婚姻費用分担請求調停の申立てと流れは?欠席すると不成立で審判移行?

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婚姻費用の分担方法や程度については、夫婦間で協議して決めるのが原則です。

しかし、夫婦間で協議できなかったり合意に至らなかったりすると、収入がない夫または妻はたちまち生活費に困り、生活が成り立たなくなってしまいます。

そこで、婚姻費用の分担について夫婦間の合意ができない場合、家庭裁判所の調停または審判で取り決めができるようになっています。

婚姻費用分担請求調停の申立て

家庭裁判所の手続きで婚姻費用の分担を取り決めるには、婚姻費用分担の調停または審判の申立てを行います。

申立権者

夫または妻です。

婚姻費用には夫婦間の子どもの養育費も含まれていますが、婚姻費用の分担義務は夫婦間の義務であり、婚姻費用分担の調停の申立てができるのも夫または妻のみとされています。

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申立先(管轄の家庭裁判所)

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または夫婦が合意で定める家庭裁判所です。

家事調停の管轄については、家事事件手続法第245条第1項に規定されています。

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

(家事事件手続法第245条第1項)

この規定により、家事調停は、原則、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。

ただし、当事者(婚姻費用分担調停の場合は夫または妻)が調停を行う場所について合意した場合は、夫婦が合意した家庭裁判所で調停を行うことができます。

夫婦が合意した家庭裁判所で調停を行うには、婚姻費用分担調停を申し立てる家庭裁判所に対して管轄合意書を提出する必要があります。

申立ての必要書類

婚姻費用分担調停の申立ての必要書類は、以下のとおりです。

  • 申立書:原本1通とコピー2通(裁判所用1通、相手方送付用1通、申立人用1通)
  • 申立事情説明書:原本1通
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
  • 夫婦の収入に関する資料:源泉徴収票のコピー、給与明細のコピー、確定申告書のコピーなど

申立書の書式は、裁判所ウェブサイトからダウンロードするか、家庭裁判所の窓口または手続案内で交付してもらいます。

夫婦の収入に関する資料については、申立時には申立人の収入に関する資料を提出すれば足りますが、相手方の資料も提出しておくと調停の進行が早くなります。

調停開始後は、随時、生活費、住宅ローン、子供の学費などに関する資料の提出を求められることがあります。

申立てにかかる費用

婚姻費用分担調停の申立てにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:各家庭裁判所による

家事調停の申立てにかかる費用は、1件につき収入印紙1200円分と決まっています。

一方で、郵便切手については、各家庭裁判所が金額や枚数を個別に決めているため、事前に申立てを行う家庭裁判所に確認する必要があります。

申立ての窓口

家庭裁判所の家事部(係)です。

家庭裁判所によっては、調停センターなど調停専用の窓口を設けている家庭裁判所もあります。

申立権者である夫または妻が、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所(または合意管轄の家庭裁判所)に必要書類と費用を持参し、申立てを行います。

窓口では提出書類の書面審査や費用の確認が行われ、不備がなければ申立てが受理されます。

申立書等の記載に不備がある場合は修正を指示され、必要書類や費用が不足している場合は追加提出を求められます。

申立てが受理された後の流れ

申立てが受理されると、家庭裁判所は担当裁判官1人と調停委員2人を決め、調停の初回期日を指定します。

申立ての受理から2週間前後で、調停の初回期日が調停期日通知書を封書で郵送する方法により申立人と相手方に通知されます。

調停の初回期日は、申立ての受理から約1ヶ月後の平日が指定されています。

また、相手方に対する封書には、調停期日通知書以外に申立書のコピーや進行に関する照会書が同封されています。

通常、相手方は、調停期日通知書が届いて初めて調停が申し立てられたことを知ります。

そのため、相手方に申立ての内容を知らせるとともに、相手方の主張や事情などを書面で説明する機会が与える配慮がされているのです。

調停期日の変更

調停期日通知書に記載された期日に家庭裁判所へ出頭することが難しいときは、変更を求めることができます。

調停期日通知書に調停を担当する裁判所書記官の名前と電話番号が記載されているので、電話連絡します。

ただし、申立人、相手方、裁判官、調停委員2人の予定や調停室の空き状況を調整する必要があるため、必ずしも希望の日に変更してもらえるとは限りません。

婚姻費用分担請求調停の流れ

婚姻費用分担請求調停では、原則、申立人と相手方(夫と妻)が、同じ日に同じ家庭裁判所に出頭する(出頭時間は30分程度ずらしてある)ことになります。

家事調停は、申立人と相手方が交互に調停室に入室し、調停委員に事情や主張を口頭で説明して、それを調停委員から相手に伝えてもらう方法により進行するため、申立人と相手方が別期日に出頭したのでは調停が進まないためです。

夫が妻に暴力を振るう可能性が高い、妻が夫の顔を見るとパニックになるなど特別な事情があるときは、夫婦で別の期日が指定されることもありますが、例外的な取り扱いです。

通常の調停期日であっても、申立人と相手方の呼出時間が30分前後ずらしてあり、待合室も異なりますし、調停室への動線も配慮されているため、家庭裁判所の中で相手と顔を合わせることはほぼありません。

また、必要に応じて家庭裁判所の職員が警備してくれたり、調停委員が待合室から調停室まで同行してくれたりすることもあります。

以下、婚姻費用分担調停の流れを場面ごとに解説していきます。

調停の初回期日に出頭して受付を済ませる

調停期日通知書に記載された日時に家庭裁判所へ出頭し、窓口で調停期日通知書を見せて受付を済ませます。

受付が終わると、担当者が待合室に案内してくれます。

調停委員から調停の説明を受ける

婚姻費用分担の調停の初回期日には、まず、調停委員から調停の手続説明を受けます。

  • 調停は裁判官1人と調停委員2人(男女各1人)で構成される調停委員会が担当すること
  • 調停は非公開で行われること
  • 調停委員、裁判官、調停手続に関わる裁判所の職員には守秘義務が課せられていること
  • 調停は、夫と妻が交互に調停室に入室して事情や主張を口頭で説明し、それを調停委員が相手に伝える方法により進行すること
  • 婚姻費用の性質
  • 婚姻費用分担の調停は夫と妻の話し合いの場であり、調停委員会が判断することはなく、お互いの合意により解決する必要があること
  • 婚姻費用分担について調停で合意した内容は法的な効力を持つこと
  • 合意できないときは調停不成立で終了し、審判移行すること

原則、手続説明は、調停委員が申立人と相手方をそれぞれ調停室に呼んで行います。

家庭裁判所によっては、夫と妻を調停室で同席させて説明を行うこともありますが、事前に同席の可否を確認され、拒否すれば別々に行ってもらうことができます。

なお、調停委員会は裁判官1人と調停委員2人で構成されていますが、通常、裁判官が調停に同席するのは、調停の重要な局面や、調停成立・不成立など調停が終了するときのみです。

調停委員に主張や事情を説明する

婚姻費用分担調停の初回期日では、まず、申立人(夫または妻)が調停委員に対して主張や事情を説明します。

説明が終わると調停室を退室して待合室で待機し、代わりに相手方(夫または妻)が調停室に入室して主張や事情を説明します。

調停委員に説明を求められる主な内容は、以下のとおりです。

  • 調停申立ての動機・経緯
  • 現在の生活状況(同居・別居、子どもの監護状況、夫婦の収入など)
  • 希望する婚姻費用の分担額や支払い開始時期・方法

夫と妻が1回ずつ調停委員に説明した後は、約30分ごとに交互に調停室へ入室し、相手の主張を聞いてさらに主張を述べます。

1期日の調停時間は2~3時間に設定されているため、夫と妻が各2~3回ずつ調停委員と話すことになります。

算定表に基づく婚姻費用の算出

夫と妻が婚姻費用の分担義務について正しく理解・納得していて、夫と妻の収入に関する資料が提出されている場合には、調停委員が算定表を用いて婚姻費用を算定し、結果を夫と妻に示します。

婚姻費用の分担義務について理解や納得ができていない場合は、調停委員が具体的な主張を聴取した上で説明を行います。

例えば、相手方(夫または妻)が「別居して夫婦の同居・協力・扶助義務を果たしていない相手に生活費用を支払う必要はない。」、「子どもとの面会交流が実現しない限り、婚姻費用は支払わない。」などと主張している場合、まずは婚姻費用を分担すべき理由を納得させる必要があります。

また、資料が提出されていない場合、算定表の使用は次回期日以降に持ち越されます。

次回調停期日の指定

初回期日で調停が成立しなかったときは、次回調停期日が指定されます。

次回期日は、申立人・相手方・調停委員・裁判所の都合を調整するとともに、主張の整理や資料の準備を行う期間を設けるために、初回期日から約1ヶ月後に指定されることになります。

間隔を空けずに次回期日を指定するよう希望することはできますが、特別な事情がない限り考慮されず、考慮されたとしても2~3週間程度は空くことになります。

次回調停期日を指定する前後で、期日の到達点や次回期日までの課題の確認(資料提出の指示など)が行われます。

調停の終了(調停成立、取下げ、調停不成立など)まで期日が繰り返される

原則、婚姻費用分担調停は、夫婦の合意ができて調停が成立する、申立人が申立てを取り下げる、夫婦の合意ができる余地がなく調停が不成立となるまで、期日が繰り返されます。

第2回期日以降の調停期日の流れは、以下のとおりです。

  • 前回期日の到達点の確認
  • 期日間における事情や主張の変更の有無と内容の確認
  • 調停進行(夫と妻が調停委員に主張を説明する、調停委員が収入に関する資料を算定表に当てはめて調停案を示すなど)
  • 次回期日の指定(期日の到達点や次回期日までの課題の確認)

婚姻費用分担調停に欠席した場合

相手方(夫または妻)が、調停期日前に欠席する旨を家庭裁判所に連絡した場合、期日まで日があれば期日が変更され、日が迫っていれば期日を維持して申立人(夫または妻)のみから主張や事情を聴取し、夫婦が出頭できる日に第2回期日が指定されます。

相手方が無断で調停期日を欠席した場合、申立人からのみ主張や事情を聴取した上で次回期日が指定されます。

次回期日も欠席する可能性が高いときは、家庭裁判所調査官が相手方に出頭を促す手続き(出頭勧告)が行われることもあります。

出頭勧告を経ても相手方が欠席を続け、今後も欠席を続ける可能性が高いと家庭裁判所が判断すると、調停は不成立で終了します。

婚姻費用分担請求調停が不成立になると審判移行する

婚姻費用分担請求調停は、別表第2事件(家事事件手続法別表第2に掲示された事件)です。

別表第2事件とは、当事者間に紛争があり、第一次的には当事者の協議による解決が望ましいものの、協議による解決ができないときは家庭裁判所が判断すべきとされる事件です。

別表第2事件では、当事者の協議による解決を目指す調停と、家庭裁判所が判断を下す審判の両方の手続きを利用することができ、調停が不成立になると自動的に審判に移行します。

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婚姻費用分担請求調停が不成立になった場合

婚姻費用分担請求調停が不成立で終了すると、自動的に審判手続きに移行します。

婚姻費用分担請求審判では、裁判官が夫婦の双方から主張や事情を聴取した上で、収入に関する資料や婚姻費用の分担を決める上で考慮すべき事情に関する資料の提出を指示します。

そして、夫婦の主張や提出された資料などを総合的に審理し、婚姻費用の分担額や支払い方法などを判断します。

審判結果については即時抗告することができ、即時抗告すると高等裁判所が再審理を行います。

審判が確定すると、審判結果に基づいて婚姻費用分担の履行を促す履行勧告、履行を命令する履行命令、履行を強制する強制執行の手続きが利用できるようになります。

いずれの手続きを利用することもできますが、通常はまず履行勧告を申し出て、履行されない場合に強制執行を申し立てます。

実務上、履行命令が利用されることはほぼありません。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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