内容証明郵便:離婚や慰謝料請求の書き方や出し方、料金を解説

離婚や別居、慰謝料請求などの依頼を受けた弁護士が活用する頻度が高いのが内容証明です。

個人でも利用することができ、うまく活用すれば離婚や慰謝料請求の話し合いを思ったとおりに進める役に立ちます。

この記事では、離婚や慰謝料請求で内容証明郵便を活用する方法について解説します。

内容証明とは

内容証明とは、「いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出されたか」について、差出人が作成した謄本によって証明する郵便局のサービスです。

内容証明郵便と呼ばれることもありますが、同じ意味です。

内容証明に法的拘束力はない

内容証明には、法的拘束力はありません。

しかし、家庭裁判所の手続きを利用する前段階で離婚紛争に関する依頼を受けた場合、まずは依頼者の希望などを記載した文書を内容証明で相手に送るケースが多いです。

なぜなら、離婚紛争の話し合いを前に進める上で、他の手続きにはないメリットがあるからです。

内容証明のメリット

内容証明のメリットは、以下のとおりです。

「いつ、どのような内容の文書が、誰宛に差し出されたか」が証明できる

内容証明では、同じ文書を3通(原本1通と謄本2通)を準備し、原本1通が名宛人へ郵送され、謄本は1通を郵便局が、もう1通を差出人が保管することになります。

「いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出されたか」が手元と郵便局に残るので、当事者間で「言った、言わない」、「請求した、請求されていない」という水掛け論をせずに済みます

相手に心理的圧力をかけられる

相手に心理的圧力をかける効果もあります。

例えば、相手に離婚したいことを伝える場合、メールやLINEで送信するのと内容証明郵便で送りつけるのでは、相手の受け止め方はまるで異なります。

記載する内容は同じでも、内容証明を利用することで相手に本気度が伝わるので、離婚問題と向き合おうとしない相手に危機感や焦りを抱かせることができます。

内容証明のデメリット

一方で、内容証明を利用することによるデメリットも存在します。

相手の主張を裏付ける証拠に使われる

内容証明を利用した文書は相手の手元にも残るので、下手なことを記載すると後になって相手から追及されたり、相手の主張を裏付ける証拠として使われたりするおそれがあります。

例えば、虚偽の内容を記載すると、事実が明るみに出たときに不利な状況に追い込まれますし、脅迫めいた内容を記載すると、内容証明文書を根拠として相手から訴えられることにもなりかねません。

文書に記載された主張は変更しにくい

内容証明文書に記載した主張を、後になって変更しにくいというデメリットもあります。

例えば、不貞の慰謝料を請求する場合、夫婦の協議の段階で支払えば100万円で済ませるが、調停や訴訟まで争う場合は弁護士に依頼する費用を含めて200万円を請求する腹積もりでいたとします。

この場合、内容証明文書に「不貞の慰謝料として100万円を請求する。」とだけ記載するとどうなるでしょうか。

すぐに100万円が支払われた場合は、何の問題もありません。

しかし、当事者間の話がこじれ、離婚調停や訴訟で200万円を請求すると、相手から「主張が変わっている」と指摘され、その証拠として内容証明文書が利用されることになります。

内容証明を送る目的

内容証明を送る目的は、何らかの請求をしたことを証拠として残したり、内容証明による請求によって相手の反応を促したりするためです。

離婚紛争に関していえば、配偶者に離婚の協議を請求する、配偶者に別居中の婚姻費用分担を請求する、配偶者やその不貞相手に慰謝料を請求するなどの目的で利用されます。

内容証明に関する誤解

内容証明という名称から、「文書の内容が正しいことを証明する制度」だと勘違いしている人が少なからずいます。

しかし、内容証明が証明するのは「いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出されたか」という文書の存在で、文書の内容が真実かどうかを証明するものではありません。

また、配達されたことを証明することもできません。

配達されたことを証明するには、別途、配達証明を利用する必要があります。

内容証明郵便の書き方

内容証明郵便は、字数、行数、形式などが郵便規則で規定されています。

用紙のサイズ

内容証明専用の用紙が文房具店などで販売されており、弁護士や行政書士は、この専用用紙を使用して内容証明郵便を作成します。

しかし、使用する用紙の種類は指定されていないので、コピー用紙、原稿用紙、便せんなども使用できます

用紙の大きさも指定されていませんが、A4用紙を使うのが一般的です。

封筒のサイズ

封筒の様式も指定されていません。

通常は、A4用紙を三つ折りして入れられる大きさの封筒を使用します。

内容証明郵便では文書を3通作成するので、封筒も3通準備する必要があります。

なお、郵便局の職員が文章の形式を確認するので、郵便局へ持参する段階では封をしてはいけません

同封物

内容証明郵便は、文書1通だけを内容とする必要があります。

したがって、内容文書以外を同封することは認められません。

例えば、文書の内容を裏づける資料や、相手に回答を求める場合の返信用封筒なども同封することはできません。

書き方

手書きでもパソコンソフトを作成しても構いません。

手書きの場合は、黒色ボールペンを使用するのが基本です。

使用できる文字と記号

  • 仮名(ひらがな、カタカナ)
  • 漢字
  • 数字(算用数字、漢数字)
  • 英字(固有名詞のみ)
  • 括弧
  • 句読点
  • その他一般に記号として使用されるもの

書き方(字数・行数)

縦書きと横書きを選択できますが、書き方によって字数と行数が決められています。

縦書き
  • 1行20字以内、1枚26行以内
横書き
  • 1行20字以内、1枚26行以内
  • 1行13字以内、1枚40行以内
  • 1行26字以内、1枚20行以内

記号と句読点も1つにつき1字とカウントされます。

例えば「、」や「。」は1字、「㎥」は2字とカウントします。

ただし、括弧は前後を合わせて1字カウントです。

枚数

枚数制限はありません。

ただし、2枚以上になる場合、ホッチキスでまとめて綴り、つなぎ目に契印してください。

契印には署名の横に押印する印鑑と同じ印鑑を使用します。

通数

原本1通と謄本2通の合計3通を作成しなければなりません。

  • 相手に送付:1通
  • 郵便局保管:1通
  • 自分で保管:1通

謄本の作成方法は指定されておらず、原本をコピーする、原本のとおり手書きする、カーボン紙を使用するなどの方法で作成します。

表題と形式

通常は、内容によって請求書や通知書などの表題を付けますが、付けなくても問題はありません。

実務上は、時候の挨拶や結び文など文書の形式にもこだわりますが、記載しなくても郵便規則には引っかかりません。

差出人と受取人の住所・氏名

誰から誰あての文書であるか明らかにするために、文書と封筒には差出人と受取人の住所・氏名を記載する必要があります。

記載する位置は指定されていませんが、一般的には文書の末尾にまとめて記入します。

文書と封筒に記載する住所・氏名は統一する必要があり、異なる場合は郵便局の職員から指摘され、書き直しとなります。

署名押印

郵便規則上、署名押印が必要とは規定されていません。

しかし、文書に押印があるか否かによって、相手が受け取る印象は大きく異なるので、原則として、署名押印します。

なお、外国人の配偶者に対して内容証明郵便を送る場合、署名の方が効果があるという話を聞いたことがあります。

この辺りは文化差の部分なので、相手によって柔軟に変更すれば良いでしょう。

内容証明郵便を誰の名前で出すか

内容証明郵便は、自分で作成して自分の名前で出すこともできますが、弁護士名で出した方が相手に事態の深刻さが伝わって協議の場を設けやすいものです。

そのため、離婚紛争の初期から弁護士に依頼する場合は、弁護士に主張を伝えて内容証明郵便を作成してもらい、弁護士名で出してもらうのが効果的です。

ただし、自分で作成するのとはけた違いの費用がかかることは覚悟しておく必要があります。

また、内容証明郵便は、行政書士でも作成することができますし、弁護士と比較すると安価なので、実際に行政書士に依頼する人も少なくありません。

しかし、相手から反応があった場合、弁護士であれば依頼者の代わりに相手と交渉することができますが、行政書士には相手と交渉する権限がなく、自ら交渉することになります。

内容証明郵便の出し方

内容証明郵便を送るには、郵便局の窓口で手続きをする必要があります。

地方では内容証明郵便を取り扱っていない郵便局もあるので、事前に電話などで確認しておくことが大切です。

窓口での手続き

  1. 取扱郵便局の窓口へ行く
  2. 内容証明郵便を送りたいと伝え、文書と封筒各3通を提出
  3. 郵便局員が文書と封筒を確認
  4. 料金の支払
  5. 職員の前で封をする
  6. 内容証明の控え1通、書留・配達記録郵便物受領書を受け取る

最寄りの取扱郵便局の窓口へ行き、「内容証明郵便で送りたい」と伝えて、文書と封筒各3通を提出します。

郵便局の職員が文書を確認し、問題がなければ料金を支払った上で、職員が見ているところで封をすることになります。

その後、職員から内容証明の控え1通と、書留・配達記録郵便物受領書を受け取って手続きは終了です。

配達証明と一緒に利用する

配達証明とは、郵便物を配達した事実を証明する制度です。

内容証明と配達証明を併用することで、「いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出され、確かに配達されたこと」を明らかにすることができます。

内容証明では配達されたか否かが確認できないので、一緒に利用するようにしてください。

ただし、配達証明を利用しても、郵便物を実際に誰が受け取ったかについて証明することはできません。

例えば、鈴木太郎さんあてに郵送された郵便物(内容証明と配達証明を利用)を、弟の次郎さんが太郎さんだと偽って受け取ったとしても、その事実は確認することができません。

利用料金

内容証明郵便(配達証明付)を送るためにかかる料金は、以下のとおりです。

  • 内容証明:430円(2枚目以降は1枚につき250円)
  • 書留郵便:430円
  • 通常郵便料金:定形郵便25gまでは82円、50gまでは90円
  • 配達証明:310円(差出後に利用する場合は430円)

内容証明を利用するには、書留郵便とする必要があります。

内容証明郵便の活用方法

内容証明郵便の効果的な活用方法について解説していきます。

無断で別居する場合

原則として、夫婦間で別居することや別居中の婚姻費用、子どもの監護、住む場所、連絡方法などを話し合い、合意した上で別居しなければなりません。

しかし、配偶者からのDVやモラハラから逃れるために無断で別居したり、虐待や過剰なしつけから子どもを逃がすために子連れ別居に踏み切ったりした場合、相手から「夫婦の同居義務違反に基づく悪意の遺棄」や「違法な連れ去り」を主張されるおそれがあります。

こうした場合、別居と同時に、無断で別居に至った事情を記載した文書を内容証明郵便で相手に送っておくことで、無断で別居した事実は変わらなくても、少なくとも相手に通知したことは主張できます。

関連記事

離婚前の別居準備と手続き:児童扶養手当(母子手当)や生活費はもらえる?

離婚に伴う諸条件

離婚について夫婦間で話し合おうとしても取り合ってもらえない場合や、話し合う機会さえ持てない場合にも、離婚条件を記載した内容証明郵便を送ることがあります。

内容証明で離婚条件を送付したとしても、配偶者が主張を受け入れてくれるわけではなく、離婚の話し合いに応じてくれるとも限りません。

しかし、少なくとも、こちらの請求を相手に知らせることができますし、離婚に対する本気度も伝わります

離婚協議では、この「知らせること」と「本気度を伝えること」が大きな意味を持ちます。

また、一定の期限を指定して「回答がなければ弁護士に依頼する。」「夫婦で話し合えない場合は離婚調停を申し立てる。」などと記載しておくと、相手に与える心理的効果はより高まります。

「何の連絡もなく調停を申し立てられた。」という批判も避けることができます。

不貞をした配偶者への慰謝料請求

不貞をした配偶者に慰謝料を請求したい場合、まずは夫婦で話し合うのが基本ですが、話し合いに応じない、顔を合わせることに抵抗があるなどの場合、慰謝料請求額を記載した内容証明郵便を送りつける方法があります。

直接請求よりも内容証明郵便が届く方が相手に与えるプレッシャーが大きく、また、感情抜きに話が進むため、話し合いをするよりも短期間のうちに慰謝料が支払われる傾向にあります。

また、「期限までに〇〇万円(相場よりやや低額)を支払えばそれ以上の追及はしないが、支払いがない場合は裁判で〇〇万円(相場の上限近い金額)を請求する。」旨を記載すると、より効果的です。

ただし、脅迫めいた内容にならないよう文面には注意が必要です。

関連記事

浮気・不倫の慰謝料の相場!不貞相手への請求の可否と増額・減額の事情

不貞相手への慰謝料請求

配偶者の不貞相手へ慰謝料を請求する場合も、内容証明郵便を活用することができます。

直接請求したいが連絡先が分からない、不貞相手が連絡や接触に応じない、自分自身が直接話をすることに抵抗があるなどの場合、不貞の慰謝料を請求することと請求額を記載した内容証明郵便を送りつける方法が効果を発揮します。

配偶者への請求と同様、期限内に支払わないと裁判を起こす旨の記載を加えることで支払われやすくなりますが、配偶者への文書以上に文面には注意が必要です。

婚姻費用・養育費

過去の未払婚姻費用や養育費は、原則として、請求した時点から請求が認められます。

例えば、離婚時に養育費を取り決めず離婚後に養育費請求調停を申し立てる場合、請求できるのは調停申立て時点からとなります。

離婚前に請求したが相手が応じず取り決められなかった事情があり、それを明らかにする資料があれば、離婚前の請求時点から請求することができます。

離婚前に内容証明郵便で養育費を請求しておけば、請求年月日が明らかになるため、離婚後に養育費を請求する根拠になります。

また、離婚後に養育費を請求する場合も、内容証明郵便を利用することで請求時点について元配偶者と水掛け論をせずに済みます。

面会交流

活用ケースは多くありませんが、面会交流でも内容証明郵便を送ることがあります。

面会交流は、非監護親からすると子どもとの関わりを確保する大切なものであり、他の何を差し置いても取り決めたい離婚条件ですが、日常的に子どもと暮らす監護親からすると他の金銭給付の取決めと比較して重要度が低い傾向にあります。

つまり、取り決めへのモチベーションが夫婦間で大きく異なることが多いのです。

そこで、「いつ、どこで、どのような方法で、どれくらいの頻度で面会交流を実施したいか。」という主張を記載した内容証明郵便を送り、面会交流を真剣に求めていることを伝えることが効果を発揮することがあります。

特に、監護親が面会交流に拒否的な場合や明確に拒否している場合は、内容証明郵便を送ることで相手に危機感を抱かせることができます。

また、何度も面会交流を求めたにも関わらず、離婚調停や面会交流調停で「会わせてほしいと言われたことはない。」などと主張されることを未然に防ぐ効果もあります。

>>>「協議離婚」の記事一覧に戻る

【参考】

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権
    離婚後単独親権に対する問題提起や批判は以前からありましたが、近年、欧米諸国などで採用されている離婚後…
  2. 専業主婦 離婚 準備
    「専業主婦(主夫)だけど離婚したい。でも、離婚後の生活が不安。」、「離婚したいが、専業主婦は離婚後に…
  3. 離婚協議書 公正証書
    協議離婚する場合、離婚することと諸条件について夫婦で話し合い、合意した内容を離婚合意書にまとめた上で…
  4. 離婚調停 相手方 準備
    「ある日突然、見知らぬ住所と差出人の名前が書かれた茶封筒が自宅のポストに届き、中を開けてみると「調停…
  5. 弁護士会照会制度
    離婚紛争を弁護士に依頼すると高額な費用がかかりますが、依頼によって得られるメリットもあります。 …
  6. モラハラ 離婚
    配偶者のモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。 しかし…
  7. 離婚調停 成立 調停条項
    離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件面の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。 …
  8. 養育費 強制執行 手続き 流れ
    夫婦間で取り決めた養育費が支払われない場合の対応には、履行勧告、履行命令、強制執行があります。 …
  9. 離婚 弁護士費用 相場
    離婚を弁護士に依頼する場合、注意しなければならないのが弁護士費用です。 「離婚 弁護士費用 相…
  10. 離婚調停 弁護士
    「離婚調停で弁護士は必要か。」と聞かれたら、弁護士としての立場では「必要です。ぜひご依頼ください。」…

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権

    選択的共同親権とは?法務省が検討する「離婚後の親権の選択制」の意味

  2. 専業主婦 離婚 準備

    専業主婦の離婚準備:仕事と生活費、子どもの親権、年金のことなど

  3. 離婚協議書 公正証書

    離婚協議書を自分で作成:書き方サンプル付き!公正証書の作り方も解説

  4. 離婚調停 相手方 準備

    離婚調停を申し立てられた相手方が調停第1回期日までに準備すること

ページ上部へ戻る