免許更新時の認知機能検査テストの採点方法・合格点・点数配分を分かりやすく解説

運転免許証の更新期間満了日の年齢が75歳以上の運転者が免許証を更新する場合、満了日前6ヶ月の間に認知機能検査を受け、その結果に基づいた高齢者講習を受けなければなりません。

また、2017年3月12日施行の改正道路交通法で運転免許制度が変更され、75歳以上の運転者が一定の違反行為をした場合、臨時の認知機能検査を受けることが義務付けられました。

この記事では、免許更新時の認知機能検査とはどのようなテストなのか、テストの採点方法、合格点、点数配分、点数が低い場合の措置について解説します。

認知機能検査とは

認知機能検査とは、75歳以上の高齢者が「運転免許の更新をするとき」または「一定の違反行為をしたとき」に受けなければならない検査です。

記憶力や判断力を測定する約30分の検査で、公安委員会(警察)や委託された教習所などで受けることになります。

認知機能検査の種類

認知機能検査は、運転免許更新時の認知機能検査と一定の違反行為をしたときの臨時機能検査の2つに分類されます。

75歳以上の高齢者が運転免許を更新するときの「認知機能検査」

運転免許証の更新期間が満了する6ヶ月前から、認知機能検査を受けることができます。

認知機能検査の流れ

出典:高齢者講習及び認知機能検査等-高齢運転者支援サイト

75歳以上の高齢者が一定の違反行為をしたときの「臨時認知機能検査」

75歳以上の運転者が、認知機能低下時に起こしやすい一定の違反行為をした場合に臨時で受ける認知機能検査です。

2017年3月12日施行の改正道路交通法で追加されました。

一定の違反行為(18基準行為)は、以下のとおりです。

違反行為(18基準行為)
  • 信号無視
  • 通行禁止違反
  • 通行区分違反
  • 横断等禁止違反
  • 進路変更禁止違反
  • しゃ断踏切立入り等
  • 交差点右左折方法違反
  • 指定通行区分違反
  • 環状交差点左折等方法違反
  • 優先道路交通者妨害等
  • 交差点優先者妨害
  • 環状交差点通行者妨害等
  • 横断歩道等における横断歩行者等妨害等
  • 横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等
  • 徐行場所違反
  • 指定場所一時不停止違反
  • 合図不履行
  • 安全運転義務違反

※違反行為日から3ヶ月前の日以降に認知機能検査を受けた場合などは、受検が免除されます。

臨時認知機能検査の結果、認知機能の低下が自動車などの運転に影響を及ぼす可能性があると判定された場合、臨時の高齢者講習を受ける必要があります。

臨時認知機能検査や臨時高齢者講習を受けないと、免許の停止または取消しの対象となってしまいます。

認知機能検査が義務付けられた背景

急速な高齢化が進む日本では、交通事故全体に占める高齢者事故の割合が増加しています。

認知機能検査が義務付けられる前は、75歳以上の高齢者による死亡事故が10年間で約2倍にまで急増し、認知機能の低下が影響しているとされるものも報告されていました。

一方で、加齢に伴う視力、体力、判断力、記憶力の低下に関する研究や、認知症に関する研究が進み、その知識や情報が社会一般にも浸透するようになってきました。

こうした状況を踏まえ、75歳以上の高齢者が運転免許の更新や一定の違反行為をしたときに、認知機能検査の受検が義務付けられるようになりました。

改正道路交通法で運転免許制度が変更された後の認知機能検査

改正前の道路交通法では、運転免許更新時に受ける認知機能検査の結果が悪くても、注意喚起をするに留まっていました。

しかし、2017年3月12施行の改正道路交通法では、より厳しい対応がとられるようになりました。

認知機能検査

出典:道路交通法の改正のポイント-一般財団法人全日本交通安全協会

認知機能検査または臨時認知機能検査の結果、「認知症のおそれあり(記憶力や判断力が低くなっている)」と判定された方は、臨時適性検査の受検または主治医などの診断書の提出をしなければなりません。

検査結果や診断書で認知症と判定された場合、免許の停止または取消しの対象となります。

認知機能検査のテスト

認知機能検査のテストについて、解説していきます。

受検場所

公安委員会から委託された、自動車教習所などで実施されます。

持ち物

持ち物
  • 「検査と講習のお知らせ」はがき
  • 検査手数料:750円
  • 筆記用具
  • 眼鏡、補聴器等

検査時間

約30分です。

認知機能検査の事前説明と準備

認知機能検査を受ける前に、以下の内容がアナウンスされます。

アナウンスの内容
  • メガネ、補聴器など補助器具を使用する場合は着用すること
  • 携帯電話は電源をオフにするかマナーモードにすること
  • 時計を荷物の中にしまうこと
  • 検査の必要性
  • 検査の所要時間(30分程度)
  • 検査結果の通知方法
  • 検査用紙の表紙に氏名、生年月日、性別、運転頻度を記入すること
  • 受検に当たっての注意事項

認知機能検査のテスト内容

認知機能検査の内容は、大きく3つに分かれています。

検査の種類
  • 時間の見当識
  • 手がかり再生
  • 時計描写

時間の見当識(所要時間:3分程度)

時間の見当識とは、自分が置かれた状況における時間についての認識のことです。

回答する内容は、検査を受けた年月日、曜日、時間です。

  • 今年は何年ですか?
  • 今月は何月ですか?
  • 今日は何日ですか?
  • 今日は何曜日ですか?
  • 今は何時何分ですか?

時間の見当識は、認知症の初期段階から低下することが多く、他の認知機能検査でも必ず確認される項目です。

点数配分
  • 年:正答で5点
  • 月:正答で4点
  • 日:正答で3点
  • 曜日:正答で2点
  • 時間:正答で1点

最大で15点満点です。

手がかり再生(所要時間:15分程度)

記憶力を確認するテストです。

記憶は、記憶する時間によって感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分類されますが、手がかり再生で確認するのは、少し前の刺激を一時的に記憶しておく記憶(短期記憶)です。

テスト全体の点数の約60%が手がかり再生に配分されており、ここのでき次第でテスト結果が大きく変わります。

手がかり再生テストの流れは、以下のとおりです。

流れ
  1. テストの説明を受ける(1分)
  2. パネルを見てイラストを覚える(1枚の紙に4つの絵が描かれたパネルが合計4枚表示されるので、ヒントと一緒に1枚につき約1分間で覚えていく。4分)
  3. テストとは関係のない作業をこなす(試験管の指示に従って、数字が並んだ表の特定の数字を斜線で消す。2分)
  4. パネルに表示されていた絵を思い出す(ヒントなし。説明1分と回答時間3分)
  5. パネルに表示されていた絵を思い出す(「動物の絵がありました。何でしたか。」などとヒントあり。説明1分と回答時間3分)
点数配分
  • 自由回答と手掛かり回答の両方正答で2点
  • 自由回答のみ正答で2点
  • 手掛かり回答のみ正答で1点

最大で32点満点です。

時計描写(2分程度)

アナログ時計の文字盤を描き、その中に指定された時刻を記入するテストです。

車の運転で必要になる空間認知能力や、構成能力、数の概念などを確認するための行います。

時計描写テストの流れは、以下のとおりです。

流れ
  1. アナログ時計を描く(円を描き、1から12までの数字を書き入れる。1分)
  2. 時計の針を描く(試験管の指示に従って、短針と長針を書き入れる。1分)

認知機能検査のテスト内容については、テストの概要、使用されるイラスト、解答用紙などが「認知機能検査について|警察庁のWebサイト」に公開されています。

点数配分

最大で7点満点です。

採点基準は非常に細かいので、警察庁のウェブサイトの採点基準を確認してください。

認知機能検査の採点

認知機能検査の採点は、以下の流れで行われます。

流れ
  1. 各テストの採点
  2. 総合点の算出
  3. 結果の判定

各テストの採点

認知機能検査の各テストの採点基準は、警察庁のホームページに掲載されています。

基準が細かく設定されていますが、一度は内容を確認しておきましょう。

総合点の算出

各テストの点数を以下の式に当てはめて、総合点を算出します。

総合点(100点満点)=1.15×時間の見当識の点数(最大15点)+1.94×手がかり再生の点数(最大32点)+2.97×時計描写の点数(最大7点)

3つの検査の得点の合計は54点ですが、係数をかけ合わせることで100点満点に調整しているのです。

結果の判定(合格点)

総合点によって受験者を、①記憶力・判断力が弱くなっている者(第1分類)、②記憶力・判断力が少し弱くなっている者(第2分類)、③判断力に心配のない者(第3分類)に分類します。

総合点分類
49点以下記憶力・判断力が弱くなっている者(第1分類、認知症のおそれ)
49点以上76点未満記憶力・判断力が少し弱くなっている者(第2分類、認知機能低下のおそれ)
76点以上判断力に心配のない者(第3分類、認知症・認知機能低下のおそれなし)

認知機能検査の結果(合格点に達しなかった場合)

認知機能検査の結果については、①検査会場で即日通知されるか、②後日、結果通知書面が郵送で自宅へ届くことによって知ることができます。

検査の結果が第1分類(総合点が49点以下で認知症のおそれあり)または第2分類(総合点が49点以上76点未満で認知機能低下のおそれあり)の場合、長時間の高齢者講習、臨時適性検査、診断書の提出などが課されることになります。

また、認知症の診断を受けた場合は、聴聞などの手続の上で、免許取消しまたは停止の措置がとられます。

認知機能検査は受検回数に制限がないので、何度でも受検することができます。

なお、認知機能検査の結果は、個人情報として警察に管理されます。

認知機能検査の結果が第1分類(認知症のおそれ)だった場合

認知症の診断は、問診、身体検査、脳検査、脳画像診断検査、認知機能検査などの結果を総合して行われます。

認知症検査の結果が第1分類(認知症のおそれ)であっても、認知症だと確定したわけではありません。

しかし、「認知症のおそれ」があるという結果が出た以上、病院を受診して認知症を発症しているか否かを確認し、発症している場合は必要な治療を受けるようにしてください。

認知機能検査と成年後見制度

認知機能検査の結果が第1分類(認知症のおそれ)または第2分類(認知機能低下のおそれあり)であった場合、運転だけでなく日常生活における様々な場面で支障が出る可能性があります。

その一つが財産管理です。

認知機能が低下すると適切に自分の財産を管理することが困難になり、詐欺被害に遭ったり、物盗られ妄想が始まったりして本人や家族の生活に支障が出る可能性が高くなります。

したがって、認知症と診断された場合や認知機能の低下を指摘された場合には、運転免許について検討するだけにとどまらず、本人の財産管理や身上監護についても考慮することになります。

本人の財産管理や身上監護を保護するための制度として、成年後見制度があります。

成年後見制度とは、精神上の障害によって判断能力が低下した人について後見などを開始し、その人について後見人を選任することによって財産や権利を保護する制度です。

家庭裁判所で後見開始の審判がなされると、判断能力が低下した人(成年被後見人)に後見人が選任され、その人が財産管理や身上監護などを行うことになります。

成年後見制度には3種類ある

成年後見制度には、後見、保佐、補助の3種類あります。

本人が判断能力を欠く常況にあるなら後見、著しく低下しているなら保佐、低下しているなら補助の制度を利用することになります。

認知機能検査で認知症のおそれありだった場合、成年後見制度の利用を検討することがあります。

どの制度を利用するかは本人の判断能力の低下によって異なりますが、素人には判断が難しいので、医師に診断を求めるのが一般的です。

高齢の家族の運転に不安がある家族の方へ

「免許返納が話題になっているけど、うちの親は大丈夫かな。」、「一人暮らしの母親は、毎日ちゃんと運転しているかな。」、「親父、昔みたいに荒っぽい運転をしていないかな。」など、高齢の親御さんの運転に関する不安を抱えていませんか。

最近は、高齢者の運転による事故が頻繁に報道されるので、「いつか事故を起こすのではないか。」と心配する人は多いものです。

親御さんの物忘れや体力の低下が進むと、「もう免許を返納したらどう。」と勧めたくなりますが、実際に勧めてみても聞き入れてはもらえず、悩みを抱え続けることになりがちです。

こうした悩みを和らげてくれるサービスとして、「SmartDrive Families(スマートドライブファミリーズ)」というものがあります。

【SmartDrive Families(スマートドライブファミリーズ)の公式サイト】

SmartDrive Families(スマートドライブファミリーズ)

SmartDrive Families(スマートドライブファミリーズ)は、家族の運転を遠くからスマホやパソコンで確認できるサービスです。

SmartDriveデバイスを親御さんの車に設置しておくだけで、親御さんの運転に関する情報を「いつでも、どこでも」確認することができます。

スマートドライブファミリーズ

出典:高齢者の運転見守りサービス|SmartDrive Families(ファミリーズ)

特徴
  • 現在位置:運転者が今どこにいるかを地図上に表示
  • 運転診断スコアの表示:運転ごとの急ハンドル、急加速、急減速のスコアなどを表示
  • 運転の詳細情報の表示:運転した距離や時間、草稿ルート、運転のしかたなどを表示
  • 登録エリアへの出入りを通知:自宅、病院、スーパーなどの登録エリアを出入りすると、リアルタイム通知が届く

「もう運転するな。」、「免許を返納しろ。」というと反発する親御さんも、「心配だから、運転中の様子を確認できるようにさせて。」とお願いすれば、聞き入れてもらいやすいものです。

また、「子どもに見守られている」と意識することで、親御さんが自分の運転に注意を向けるようになりますし、「心配させないために安全運転をしよう」と思ってもらえるようにもなります。

こうした意識の変化が、事故防止につながります。

また、折を見て運転情報について親御さんと話をすれば、さらに安全運転への意識を高めてもらうことができます。

【SmartDrive Families(スマートドライブファミリーズ)の公式サイト】

高齢の親御さんの運転で不安や心配を抱えすぎないためにも、高齢の親御さんが事故を起こすのを防ぐためにも、早めの備えが大切です。

まとめ

認知機能検査は、75歳以上の高齢者が運転免許の更新や一定の違反行為をしたときに受講することが義務付けられています。

約30分の検査ですが、記憶力や判断力などの認知機能が幅広く検査され、その結果次第で運転免許が停止または取消しになる可能性があり、高齢者の生活に大きな影響を及ぼします。

しかし、認知症のおそれがある状態で運転を続けると深刻な交通事故を起こすリスクが高いので、必ず受講すべきですし、高齢者本人が消極的なら周りの家族が勧めるべきです。

また、判断能力が低下した高齢者は、運転だけでなく日常生活の様々なことができなくなるので、サポートするために成年後見制度の利用を検討することになります。

成年後見制度は、高齢者の権利を制限する強い効力がありますし、後見人による不正も社会問題になっているので、高齢者のために本当に必要かを踏まえて慎重に検討する必要があります。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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