強制認知(認知の訴え)とは?手続きの費用と期間、デメリットは?

強制認知 認知の訴え
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婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもについて父親である男性に認知を求める方法には、任意認知、遺言認知、調停認知(合意に相当する審判)、強制認知(認知の訴え)の4つあります。

任意認知 父親が自らの意思で子どもを認知
遺言認知 遺言で子どもを認知
認知調停

(合意に相当する審判)

認知調停での父母の合意を前提に、家庭裁判所が審判で認知を判断
認知の訴え 認知の訴えで家庭裁判所が認知を判断

男性が任意で認知の届出を行うのが理想ですが、一度認知すると、扶養義務が課されたり戸籍に認知した事実が記載されたりすることから、認知届の提出を拒み、認知調停でも認知を拒否し続けて調停が不成立で終了するというケースも珍しくありません。

話し合いによって認知してもらえない場合、最終的な手段として強制認知(認知の訴え)によって認知を請求する方法があります。

この記事では、強制認知(認知の訴え)とは何か、認知の訴えを提起するメリットとデメリット、手続きの費用と期間について解説します。

強制認知(認知の訴え)とは

強制認知とは、家庭裁判所に認知の訴え(人事訴訟事件)を提起する方法により、認知を請求する手続きです。

父母の協議や認知調停では認知の問題を解決できない場合に、裁判所に認知の判断を委ねるのが強制認知です。

父親が認知を頑なに拒否していて話し合いの余地がない場合などは、最初から強制認知で解決を図りたいと思うかもしれません。

しかし、調停前置主義により、強制認知(認知の訴え)を提起するには、家庭裁判所に認知調停を申し立てて調停が不成立で終了していなければなりません。

強制認知(認知の訴え)は調停前置主義が適用される

調停前置主義とは、訴訟提起(裁判を起こす)前に調停を経ていなければならないという制度です。

調停前置主義が適用されるのは、家庭裁判所が取り扱う事件のうち離婚調停などの一般調停事件と認知調停を含む特殊調停事件です。

これらの事件の当事者は夫婦、親子、親族などであり、将来の関係性を考えると、最初から勝ち負けがつく訴訟で争わせるよりも、まずは互いの譲歩で解決する余地がある調停から始めさせるべきというかんがえかたに基づいて、調停前置主義が適用されています。

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調停前置主義とは?条文と例外、調停を取り下げても離婚訴訟できる?

強制認知(認知の訴え)のメリットとデメリット

強制認知は、父母の合意の有無に関わらず家庭裁判所が認知させるか否かを判断する手続きであり、メリットがある反面、デメリットも少なくありません。

強制認知(認知の訴え)のメリット

強制認知の最大のメリットは、父親の意思に関わらず、親子関係を証明する客観的な証拠があれば強制的に認知させられることです。

また、法律上の父子関係が成立することで以下のような効果が生じることもメリットと言えます。

子どもの戸籍に父親や認知された事実が記載される
  • 父親欄に認知をした男性の氏名が記載
  • 認知日、認知者の氏名、認知者の戸籍、送付を受けた日、受理者が記載
親子間に扶養義務が生じる 親の子どもに対する扶養義務に基づいて養育費を請求できる
相続権が生じる 父親が死亡した場合、子どもに相続権が発生する
父親が親権者になれるようになる
  • 認知のみでは子どもの親権者は母親のまま
  • 父母の協議で父親を親権者とする合意ができた場合に変更可
父母の婚姻により子どもが嫡出子の身分を取得(準正)
  • 婚姻準正:父親が子どもを認知→父母が婚姻
  • 認知準正:父母が婚姻→父親が子どもを認知

強制認知(認知の訴え)のデメリット

強制認知のデメリットは、認知を強制する手続きであること自体と、裁判にかかる時間・手間・費用です。

認知を強制する手続きであること

父親の意思に関わらず認知を強制させることが強制認知のメリットですが、裁判後のことを考えるとデメリットでもあります。

例えば、強制認知により父子関係が発生し、親子間に扶養義務が生じて養育費が請求できるようになっても、認知を強制された父親には養育費を支払うモチベーションが乏しく、調停や審判で養育費を取り決めても履行されないことが少なくありません。

調停や審判で取り決めた内容は強制執行手続きで履行させることができますが、費用がかかりますし、父親の資力(財産や収入)によっては履行がかなわないおそれもあります。

このように認知という結果は得られても、認知によって生じる効果(メリット)を享受しにくいことがあり得るのです。

裁判にかかる時間・手間・費用

強制認知は認知の訴えを提起する裁判です。

法律に基づいて訴訟を提起して主張や立証をしなければならず、時間と手間がかかりますし、認知調停と比較すると費用もかかります。

訴訟にかかる時間と手間を省くために弁護士に依頼すると、数十万円の弁護士費用を支払わなければならなくなります。

強制認知(認知の訴え)の流れと期間

調停前置主義が適用されることから、子どもの父親に認知を求める段階から強制認知(認知の訴え)を提起するまでの流れは、以下のとおりとなります。

父母の協議では合意できず→認知調停不成立(父母の合意ができず)→強制認知(認知の訴え)を提起

認知調停(合意に相当する審判)

認知調停の申立人、管轄、必要書類、費用、主な流れは以下のとおりです。

申立人
  • 婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども、または、その法定代理人
  • 子どもの直系卑属、または、その法定代理人
管轄 調停の相手方(認知を求める父親)の住所地を管轄する家庭裁判所、または、当事者が合意で定める家庭裁判所
必要書類
  • 申立書:3通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 申立人と相手方の戸籍謄本(全部事項証明書):各1通
  • 主張を裏づける資料:各3通

【離婚後300日以内に出生した、出生届が未了の子どもに関する申立ての場合】

  • 子どもの出生証明書のコピー:1通
  • 母の戸籍謄本(全部事項証明書):1通
費用
  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:1000円程度
主な流れ
  1. 認知調停申立て・受理
  2. 調停期日通知
  3. 調停期日(2~3回)
  4. DNA鑑定(期日内)
  5. 調停成立
  6. 事実の調査
  7. 合意に相当する審判
  8. 審判確定
  9. 認知届を市区町村役場に提出

※当事者が合意しない場合や家庭裁判所が当事者の合意を相当と認めない場合は、調停不成立で終了

認知調停は特殊調停事件であり、当事者間で合意ができても手続きが終了せず、必ず家庭裁判所が審判を出します。

当事者間で認知の問題を審判で解決することに合意し、前提となる原因や事実に争いがない場合、家庭裁判所が調停委員会の意見を聴取した上で必要な事実の調査を行い、当事者間の合意が相当と判断すれば、合意に相当する審判を行います。

認知調停(合意に相当する審判)の流れについては、関連記事で詳しく解説しています。

関連記事

認知調停とは?流れと期間、DNA鑑定と不成立になる場合とは?

強制認知(認知の訴え)を提起する方法

認知調停(合意に相当する審判)が不成立で終了した場合、強制認知(認知の訴え)を提起できるようになります。

強制認知の原告と被告

原告となるのは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもまたはその法定代理人(親権者や未成年後見人など)、子どもの直系卑属(子供や孫など)またはその法定代理人です。

被告となるのは、原則として、父親または母親ですが、父母が死亡している場合は検察官となります。

管轄

原告または被告の住所地を管轄する家庭裁判所です。

通常は、認知調停(合意に相当する審判)が行われた家庭裁判所で引き続き訴訟を行います。

出訴機関

強制認知(認知の訴え)は、父または母の死亡の日から3年以内に提起しなければならず、3年を経過すると提起できなくなります。

必要書類

認知の訴えに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 訴状:正本と副本を各1通(自分用も準備しておく)
  • 原告、被告、子どもの戸籍謄本(戸籍記載事項全部証明書)
  • 主張を裏づける資料:各2通(自分用も準備しておく)

その他、家庭裁判所から追加で提出を求められることがあります。

費用

  • 収入印紙:13,000円
  • 郵便切手:各家庭裁判所が金額と枚数を独自に設定しているため、事前確認が必要
  • DNA鑑定費用:約10万円を予納

強制認知(認知の訴え)では、訴訟の証拠として必要と判断された場合、必ずDNA鑑定が行われます。

原則として、費用は原告負担で、鑑定実施前に予納しなければなりません。

強制認知(認知の訴え)の流れ

強制認知(認知の訴え)の主な流れは、以下のとおりです。

  1. 原告が訴えの提起
  2. 被告が答弁書を提出
  3. 口頭弁論
  4. 争点・証拠の整理
  5. 証拠調べ、DNA鑑定
  6. 判決
  7. 判決確定

強制認知(認知の訴え)にかかる期間

少なくとも6ヶ月程度はかかります。

被告がDNA鑑定を拒否したり、原告の主張に反論したりした場合は、長引きます。

判決確定

判決に不服がある場合は2週間以内に控訴することにより、高等裁判所に再審理させることができます。

控訴期間が経過すると判決が確定します。

判決確定後、判決謄本と確定証明書を取得し、判決確定日から10日以内に、市区町村役場に認知届を提出しなければなりません。

届出人 原告(認知の訴えを提起した人)
届出先 父の本籍地または住所地、認知される子の本籍地
届出期限 審判の確定日から10日以内
必要書類
  • 認知届書:審判(調停)の申立人の署名押印が必要
  • 印鑑:認印可
  • 戸籍謄本(全部事項証明書):父または認知される子(胎児のときは認知される子の母)の戸籍謄本を添付(本籍地以外で届出を行う場合)
  • 判決謄本・確定証明書
  • 届出人の本人確認書類:運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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