離婚調停申立書の提出方法!持参と郵送のメリットとデメリットは?
- 調停離婚
最終更新日: 2019.03.5
離婚調停の申立書や標準的な申立添付書類を作成し、添付資料と費用を準備したら、実際に申し立てを行います。
この記事では、申立て前に最終確認すること、離婚調停申立書を提出する方法、不備不足を指摘された場合の対応を確認しておきます。
離婚調停申立て前の最終確認
申立書などを作成して添付書類や費用も集め、申立ての準備は万全だと思っていても、意外と抜けがあるものです。
申立て時に不備不足があれば、申立て受付窓口の担当職員に指摘されますが、裁判所へ行った後に書類の追加提出などを求められると余計な時間と手間がかかります。
そのため、申立て前に自分で最終確認を行っておくことが大切です。
必要書類と費用の確認
まずは、離婚調停申立てに必要な書類と費用の確認です。
必要書類 | |
名称 | 交付場所 |
申立書:2部(原本1部+コピー1部) | 家庭裁判所 |
標準的な申立添付書類:各2部(原本1部+コピー1部)
| 家庭裁判所 |
戸籍謄本(全部事項証明書):1通 | 本籍地の市区町村役場 |
年金分割のための情報通知書:1通 |
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住民票:1通 | 居住地の市区町村役場 |
収入を証明する書類:各1通
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裁判所ウェブサイトには住民票や収入を証明する資料の記載がありませんが、当事者の住所確認のため申立て時には提出を求められるため、事前に準備しておきます。
「必要部数(通数)+1」を準備する
申立書と申立添付書類は、原本を1部作成し、コピーを2部とっておくのが基本です。
裁判所に提出する必要があるのは原本1部とコピー1部の合計2部です。
しかし、調停期日では申立書などに基づいて質問されますし、相手方も申立書などの記載内容に反論してくるため、自分用にもコピーを1部残しておくと安心です。
申立て後に閲覧謄写することはできますが、手間と費用がかかるため、あらかじめコピーしておきましょう。
また、その他の提出書類についても、裁判所に何を提出したか分かるよう、全てコピーをとって手元に残すことを意識してください。
裁判所への提出書類のコピーを残すことを習慣づけておくと、離婚訴訟でも役に立ちます。
費用 | |
名称 | 交付場所 |
収入印紙:1,200円分/件 | 郵便局 |
郵便切手:一定額 | 郵便局 |
資料収集費用 |
収入印紙
収入印紙は、調停1件当たり1,200円分を準備します。
離婚調停のみなら1,200円、婚姻費用分担調停も同時に申し立てるなら2,400円、婚姻費用分担調停と面会交流調停(子どもが1人の場合)を同時に申し立てるなら3,600円を準備する必要があります。
面会交流調停については、子ども1人につき1件申し立てる必要があるため、子どもの人数に応じて準備する収入印紙の金額が変わることに注意してください。
準備したら、作成済みの申立書の収入印紙欄にのりで貼り付けます(貼り付けず持参すると、受付窓口の職員が貼り付けてくれます)。
郵便切手
郵便切手については、全国の家庭裁判所が独自に金額と枚数を指定しているため、事前に確認する必要があります。
事前連絡なく申立てをする場合、以下の枚数を準備しておくと確実です。
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一般的には、140円切手を1枚、82円切手を5枚、10円切手を5枚程度の提出を求められることが多いですが、多めに提出を求められた場合に備え、余分に準備しておきます。
申立て時には、提出を求められた金額と枚数を封筒に入れ、封筒の表面に金額と枚数を記載して提出します。
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申立書と申立添付書類の記載内容
必要書類や費用が揃っていることを確認したら、申立書と申立添付書類の確認を行います。
申立て時に提出した書類は全て、調停期日前に裁判官や調停委員が確認し、記載内容に基づいて調停の進行を検討します。
また、申立書と申立事情説明書は、コピーされたものが調停期日通知書と一緒に相手方へ送付され、相手方が見ることができます。
そのため、申立書や申立添付書類に何を記載するかは非常に重要であり、読み手の反応を想像しながら慎重に作成する必要があります。
申立書や申立添付書類を作成するときのポイントは、3つあります。
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繰り返しになりますが、読み手の反応を意識することは何より重要です。
裁判官や調停委員の反応も重要ですが、特に、相手方の反応を意識して記載内容を考えることが大切です。
また、虚偽記載は調停を難航させる原因となりますし、嘘が発覚すると不利な立場に置かれるため、事実を率直に記載することも求められます。
さらに、離婚調停では、申立書などに記載した離婚やそれに伴う諸条件をベースにして、互いに譲歩しあいながら協議を進めるのが基本であり、通常は、申立書などに記載した条件から譲歩した内容で合意することになります。
そのため、申立書などに最低限の条件を書いてしまうと、そこからさらに譲歩を求められ、希望とはかけ離れた条件で離婚することになるおそれがあります。
離婚調停申立書などの書き方については、関連記事で詳しく解説しています。
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離婚調停の申立てには、窓口で申立書などを提出する方法と郵送による方法があります。
離婚調停申立書の提出方法
離婚調停は、原則として、窓口に必要書類と費用を持参して申立てを行いますが、制度上、郵送による申立ても認められています。
受付窓口に持参して提出
調停をする家庭裁判所の受付窓口に、必要書類と費用を直接持参します。
離婚調停を申し立てるのは、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所か、夫婦で合意した家庭裁判所です。
家庭裁判所の開庁時間は平日の午前8時30分から午後12時15分まで、午後1時から午後5時までです。
ただし、開庁したての午前8時30分頃、休憩時間(午後0時15分から午後1時まで)、終業が近い午後5時頃は職員が少ないため、待ち時間が長くなる傾向があります。
そのため、短い時間で申立てを行いたい場合、上記の時間は外してください。
受付窓口に持参して提出するメリット
受付窓口を担当するのは、裁判所事務菅または裁判所書記官です。
いずれも申立て事務に慣れた職員なので、分からないことを質問すれば丁寧に答えてもらうことができます。
また、必要書類や費用の不備不足を指摘してもらえます。
記載内容であれば修正箇所や内容を指示され、書類の不足であれば追完を指示されることになりますが、いずれも、「その場で」指摘されるため、郵送による提出と比較するとタイムロスが少なくて済みます。
受付窓口に持参して提出するデメリット
調停をする家庭裁判所が遠方の場合、時間と手間と費用がかかります。
合意管轄が認められれば問題はないのですが、相手方が合意しなかった場合、遠方でも相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てなければなりません。
極端な場合、沖縄在住の申立人が、北海道の支部に申し立てを行わなければならないこともあります。
こうしたケースの場合、直接持参するのではなく、郵送による提出を検討することになります。
郵送による提出
受付窓口に持参して提出するのが難しい場合、郵送による提出を検討します。
郵送する場合、必要書類と費用を郵便局または郵便ポストから発送します。
郵便の宛名
宛名は、離婚調停を申し立てる家庭裁判所の家事係です。
例えば、大阪家庭裁判所に離婚調停申立書などを郵送する場合、封筒の表面には以下のとおり記載します。
郵便番号:〒540-0008 住所:大阪市中央区大手前4丁目1番13号 宛名:大阪家庭裁判所家事受付係 御中 |
受付窓口は各家庭裁判所によって異なりますが、「家事係」、「家事調停係」、「家事受付係」などと記載すれば調停担当係に届きます。
家庭裁判所名だけでも届きますが、宛名から部署が分からないため、都市部の大きな家庭裁判所の場合、多少のタイムロスが生じることがあります。
郵送方法
普通郵便でも問題なく届きます。
心配な場合は書留郵便で郵送することもできますが、弁護士でも離婚調停の申立書は普通郵便で送ることが多く、届かなかったなどのトラブルの話も聞きません。
使用する封筒について規定はありませんが、A4の申立書などを3つ折りにして入れられる長型4号が基本です。
弁護士事務所では、折れ目がついて読みづらくなることを避けるため、定型外の封筒に入れて郵送することが多くなっています。
郵送提出のメリット
申立先が遠方でも手軽に申立てができることです。
相手方が遠方に住んでおり、合意管轄に応じなかった場合は、郵送による申立てを行うことが多いものです。
郵送提出のデメリット
必要書類や費用に不備不足があった場合、記載内容の修正や追加資料の提出に時間がかかることです。
例えば、申立書の記載に重大な記載漏れがあった場合、裁判所から返送された申立書を修正して送り返す必要があります。
持参提出の場合、不備不足をその場で修正できますが、郵送提出の場合は、郵便の行き来だけで1週間程度かかってしまいます。
必要書類の不足があった場合、家庭裁判所から電話連絡が入りますが、すぐに書類を準備して郵送したとしても、1~2日はかかります。