面会交流審判の流れや申立ての管轄は?不服申立て・即時抗告の期間は?

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離れて暮らす親子の面会交流は、子どもの気持ちを尊重しながら父母が協議して決めることです。

しかし、別居や離婚をした父母の中には、夫婦関係と親子関係を切り離して考えられず、面会交流について前向きに協議することは難しい人が少なからずおり、父母の協議では面会交流が決められないことがあります。

父母の協議で面会交流が決められない場合、家庭裁判所の調停で話し合い、それでも合意でいないときは審判で家庭裁判所に判断してもらうことになります。

面会交流についての家庭裁判所のスタンス

家庭裁判所は、原則、子どものが心身ともに健全な発達をするためには、同居している親(監護親)だけでなく、離れて暮らす親(非監護親)とも交流や接触を保ち、父母の両方が子どもに関わり続けることが大切というスタンスに立っています。

子どもは、父母の関係悪化や離婚の紛争に巻き込まれて深く傷つきます。

しかし、同居親だけでなく、面会交流によって離れて暮らす親からも関わってもらうことで、父母から大切にされているという実感を持ち、安心して生活できるようになり、父母の紛争や離婚による傷つきが徐々に癒されていくと考えられています。

したがって、原則として面会交流を実施し、子どもの福祉を害する特別な事情があるときに限って面会交流を制限されることになります。

子どもの福祉を害する特別な事情は、以下のとおりです。

  • 児童虐待(身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクト)
  • 非監護親から監護親へのDVを目撃しており、非監護親に強い恐怖心を抱いている
  • 子どもが奪取されるおそれがある

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面会交流審判と調停の関係

面会交流事件は、別表第2事件(家事事件手続法別表第2に掲示された事件)です。

別表第2事件とは、当事者間に対立や紛争があり、当事者同士の協議による解決が第一次的には望ましいものの、解決に至らないときは家庭裁判所が判断すべき事件です。

別表第2事件では、調停委員を交えた当事者の話し合いで問題の解決を目指す調停と、家庭裁判所が問題について判断を示す審判の両方を利用することができます。

付調停

別表第2事件は、調停と審判の両方の手続きが利用でき、いずれの手続きを先に申し立てても問題ありませんが、「当事者同士の協議による解決が第一次的には望ましい」事件です。

そのため、調停を経ずに審判を申し立てた場合、特段の事情がない限り、家庭裁判所が職権で調停手続に変更します。

これを付調停といいます。

審判移行

別表第2事件では、調停と審判の手続きが連続しています。

つまり、父母の合意ができず調停が不成立で終了すると、自動的に審判手続に移行するということです。

これを審判移行といいます。

まず調停の申立てを行った場合も、審判の申立てを行って調停に付された場合も、調停不成立後は審判手続に移ります。

面会交流調停についても、調停が不成立で終了した後は自動的に審判移行し、裁判官による審問や家庭裁判所調査官による調査が行われた上で、面会交流の方法などについて判断が示されます。

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面会交流審判の申立て

面会交流事件は別表第二調停であり、付調停や審判移行があることから、調停申立てを先に行い、合意に至らなければ審判での解決を求めるのが一般的です。

しかし、審判手続きから申立てを行う人も一定数おり、付調停にならないケースも一定数あることから、審判の申立て方法も解説しておきます。

申立権者

父または母です。

面会交流は子どもの権利か親の権利かという議論がありますが、面会交流の審判は親が申立てを行う必要があります。

申立先(管轄)

面会交流審判の申立先は、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所または父母が合意で定める家庭裁判所です。

家事事件手続法150条4号と同法66条1項では、家事審判の管轄について以下のとおり定められています。

次の各号に掲げる審判事件は、当該各号に定める地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

4 子の監護に関する処分の審判事件(別表第2の3の項の事項についての審判事件をいう。次条第2号において同じ。) 子(父又は母を同じくする数人の子についての申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地

(家事事件手続法150条4号)

子の監護に関する処分とは、面会交流、養育費請求、子の監護者指定、子の引渡しなどです。

別表第2に掲げる事項についての審判事件は、この法律の他の規定により定める家庭裁判所のほか、当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

(家事事件手続法66条1項)

別表第2審判事件では合意管轄が認められています。

父母が管轄に合意したことを記載した管轄合意書を作成し、申立て時に提出することで合意管轄の家庭裁判所で審判をしてもらうことができます。

申立ての必要書類

面会交流審判の申立てには、以下の書類が必要です。

  • 申立書:原本1通とコピー2通(裁判所用1通、相手方送付用1通、申立人用1通)
  • 申立事情説明書:原本1通とコピー1通(裁判所用1通、相手方用1通)
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 面会交流を求める子どもの戸籍謄本(全部事項証明書):1通
  • 面会交流に関する過去の取り決めや支払い状況に関する資料:調停調書、審判書、判決書など

申立てにかかる費用

面会交流審判の申立てにかかる費用は、以下のとおりです。

  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:各家庭裁判所による

収入印紙は子ども1人につき1200円分が必要となるため、きょうだいがいるときは注意してください。

郵便切手の額や枚数は各家庭裁判所によって異なるため、事前確認が必要です。

申立ての窓口

家庭裁判所の家事部や家事係です。

父または母が、子どもの住所地を管轄する家庭裁判所または合意管轄の家庭裁判所に必要書類と費用を持参して申立てを行います。

申立て窓口では書面審査や費用確認が行われ、問題がなければ申立てが受理されます。

申立て後の流れ

面会交流審判の申立てが受理されると、家庭裁判所が担当裁判官を決めます。

担当裁判官が付調停にすべきか否か検討し、審判を進める判断をした場合は初回の審問期日(申立ての受理から約1ヶ月後の平日)を指定され、付調停の判断をした場合は調停期日(申立ての受理から約1ヶ月後の平日)が指定されます。

申立ての受理から2~3週間すると、申立人と相手方に初回の審問期日が記載された書面が郵送されてきます。

相手方に対しては、申立書のコピーや進行に関する照会書も送付されており、申しての内容を知らせて主張や事情を書面で説明する機会が与えられています。

審問期日の変更

指定された審問期日で都合が悪いときは、担当の裁判所書記官に電話連絡して期日変更を希望します。

期日変更を希望すると、当事者双方や裁判官の予定を踏まえて期日が再調整され、改めて当事者双方に知らされます。

ただし、期日変更を希望すれば必ず変更されるわけではなく、変更の必要性や調整の可否などを踏まえて判断されます。

面会交流審判の流れ

面会交流審判は、調停不成立後に審判移行して開始されることが多いため、調停不成立から家庭裁判所が審判を出すまでの流れについて解説します。

なお、面会交流調停の手続きや流れは、関連記事で解説しています。

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面会交流審判の流れは、以下のとおりです。

  • 面会交流調停不成立後、自動的に審判移行
  • 審判の説明と審問期日の指定
  • 審問期日に出頭する
  • 次回審問期日の指定
  • 家庭裁判所調査官による子どもの調査
  • 審判

面会交流調停不成立後、自動的に審判移行

調停委員会は、面会交流について調停での解決が困難だと判断した場合、調停を不成立で終了させます。

当事者双方が調停の続行を希望しても、調停委員会が合意の余地がないと判断すれば調停は不成立となります。

調停不成立時には、裁判官から父母に対して、調停を不成立で終了させて審判に移行することが告げられます。

当事者間の暴言や暴力のおそれなど特別な事情がある場合は、父母を別々に読んで調停不成立と審判開始が告げられることもありますが、例外的な取り扱いです。

父母を調停室に同席させ、父母の間に裁判所の職員や弁護士が並ばせるなどの対応が一般的です。

審判移行後はラウンド法定などに移動することもあれば、調停室の中で審判手続きが続けられることもあります。

審判移行後は調停委員が席を外し、裁判官が審判を進行させます。

審判の説明と審問期日の指定

審判手続開始後、裁判官から、審判について説明があります。

  • 審判は裁判官が担当する(原則、調停を担当した裁判官)
  • 審判は非公開で行われる
  • 裁判官、調停手続に関わる裁判所の職員には守秘義務が課せられている
  • 面会交流の性質
  • 家庭裁判所調査官が子どもの調査を行う
  • 審問期日における父母の主張やその疎明資料、家庭裁判所調査官の調査結果などに基づいて、家庭裁判所が判断を下す
  • 審判が確定すると法的な効力を生じる
  • 審判結果に不服があるときは、不服申立て(即時抗告)ができること

次回の審問期日は、調停不成立日から2週間~1ヶ月くらい後に指定されることになります。

家庭裁判所調査官の調査が入る場合は、1ヶ月半から2か月後に指定されます。

次回審問期日までに調査が行われ、調査結果をまとめた報告書が閲覧謄写できるようになるのが原則で、審問期日は調査結果を踏まえて進行します。

なお、調停不成立で審判移行した日に審問が行われることもあります。

審問期日に出頭する

指定された審問期日に出頭し、窓口で受付を済ませた後、審問が始まるまで待合室で待機します。

面会交流審判の審問では、父母が同時に審問を行う部屋に呼ばれ、裁判官からの質問に答えたり、自らの主張を説明したりします。

裁判官から説明を求められる主な内容は、以下のとおりです。

  • 審判申立ての動機・経緯(審判の申立てを行って調停に付されなかった場合)
  • 調停で合意できなかった事情(調停不成立後に審判移行した場合)
  • 現在の生活状況(子どもの監護状況、子どもの状況、従前の面会交流の実績など)
  • 同居時の親子関係
  • 別居や離婚の経緯と状況(子どもへの影響)
  • 面会交流についての子どもの希望や意向
  • 希望する面会交流の方法
  • 面会交流の障害となること

父母間で事実上の面会交流が実施できている場合は、そのことも説明します。

次回審問期日の指定

面会交流審判は、裁判官が面会交流について審判ができると判断するまで審理が続きます。

また、面会交流の実現には父母の協力が不可欠であるため、審理の経過を踏まえて父母に歩み寄りを促したり、裁判所案を提示したりされることもあります。

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家庭裁判所調査官による子どもの調査

面会交流審判では、家庭裁判所調査官による面会交流に対する子どもの心情・意向、試行的面会交流、親子交流場面の観察などの調査が行われ、家庭裁判所の判断材料となります。

  • 面会交流に対する子どもの心情・意向:家庭裁判所調査官が、子どもと面接して面会交流に対する心情・意向を確認する
  • 試行的面会交流:家庭裁判所のプレイルームで離れて暮らす親子が面会交流を行う
  • 親子交流場面の観察:家庭裁判所のプレイルームで離れて暮らす親子が面会交流を行い、その場面を観察して面会交流の方法を検討する材料を集める

調査の内容はケースによって異なり、上記調査以外では子どもの状況や監護状況などが調査されることもあります。

審判

家庭裁判所が、父母の主張や家庭裁判所調査官の調査結果などを総合的に検討し、面会交流の方法などについて判断を示します。

審判結果は父と母に書面で告知されます。

審判期日に出頭する必要はありません。

審判申立てが調停に付されず開始された場合

特別な事情があるときは、審判申立てが付調停にならず開始されることがあります。

特別な事情としては、過去に面会交流の調停や審判が申し立てられている、当事者間のDVや児童虐待など申立て時点で話し合いが困難であることが明らかであるなどの場合が考えられます。

付調停とならない場合は、「面会交流審判の申立て―申立て後の流れ」のとおり、審問期日が記載された書面が郵送で届きます。

審問期日に家庭裁判所へ出頭し、窓口で受付を済ませた後の流れは、調停不成立後に審判移行した場合の流れと変わりません。

ただし、当事者間の紛争性が相当に高いときには、職員による警備がはいることがあります。

面会交流審判に対する不服申立て(即時抗告)

家庭裁判所の審判結果に対しては、不服申立て(即時抗告)が認められています。

面会交流審判の結果に不服があれば、即時抗告の手続きを行うことで高等裁判所に再審理してもらえます。

即時抗告ができる人(申立人)

父または母です。

即時抗告をする場所(申立先)

面会交流の再審理を行うのは高等裁判所です。

しかし、即時抗告の抗告状は、面会交流審判をした家庭裁判所に提出することになっています。

事件の記録が審判をした家庭裁判所で保管されており、即時抗告が出された後に高等裁判所へ送付されるため、高等裁判所に抗告状を持参したり郵送したりしても受理してもらえません。

即時抗告ができる期間

即時抗告ができるのは、父母が審判結果の告知を受けた日から起算して2週間以内です。

審判結果の告知を受けた日とは、審判結果が記載された書面を受け取った日です。

即時抗告の必要書類

面会交流審判の結果に不服があって即時抗告する場合に必要な書類は、以下のとおりです。

  • 抗告状:原本1通とコピー2通(裁判所用1通、相手方送付用1通、申立人用1通)
  • 即時抗告の理由を疎明する資料

即時抗告にかかる費用

  • 収入印紙:1800円分
  • 郵便切手:各家庭裁判所による

即時抗告で注意すべきこと

家事事件の即時抗告には、民事訴訟法304条で規定された「不利益変更禁止の原則(上級裁判所は、不服申立てをした人に不利な変更ができないという原則)」が適用(準用)されません。

第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。

(民事訴訟法304条)

つまり、面会交流の即時抗告を受けた高等裁判所は、ケースの内容を踏まえて、即時抗告をした父または母に不利な判断を下すことができるということです。

例えば、「審判で決まった月1回、午前9時から午後5時までの面会交流は少なすぎる。」として即時抗告した事件について、高等裁判所が「月1回、午後1時から午後5時までの面会交流を実施しろ。」という判断を出すことができるのです。

面会交流審判の結果が確定した後の効力

面会交流審判は、父母が審判結果を受け取った日から2週間が経過することにより確定します。

審判結果確定後は、審判の内容に基づいて義務者に履行を促したり、履行を強制したりする手続ができます。

  • 履行勧告:家庭裁判所の調停・審判・裁判で決まった内容(債務)を守らない相手に対して、決まったとおりに履行する家庭裁判所が促す
  • 履行命令:調停・審判・裁判で決まった内容を守らない相手に対して、決まったとおりに履行するよう家庭裁判所が命令する手続
  • 強制執行(間接強制):調停などで決まった取り決めを守らない相手に対して、間接強制金を課して心理的なプレッシャーを与え、支払いを強制する手続
  • 強制執行(直接強制):調停などで決まった内容について、給料や財産を差し押さえるなどして強制的に履行させる手続

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