公正証書とは?離婚協議書を公正証書で作成する費用は?

公正証書 離婚協議書

協議離婚する場合、離婚に伴う諸条件を取り決めなかったり、口約束だけをして離婚したりし、結果として離婚後に紛争が再燃するケースが多いのが実情です。

こうした協議離婚後に頻発する問題を避けるには、離婚に伴う諸条件を夫婦で話し合って合意しておくとともに、合意内容が離婚後に守られなくなることを想定し、合意内容を協議離婚書にまとめて公正証書にしておくことが重要です。

公正証書とは

公正証書とは、公証人法に基づいて、法務大臣に任命された公証人が法律行為その他私権に関する事実について作成する証書です。

広い意味では、公務員が権限内で適法に作成した全ての書面のことですが、一般的には公証人が作成する証書を指して用いられており、この記事でも後者の意味で使用しています。

公正証書には証明力や執行力があり、安全性や信頼性も付与されているなどのメリットがあり、離婚時の取決めだけでなく、遺言、金銭の貸し借り、任意後見契約など様々な分野で作成されています。

例えば、公正証書遺言を作成しておけば、被相続人の遺言書について家庭裁判所で遺言の検認を受ける手間が省くことができますし、養育費などの金銭債務について執行認諾文言(執行認諾条項、支払いが滞った場合は強制執行をしてもかまわないという旨の記載)を入れておけば、支払いが滞った場合に裁判手続きを省略して強制執行を申し立てることができます。

公正証書の目的

公正証書の目的は、契約や遺言など「法律行為その他私権に関する事実」に関する事項を公証人が証明することで私的法律紛争を予防し、私的法律関係の明確化や安定化を図ることです。

この目的のために、原則として、公証人が作成した公正証書の原本は公証役場に保管され、債権者には正本、債務者には謄本が交付される取り扱いとなっています(内容によって正本と謄本の両方が交付されることもあります。)。

公証人とは

公証人とは、公証事務を担う準公務員です。

公証事務は、国民の権利義務に関わり、私的紛争の予防を実現することを目的とする国の公務であり、公正証書の作成もその一つです。

  • 公正証書の作成
  • 私署証書や会社などの定款に対する認証の付与
  • 私署証書に対する確定日付の付与
公証人には取扱事件について守秘義務をが課され、また、法務大臣の監督を受けます。

また、公証事務の性質上、法律的な知識や経験に加え、中立公正な立場で職務に携わる必要があるため、法律実務の経験が豊かな裁判官や検察官などで、公募に応じた人の中から、法務大臣が任命することになっています。

ただし近年は、法律事務に長年携わって法曹有資格者に準ずる学識経験を有し、検察官・公証人特別認容等審査会の選考を経て公募に応じた人も、任命されることがあります。

公証人は約500人おり、全国に約300ヶ所ある公証役場で勤務しています。

公正証書の4つの効力

公正証書には、大きく分けて4つの効力があります。

証明力

公正証書は、公証人という法律のプロが、その権限に基づいて、文書の記載内容に法令違反がないかどうかを精査し、当事者の身元確認を行い、当事者が公証人の面前で公正証書の内容を確認して署名・押印するなど、厳格な手続きを踏まえて作成されます。

また、当事者が公証人に嘘をついて公正証書を偽造させた場合、「懲役5年以下または50万円以下の罰金」の刑事罰に問われることが規定されており、虚偽の公正証書作成を防止する措置が講じられています。

これらのことから、公正証書は、私文書と比較して高い証明力を有します。

例えば、民事裁判の証拠として公正証書が提出された場合、裁判所は証拠として採用することができ、公正証書の内容が否認または無効となることはほぼありません。

執行力

通常、当事者の一方が金銭の支払いなどの債務を履行せず、話し合いを経ても履行されない場合、給与や預貯金などを差し押さえて債権の回収を図る強制執行を検討しますが、強制執行手続きを利用するには、裁判を起こして強制執行を認める確定判決を得なければなりません。

しかし、公正証書は、以下の2つの要件を備えていれば、裁判を経ずに強制執行手続きを利用することができます。

つまり、執行力など確定判決と同等の効力を有するようになるのです。

  • 公正証書に取り決められた債務が「一定額の金銭の支払いを約束した場合」、「代替物または有価証券の一定数量の給付を約束した場合」である
  • 公正証書に執行認諾文言(執行認諾条項)がある

離婚協議書を公正証書で作成する一番大きな目的は、公正証書に執行認諾文言を記載しておくことで、取り決めた内容が履行されなかった場合に強制執行ができるようにしておくことです。

例えば、養育費について執行認諾文言を定めておけば、裁判を経ず強制執行を申し立てることができます。

調停離婚や裁判離婚の場合は、裁判所が作成する調停調書や判決書に基づいて強制執行ができますが、協議離婚の場合は、執行認諾文言付きの公正証書がないと、裁判なしに強制執行を利用することはできません。

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安全性

公正証書の作成では、公証人が書面の内容に法令違反がないか精査し、印鑑証明書などで当事者の身元を確認されるため、内容的な安全が確保されます。

また、作成された公正証書の原本は公証役場で保管されることになっており、公正証書の紛失、盗難、偽造、変更の心配もありません。

事実上の効力

繰り返しになりますが、公正証書の作成においては、文書内容の精査や当事者の身元確認を厳重に行われます。

こうした公正証書の作成過程を見聞きすることで、当事者を「取り決めた内容は守らないといけない。」という気持ちにさせ、債務不履行のリスクを抑える効果があるとされています。

離婚協議書を公正証書で作成する費用(手数料)

離婚協議書を公正証書で作成する場合の費用(手数料)は、政府が定めた「公証人手数料令」に定められています。

手数料は、原則として、証書の正本などの交付時に現金で支払いますが、予納を求められることもあります。

手数料の計算方式は、目的の価額で算定する方式、要した時間で算定する方式、証書などの枚数で算定する方式が使い分けられています。

公正証書作成費用の計算方法

離婚協議書を公正証書で作成する場合の費用は、項目ごとに「目的の価額」を算定した上で、各項目の目的の価額を合計します。

離婚条件目的の価額
財産分与、慰謝料支払総額
養育費10年を限度とした支払総額
年金分割500万円以下とみなす(+11,000円)

実際の公正証書作成の手数料は、目的の価額の合計額によって以下のとおりとなります。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1000万円以下17,000円
3000万円以下23,000円
5000万円以下29,000円
1億円以下43,000円
1億円超3億円以下43,000円+超過額5000万円ごとに13,000円を加算した額(上限95,000円)
3億円超10億円以下95,000円+超過額5000万円ごとに11,000円を加算した額(上限249,000円)
10億円超249,000円+超過額5000万円ごとに8,000円を加算した額

正本と謄本の請求

公正証書の正本・謄本は、1枚につき250円かかります。

夫婦用として正本と謄本を1通ずつ請求する場合、「250円×枚数×2通=費用」となります。

公証役場で保存される証書原本についても、公正証書の4枚(A4横書きの場合)以上になる場合は、1枚につき250円の費用がかかります。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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