面会交流の調停条項案と文例は?間接強制(強制執行)できる条項は?

面会交流調停では、面会交流について父母の合意ができると、合意した内容が調停調書に記載されて調停が成立します。

面会交流調停では、父母の関係性、子どもの年齢・人数・性格、子どもの生活状況や心身の状態、非監護親と子どもの関係性などを考慮して個別に調停条項を作成します。

面会交流の調停条項案

通常、面会交流調停で父母の合意がおおむね整理できた段階で、調停委員会から面会交流の調停条項案が示され、それを元に調停条項をつめていきます。

しかし、面会交流の調停条項の作成には、婚姻費用や養育費など金銭の問題とは異なる難しさがあります。

まず、離れて暮らす親子は、面会交流調停で決めた内容に沿って長期間にわたって面会交流を継続することになるため、親子が無理なく実行できて負担が少ない現実的な方法を具体的に取り決めなくてはなりません。

調停条項に記載する内容は、父母の合意で柔軟に決めることができますが、回数・頻度・場所・時間などを詳細に決め過ぎると柔軟性に欠き、抽象的に決めると履行確保が困難になるため、バランスが難しいところです。

また、子どもの体調、その時々の気分や希望、学校の行事等まで踏まえたり、子供の成長に伴う気持ちや状況の変化を見越したりして調停条項を作成することは困難で、どうしても父母が調停で協議した時点の状況をベースに取り決めざるをえません。

調停を成立させても面会交流が履行される可能性が高くない場合には、強制執行によって履行を強制できるような条項を検討する必要もあります。

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面会交流調停の一般的な調停条項例(文例)

まず、面会交流調停の一般的な調停条項を確認しておきます。

相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間の長男太郎(平成20年2月2日生)及び長女花子(平成23年3月3日生)と、月1回程度の面会交流をすることを認める。その具体的日時、場所、方法については、子の福祉を慎重に考慮して、当事者間に事前に協議して定める。

面会交流の対象と大まかな回数のみ取り決めておき、日時、場所、方法については父母で協議して具体的に決めていくという、オーソドックスな内容です。

夫婦関係は破たんしているものの、父母が面会交流の趣旨や必要性を理解しており、子どもの親として最低限の協力ができる場合の調停条項例です。

また、父母の紛争性は高いものの、子どもの予定などで日程や受け渡しの方法などが変化することが想定される場合にも、父母の協議の余地を残した調停条項が作成される傾向にあります。

必要に応じて、日時、場所、方法、父母の連絡手段などを加えることもできます。

  • 日時:「毎月第3土曜日の午前9時から午後5時」など
  • 場所:「○○ショッピングモール(○○所在)の1階東側入口」など
  • 方法:「相手方が長男及び長女を申立人宅まで車で送迎し、申立人は申立人宅において面会交流を実施する」など
  • 連絡手段:「当事者間の協議は、携帯電話アプリ「LINE」によって行う」など

宿泊を伴う面会交流を実施する場合の調停条項例

宿泊を伴う面会交流(泊付面会交流)について取り決める場合の調停条項例は、以下のとおりです。

相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間の長男太郎(平成20年2月2日生)及び長女花子(平成23年3月3日生)と、次のとおり宿泊を伴う面会交流をすることを認める。

⑴ 原則として月1回程度とする。

⑵ 夏休み期間中は、3日以上の宿泊を伴う面会交流とする。

⑶ 冬休み期間中は、2日以上の宿泊を伴う面会交流とする。

⑷ 具体的な面会交流の日時及び方法については、子の福祉を慎重に考慮して、当事者間で事前に協議して定める。

長男及び長女の病気、学校行事及びその他の事情により上記⑴ないし⑶の定めにしたがった面会交流をすることができないときは、当事者間で協議して代替日を設定する。

父母の紛争性が高い場合の調停条項例

父母の紛争性が高く、父母間で意思疎通を図ったり連絡を取り合ったりすることが困難な場合は、面会交流の日時、場所、子どもの受け渡しの方法、連絡手段などを細かく決めておくことが重要です。

1 相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間の長男太郎(平成20年2月2日生)及び長女花子(平成23年3月3日生)と面会交流することを認め、その回数、日時、場所を次のとおり定める。

⑴ 面会交流の回数は、毎月1回とする。

⑵ 面会交流の日時は、毎月第3土曜日の午前9時から午後5時までとする。

⑶ 面会交流の場所は、申立人の肩書住所地とする。

2 申立人は、相手方の肩書住所地に上記長男及び長女を迎えに行き、面会交流を実施した後、上記1⑵に定めた時間までに、相手方の肩書住所地に送り届ける。

3 当事者間の連絡は、携帯電話のメールによって行う。

なお、父母の紛争性がそれほど高くなくても、子どもや父母の状況から面会交流の方法などに変更が生じる可能性が低いときには、上記のような調停条項が作成されることもあります。

間接強制(強制執行)を可能にする調停条項

面会交流調停で調停調書を作成して調停が成立したにも関わらず、義務者が面会交流に応じない(面会交流の義務を履行しない)場合、履行の促しや強制を検討することになります。

直接強制は想定されていない

面会交流は、離れて暮らす親子が継続的に交流することです。

面会交流調停が成立したにも関わらず、義務者が面会交流に応じない場合は、履行勧告や強制執行の手続きにより面会交流の実現を目指すことができます。

ただし、強制執行については、面会交流の性質上、間接強制のみ利用することができることになっています。

  • 直接強制:調停などで決まった内容について、給料や財産を差し押さえるなどして強制的に履行させる
  • 間接強制:調停などで決まった取り決めを守らない相手に対して、間接強制金を課すことにより心理的なプレッシャーを与えて支払いを強制する

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面会交流と履行勧告

面会交流の調停が成立した後、義務者が面会交流に応じなくなった場合、調停調書の記載に基づいて履行勧告の申出を行うことができます。

履行勧告とは、調停や審判で決まったことを義務者が履行しない場合に、家庭裁判所が履行を促す手続きです。

家庭裁判所から履行を促すことで義務者に心理的圧力をかけ、自発的な履行を促す手続きですが、義務者が応じなくても強制的に履行させることはできません。

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面会交流と間接強制(強制執行)

通常、面会交流の調停条項は、義務者が任意で面会交流の義務を履行する前提で作成され、強制執行ができる内容とはなっていません。

面会交流について強制執行を行うには、強制執行ができるように「義務の内容を特定した(監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる)」調停条項を作成する必要があります。

面会交流は、義務者が権利者に子どもを引き渡し、権利者が子どもと面会交流を行い、権利者が義務者に子どもを引き渡すという流れで行われるところ、強制執行ができる調停条項とするには、義務者の給付義務を特定し記載しなければなりません。

つまり、義務者から権利者へ子どもの引き渡しがなされる日時と場所、権利者から義務者へ子どもの引渡しがなされる日時と場所を特定するということです。

間接強制(強制執行)ができる面会交流の調停条項

1 相手方は、申立人に対し、申立人が当事者間の長男太郎(平成20年2月2日生)及び長女花子(平成23年3月3日生)と面会交流することを認め、その時期、回数、場所を次のとおり定める。

⑴ 平成30年4月4日午前9時から午後5時まで。

⑵ 平成30年5月5日以降、毎月第3土曜日の午前10時から午後6時まで。

⑶ 上記⑵の日時に面会交流をすることができないときは、第3日曜日の午前10時から午後6時まで。

⑷ 上記⑴ないし⑶の面会交流の場所は、申立人の肩書住所地とする。

2 申立人は、相手方の肩書住所地に上記長男及び長女を迎えに行き、面会交流を実施した後、上記1⑴ないし⑶に定めた時間までに、相手方の肩書住所地に送り届ける。

3 当事者間の連絡は、携帯電話のメールによって行う。

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
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