離婚原因は発達障害?大人の発達障害が夫婦関係に与える影響は?

大人の発達障害 離婚

発達障害とは、行動やコミュニケーション、社会適応に問題を抱えることがある、先天的な脳機能障害です。

子どもの発達障害は、医療や教育の現場を中心に知られるようになり、療育など支援の輪が広がりつつあります。

一方で、成人した大人の中にも発達障害の人がたくさんいることは知られておらず、支援体制も整っていないのが現状です。

発達障害の人のうち、思春期前後に症状が解消または社会生活に支障がない程度に改善する人が3分の1、療育によって日常生活に大きな支障がない程度まで症状が緩和する人が3分の1いますが、残りの3分の1は、症状を抱えたまま大人になって悩みながら社会生活を営んでいると考えられています。

発達障害の人の中には、適切な支援や療育を受けず、症状も改善しないまま大人になって結婚した後、発達障害の症状やそれに伴う問題が原因で離婚してしまう人が一定数います。

大人の発達障害の特徴

大人の発達障害は、主に自閉症スペクトラム優位型、注意欠陥優位型、LD(学習障害)優位型の3つに分類されています。

分類 特徴
自閉症スペクトラム優位型 相手の気持ちを察する、場の状況を把握する、物事の展開を想像・予測することが苦手で、思い込みやズレた認知をするなど
注意欠陥優位型 注意が集中し、注意の切り替えができない、うっかりミスを繰り返す、思いつきで行動するなど
LD(学習障害)優位型 特定の仕事・作業がどうしても理解・実行できない、指示をなかなか理解できないなど

子どもの発達障害でよく見られる衝動性や多動の症状が成長とともに消失または緩和されることが多い一方で、注意欠陥の症状が目立つようになります。

また、忘れ物が多い、片付けが苦手などの症状は、大人になっても残りやすいものです。

子どもの頃は「あの子は忘れ物が多い子だ。」と思われたり注意されて終わりますが、成長するにつれて学業や仕事に深刻な影響を及ぼすようになり、発達障害の人を悩ませる大きな要因になっていきます。

大人の発達障害が夫婦関係に与える影響

夫婦の一方が発達障害を抱えている場合、空気を読まない発言や態度、約束を守れない、金銭感覚のズレ、家事が苦手、子育てが苦手など家庭生活の様々な場面で発達障害の症状による影響が現れ、夫婦関係が悪化することがあります。

発達障害の夫・妻の言動:空気を読まない発言や態度

発達障害の人は、相手の気持ちを察したり、場の状況を把握したりするのが苦手な上、思い込みや思いつきで行動してしまう傾向があります。

子どもの頃なら「少し変わった子。」で済むかもしれませんが、大人になると、仕事や家庭における人間関係に深刻な亀裂を生じさせる原因となります。

発達障害の人には悪気がない分、かえって相手を怒らせたり、悪い印象を与えたりしてしまいがちです。

発達障害の人が婚姻した場合、必然的に夫婦で一緒に過ごす時間が増えるため、自覚がないまま相手を傷つける機会も多くなり、発達障害の症状による影響が少しずつ夫婦関係に影を落とすようになります。

また、婚姻して家庭を持つと、相手の親族や子どもの保育園や学校関係者など人間関係が広がります。

しかし、こうした新しい人間関係の中でも空気を読まない発言や態度を繰り返し、結婚相手に肩身の狭い思いや嫌な思いをさせてしまい、夫婦関係が悪化することもあります。

発達障害の夫・妻の言動:約束を守れない

発達障害の人は、注意や関心の切り替えが遅く、思い込みも強い傾向があります。

そのため、約束ごとをするときに注意が他に向いていたり、約束の内容を勘違いしたりして約束を守れないことが珍しくありません。

一つひとつの約束ごとは日々の些細なことでも、繰り返すうちに相手はストレスを募らせ、離婚問題に発展してしまいます。

発達障害の夫・妻の言動:金銭感覚のズレ

発達障害を抱える人は、特定のものに興味関心が集中しやすく、計画的に行動するのが苦手という傾向があります。

そのため、何かに夢中になると他のことが見えなくなり、収入や家計を気にせずに欲しい物を買いあさり、手持ちのお金がなくなるとカードを限度額まで使用したり、多額の借金を抱えたりしがちです。

その結果、夫婦関係が悪化して離婚に至ります。

発達障害の夫・妻の言動:家事が苦手

発達障害の人は、頑張っても注意や集中が持続せず、計画的に行動することも苦手な傾向があります。

頑張っても家事ができないという発達障害の人は少なくありません。

特に、部屋の片付けや整理整頓ができないという人が多くなっています。

夫婦の一方が専業主婦(専業主夫)で家事全般を任されている場合、婚姻相手から家事ができないことを責められて落ち込んだり、反発して夫婦喧嘩に発展したりする傾向があります。

発達障害の夫・妻の言動:子育てが苦手

発達障害の人にとって、子育ては仕事や家事以上に困難を感じやすいものです。

まず、発達障害の人は計画を立てて行動するのが苦手なため、家事と子育ての段取りを立ててテキパキとこなすことができません。

また、臨機応変な対応も苦手なため、急に赤ちゃんが泣き出したり、体調を崩したりするとパニックになってします。

注意や集中が持続しにくく、物忘れやうっかりミスも多いため、保育園や学校との連絡が円滑にとれず、子どもの持ち物点検も忘れてしまうことがあります。

発達障害の人自身、子育てがうまくできないことを悩んでいるのですが、改善しようと努力しても同じ失敗を繰り返してしまうため、婚姻相手からは責められ、周囲からは「ダメな親」のレッテルを貼られてしまいがちです。

大人の発達障害を抱える婚姻相手との結婚生活を円満に保つ方法

身体の病気・ケガ・障害とは異なり、発達障害があるか否かは周囲から分かりにくく、本人も「生きにくさ」は感じていても発達障害だという自覚までないことが多いものです。

また、発達障害の症状は、本人の性格や親の育て方などに起因すると判断されがちなため、周囲の理解を得にくいところがあります。

そのため、発達障害でない人を基準にして、「この人は当たり前のことができない。」、「性格に問題がある」などと評価され、非難されることがとても多いものです。

発達障害の人と婚姻生活を続ける上で大切なのは、まず、相手が発達障害を抱えていることを現実として受け止め、発達障害の症状を理解することです。

自分や周囲の常識にとらわれず、発達障害の人が生きている世界を理解することで、自分との「違い」や、相手の得手不得手を把握できるようになります。

その上で、相手の得意な範囲で家事育児に協力してもらい、苦手なことは夫婦で対策を考えてフォローしていくことが大切です。

また、発達障害の問題は、子どもか大人かに関わらず、周囲を巻き込んで対応することが基本です。

夫または妻の発達障害に悩みながら「夫婦の問題だから。」と自分だけで抱え込んでしまうと、夫婦喧嘩、離婚や別居などの方向に話が進んでしまいがちです。

そのため、自分一人または夫婦だけで問題を抱え込まず、家族や親族、信頼できる友人や知人、医療機関、生活相談窓口など周囲に相談し、アドバイスをもらったり協力を依頼したりすることを心がけてください。

例えば、「発達障害の妻の親に相談したところ、本人との上手な接し方を教えてもらうことができ、夫婦関係が改善した。」、「生活相談をきっかけに発達障害の夫が医療機関を受診し、症状が改善した。」などのケースは多いものです。

離婚するという選択をする場合も、夫婦だけで離婚届を書いて市区町村役場に提出してしまうのではなく、周囲の人によく相談し、必要に応じて家庭裁判所の夫婦関係調整(離婚)調停も活用しながら、慎重に行動するようにしましょう。

アーカイブ

ページ上部へ戻る