離婚の話し合いに両家の両親や第三者、弁護士を同席させることの問題点

離婚について夫婦で話し合う場合に、両親などを同席させたいと思う人は多いものです。

しかし、たとえ両親や信頼できる知人友人、離婚に詳しい弁護士であっても、夫婦の問題に第三者を関わらせると様々な問題が生じます。

この記事では、離婚の話し合いに第三者を同席させることの問題点について解説しています。

離婚の話し合いに両家の両親を同席させることの問題点

夫婦の離婚に関する協議に、両家の両親を同席させたいという夫婦は多いです。

「両親が同席した方が落ち着く。」、「不利になったときに、助け舟を出してもらえる。」、「感情的になったときに仲介してもらえる。」など、両親の同席を求める理由は夫婦によって様々です。

しかし、一般的には、同席によって得られるメリットよりも、デメリットの方が多いものです。

親は自分の子供の味方をする

基本的に、親は子供を守ろうとします。

協議に同席する前は「公平な立場で意見を述べよう。」と思っていても、協議の場で自分の子供が責められたり不利な立場に立たされたりすると、子供を守りたくなるものです。

たとえ、自分の子供が不貞やDVなどで離婚原因を作ったとしても、相手の言い分が正しいことを理解していても、我が子をかばおうとするのが親心です。

ある意味、親として望ましい姿なのかもしれませんが、両家の親が自分の子供の味方をした結果、夫婦の争いが両家の争いに発展し、協議どころではなくなってしまいます。

有効な提案や助言が得られるとは限らない

両家の親が、親心を抑えて離婚問題を客観的にとらえることができたとしても、離婚に関する知識が乏しいので、離婚紛争を解決する根本的な提案や助言をするのは難しいものです。

たとえ、夫婦が納得できる提案や助言が得られたとしても、法律的に有効とは限りません。

例えば、両親の提案で慰謝料や養育費を取り決めたとしても、口約束や手書きの文書を作成しただけでは法律的には効果はなく、取り決めが履行されなくても強制執行はできません。

離婚経験があるなど特殊な事情がない限り、強制執行を見越して公正証書を作成したり、離婚調停で調停調書を作成したりするよう提案できる両親はごく限られています。

また、夫婦が離婚に合意しているにも関わらず、両親が夫婦関係の修復を望んで場違いな説得を始めることも珍しくありません。

夫婦間で合意しかけていた問題が、親の介入によってこじれてしまうケースも散見されます。

両親のストレスになる

子供の離婚は、両親のストレスになります。

社会人として独り立ちし、家庭も築いて立派に頑張っていると思っていた子供が離婚するとなると、「育て方が悪かったのではないか。」、「孫にはどのような影響が及ぶだろう。」などと気をもみ、精神的に病んでしまう人もいます。

離婚の話し合いに第三者(知人・友人)を同席させることの問題点

離婚協議に知人や友人を同席させたいと希望する人もいます。

比較的多いのが、夫婦が婚姻する前からの共通の友人に離婚協議の仲裁を頼むケースです。

仲裁を頼まれた友人知人は、夫婦との関係が密であるほど真剣に考えて提案や助言をしてくれるでしょう。

しかし、あくまで第三者の意見であり、法律的に有効であるとは限りませんし、夫婦の一方に肩入れしてしまう可能性もあります。

また、夫婦としても、同席を頼んだ手前、友人知人が的外れな提案をしても無視しにくくなります。

このように、本来は夫婦が結論を出すべき離婚の問題に、いくら親密とはいえ第三者の意向が介在することは、夫婦やその間の子供の将来を考えると、望ましいことではありません。

さらに、残念なことですが、悪意を持って夫婦の離婚協議に同席し、意図的に分かれるよう仕向けるケースも存在するので、注意が必要です。

離婚協議の段階で弁護士に依頼して同席させることの問題点

弁護士が離婚ビジネスに本格的に参入するようになり、弁護士事務所や弁護士斡旋会社などが作成したサイトがネット上に乱立しています。

そうしたサイトには、離婚紛争を弁護士に依頼するメリットばかりが記載され、離婚訴訟はともかく、夫婦間の合意を前提とする離婚協議や離婚調停まで弁護士に依頼すべきという内容が書かれています。

しかし、離婚協議の段階における弁護士への依頼は、大きなリスクを伴います。

対立構造が鮮明になる

あなたは、「配偶者が離婚問題について弁護士を雇った。」と知ると、どう思いますか。

多くの人は、「離婚について本格的に争うつもりなんだ。」と思うでしょう。

そして、離婚について本格的に準備を始めたり、配偶者に対抗して弁護士に依頼したりするはずです。

その結果、夫婦間の対立構造が明確になり、話し合いによる解決が困難になります。

また、弁護士は、ビジネスとして離婚に関わるので、依頼者の利益(より良い条件で離婚紛争に勝利すること)を第一に考えて行動します。

具体的には、依頼者が子供の親権を勝ち取り、より多くの金銭給付(養育費、慰謝料、財産分与など)を受けられることを優先します。

依頼者とその相手が夫婦同士であり、子供に関しては離婚後も何らかの関係を継続する必要があることは理解していても、離婚後のことは関係がないので、配慮する弁護士はごく限られています。

極端な場合、弁護士が依頼者に対して「子供の親権が欲しいなら、子供を連れて別居しろ。」、「慰謝料が多めに欲しいなら、DVをでっち上げろ(虚偽DV)。」などと助言し、夫婦関係を破たんさせることもあります。

弁護士を同席させるのに費用がかかる

離婚について弁護士に相談すると、30分あたり5,000~1万円程度の相談料がかかります。

また、正式に依頼すると、以下のとおり、着手金、実費、日当などの費用がかかり、希望した結果が得られた場合は報奨金も支払わなければなりません。

弁護士費用の種類相場
相談費用5,000~1万円/30分
着手金20~50万円
実費10万円~
日当
  • 1万円/1時間
  • 5万円/半日
  • 10万円/1日
報酬金
  • 基本報酬:20~50万円
  • 親権:10~30万円
  • 養育費:1年間の養育費総額の10~20%
  • 財産分与:得た金額の10~20%
  • 慰謝料:得た金額の10~20%

引用:離婚ハンドブック

具体的な費用は弁護士事務所によって異なりますが、正式に弁護士に依頼して離婚した場合、100万円程度の費用がかかります。

離婚時に得た慰謝料や財産分与などの金額によっては、その大半が弁護士費用の支払いで消えることもあります。

なお、相談のみであれば無料で受けつける事務所もありますが、大手でない限り、「無料相談を受けつけないと依頼者を獲得できない」事務所である可能性を考えなければなりません。

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夫婦だけで協議すべきでない場合

例外的に、夫婦だけで協議すべきでない場合もあります。

DV被害などを受けている場合

配偶者からDV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラなどを受けている場合は、夫婦だけで離婚協議を行うべきではありません。

危害を加えられる、感情的になられて話合いができない、相手の主張を全面的に受け入れさせられるなどのリスクが高いためです。

DVやモラハラ以外にも、配偶者が以下のような事情を抱えている場合は、第三者を同席させることを検討してください。

  • アルコール依存
  • 薬物依存
  • 精神病に罹患
  • 精神的に不安定
  • 粗暴系の前科前歴がある
  • 児童虐待など

夫婦の一方が離婚を拒否している場合

夫婦の一方が離婚を拒否している場合、離婚やそれに伴う条件について夫婦が合意できる見込みは乏しく、夫婦だけで話し合う意味はありません。

ただし、両親(親族)、友人知人、弁護士を同席させて解決する問題でもないので、家庭裁判所の離婚調停や離婚訴訟を検討することになります。

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離婚調停とは?期間・流れ・費用から弁護士の要否までまとめて解説

夫婦だけでは離婚に伴う条件調整ができない

夫婦が離婚する場合、離婚に伴う条件面の調整も行わなければなりません。

離婚前に夫婦間で調整して合意しておきたい条件は、以下の6つです。

  • 子供の親権
  • 養育費
  • 面会交流
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割

いずれも、離婚に関する法律的な知識がないまま取り決めてしまうと、離婚後に後悔します。

例えば、「離婚後の親権者変更は要件が厳しい」ということを知らず、離婚後に親権者変更をする前提で子供の親権を相手に譲った結果、離婚後に親権者になれず後悔するというケースがあります。

また、「婚姻前に築いた財産は財産分与の対象にならない」ということを知らず、相手が主張するままに婚姻前の財産も含めて財産分与をしてしまうケースも珍しくありません。

このように、離婚に関する法律的な知識が乏しいと、後々になって後悔してしまいます。

ただし、この場合も両親などを同席させれば済む問題ではなく、弁護士を雇うと費用がかさむため、夫婦の協議に第三者を入れるより、ADR調停や離婚調停の申立てを検討するのが現実的です。

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投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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