内縁・事実婚解消の慰謝料・財産分与の相場は?調停で解決する方法は?

内縁(事実婚)関係が正当理由なく解消された場合、相手に対して慰謝料や財産分与を請求することができます。

また、当事者間の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所の調停で解決を図ることも可能です。

内縁(事実婚)の解消で慰謝料や養育費を請求できるか

内縁(事実婚)の解消は、原則として、内縁関係にある男女が「内縁を解消しよう」と思ったときに自由にすることができます。

法律婚の要件である婚姻の届出をしていないため、離婚届を作成して市区町村役場に提出・受理される必要はありません。

しかし、内縁は、男女が夫婦として婚姻生活を維持する意思(婚姻意思)や夫婦の生活実態があるため、法律上も法律婚の夫婦と同様に法的保護の対象とされ、法律婚の夫婦と同じ権利義務が課せられています。

同居・協力・扶助義務内縁関係の男女が同居し、互いに協力しあい、助け合って婚姻生活を送る義務
貞操義務内縁関係の男女が互いに貞操を守る(他の異性と性的関係を持たない)義務
婚姻費用分担義務共同生活にかかる費用の一切を男女で分担する義務
日常家事の連帯責任夫婦の一方が日常家事に関する契約を第三者と結んだ場合、もう一方も連帯責任を負う
帰属不明財産の共有推定夫婦のいずれのものか明らかでない財産は、夫婦の共有であると推定する

また、内縁解消時には、財産分与や慰謝料、養育費などを請求することができます。

財産分与内縁継続中の築いた共有財産は内縁解消時に清算
慰謝料正当な自由なく内縁が解消された場合、慰謝料請求ができる
年金分割第3号被保険者だった期間のみ対象
養育費内縁解消後も非監護親には子どもの養育費を支払う義務がある

内縁(事実婚)解消と財産分与

財産分与とは、夫婦(法律婚の夫婦や内縁関係の男女)が関係を解消するときに、婚姻(内縁)期間中に築いた共有財産財産の清算などを目的として、夫婦の一方が他方へ財産を分与する手続きです。

内縁解消時に財産分与を請求する場合の対象財産や期間は、以下のとおりです。

対象期間内縁開始時から解消時まで

原則として、同居開始から別居まで

対象財産共有財産

例:現金、預貯金、土地家屋(不動産)、車・家具・貴金属など(動産)、有価証券、投資信託、会員権、職務上の資格、債権、債務など

内縁関係の場合、戸籍で内縁開始時期を把握することができないため、実務上は、住民票などに記載された同居開始の時期を財産分与の対象期間の始期と考えることが多くなっています。

財産分与の対象は男女の共有財産であり、内縁関係開始以前に男女が築いた財産や、男女の一方が贈与や相続で得た財産は対象外です。

いずれも法律婚の夫婦の財産分与と同じ取り扱いです。

財産分与の相場

法律婚の夫婦と同じく、原則として、2分の1ずつです。

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離婚の財産分与とは?離婚後の時効(期限)と分与対象・性質を解説

内縁解消と慰謝料

法律婚の場合、夫婦の一方が不貞や悪意の遺棄など不法行為に及んで婚姻を破綻させ、配偶者に精神的苦痛を与えた場合に慰謝料を請求することができます。

内縁の場合も、内縁相手に不貞や悪意の遺棄などがあるなど「正当な理由」によって内縁関係を解消した場合や、正当な理由なく内縁を解消された場合、不法行為に基づく損害賠償を請求することが認められています。

正当な理由

内縁関係解消の正当な理由とは、以下のようなものです。

  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄(生活費を渡さない、同居に応じないなど)
  • DV(ドメスティックバイオレンス)
  • モラハラ(モラルハラスメント)など

正当な理由がある場合、自ら内縁を解消し、相手に慰謝料を請求することができます。

正当な理由がない

内縁解消に正当な理由がないとされるのは、以下のような場合です。

  • 浮気相手と交際・婚姻するため
  • 相手の預貯金が尽きたため
  • 飽きたためなど

正当な理由がないのに内縁を解消された場合、解消された人が慰謝料を請求することができます。

内縁解消の慰謝料の相場

内縁解消を理由とする慰謝料の相場は、内縁解消の理由によって異なります。

不貞50~300万円
悪意の遺棄50~200万円
DV50~500万円
モラハラ50~300万円
正当理由なく解消理由による

実務上は、内縁を解消したことそのものではなく、内縁解消の理由に対する慰謝料を請求することが多くなっています。

上記の相場は、慰謝料請求の根拠を明らかにする客観的証拠が揃っている場合に認定される金額です。

相場の幅が大きいのは、内縁解消の理由となった事情や客観的証拠の内容などによって、実際に認定された金額に大きな差があるからです。

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慰謝料と年金分割

年金分割とは、婚姻期間中に夫婦の両方または両方が納めた年金保険料を夫婦が共同で納付したものとみなして、厚生年金記録を分割する手続きです。

年金分割をするには、分割対象となる期間を特定しなければなりません。

法律婚の場合、戸籍に婚姻期間が記載されているため、分割対象となる期間を簡単に特定することができます。

しかし、内縁の場合は内縁期間の特定が困難です。

内縁関係の証明には住民票が用いられることが多いですが、「住民票上の同居期間」と実際に同居して夫婦生活を継続していた期間とは必ずしも一致しません。

例えば、内縁関係になっても住民票を移さなければ別居状態と扱われますし、内縁解消後も住民票を移さなければ住民票上は同居状態が継続することになります。

したがって、内縁関係の男女間における年金分割は、国民年金の第3号被保険者(相手の被扶養者)であった期間に限って認められることになっています。

内縁関係から法律婚に至った場合

内縁関係の男女が婚姻の届出をして法律上の夫婦になり、その後、離婚した場合、内縁期間と法律婚期間を一体として年金分割を請求することができます。

内縁期間の証明には、男女が同一世帯で、世帯主と内縁相手の続柄が「夫(未届)」または「妻(未届)」と記載された住民票を提出します。

内縁のみの場合と整合性を欠く気がしますが、実務上は住民票の提出で足ります。

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年金分割と養育費

内縁関係の男女の間に生まれた子どもは非嫡出子と呼ばれ、分娩の事実から母子関係は明らかですが、父子関係が確定してない状態です。

つまり、内縁関係にある男性と生まれた子どもの間には親子関係に基づく扶養義務などがなく、そのままでは扶養義務に基づく養育費を請求することができません。

内縁関係にある男性から生まれた子どもであることを明らかにして父子関係を確定させるには、男性に子供を認知させる必要があります。

認知の方法には、大きく分けて任意認知、調停認知、強制認知があります。

任意認知男性が自ら認知届を作成して役場に提出
調停認知認知調停を経て家庭裁判所が審判で認知を判断
強制認知認知の裁判で裁判所が認知を判断

男性が子どもを認知すると法律上の父子関係が確定し、男性と子供は互いに扶養義務を負い、相手の法定相続人になり、戸籍にも認知の事実や父子関係に関する事項が記載されます。

男性が子どもを認知した後は、内縁解消後も父子関係が継続するため、扶養義務に基づいて養育費を請求することができます。

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内縁関係と婚姻費用

法律婚の場合、夫婦は互いに離婚が成立するまで婚姻費用分担義務を負うため、別居後であっても、離婚成立まで婚姻費用分担を請求することができます。

しかし、内縁関係の場合、同居を解消した時点で関係が終了したと考えられるのが一般的であり、別居後に婚姻費用分担を請求することは難しいのが実情です。

なお、内縁解消ではなく、単身赴任や長期入院などの場合は婚姻費用を求めることができます。

内縁解消と家事調停

当事者間の話し合いでは内縁の解消やそれに伴う条件面の調整ができない場合、家庭裁判所の調停を利用して問題解決を図る方法があります。

利用するのは内縁関係調整調停という家事調停です。

内縁関係調整調停とは、内縁解消など内縁に関する問題の解決を目的として、内縁関係にある男女(または内縁関係にあった男女)が調停委員を交えて話し合う手続きです。

内縁解消だけでなく、財産分与や慰謝料などについても話し合って取り決めることができますし、調停成立時に作成する調停調書に記載した内容が守られない場合は強制執行の手続きを利用することができます(金銭給付など一部のみ)。

申立人内縁の夫または内縁の妻
管轄相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または合意管轄
必要書類
  • 申立書:原本とコピー各1通
  • 申立事情説明書:原本とコピー各1通
  • 進行に関する照会書:1通
  • 住民票または戸籍附票:いずれか1通

※いずれも自分用にコピーをとっておくことが望ましい

【年金分割を主張する場合】

  • 年金分割のための情報通知書:1通
費用
  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:家庭裁判所が指定する金額と枚数

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内縁関係調整調停とは?内縁解消時に慰謝料や財産分与や請求できる?

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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