認知調停とは?流れと期間、DNA鑑定と不成立になる場合とは?

認知調停

婚姻をしていない男女の間に生まれた子どもには法律上の父親がいない状態であり、父親を設定するには認知の手続きを経る必要があります。

認知の方法には、任意認知、遺言認知、認知調停(合意に相当する審判)、強制認知(認知の訴え)があります。

任意認知 父親が自らの意思で子どもを認知
遺言認知 遺言で子どもを認知
認知調停

(合意に相当する審判)

認知調停での父母の合意を前提に、家庭裁判所が審判で認知を判断
認知の訴え 認知の訴えで家庭裁判所が認知を判断

この記事では、認知調停の申立て方法、調停の流れ、DNA鑑定、不成立になった場合について解説します。

認知調停とは

認知調停とは、子どもの認知について調停の場で父母が話し合う手続きです。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもについて父親が自らの意思で認知しない場合、子どもやその法定代理人などが父親を相手方として認知調停を申し立て、認知するよう求めることができます。

認知調停は家庭裁判所が取り扱う家事事件のうち特殊調停事件に分類され、調停において当事者間の合意ができても手続きが終了せず、必ず審判で家庭裁判所が判断を出します。

審判で認知がなされると、子どもが出生したときに遡って法律上の親子関係が生じます。

特殊調停事件とは

特殊調停事件とは、離婚と離縁を除く「身分関係の形成や存否の確認に関する事項」についての調停事件です。

本来、身分関係の形成や存否確認に関する事項は、戸籍記載などに関わる公益性が高く、個人の意思や当事者の合意による処分は相当ではないため、人事訴訟事件で裁判所が判断を下すべきとされています。

しかし、人事訴訟を提起するには時間・手間・費用がかかる上、高度な個人情報が公開の法廷で審理されることに抵抗を示す人も多いものです。

そこで、身分関係に関する問題について①当事者間に審判で解決する合意があり、②問題の原因や事実に争いがない場合、家庭裁判所は、これら2点を特殊調停で確認し、調停委員の意見を聴取して、必要な事実の調査を行った上で、合意に相当する審判ができる制度が設けられています。

1 人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。

一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。

二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。

(家事事件手続法第277条第1項)

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認知調停の申立て方法

認知調停の手続きは、家庭裁判所に申し立てることで開始します。

申立権者(申立人)

婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども、その子どもの直系卑属、子どもの法定代理人、子どもの直系卑属の法定代理人です。

直系卑属 子どもの子どもや孫など
法定代理人 親権者(通常は母親)、未成年後見人(親権者がいない場合などに家庭裁判所に選任され、親代わりとして子どもの監護養育や財産管理を行う人)など

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申立先(管轄の家庭裁判所)

調停の相手方(認知を求める父親)の住所地を管轄する家庭裁判所、または、当事者が合意で定める家庭裁判所です。

家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

(家事事件手続法第245条第1項)

相手方の「住所地」は、住民票上の住所ではなく、相手方が実際に住んでいる住所のことであり、申立人が自ら調べた上で申立てを行わなければなりません。

当事者が合意で定める家庭裁判所での調停(合意管轄)を希望する場合、当事者間で管轄の合意ができた旨の管轄合意書を申立書に添付する必要があります。

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必要書類

認知調停の申立ての必要書類は、以下のとおりです。

  • 申立書:3通(裁判所用、相手方用、自分用、裁判所の窓口で3枚複写式の申立書を交付してもらえる)
  • 進行に関する照会回答書:1通
  • 連絡先等の届出書:1通
  • 申立人と相手方の戸籍謄本(全部事項証明書):各1通(取得後3ヶ月以内のもの)
  • 主張を裏づける資料:各3通(裁判所用、相手方用、自分用)

【離婚後300日以内に出生した、出生届が未了の子どもに関する申立ての場合】

  • 子どもの出生証明書のコピー:1通
  • 母の戸籍謄本(全部事項証明書):1通

家事事件手続法施行後は、申立書が相手方に送付される取扱いとなっています。

また、調停期間中に一方の当事者が提出した書類などは、他方の当事者が閲覧・謄写の申請をすることができ、法律に規定された除外事由に当たらない限り、原則として、許可されます。

提出書類の中に相手方に知られたくなく、家庭裁判所にも知らせる必要がない情報については、提出前に該当部分全てにマスキング(黒く塗りつぶして見えないようにする)処理を行います。

マスキング処理ができない場合は、「非開示の希望に関する申出書」に必要事項を記載し、申出書の後ろに相手方に知られたくない情報が含まれる書類を付けて提出します。

ただし、閲覧・謄写を認めるか否かは家庭裁判所が判断するため、「非開示の希望に関する申出書」を提出したからといって100%非開示となるわけではありません。

申立てにかかる費用

認知調停の申立てには、収入印紙と郵便切手が必要です。

  • 収入印紙:1200円分
  • 郵便切手:1000円程度

郵便切手については、具体的な金額と枚数を各家庭裁判所が独自に規定しているため、事前確認が必要です。

認知調停の流れ

認知調停の申立てが受理されると、原則として、以下の流れで進行します。

  1. 調停期日の通知
  2. 調停期日
  3. DNA鑑定
  4. 調停成立
  5. 事実の調査
  6. 合意に相当する審判
  7. 審判確定

※調停で当事者の合意ができない場合、家庭裁判所が当事者の合意を相当と認めない場合:調停不成立で手続き終了

調停期日の通知

調停の申立てが受理された日から2週間程度で、家庭裁判所から当事者双方に対して調停期日通知書が郵送されます。

調停期日通知書には、調停期日の日時(平日の午前または午後)と場所、担当裁判所書記官の氏名と電話番号、調停当日に持参する書類などが記載されているので、確認した上で調停期日に向けて主張の整理や書類の収集などの準備をします。

調停期日

認知調停は、裁判官1人と調停委員2人で構成される調停委員会が運営し、当事者双方の主張や意見を交互に聴取し、すり合わせながら進みます。

調停の1期日は2~3時間程度で、その間、申立人と相手方が交互に調停室へ入出して調停委員に主張や意見を伝え、調停委員が他方に伝えて意見や主張を聴取することを繰り返すことになります。

調停室は非公開で、調停委員会など調停に関与する裁判所職員には守秘義務が課されているため、調停で話したことが外に漏れることはありません。

家庭裁判所の手続きではありますが、当事者の合意を前提としており、調停委員が当事者の主張や意見を否定したり、修正を促したりすることはありません。

調停期日内で当事者の合意がまとまらない場合は、次回期日を指定して期日が終了します。

DNA鑑定

認知調停では、血液型などから親子関係を客観的に証明できない場合、DNA鑑定が実施されます。

DNA鑑定の費用は約10万円で、原則として、親子関係を立証する申立人が予納するかたちで負担します。

通常は、調停期日にDNA鑑定を行う企業の職員が出席し、裁判所書記官や調停委員の立ち会いの下で相手方のDNAを採取して、DNA鑑定を行います。

DNA鑑定の結果は、後日、家庭裁判所に報告されます。

DNA鑑定で相手方と子どもの親子関係が証明された場合、調停委員会が相手方に認知に応じるように求めます。

合意に相当する審判

DNA鑑定の結果などにより、当事者双方が認知について審判で解決する旨を合意し、認知の原因や事実に争いがない場合、家庭裁判所が、調停委員会の意見を聴取し、必要な事実の調査を行った上で、当事者間の合意が相当と判断すれば、合意に相当する審判をします。

なお、相手方が自ら認知の届出をする意向を示した場合、期日間の実行を促した上で次回期日を指定し、認知がなされれば調停は取下げで終了します。

審判確定

審判に不服がある場合は、2週間以内に即時抗告の手続きを行うことにより、高等裁判所で再審理させることができます。

即時抗告期間が経過すると審判が確定します。

審判確定後は、審判書謄本と確定証明書を取得し、審判確定日から10日以内に、市区町村役場に認知届を提出しなければなりません。

届出人 審判(調停)の申立人
届出先 父の本籍地または住所地、認知される子の本籍地
届出期限 審判の確定日から10日以内
必要書類
  • 認知届書:審判(調停)の申立人の署名押印が必要
  • 印鑑:認印可
  • 戸籍謄本(全部事項証明書):父または認知される子(胎児のときは認知される子の母)の戸籍謄本を添付(本籍地以外で届出を行う場合)
  • 審判書謄本・確定証明書
  • 届出人の本人確認書類:運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど

認知調停にかかる期間

認知調停にかかる期間は、最短でも6ヶ月程度です。

まず、申立ての受理から第1回期日までに約1ヶ月かかり、その後の期日も約1ヶ月後に指定されます。

また、DNA鑑定を行う場合は、DNAを採取する期日から結果の通知までに1ヶ月程度かかりますし、当事者の合意ができた後も、家庭裁判所が必要な調査をして審判を出すまでに2~3ヶ月程度はかかります。

認知調停は、父母間の協議では認知の問題が解決できない場合に申し立てられることが多く、DNA鑑定をするか否か、DNA鑑定の結果を受け入れるか否かなどで紛糾しがちで、当事者間の合意までで6ヶ月以上かかることも珍しくありません。

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認知調停が不成立になる場合

認知調停が不成立で終了するのは、以下のような場合です。

当事者間の合意ができない DNA鑑定によって親子関係が認められたにも関わらず、相手方が親子関係を認めないなど
当事者間の合意について家庭裁判所が相当ではないと判断した DNA鑑定によって親子関係が否定されたにも関わらず、当事者間で認知の合意ができた場合など

認知調停が不成立で終了した場合

認知調停が不成立で終了すると、一旦手続きが終了します。

DNA鑑定によって親子関係が認められたにも関わらず相手方が認知に応じない場合などは、認知の訴えを提起して強制認知を求める方法があります。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って11年になります。
これまでの実務経験から、当事者自身が離婚に関する知識を得て、自分で考えて判断することが「後悔の少ない離婚」につながるという考えており、その考えに基づいて「離婚ハンドブック」を運営しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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