認知症認定看護師とは?教育機関や学校は?資格取得のメリットは?

認知症の看護には、専門的な知識と技術が必要になります。

認知症認定看護師は、看護士の中でも認知症看護に特化した専門職です。

この記事では、認知症認定看護師とは、役割、人数、資格取得の方法、メリットについて解説します。

認知症認定看護師とは

認知症認定看護師とは、認定看護師資格の1つで、認知症看護の経験を積み重ね、認知症の人への安全で質の高い看護サービスを提供する知識と技術を持った看護士が、専門の教育機関で一定期間勉強してすることで取得できる資格です。

認定看護師制度とは

認定看護師制度とは、看護の特定の分野において、熟練された看護の知識と技術を持って質の高い看護を実践できる看護士を輩出することにより、看護ケアの拡大と質の向上を図るための制度です。

公益社団法人日本看護協会が実施する「認定看護師認定審査」に合格した看護士に、認定看護師の資格が与えられます。

認定看護師には、実践(質の高い看護の実践)、指導(他の看護職への指導)、相談(他の看護職へのコンサルテーション)という3つの役割を果たすことが求められています。

2016年時点では、以下の21の認定看護分野が特定されており、各分野ごとに審査に合格する必要があります。

  • 救急看護
  • 皮膚・排泄ケア
  • 集中ケア
  • 緩和ケア
  • がん化学療法看護
  • がん性疼痛看護
  • 訪問看護
  • 感染管理
  • 糖尿病看護
  • 不妊症看護
  • 新生児集中ケア
  • 透析看護
  • 手術看護
  • 乳がん看護
  • 摂食・嚥下障害看護
  • 小児救急看護
  • 認知症看護
  • 脳卒中リハビリテーション看護
  • がん放射線療法看護
  • 慢性呼吸器疾患看護
  • 慢性心不全看護

認知症認定看護師の役割

認知症の周辺症状は、一人ひとりの差が大きい上、暴言・暴力、徘徊、妄想、幻覚など対応が難しい症状も多いため、認知症に関する専門的な知識や技術を持たない看護士にとっては強いストレスや負担感を抱える原因となりがちです。

また、適切な対応によって和らげることができますが、知識や技術が不十分な看護士では症状に応じた対応が不適切または不十分なこともあり、認知症の人やその家族にストレスを抱えてしまうこともあります。

こうした状況を踏まえ、認知症認定看護師は、認知症の各段階に応じた療養環境の調整、ケア体制の構築、認知症の人の周辺症状(BPSD・行動心理症状)の予防や緩和など、認知症看護全般にわたって質の高い看護を実践することが求められています。

また、他の看護職への指導や相談への対応、福祉・介護サービスとの連携なども認知症認定看護師の重要な役割です。

認知症認定看護師に期待される主な役割は、以下のとおりです。

  • 認知症者の意思を尊重し、権利を擁護することができる。
  • 認知症の発症から終末期まで、認知症者の状態像を統合的にアセスメントし、各期に応じたケアの実践、ケア体制づくり、家族のサポートを行うことができる。
  • 認知症の行動心理症状(BPSD)を悪化させる要因・誘因に働きかけ、予防・緩和することができる。
  • 認知症者にとって安心かつ安全な生活・療養環境を調整することができる。
  • 他疾患合併による影響をアセスメントし、治療的援助を含む健康管理を行うことができる。
  • 認知症に関わる保健・医療・福祉制度に精通し、地域にある社会資源を活用しながらケアマネジメントできる。
  • 認知症看護の実践を通して役割モデルを示し、看護職に対する具体的な指導・相談対応ができる。
  • 多職種と協働し、認知症に関わる知識の普及とケアサービス推進の役割を担うことができる。

引用:認定看護師教育基準カリキュラム(分野:認知症看護)

認知症認定看護師の数

認知症認定看護師は、公益社団法人日本看護協会が2004年11月に特定分野として議決された後、2006年7月に10人の認知症認定看護師が認定されました。

2017年時点における認知症認定看護師資格を有する看護士は1003人です。

認知症患者が462万人(2012年時点)と比べると非常に少ない人数ですが、需要の高まりに伴って少しずつ増えてきています。

関連記事

認知症とは?原因と種類、症状、対応、認知症テストと予防まで解説

認知症認定看護師の資格取得(教育機関、学校)

認知症認定看護師の資格を取得するまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 看護士免許を取得する
  2. 実務研修期間を5年間以上積む
  3. 認定看護師教育機関(過程)を修了する
  4. 認定審査に合格する
  5. 認定看護師認定証交付・登録する
  6. 5年ごとに更新審査を受ける

1.看護士免許を取得する

認知症認定看護師資格を取得するには、日本の看護士免許を有している必要があります。

海外の看護士免許のみ取得している場合は、改めて日本免許を取得しなおすことになります。

2.実務研修期間を5年間以上積む

看護士免許を取得した後、「通算」で5年以上の実務研修期間が必要です。

5年間の実務研修機関のうち通算3年以上は、認知症患者の多い医療・福祉施設(在宅ケア領域を含む)などで看護実績を積むとともに、認知症患者の看護を5ケース以上担当した経験を有する必要があります。

また、認知症認定看護師を目指す時点で、認知症患者の多い医療・福祉施設などで認知症患者の看護を実践していることが望ましいとされています。

3.認定看護師教育機関(過程)を修了する

認知症認定看護師資格を取得するには、認定看護師教育機関(過程)を修了する必要があります。

教育期間は6ヶ月、時間は615時間以上です。

認定看護師共通科目の講義、認知症看護専門の講義、教育機関における演習、実習などにより、認知症看護の第一線で活躍するための知識や技術を学習します。

2018年2月時点で、認知症認定看護師教育機関(過程)として認定されているのは、17機関です。

  • 北海道医療大学認定看護師研修センター
  • 日本赤十字秋田看護大学教育研究開発センター(認定看護師教育課程認知症看護認定看護師コース)
  • 獨協医科大学SDセンター
  • 高崎健康福祉大学看護実践開発センター(認定看護師教育課程)
  • 聖路加国際大学教育センター
  • 日本看護協会看護研修学校
  • 日本赤十字看護大学地域連携・フロンティアセンター
  • 湘南医療大学認定看護師研修センター
  • 石川県立看護大学附属看護キャリア支援センター
  • 山梨県立大学看護実践開発研究センター
  • 長野県看護大学看護実践国際研究センター
  • 三重県立看護大学地域交流センター
  • 公益社団法人兵庫県看護協会
  • 学校法人澤田学園松江看護キャリア支援センター
  • 島根県立大学しまね看護交流センター
  • 熊本保健科学大学キャリア教育研修センター(認定看護師教育課程)

4.認定審査に合格する

日本看護協会が毎年1回実施している、認定看護師認定審査に合格する必要があります。

認定審査は四肢択一のマークシート方式、時間は100分です。

問題数は40問で、内訳は一般問題(20問、50点満点)と状況設定問題(20問、100点満点)です。

5.認定看護師認定証交付・登録する

認定審査合格者は、認定料(50,760円)を振り込むとともに、資格認定制度審査申請システムで資格登録情報の確認と公開情報の登録を行います。

6.5年ごとに更新審査を受ける

認定看護師資格は、レベルを維持する目的で更新制を採用しています。

認定されてから5年ごとに書類審査があり、過去5年間の看護実績(2000時間以上)と自己研鑽実績(学会参加等の実績等が日本看護協会規定の内容で50点以上であること)が審査対象となります。

認知症認定看護師のメリット

認知症認定看護師資格を取得することにより、認知症看護の現場において看護の中心的な役割を担うことができるようになります。

認知症看護について他の看護職を指導する(現場での指導、マニュアル作成、セミナー開催など)、相談を受けるなどにより、勤務先における認知症看護の質の底上げを図ることもできます。

また、福祉・介護サービスとの連携など、他機関や他分野の人とも有機的に連携しながら活躍できることも、認知症認定看護師の魅力の一つです。

認知症認定看護師の主な勤務先は医療機関ですが、認知症初期集中支援チームの一員に加わるなど、認知症看護の専門職として様々な場所で活躍することができます。

>>>「認知症」の記事一覧に戻る

アバター

離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

この著者の最新の記事

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権
    離婚後単独親権に対する問題提起や批判は以前からありましたが、近年、欧米諸国などで採用されている離婚後…
  2. 専業主婦 離婚 準備
    「専業主婦(主夫)だけど離婚したい。でも、離婚後の生活が不安。」、「離婚したいが、専業主婦は離婚後に…
  3. 離婚協議書 公正証書
    協議離婚する場合、離婚することと諸条件について夫婦で話し合い、合意した内容を離婚合意書にまとめた上で…
  4. 離婚調停 相手方 準備
    「ある日突然、見知らぬ住所と差出人の名前が書かれた茶封筒が自宅のポストに届き、中を開けてみると「調停…
  5. 弁護士会照会制度
    離婚紛争を弁護士に依頼すると高額な費用がかかりますが、依頼によって得られるメリットもあります。 …
  6. モラハラ 離婚
    配偶者のモラハラ(モラルハラスメント)を理由に離婚したいと考える人は少なくありません。 しかし…
  7. 離婚調停 成立 調停条項
    離婚調停は、夫婦間で離婚やそれに伴う条件面の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。 …
  8. 養育費 強制執行 手続き 流れ
    夫婦間で取り決めた養育費が支払われない場合の対応には、履行勧告、履行命令、強制執行があります。 …
  9. 離婚 弁護士費用 相場
    離婚問題を弁護士に依頼する場合にトラブルになりやすいのが、弁護士費用です。 「離婚 弁護士費用…
  10. 離婚調停 弁護士
    「離婚調停で弁護士は必要か」と聞かれたら、弁護士の立場からは「必要です。ぜひご依頼ください!」と答え…

スポンサーリンク

ピックアップ記事

  1. 離婚後 選択的共同親権

    選択的共同親権とは?法務省が検討する「離婚後の親権の選択制」の意味

  2. 専業主婦 離婚 準備

    専業主婦の離婚準備:仕事と生活費、親権や年金について分かりやすく解説

  3. 離婚協議書 公正証書

    離婚協議書の書き方:自分で作成する方法と公正証書の作り方(雛型付)

  4. 離婚調停 相手方 準備

    離婚調停の相手方が第1回期日までに準備すること(調停を申し立てられた人用)

ページ上部へ戻る