年金分割調停の申立て!必要書類、調停調書の条項、不成立で審判移行?

年金分割調停 申立て 必要書類 調停条項

年金分割には合意分割と3号分割の2種類あり、合意分割では分割割合(按分割合)を決めた上で分割を請求しなければなりません。

夫婦間で按分割合の合意ができない場合、家庭裁判所の手続きを利用して按分割合を決めることができます。

年金分割調停とは

年金分割調停は、離婚した元夫婦間で合意分割(年金分割)の按分割合が合意できない場合に、調停委員会の助言やアドバイスを受けながら按分割合を決める調停です。

正式名称は「年金分割の割合を定める調停」ですが、年金分割調停という呼び方が一般的です。

年金分割事件は、家事事件手続法別表第2事件であり、調停以外に審判手続きも利用できます。

しかし、第一次的には当事者間の協議で問題解決を図ることが望ましい事件なので、調停を経ずに審判を申し立てた場合、家庭裁判所が職権で調停に付すことがあります(付調停)。

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利用できる手続は離婚前と離婚後で異なる

家庭裁判所で年金分割の按分割合を決める方法は年金分割調停以外にも複数ありますが、離婚前と離婚後で利用できる手続が異なります。

離婚前
  • 夫婦関係調整(離婚)調停
  • 離婚訴訟(附帯事項)
離婚後 年金分割の按分割合を定める審判または調停

離婚前は、年金分割調停を申し立てることはできず、夫婦関係調整(離婚)調停または離婚訴訟の附帯事項として年金分割を請求することになります。

年金分割調停の申立て

年金分割調停の申立て方法について確認していきましょう。

申立権者(申立てができる人)

離婚した元夫または元妻です。

また、事実婚(内縁)関係にあった男女も申立てができることがあります。

事実婚(内縁)関係にあった男女の場合、事実婚期間のうち、男女の一方が国民年金の第3号被保険者(被扶養者)であった期間に限って年金分割ができます。

しかし、2008年4月以降は3号分割により自動的に2分の1ずつに分割されるため、調停を申し立てる必要がありません。

したがって、事実婚(内縁)関係にあった男女が年金分割調停を申し立てられるのは、2008年3月31日までに事実婚(内縁)関係にある男女の一方が第3号被保険者であった期間があり、その間の年金分割の按分割合が合意できない場合となります。

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申立先(管轄の家庭裁判所)

相手方の住所地の家庭裁判所、または、元夫婦が合意で定める家庭裁判所です。

家事調停事件の管轄は、家事事件手続法第245条第1項に規定されています。

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

(家事事件手続法245条1項)

元夫婦が本来の管轄(相手方の住所地の家庭裁判所)以外の家庭裁判所で調停をすることに合意した場合、管轄合意書を作成して申立書などと一緒に提出する必要があります。

管轄合意書の記載事項

  • 書類の名称(管轄合意書)
  • 提出先の家庭裁判所名
  • 書類の作成年月日
  • 申立人と相手方の住所と氏名・押印
  • 管轄に合意した旨の文章

管轄に合意した旨の文章の記載例は、以下のとおりです。

  • 「上記当事者間の貴庁平成○年(家イ)第◯号調停申立事件は、家庭裁判所◯支部の管轄に属する事件ですが、当事者双方合意の上、貴庁を管轄裁判所と定めたので、届け出ます。」

以上の内容がA4用紙に記載されていれば、その他の書式などは問われません。

申立てにかかる費用

  • 収入印紙:1,200円分
  • 郵便切手:数百円分

郵便切手については、各家庭裁判所が個別に金額と枚数を設定しており、申立先の家庭裁判所に事前確認する必要があります。

大都市の家庭裁判所には売店があって収入印紙や郵便切手を販売していますが、その他の本庁や支部・出張所では販売していないため、郵便局で購入して持参するのが安全です。

申立ての必要書類

  • 申立書:原本1通とコピー1通
  • 年金分割のための情報通知書

年金分割のための情報通知書は、年金事務所に請求して取得する必要があります。

請求に必要な資料は、以下のとおりです。

  • 年金分割のための情報提供請求書:年金事務所または日本年金機構のウェブサイトで入手
  • 請求者の国民年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 戸籍謄本:婚姻年月日が分かる資料
  • 事実婚(内縁)関係にあった時期を証明する資料
  • 国民年金第3号被保険者加入期間証明書

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請求期限

年金分割(標準報酬の改定)の請求は、離婚をした日の翌日から2年以内にする必要があり、その期間を過ぎると原則として申し立てることができません。

そのため、年金分割の請求期限を過ぎた後は、年金分割調停も申し立てることができなくなります。

期限内に行う必要があるのは、申立てです。

申立てが離婚をした日の翌日から2年以内であれば、調停成立が2年を過ぎていても問題ありません。

年金分割調停の成立

年金分割調停では、申立て時に提出された年金分割のための情報通知書に基づいて、調停委員を交えて按分割合の協議が行われます。

基本的に「収入に関わらず、夫婦は同程度に協力扶助義務を果たしている。」というのが家庭裁判所のスタンスであり、調停員からも按分割合を2分の1(50%)にするよう勧められます。

元夫婦間で年金分割の按分割合の合意ができた場合、その内容が調停条項に記載されて調停が成立します。

年金分割の調停調書に記載される調停条項は、以下のとおりです。

  • 「申立人と相手方との間の年金分割のための情報通知書記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5(または夫婦で合意した割合)と定める。」

調停が成立すると、調停調書に記載された内容は確定審判と同じ効力を持ち、記載内容が守られない場合は強制執行などの手続きを利用することができます。

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年金分割調停が不成立で審判移行した場合

年金分割調停は別表第2事件なので、元夫婦間の合意ができず調停が不成立で終了した場合、自動的に審判手続へ移行します。

年金分割の審判では、家庭裁判所の裁判官が審問期日を開き、元夫婦の主張を聴取し、判断に必要な事項について質問したり資料の提出を指示したりした上で、年金分割の按分割合を判断します。

すでに書いたとおり、家庭裁判所のスタンスは「収入に関わらず、夫婦は同程度に協力扶助義務を果たしている。」というものです。

したがって、特段の事情がない限り、按分割合が0.5以外に定められることはありません。

特段の事情とは、婚姻期間中に夫婦の同居実績が全くない、夫婦の一方の特殊な技能や経験により高額の報酬を得たなどの事情が考えられますが、事案に応じて個別に判断されます。

審判結果は、元夫婦に審判書謄本を郵送する方法により告知されます。

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年金分割(標準報酬の改定)の請求

年金分割調停や審判は、あくまで年金分割の按分割合を決める手続です。

調停成立または審判確定後は、年金事務所で年金分割(標準報酬の改定)を請求し、分割を行わなければなりません。

年金分割(標準報酬の改定)の請求の必要書類は以下のとおりです。

  • 標準報酬改定請求書(年金事務所または日本年金機構のウェブサイトで入手)
  • 請求者の国民年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 戸籍謄本:当事者の生存と夫婦の婚姻年月日が確認できる資料
  • 事実婚を証明するもの(事実婚の場合)
  • 事実婚(内縁)関係にあった時期を証明する資料
  • 国民年金第3号被保険者加入期間証明書
  • 按分割合が記載された書類

按分割合が記載された書類とは、以下の書類のことです。

 

  • 調停調書の謄本または抄本
  • 審判書の謄本または抄本と確定証明書

なお、年金分割の請求は、離婚などをした日の翌日から2年以内または調停成立・審判確定から1ヶ月以内に行わなければなりません。

 

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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