認知症と物忘れの違いは?軽度認知障害(MCI)による物忘れとは?

認知症の主な症状の一つである記憶障害(物忘れ)は、加齢による物忘れと混同されやすいものです。

しかし、認知症と加齢による物忘れは、最初のうちは区別が難しいこともありますが、原因や物忘れの範囲などに大きな違いがあり、時間が経過にともなって区別できるようになります。

また、認知症や加齢による物忘れ以外にも、軽度認知障害(MCI)によって物忘れをすることもあります。

この記事では、認知症と加齢による物忘れの違いと、軽度認知障害(MCI)による物忘れについて解説します。

認知症による物忘れ

認知症による物忘れは、認知症の主な症状の一つである記憶障害です。

人の記憶は、記銘、保持、想起の3段階に分けることができます。

  1. 記銘:刺激を情報として脳にインプットする段階
  2. 保持:インプットした情報を脳に保存する段階
  3. 想起:保存した情報を必要なときに取り出す段階

認知症による物忘れは、脳の障害により記銘ができなくなることで起こります。

つまり、「(覚えていたことを)忘れた」、「(覚えていたことを)思い出せない」のではなく、そもそも「覚えることができない」のです。

物事全体(経験そのもの)を記憶することができておらず、本人には物忘れの自覚がありません。

また、脳内に記憶が保持されていないので、ヒントを与えても記憶を想起することもできません。

認知症の約60%を占めるアルツハイマー型認知症の場合、経験に関する記憶(エピソード記憶)が障害されやすく、少し前のことでも経験そのものを忘れてしまいます。

例えば、「食事をしたことを覚えておらず、食事をもらえないと怒りだす。」、「自分で通帳を片付けた記憶がなく、他人に盗まれたと思い込む。」といったことが起こります。

周囲は、「本人が事実とは異なることを主張している。」と思いますが、本人は、経験そのものを記憶しておらず真剣に主張しているため、話がかみ合わずトラブルに発展してしまいがちです。

認知症による物忘れの具体例

  • 昼食を食べたことを忘れる
  • 家族と待ち合わせの約束をしたことを忘れる
  • 契約を結んだことを忘れる
  • 大切な物をしまい込んだことを忘れる

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加齢による物忘れ

人の記憶力は20代がピークで、その後は衰えていきますが、記憶力以外の認知機能は、日常生活の中で様々な経験を積むことで伸び続けます。

しかし、60代頃になると、脳の生理的な老化によって記憶力以外の認知機能も減衰し、物忘れが多くなっていきます。

脳の老化に伴う物忘れは、加齢に伴って誰にでも見られる自然な現象で、病気ではありません。

加齢による物忘れでは、記憶の3段階(記銘、保持、想起)のうち想起が障害されることで起こります。

つまり、経験したことは情報として脳にインプットされ、記憶として保持されていますが、その情報にアクセスする(覚えたことを思い出す)ことが難しくなるのです。

物忘れをしていることは自覚しており、ヒントを与えられると思い出すことができます。

例えば、「食事をしたことは覚えているが、メニューや食べた場所を忘れる。」、「通帳を自分でしまい込んだことは覚えているが、どこにしまったか思い出せない。」といった忘れ方をします。

認知症と違い、物忘れをしても日常生活に大きな支障はなく、症状が進行したり、記憶以外が障害されたりすることもありません。

加齢による物忘れの具体例

  • 数日前の昼食のメニューを思い出せない(食べたことは覚えている)
  • 家族との待ち合わせ時間を忘れる(待ち合わせをしたことは覚えている)
  • 契約の詳しい内容を忘れる(契約したことは覚えている)
  • 大切な物をしまい込んだ場所を忘れる(しまい込んだことは覚えている)

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認知症と物忘れの違い

認知症物忘れ
原因脳の障害脳の老化
範囲物事全体物事の一部
自覚なしあり
ヒントで思い出すか思い出さない思い出す
日常生活への支障大きい小さい
家族への影響大きい小さい

物忘れの原因

認知症による物忘れの原因は、脳の器質障害です。

何らかの原因で脳の働きが低下したり、脳の細胞が死んだりすることで、脳の認知機能が低下し、物忘れが起こります。

一方で、加齢による物忘れの原因は、脳の生理的な老化です。

個人差はありますが、加齢に伴って誰にでも起こる自然な現象です。

物忘れの範囲

認知症による物忘れは、物事そのものを記憶することができていません。

一方で、加齢による物忘れは、物事そのものは情報として脳にインプットされ、記憶されていますが、その情報にアクセスするのが難しくなります。

物忘れの自覚

認知症による物忘れは、物事そのものを記憶していないので、本人にとってその物事はなかったことと同じです。

そのため、本人に物忘れをしているという自覚はありません。

一方で、加齢による物忘れは、記憶した情報にうまくアクセスできない状態で、本人は物忘れをしていることを自覚しています。

ヒントで思い出すか

認知症による物忘れは、そもそも物事そのものを記憶していないので、ヒントを与えられても思い出すことはありません。

一方で、加齢による物忘れは、記憶した情報にうまくアクセスできない状態なので、情報へのアクセスを助けるヒントが与えられると、思い出すことができます。

日常生活への支障

認知症による物忘れは、物事そのものを覚えていないので、周囲と話が食い違ったり、トラブルに発展したりして、日常生活に支障が出てしまいがちです。

一方で、加齢による物忘れは、物事そのものは覚えていて一部を忘れている状態で、認知症による物忘れと比べるとトラブルは起こりにくいものです。

家族への影響

認知症による物忘れは、認知症の人を介護する家族にも大きな影響を与えます。

本人と話がかみ合わずイライラし、物盗られ妄想でいわれのない批判を浴びるなど、介護のしんどさに加え、本人との関係性も負担になってしまいます。

また、時間の経過とともに症状が進行するため、家族の負担は大きくなる一方です。

一方で、加齢による物忘れは、一時的に話がかみ合わないことはありますが、本人に物忘れをしている自覚があり、ヒントを与えれば本人が自力で思い出すことができます。

また、症状が進行することもなく、認知症による物忘れに比べると、家族に与える影響は少なくて済みます。

軽度認知障害(MCI)による物忘れ

加齢によって物事の一部を忘れる物忘れの頻度が増加したとしても、日常生活に大きな支障が出ることはありません。

しかし、中には、認知症の物忘れとは違うものの、加齢による影響では説明できないくらい物忘れをする人がいます。

軽度認知障害(MCI)の人です。

軽度認知障害とは、認知機能のうち1つが低下しているものの、日常生活への支障が生じていない状態のことです。

軽度認知障害は、年齢相応の認知機能が保たれている状態と認知症の中間の状態ですが、放置すると認知機能の低下が継続し、認知症へと進行してしまいます。

軽度認知障害の段階で適切な対応を行うことで、認知症へ進行するのを予防したり、進行を遅らせたりすることができますが、認知症に比べると、日常生活に大きな支障がないまま水面下で症状が進行するため、気づきにくくなっています。

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軽度認知障害(MCI)による物忘れ

軽度認知障害による物忘れは、基本的には加齢による物忘れと同じですが、程度がひどくなると物忘れの頻度が増えます。

また、症状を放置することで症状が進行し、認知症による物忘れに似た症状が増えていくことになります。

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離婚ハンドブック編集部

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家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
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サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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