寡婦控除のみなし適用で保育料が安くなる!未婚のシングルマザーは必見
- シングルマザー
最終更新日: 2019.07.1
婚姻歴のないひとり親、いわゆる「未婚のシングルマザー」や「未婚のシングルファザー」は、税法上の寡婦(寡夫)控除を受けることができず、同じ収入でも婚姻歴のあるひとり親と比較して保育料が高くなるケースがありました。
しかし、2018年(平成30年)9月から、未婚のひとり親について「税法上の寡婦(寡夫)控除の適用があるとみなす」という制度が開始され、婚姻歴の有無による保育料の格差が是正されるようになりました。
「寡婦(寡夫)控除のみなし適用」という制度です。
この記事では、寡婦(寡夫)控除のみなし適用とはどのような制度かについて解説します。
目次
寡婦(寡夫)控除のみなし適用とは
寡婦(寡夫)控除のみなし適用とは、「婚姻歴の有無で課税額に差が生じ、結果として保育料にも差が生じる」という問題を解消するために、婚姻歴のない「未婚のひとり親」には税法上の寡婦(寡夫)控除の適用があるとみなし、税金を再計算して保育料を算定する制度です。
寡婦(寡夫)控除のみなし適用を理解するには、「保育料が決まる仕組み」と「税法上の寡婦(寡婦控除)控除」について知っておく必要があるので、先に触れておきます。
保育料が決まる仕組み
保育料は「前年の住民税額」に基づいて決まり、住民税は「納付する前年(1月1日~12月31日)の所得」に基づいて計算されます。
そして、ある年度の保育料は、住民税額を基準として毎年9月に切り替わります。
したがって、保育料の支払い月によって基準となる住民税額が異なります。
保育料の支払い月 | 基準となる住民税額 |
4月~8月 | 前年度の住民税額 |
9月~3月 | 当年度の住民税額 |
税法上の寡婦(寡夫)控除
寡婦(寡夫)控除とは、所得などの条件を満たす納税者が、一定の金額を所得から差し引くことができる税法上の制度です。
寡婦控除には寡婦控除、寡婦控除(特別の寡婦)、寡夫控除の3種類あります。
種類 | 要件 | 控除額 |
寡婦控除 | 以下の条件のいずれかを満たす女性
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寡婦控除(特別の寡婦) | 以下の条件全てを満たす寡婦
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寡夫控除 | 以下の条件全てを満たす男性
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寡婦控除は、税金面でひとり親家庭の経済的な困窮を援助するための制度ですが、法律婚をして離婚した人を対象としており、未婚のシングルマザーやシングルファザーには適用されません。
そのため、婚姻歴の有無によって控除の可否が分かれ、同じ収入なのに婚姻歴があるかないかで所得に差が生じて住民税額や保育料が変わるケースがありました。
寡婦(寡夫)控除のみなし適用を事例で確認
寡婦(寡夫)控除のみなし適用について、事例を用いて解説していきます。
寡婦(寡夫)控除のみなし適用がない場合
まず、寡婦(寡夫)控除のみなし適用がない場合から確認していきます。
事例 | 住民税の課税金額 |
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※所得控除は、誰もが一律に控除される基礎控除(30万円)と寡婦控除(特別の寡婦)(30万円)のみを想定
※調整控除額は想定せず
年収200万円のAさんとBさんですが、住民税は、168,800円-132,000円=36,600円も差があります。
保育料は住民税額に基づいて決まるため、A子さんとB子さんの息子の保育料にも差が生じることになります。
シングルマザーという立場も年収も同じなのに、「未婚」というだけでB子さんの方が住民税も保育料もたくさん支払うことになるのです。
不公平だと思いませんか。
寡婦(寡夫)控除がみなし適用された場合
では、未婚のBさんに寡婦(寡夫)控除がみなし適用された場合はどうなるでしょうか。
適用なしの住民税 | ⇒ | 適用あり |
168,800円 | 132,000円 |
寡婦控除がみなし適用されることで、保育料算定の基礎となるB子さんの住民税額がA子さんと同じ132,000円となり、保育料もA子さんと同額になる可能性があります。
ただし、注意事項が2つあります。
1つ目は、保育料は階層ごとに決まる仕組みになっており、寡婦(寡夫)控除がみなし適用されて算定の基礎となる住民税が安くなったとしても、階層が変化せず保育料が減額とならないことがあるということです。
2つ目は、寡婦(寡夫)控除のみなし適用はあくまで保育料算定の基礎とする住民税額を安くする制度であり、税法上の住民税額は変わらないということです。
つまり、事例のB子さんが実際に支払う住民税額は168,000円であり、みなし適用後の132,000円ではありません。
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寡婦(寡夫)控除のみなし適用の対象者
寡婦(寡夫)控除のみなし適用の対象となるのは、以下の要件を全て満たす人です。
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地域によっては、児童扶養手当の受給要件を満たす必要があるところもあります。
対象者の例外
寡婦(寡夫)控除のみなし適用は、内縁(事実婚)関係にある人は対象外です。
内縁(事実婚)とは、夫婦共同生活を送る意思があり、実際に法律婚の夫婦と同じような共同生活を営んでいるが、婚姻の届け出をしていない状態です。
また、税法上の寡婦(寡夫)控除を受けている人も対象にはなりません。
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寡婦(寡夫)控除のみなし適用の申請方法
寡婦(寡夫)控除のみなし適用を受けるには、対象者が申請をしなければなりません。
申請先
住んでいる地域の市区町村役場の保育料担当課です。
名称は地域によって異なるため、総合インフォメーションで確認してください。
必要書類
寡婦(寡夫)控除のみなし適用の申請には、以下の書類を揃える必要があります。
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必要に応じて追加で資料の提出を求められることもあります。
寡婦(寡夫)控除がみなし適用された場合の保育料算定の基礎となる住民税額からの控除額
寡婦控除がみなし適用された場合、保育料算定の基礎となる住民税額から、以下の金額が控除されます。
合計所得金額 | 種類 | 控除額 |
500万円以下 | 寡婦 | 30万円 |
寡夫 | 26万円 | |
500万円以上 | 寡婦 | 26万円 |
合計所得金額が125万円以下の場合は、非課税扱いとなります。
【重要】未婚のひとり親家庭の寡婦(寡夫)控除の見直し
婚姻の有無で寡婦(寡夫)控除に差を設けることについては批判が多く、現在、制度の見直しが検討されています。
2019年度(平成31年度、令和元年度)の税制改正で結論が出る予定です。
随時、更新します。