面会交流の第三者機関とは?支援内容と第三者機関の選び方・探し方は?
- 面会交流
最終更新日: 2019.03.5
面会交流は、必ずしも父母だけで調整して実行しなければならないわけではありません。
近年、面会交流を支援する第三者機関がいくつも登場しており、必要に応じて面会交流の支援を求めることができるようになっています。
目次
面会交流の第三者機関(支援団体)とは
面会交流の第三者機関(支援団体)とは、父母だけで面会交流ができない場合に、面会交流が円滑に行えるよう支援する団体です。
面会交流は、子どもの健全な成長のために欠かせないものであり、離婚時に取り決めることが推奨されています。
しかし実際は、監護親が面会交流の取決めを頑なに拒否する、面会交流を取り決めたにも関わらず何かと理由をつけて注視する、子どもが非監護親を拒絶するように洗脳する(片親疎外)などして、子どものためになる面会交流が実現できていないケースが多いものです。
その背景には、婚姻中のDV、モラハラ、子連れ別居、奪い去り、不貞行為、面会交流実施時の問題などに基づく夫婦関係の悪さや相手への不信感・嫌悪感・恐怖心などがあり、容易に改善させることはできません。
面会交流の第三者機関は、こうした父母だけでは面会交流が実施できない状況下で、面会交流の実現に向けたサポートしてくれます。
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面会交流の第三者機関(支援団体)の支援内容
面会交流の第三者機関の主な支援内容は、子どもの送迎と引渡し、面会交流の見守り、連絡調整です。
面会交流の支援1:子どもの送迎と引渡し
子どもが幼い場合や自宅から面会交流の場所まで距離がある場合、子どもの送迎と相手への引渡しが必要になります。
しかし、DV被害者である監護親がDV加害者である非監護親と接触できない、相手への恐怖心から会うことを考えるだけで体調を崩してしまう、仕事が多忙で送迎が困難などの場合、父母が子どもを送迎や引渡しをできず、それが原因で面会交流が実施できなくなることがあります。
こうしたケースについては、面会交流の第三者機関の職員が父母の代わりに子どもの送迎を行い、引き渡しを行います。
子どもと接触する職員は、保育士や幼稚園教諭の有資格者など子どもの専門家であることが多く、送り届けるときは子どもが面会交流を楽しめるように背中を押し、迎えるときは暖かく受け止めてもらえるため、安心して子どもを任せることができます。
面会交流の支援2:面会交流の見守り
面会交流の実施方法は各家庭によって様々ですが、非監護親との面会交流中に監護親が見守るケースがあります。
しかし、何らかの事情で監護親が直接見守ることができない場合、面会交流の第三者機関の職員が面会交流の場に立ち会わせ、見守りを代行してもらうことができます。
面会交流に見守りが必要で、かつ、第三者機関に依頼する場合としては、以下のような事情が考えられます。
非監護親が精神的に不安定 | 非監護親が精神的に不安定で、面会交流中の言動や態度が子どもに悪影響を与えたりおそれがある、面会交流中に体調を崩したりする可能性がある場合 考えられる事態:精神病治療薬の副作用で面会交流中にボーっとしている、薬を飲んだ状態で車を運転して事故を起こす、パニック障害の非監護親が遊園地で面会交流中にパニック発作を起こすなど |
非監護親の言動や態度を監視する必要がある問題があった | 過去の面会交流の様子から、面会交流中に不適切な言動や態度に及ぶおそれがある場合 考えられる事態:子どもに監護親の生活状況(しつけ、交際相手、再婚など)を根掘り葉掘り聞く、約束の時間までに子どもを引き渡さない、監護親に無断で次の面会交流の日時を決める、高額なプレゼントや現金を渡す、子どもを頭ごなしに叱りつける、入浴中の写真を撮るなど |
連れ去りのおそれがある | 過去に子どもを連れ去りや連れ去り未遂があり、面会交流中に非監護親が子どもを連れ去るおそれがある場合 考えられる事態:面会交流中に子どもを自宅に連れ帰って監護親に引き渡さない、子どもを連れて行方をくらます、子どもを実家に連れ帰って監護親と連絡や交流をとれないようにするなど |
非監護親が体調不良 | 上記の事情から見守りが必要だが、監護親自身が体調不良で直接見守ることができないなど |
面会交流は子どもと非監護親が交流する場であり、第三者機関の職員が親子の仲を取り持ったり一緒に遊んだりすることはありませんが、子どもから声を掛けられたり一緒に遊ぼうと誘われたりした場合は返事程度はしてもらえます。
面会交流の支援3:連絡調整
面会交流を円滑に実施するには、父母間の連絡調整が必要不可欠です。
家庭裁判所の調停では、特段の事情がない限り、「申立人は、相手方に対し、上記記載の長男及び長女と、月一回程度の面会交流することを認める。面会交流の日時、場所、方法等の具体的な内容については、子どもらの福祉を慎重に考慮して、当事者間で事前に協議して定める。」とだけ取り決めることが多くなっています。
そのため、面会交流の日時や場所を決めるだけでなく、子どもを引き渡す場所、子どもの希望・体調・予定などを細かく調整し、子どもが楽しめるように父母が工夫しなければなりません。
しかし、父母間で連絡をとることにさえ拒否的になっている親もおり、連絡調整がネックになって面会交流が実施できないケースがあります。
その場合、面会交流の第三者機関に連絡調整を依頼すれば、第三者機関の職員が父母の代わりに連絡調整を行ってくれます。
面会交流の支援4:短期援助
家庭裁判所の調停・審判・離婚訴訟で面会交流を請求した場合、裁判官の判断で試行的面会交流が実施されることがあります。
試行的面会交流とは、事件係属中に、家庭裁判所内のプレイルームにおいて、裁判所書記官や当事者の立ち会いの下、子どもと非監護親の面会交流を試行的に行うことです。
子どもと非監護親の交流が長期間断絶していた、非監護親が子どもと適切に関わることができるかどうか不安があるなどの場合に実施され、試行結果を踏まえて調停などで面会交流の方法を検討します。
しかし、何らかの事情で家庭裁判所が試行的面会交流を実施しない場合、第三者機関に依頼して面会交流本実施前の試行をすることができます。
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面会交流の第三者機関(支援団体)の探し方と選び方
面会交流の第三者機関(支援団体)は全国にありますが、一覧形式でまとめた冊子などは発行されていないため、探し方と選び方を知っておく必要があります。
面会交流の第三者機関の探し方
基本的にはネットで検索します。
ほとんどの地域では、「面会交流 支援(第三者団体、支援団体でも可) 住んでいる都道府県」と入力すれば、住んでいる地域の第三者機関が表示されます。
利用料については、どの第三者機関も大差ありません。
例えば、面会交流支援の先駆けである公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)では、以下のとおり利用料がかかります。
サービス | 利用料 |
付添い型(見守り) | 1回15,000~25,000円 |
受渡し型(送迎と引渡し) | 1回10,000~15,000円 |
連絡調整型 | 1回3,000円 |
短期援助 | 1回15,000~25,000円 |
※FPICホームページを参考に離婚ハンドブックが作成
※各サービスとも利用頻度や1回あたりの上限時間などが設定されている
全国の面会交流の第三者機関
全国にある主な面会交流の第三者機関は、以下のとおりです。
都道府県 | 第三者機関 |
北海道 |
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岩手県 |
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新潟県 |
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栃木県 |
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群馬県 |
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千葉県 |
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埼玉県 |
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東京都 |
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神奈川県 |
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石川県 |
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長野県 |
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福井県 |
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岐阜県 |
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静岡県 |
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愛知県 |
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京都府 |
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大阪府 |
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兵庫県 |
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島根県 |
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岡山県 |
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広島県 |
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山口県 |
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香川県 |
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高知県 |
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福岡県 |
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長崎県 |
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熊本県 |
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鹿児島県 |
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面会交流の第三者機関の選び方
都会であるほど面会交流の第三者機関がありますが、サービスの内容も料金体系も似たり寄ったりなので、どの機関を選べばよいのか迷う人が多いものです。
子どもが楽しめる面会交流を実施するためには、以下の基準を参考にして選ぶようにしてください。
運営方針や職員
面会交流の第三者機関の運営主体は、退官した家庭裁判所調査官、NPO法人、自治体など様々で、采井方針や働く職員も団体ごとに異なります。
面会交流は、親の別居または離婚を経験した子どもに関わるものであり、子どもの専門家によるきめ細やかな配慮や支援を受けることが大切です。
そのため、第三者機関の運営方針や支援を担当する職員の属性を確認するようにしてください。
規模
面会交流の第三者機関は、基本的に規模が大きいほど様々なサービスを提供しており、対応も柔軟です。
したがって、第三者機関の規模も依頼先を選ぶ基準の一つとして重要です。
依頼できる条件
面会交流の第三者機関の多くは、利用できる条件を細かく設定しています。
例えば、所得制限、子どもの年齢、調停が係属していないこと、多団体の支援を受けていないことなど、各機関が独自に条件を設定しており、条件を満たさないと依頼を受けてもらえません。
また、利用期間や頻度を制限する機関も多く、依頼前に「どのようなサービスを利用したいか」と「そのサービスを依頼予定先が提供しているか」を確認する必要があります。
【参考】