認諾離婚とは?裁判離婚の種類、認諾離婚の効力と制限、離婚後の手続

認諾離婚

離婚の方法は、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類あります。

裁判離婚は、「離婚について裁判所が判決を下す。」という判決離婚のイメージが強いですが、実は、認諾離婚や和解離婚という終わり方もあります。

認諾離婚は、被告が原告の請求を全面的に認めることで離婚する方法です。

裁判離婚の終わり方は判決離婚、和解離婚、認諾離婚

裁判離婚とは、夫婦の離婚や離婚条件について家庭裁判所が判決で決める手続です。

しかし、全ての裁判離婚で家庭裁判所が判決を出しているわけではなく、裁判の過程で夫婦が和解したときや、被告が原告の請求を全て認めたときは、家庭裁判所の判決によらず離婚が成立し、手続が終了することがあります。

裁判離婚の終わり方は、以下の3種類あります。

  • 判決離婚
  • 和解離婚
  • 認諾離婚

判決離婚

判決離婚とは、家庭裁判所の判決によって離婚することです。

一般的によく知られた裁判離婚の終わり方であり、判決が確定すると離婚が成立します。

判決確定前に夫婦の一方または両方が判決に不満を抱いて上訴(控訴)すると、高等裁判所で再審理されることになります。

和解離婚

和解離婚とは、裁判の過程で夫婦が離婚や離婚条件に合意して離婚することです。

離婚裁判の手続の中で和解調書が作成された時点で、離婚が成立します。

「和解」というの語感から、「夫婦が和解して裁判を取り下げた上で協議離婚する」と勘違いされがちですが、あくまで裁判離婚の和解手続で離婚する方法です。

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認諾離婚

認諾離婚については、次の項から詳しく解説します。

認諾離婚(請求の認諾)とは

認諾離婚とは、離婚裁判の手続の中で被告(裁判を起こされた人)が原告(裁判を起こした人)の請求の認諾を行うことにより離婚することです。

請求の認諾とは、被告が原告が請求した権利や主張を全面的に認めることです。

夫婦間の話し合いや調停では争ったものの、訴えられてまで争うつもりのない被告が、請求の認諾を行うことで離婚することがあります。

認諾離婚の条文

認諾離婚は、人事訴訟法第37条第1項に規定されています。

離婚の訴えに係る訴訟における和解(これにより離婚がされるものに限る。以下この条において同じ。)並びに請求の放棄及び認諾については、第19条第2項の規定にかかわらず、民事訴訟法第266条(第2項中請求の認諾に関する部分を除く。)及び第267条の規定を適用する。

請求の認諾は離婚裁判の口頭弁論などの期日で行い(民事訴訟法第266条準用)、請求の認諾を調書に記載したときは、その記載は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法第267条準用)ことが定められています。

請求の認諾による離婚が成立する時点

人事訴訟法第37条(民事訴訟法第267条準用)により、認諾離婚では、被告が請求の認諾を行ったことが認諾証書に記載された時点で離婚が成立します。

離婚の成立により離婚裁判の手続は終了します。

認諾離婚の効果

人事訴訟法第37条(民事訴訟法第267条準用)により、認諾離婚が成立すると、その認諾調書は確定判決と同じ効力をもちます。

認諾離婚(請求の認諾)の制限

認諾離婚の制限については、人事訴訟法第37条第1項ただし書きに定められています。

ただし、請求の認諾については、第32条第1項の附帯処分についての裁判又は同条第3項の親権者の指定についての裁判をすることを要しない場合に限る。

親権者の指定とは、未成年の子どもの親権者を決めることです。

また、人事訴訟法第32条1項の附帯処分とは、子の監護者の指定その他子の監護に関する処分(面会交流や養育費など)、財産の分与に関する処分、年金分割のことです。

人事訴訟法上、離婚裁判でこれらの附帯処分の請求があるときは、請求の認諾が認められないのです。

子どもの親権者、養育費、面会交流、財産分与、年金分割は、夫婦で離婚時に決めておきたい条件ですが、これらについて請求があるときは、請求の認諾による離婚はできません。

認諾離婚の制限の理由

民法第819条第2項では、親権者の指定について、以下のとおり定められています。

裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。

認諾離婚では、裁判所が親権者を定めるという規定に反するため、親権者の指定ができないのです。

また、認諾調書は、確定判決と同じ効力をもちます。

附帯処分まで確定判決と同じ効力をもつと、第三者の利益を害したり、夫婦が共謀して不適切な内容を認諾したりする可能性があるため、附帯処分の請求があるときの認諾は認められていません。

認諾離婚後の手続

認諾離婚が成立した後は、成立した日を含めて10日以内に、市区町村役場へ届け出る必要があります。

被告が請求の認諾を行った旨が認諾調書に記載された時点で離婚が成立しており、市区町村役場への届出は報告的な意味合いですが、正当な理由がないのに期間内に届出を行わないと、科料に処されることがあります。

認諾離婚の届出先

届出人の本籍地又は所在地の市役所、区役所又は町村役場です。

本籍地や所在地以外の市区町村役場に提出しても受理されますが、戸籍謄本1通を提出する必要があります。

届出に必要な書類等

  • 認諾調書謄本
  • 離婚届
  • 本人確認資料(運転免許証、パスポート、顔写真付の住民基本台帳カードなど)
  • 認印
  • 戸籍謄本(本籍地や所在地以外に提出する場合)

離婚届の記載方法は、関連記事を参考にしてください。

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認諾離婚(請求の認諾)で離婚裁判が終了するケースは稀

通常、離婚を決めた夫婦は、離婚やその条件について話し合いで解決を試み、話し合いがまとまると市区町村役場へ離婚届を提出する協議離婚によって離婚します。

協議離婚できないときは、家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)調停の申立てを行い、調停委員会を交えて話し合うことで離婚やその条件を話し合い、夫婦の合意ができると調停調書が作成され、調停が成立します。

些細な条件面などで調停の合意ができないときは、家庭裁判所が審判で離婚やその条件を判断することがあります。

調停が不成立で終了したり、審判離婚が当事者の異議申立てにより失効したりしたときは、離婚裁判(離婚訴訟)を提起して、裁判手続の中で夫婦が対立し、有利な条件で離婚できるよう主張立証を繰り返して争います。

このように、裁判離婚は離婚を求める夫婦が最後に行きつく対立の場であり、ただでさえ関係の悪化した夫婦が裁判に至る過程でさらに対立を深めていることも多いものです。

譲歩することさえためらわれる状態になっている夫婦が大半であり、よほどの事情がない限り、相手の言い分を全面的に受け入れるケースは稀です。

また、親権者、子の監護者の指定、子の監護に関する処分、財産分与、年金分割について請求の認諾が取り決めることができないことも、認諾離婚の利用が限定されている原因の一つとなっています。

認諾離婚後も紛争が続くことがある

認諾離婚では、本来は離婚時に取り決めておく問題が未解決のまま離婚だけが成立するため、離婚後も紛争が続くことがあります。

離婚後の紛争については、まずは元夫婦同士で話し合い、話し合いがまとまらないときは、対立している事項について家庭裁判所に調停や審判の申立てを行い、解決することになります。

そのため、子どもがおらず、離婚条件について争いがなく、裁判をしてまで離婚を争いたくない人でない限り、認諾離婚をするメリットは見当たりません。

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