国民年金:前納割引はクレジットカードが得?2年前納のデメリットは?

国民年金には、保険料をまとまて支払うと割引される前納制度があります。

保険料が割引されるというメリットが注目される一方で、「2年前納はデメリットがある」、「返金に手間がかかる」といった話もあり、前納をためらう人もいるようです。

この記事では、国民年金の前納制度の割引額と申し込み方法・期限、出産や就職をした場合の返金手続き、2年前納のデメリットについて解説します。

国民年金の前納制度とは

国民年金の前納制度とは、国民年金保険料をまとめて前払いする制度です。

前納する月数に応じて国民年金の保険料額が割引されるので、月ごとに保険料を支払うよりもお得になっています。

国民年金の前納の支払方法(納付方法)

国民年金保険料の前納には、3つの支払方法(納付方法)があります。

  • 現金納付
  • クレジットカード納付
  • 口座振替

国民年金の前納の種類(納付月数)

原則として、国民年金保険料の前納には、4つの種類(納付月数)があります。

  • 1ヶ月前納(早割)
  • 6ヶ月前納(4月分~9月分、10月分~翌年3月分)
  • 1年前納(4月分~翌年3月分)
  • 2年前納(4月分~翌々年3月分)

現金で前納する場合は、上の4つの月数以外の保険料を前納することもできるので、後ほど詳しく解説します。

国民年金を前納することによる割引額

国民年金保険料を前納した場合の割引額は、支払方法と前納の種類(納付月数)によって異なります。

以下、支払方法ごとに解説していきます。

国民年金の前納:現金納付の場合

年金保険料を現金で前納する場合の、前納の種類、支払方法、割引額、申込期限、納付期限(引落日)は、以下のとおりです。

前納種類前納額割引額申込期限納付期限

(引落日)

2年前納380,800円

(378,580円)

14,520円

(14,420円)

4月末日4月末日
1年前納193,420円

(192,600円)

3,500円

(3,480円)

6ヶ月

(前期)

97,660円

(97,240円)

800円

(800円)

6ヶ月

(後期)

97,660円

(97,240円)

800円

(800円)

10月末日10月末日

例えば、現金払い1年前納した場合は1年間で3500円、2年前納した場合は2年間で14520円も割引されます。

国民年金保険料を現金で前納する方法

毎年4月上旬から中旬に、年金事務所から1年前納用と6ヶ月前納用の納付書が届くので、納付期限までに支払います。

【令和元年度の納付期限】

  • 2年前納、1年前納、6ヶ月(前期):5月7日
  • 6ヶ月前納(後期):10月31日

2年前納を希望する場合は、年金事務所に問い合わせて納付書を送付してもらう必要があります。

全国の相談・手続き窓口|日本年金機構で最寄りの年金事務所を確認し、問い合わせてください。

 

任意の月数の保険料を前納する

現金で前納する場合、2年前納、1年前納、6ヶ月前納(前期、後期)以外にも、任意の月分から年度末分または翌年度末分の保険料を前納することもできます。

例えば、10月分から翌年3月分の保険料を前納したり、7月分から翌々年の3月分までの保険料を前納することが可能です。

任意の月数を前納する場合の割引額は、納付月数によって変動します。

任意の月数の保険料前納を希望する場合、年金事務所に問い合わせをして専用の納付書を送付してもらう必要があります。

国民年金の前納:クレジットカード納付

年金保険料をクレジットカードで前納する場合の、前納の種類、支払方法、割引額、申込期限、納付期限(引落日)を一覧表にしています。

前納種類前納額割引額申込期限納付期限

(引落日)

2年前納380,880円

(378,580円)

14,520円

(14,420円)

2月末日4月末日
1年前納193,420円

(192,600円)

3,500円

(3,480円)

6ヶ月

(前期)

97,660円

(97,240円)

800円

(800円)

6ヶ月

(後期)

97,660円

(97,240円)

800円

(800円)

8月末日10月末日

クレジットカードで国民年金保険料を前納する場合、申込期限までに「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を日本年金機構に提出する必要があります。

クレジットカードで前納するのが一番お得か?

「国民年金保険料はクレジットカードで前納するのが一番お得」という情報を見かけます。

しかし、クレジットカードで前納する場合の割引額は、現金納付(納付書使用)の場合と同じで、口座振替で前納する方が割引額は大きくなっています。

クレジットカードの名義に注意

クレジットカードの名義人が本人または配偶者以外の場合、カード名義人が作成した「国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書」を提出するよう求められます。

クレジットカードの利用限度額に注意

クレジットカードで保険料を前納する場合、利用限度額に注意する必要があります。

利用限度額を超えると、前納することができず、毎月払いの扱いにされてしまいます。

特に、2年前納の場合は要注意です。

国民年金の前納:口座振替

年金保険料を口座振替で前納する場合、前納の種類、支払方法、割引額、申込期限、納付期限(引落日)は、以下のとおりとなります。

前納種類前納額割引額申込期限納付期限

(引落日)

2年前納379,640円

(377,350円)

15,760円

(15,650円)

2月末日4月末日
1年前納192,790円

(191,970円)

4,130円

(4,110円)

6ヶ月

(前期)

97,340円

(96,930円)

1,120円

(1,110円)

6ヶ月

(後期)

97,340円

(96,930円)

1,120円

(1,110円)

8月末日10月末日
早割16,360円50円随時当月末日

口座振替によって国民年金の前納をするには、申込期限までに「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」を日本年金機構に提出します。

口座振替の申出には、口座振替をする金融機関の届出印が必要になります。

国民年金の早割

早割とは、本来の納付期限よりも1ヶ月早く口座から振り返ることです。

保険料の早割を利用することにより、少しですが月々の保険料が割引されます。

国民年金保険料を前納した場合の割引額を比較

国民年金の前納で最も割引額が大きいのは、口座振替で2年前納した場合です。

国民年金 前納 割引

出典:東大阪市

口座振替で2年前納した場合、現金納付で2年前納するよりも保険料が1,240円割引されます。

また、口座振替で1年前納した場合と比較すると、7,500円(2年分)も割引されることになります。

国民年金の前納(2年前納)のデメリット

国民年金の前納制度は、保険料をまとめて支払うほど割引されるお得な制度ですが、デメリットを感じることもあるかもしれません。

ここでは、2年前納した場合のデメリットとして挙がることのある内容を書いておきます。

お金が一気に無くなる

2年分の保険料をまとめて支払うことになるので、当然ですが、まとまったお金が必要です。

例えば、口座振替で2年前納した場合、4月末日に379,640円ものお金が口座から消える(振り替えられる)ことになります。

クレジットカード納付の場合、引き落とされる日が少しだけ遅れますが、まとまったお金が無くなることに変わりはありません。

月々の収入と支出のバランスを保ってやりくりしていた場合、急に約38万円もの大金がなくなること自体にショックを受けるかもしれません。

月々の収支がギリギリの状態で生活している人にとっては、保険料の前納によって日常生活が苦しくなるリスクもあります。

国民年金の前納は、長期的に見れば保険料が割引されてお得な制度ですが、日々の生活に深刻な影響を及ぼすことのないように、利用する前に収入や貯蓄を確認しておきましょう。

クレジットカード納付の割引率が低い

先ほども書きましたが、クレジットカードで保険料を前納した場合の割引額は現金納付と同じで、口座振替よりも低くなっています。

平成31年度と令和2年度の保険料を前納した場合の差は、以下のとおりです。

納付方法クレジットカード・現金口座振替
保険料380,880円379,640円
割引額14,520円15,760円

同じ2年前納でも、支払方法によって1,240円も差がついています。

ただし、クレジットカード納付の場合、ポイントが加算されるので、割引額とポイントをトータルで考えると、クレジットカードの利用が最もお得といえます。

例えば、ポイント還元率1%のクレジットカードを利用した場合、実質18,328円(14,520円+3,808円)の割引となります。

クレジットカードと口座振替の前納申込期限が早い

クレジットカード納付と口座振替で前納する場合、申込期限が現金納付より早くなっています。

納付方法申込期限
現金納付4月末日
クレジットカード・口座振替2月末日

つまり、前年度のうちに翌年度以降の国民年金保険料を前納するかどうか決め、申込みをする必要があるのです。

申込期限を過ぎると前納することができず、少なくとも1年間は毎月払いを継続することになります(現金納付に限り、任意の月数を前納することが認められています。)。

国民年金の前納に関するよくある質問

最後に、国民年金の前納に関するよくある質問について解説しておきます。

前納期間中に就職した場合

国民年金と厚生年金は、同時に加入することができません。

そのため、国民年金保険料の前納期間中に就職して厚生年金に加入した場合、到来していない月の保険料が還付されることになります。

就職して1~2ヶ月程度で日本年金機構から還付請求書が届くので、必要事項と還付先の口座情報を記入して返送すれば、2~3ヶ月後には保険料が還付されます。

還付請求書には2年という請求期限が設けられているので、届いたら忘れないうちに手続きを済ませておきましょう。

修正申告に要注意

保険料を前納して全額所得控除を受けていた場合、修正申告が必要になることがあります。

例えば、平成30年に国民年金保険料を2年前納し、その全額(2年分の保険料)について平成30年の確定申告で所得控除を受けた後、平成31年に就職して厚生年金に加入したとします。

この場合、厚生年金加入によって未経過の国民年金保険料は還付されることになり、確定申告の所得控除が多すぎたことになります。

そのため、修正申告をして住民税と所得税を追加で支払う必要が生じます。

前納期間中に出産した場合

平成31年4月から、産前産後期間中の国民年金保険料が免除されることになっています。

免除されるのは、出産日を含む月の前月から4ヶ月です。

例えば、令和元年7月31日に出産した場合、6月、7月、8月、9月分の保険料が免除されます。

保険料の前納期間中に出産した場合、免除期間分の保険料は還付されることになっています。

出産前後に住んでいる地域の市区町村役場(国民年金担当課)へ行き、還付の手続きをとってください。

国民年金の産前産後期間の保険料免除制度については、関連記事で詳しく解説しているので、関心がある人は読んでみてください。

関連記事

産休産後期間の国民年金保険料が免除!免除期間と申請方法を解説

20歳になった年度に前納する場合

20歳になった年度に前納できる期間は、誕生日(誕生月)によって異なります。

そのため、原則として、任意の月数を前納することができる現金納付のみとなります。

ただし、8月末以前に20歳になった場合は、6ヶ月前納(後期)分からクレジットカード納付や口座振替が利用できます。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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