続きとは

国民年金の繰り下げ受給とは、年金の受給開始を本来の開始時期より後ろ倒しすることで、受給割合(受給額)を増やす制度です。

国民年金(老齢基礎年金)の受給要件、受給開始時期、受給額を確認しておきましょう。

老齢基礎年金説明
受給要件10年以上国民年金に加入して保険料を納めた人
受給開始時期65歳
受給額(平成31年度)満額:年額780,096円(月額65,008円)

※20~60歳まで40年間、国民年金に加入して保険料を納めた場合

本来の受給開始時期は65歳ですが、これを後ろ倒しして受け取る年金額を増やすことができるのが繰り下げということです。

生年月日による繰り下げによる増額率の違い

国民年金の繰り下げは、昭和16年4月2日以前に生まれたか以後に生まれたかによって、受給率の増額率が異なります。

請求時の年齢生年月日
昭和16年4月2日以後昭和16年4月2日以前
66歳0ヵ月~66歳11ヵ月8.4%~16.1%12%
67歳0ヵ月~67歳11ヵ月16.8%~24.5%26%
68歳0ヵ月~68歳11ヵ月25.2%~32.9%43%
69歳0ヵ月~69歳11ヵ月33.6%~41.3%64%
70歳0ヵ月~42.0%88%

生年月日が昭和16年4月2日以後の場合、以下の計算式を用いて月単位で年金額の増額率が算出されます。

増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007

※上限は42%

一方で、生年月日が昭和16年4月2日以前の場合、繰下げ支給を請求した時点の年齢に応じて増額率が決まります。

いずれの場合でも、決まった増額率は一生変わることはありません

国民年金の繰り下げ手続きをする前に確認すべきデメリット3つ

国民年金の繰り下げは、受給額が増えるという大きなメリットが注目されがちですが、デメリットもあります。

この記事では主なデメリットを3つ、解説していきます。

長生きしないと得にならない

国民年金の繰り下げは、長生きするほど得になる制度です。

繰り下げ手続きで増額された年金を受給できるようになっても、短い期間で亡くなると、本来の受給開始時期から受給した方が受給総額が多かったということになってしまいます。

では、どれくらい長生きすれば、繰り下げ受給が得になるのでしょうか。

結論をいうと、70歳まで繰り下げる手続きをした場合、82歳まで生きれば得になります(受給総額が65歳から受給するよりも多くなります。)。

現在の日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳なので、女性の場合は平均寿命より数年短く、男性の場合は平均寿命より数年長く生きた場合、繰り上げ受給が得になるということです。

しかし、誰しも自分の寿命を知ることはできないので、繰り下げ受給が得になるかどうかは生きてみないと分かりません。

妻だけが繰り下げ受給する方法

夫婦で年金を受給する場合、妻だけが繰り下げ受給する方法もあります。

平均年齢で考えると、女性の方が男性より長生きする可能性が高いので、夫が亡くなった後の生活に困らないよう、妻の年金受給額を増やしておくのです。

実際のところ、夫が生きている間は妻の年金を受け取らず、死亡後に繰り下げ受給するというケースは少なくありません。

年金受給額が増えると税金や社会保険料も増える

国民年金(老齢基礎年金)の受給を70歳まで繰り下げると増額率は42%です。

満額受給できる状態だった場合、年間に1,107,742円(780,100×増額率42%)受給できるようになります。

しかし、年金受給額が増額されると、税金や社会保険料も増額され、手取り金額は額面よりも少なくなってしまいます。

したがって、繰り下げ後の年金受給総額が、本来の受給開始時期から受給した場合の受給総額を上回るまでの期間も長くなります(平均で2~3年程度)。

つまり、繰り下げによるメリットを享受できるようになるのは、実際は84~85歳以降ということです。

遺族年金は増額されない

遺族年金とは、年金受給者などが死亡した場合に家族へ支給される年金です。

ここで問題になるのが、「繰下げできるのは、他年金の権利が発生するまでの間(日本年金機構ウェブサイトより引用)」というルールです。

まず、65歳以前に配偶者が亡くなって遺族年金を受給していた場合、繰り下げを利用することはできません。

また、老齢年金を繰り下げて増額した配偶者が亡くなった場合、配偶者が65歳時点で支給されるはずだった年金額に基づいて遺族年金の支給額が計算されます。

つまり、増額された年金額に基づいて遺族年金を受給することはできないのです。

国民年金の繰り下げで受給できる年金額の計算方法(3ステップ)

国民年金の繰り下げ請求をした場合に受給できる年金額について、例を使って3つのステップで確認していきます。

【例】

名前:Kさん

繰り上げ請求月:70歳1ヶ月

65歳からの受給した場合の老齢基礎年金額:780,100円(満額)

ステップ1:増額率を確認

増額率は、増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までに月数)×0.007(上限は42%)で計算します。

Nさんの場合

Nさんは、70歳1ヶ月で繰り上げを請求しています。

したがって、増額率は42%(61ヶ月×0.007=0.427、上限が42%なので42%)となります。

ステップ2:支給率を算出

老齢基礎年金の支給率は、以下の計算式で算出します。

支給率=100%+増額率

Nさんの場合

Nさんは、増額率が42%です。

したがって、Nさんの老齢基礎年金の支給率は、100%+42%=142%となります。

ステップ3:老齢基礎年金支給額を算出

繰り上げ請求した場合の老齢基礎年金額は、以下の計算式で算出することができます。

老齢基礎年金支給額=本来の支給予定額×支給率

Nさんの場合

Nさんは、20歳から60歳までの40年間国民年金に加入し、65歳から満額の780,100円を受給できる状態でした。

そのため、繰り下げ請求した場合の老齢基礎年金支給額は、780,100円×142%=1,107,742円となります。

額面上は、327,642円増額されている計算です。

国民年金の繰り下げ手続きの方法

国民年金の繰り下げ手続きの方法について解説していきます。

請求者

国民年金の繰り下げを希望する人本人です。

請求先

住民登録している(住民票がある)市区町村役場の国民年金担当課です。

必要書類

  • 国民年金 老齢基礎年金支給繰下げ請求書:市区町村役場や年金事務所などで入手
  • 基礎年金番号が分かる資料:年金手帳、基礎年金番号通知書、年金証書など
  • 振込先口座の情報:預金通帳、貯金通帳、キャッシュカードなど
  • 請求者の戸籍謄本(小関の全部事項証明書)
  • 本人確認書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
  • 認印

繰り下げた国民年金(老齢基礎年金)はいつから支給されるか

国民年金の繰り下げを請求した場合、請求月の翌月から老齢基礎年金が支給されます。

支給月と支給日

老齢基礎年金の支給月と支給日は、以下のとおりです。

月日具体的な月日
偶数月(2.4.6.8.10.12)
15日

15日が土日祝日の月については、直前の営業日に指定口座へ振り込まれることになっています。

国民年金の繰り上げ受給:支給額とデメリット、手続きの必要書類は?

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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