親ガイダンスとは?目的と講義内容、離婚調停で受講を拒否できる?

2016年頃から、離婚調停などの当事者のうち未成年の子どもがいる人に対して「親ガイダンス」を実施する家庭裁判所が増えています。

親ガイダンスとは

親ガイダンスとは、「広く子のいる父母に子の福祉に関する知識を伝達する」ことにより、「子の福祉に配慮した話し合いを目指す」とともに、「紛争の激化や長期化を防ぐ」ために創設されたプログラムです(「」内は大阪家庭裁判所の資料より抜粋)。

当事者向けのパンフレットやリーフレットには、「調停の話し合いが子の利益(子の福祉)にかなうものとなり、また、夫婦にとってより良い紛争解決につながるように、調停前に理解してもらいたいことを伝えるプログラムである」という旨の説明がなされています。

親ガイダンスは、民法や家事事件手続法に規定はなく、家庭裁判所が独自に行うプログラムです。

親ガイダンスの目的や名称は統一されてきましたが、プログラムの内容や配布物などは各家庭裁判所が独自に作成している上、未実施の家庭裁判所もあるなど地域によるばらつきが大きくなっています。

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親ガイダンスの種類

親ガイダンスは、各家庭裁判所によって内容が異なりますが、大きく3つの種類に分けることができます。

  • 申立てを行った日や調停期日にDVDを視聴する
  • 調停期日とは別の日に、集団で講習を受ける
  • 調停期日とは別の日に、家庭裁判所調査官から講義を受ける

親ガイダンスを実施する家庭裁判所の多くが、DVD視聴型または集団講習型の親ガイダンスが原則とし、参加できない人に対して家庭裁判所調査官による個別講義を行っています。

同じ家庭裁判所内では形式に関わらず同じ資料が配布され、同じ説明が行われます。

また、地域内または地域を越えて親ガイダンスの内容が共有されつつあるようで、異なる家庭裁判所で同じような親ガイダンスが実施されていることもあります。

期待される効果

親ガイダンスの効果として期待されるのは、「当事者が互いに自分の思惑を優先して対立するのではなく、子の利益(子の福祉)に配慮した話合いをする意欲を持つ」ことです。

言い換えると、「離婚後も子どもの健全な成長のために父母が協力するという前提に立ち、父母の離婚が子どもに与える悪影響を少なくするためにはどうすれば良いかについて一緒に考える姿勢を持たせること」が期待されているのです。

受講を拒否できるか

参加は任意です。

ただし、申立て時に参加を拒否すると、調停期日に調停委員から改めて参加を促されます。

それでも拒否することはできますが、後で詳しく解説するとおり、調停委員に「子どものことを考えていない人だ。」と思われるおそれがあります。

受講率

各家庭裁判所によってばらつきがあります。

大阪家庭裁判所では、2016年度の参加率は約25%とされています。

親ガイダンスの内容

親ガイダンスの内容は、各家庭裁判所によって異なりますが、ここでは大阪家庭裁判所の親ガイダンスの内容について触れておきます。

親ガイダンスの対象者

夫婦関係調整(離婚)調停事件のうち、未成年の子どもがいる父母です。

他の家庭裁判所においても、似たような対象者となっています。

親ガイダンスの内容

大阪家庭裁判所では、申立時に親ガイダンスの案内を行い、参加の申込みをすれば第1回期日までに開催される親ガイダンスを案内されます。

申込みをしなかった場合、第1回期日で調停委員から再び受講の案内があり、受講すると答えると、第1回期日後から第2回期日までに開催される親ガイダンスを案内されることになります。

時間は90分程度で、都合の良い時間帯を選択することができます。

似たような問題を抱える異性と顔を合わせることに苦痛を感じる当事者に配慮し、申立人と相手方という区別ではなく、男女別で開催(それぞれ週1回程度)されています。

親ガイダンス当日は、冒頭説明の後、DVD視聴と講義を交互に行うかたちで進行します。

  • 両親の争いが子どもに与える影響(DVD)
  • 子どものために親としてできる配慮(講義)
  • 子どものために親が話し合うこと(DVD)
  • 子どもに配慮した話し合いの方法(講義)

講義は、原則として、家庭裁判所調査官が担当しており、専門的な知見を交えて講義が行われています。

住んでいる地域の家庭裁判所における親ガイダンスの内容については、実施の有無を含め、担当の裁判所書記官または調停委員に確認してください。

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親ガイダンスを受講するメリット

親ガイダンスは、2019年3月時点では各家庭裁判所が独自にプログラムを作成して実施(未実施庁もある)しており、参加は任意ですが、参加することで得られるメリットは大きいものです。

家庭裁判所のスタンスを知り、それに関する知識を得ることができる

家庭裁判所では、離婚調停や面会交流などいわゆる「子どもに関する事件」については、「子の利益(子の福祉)」を尊重して手続きが進められます。

調停期日や調査官調査でも、調停委員から「子の利益(子の福祉)のことを考えて検討してください。」などと言われることが多いものです。

しかし、家庭裁判所の「子の利益(子の福祉)」と当事者がイメージするそれは必ずしも一致しないため、家庭裁判所が重視する「子の利益(子の福祉)」を理解しておかないと、調停での主張の仕方や進行に影響が出てしまいます。

親ガイダンスでは、家庭裁判所の「子の利益(子の福祉)の意味やそれに関する基礎知識が分かりやすく説明されるため、事前に受講しておけば、家庭裁判所のスタンスを理解した上で調停に臨むことができます。

子どもへの接し方に関する基礎知識が得られる

父母の離婚で一番影響を受けるのは子どもであり、父母の態度や言動次第で子どもへの影響は大きく異なると考えられています。

しかし、「具体的にどのように子どもと関われば良いのか分からない。」という人は多く、親自身が離婚紛争で疲弊していることも相まって、子どもに不適切な行動をとってしまいがちです。

親ガイダンスでは「離婚が子どもに与える影響を抑えるために、親として子どもにできる配慮」が説明されており、講義内容を意識して子どもに接すれば、子どもへの悪影響を減らすことに役立ちます。

離婚ハンドブックでも、父母の離婚が子どもに与える影響や、離婚を子どもに伝える辞意や方法について解説していますが、親ガイダンスでは要点だけをよりコンパクトに説明してもらうことができます。

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子の利益(子の福祉)

家庭裁判所は、「当事者は自分の主張に終始して対立し、子の利益(子の福祉)の視点が抜け落ちがちである。」という問題意識を持ち、調停前または調停早期における親への働きかけが重要だと考えて親ガイダンスを導入しました。

親ガイダンスの導入庁では、申立時だけでなく、調停期日にも調停委員会から親ガイダンスの受講を促され、受講したか否かが記録されることになっています。

受講の有無で有利または不利に扱われることはありませんが、受講することで「離婚が子どもに与える影響に関心を持っている=子どもことを考えている。」と調停委員に思わせる効果はあるでしょう。

また、受講しなくても調停で不利に扱われることはありませんが、受講せずに親権や面会交流を主張した場合、調停委員に「親ガイダンスも受講せずに主張をされても、子どものことを考えているとは思えない。」と思われてしまうおそれがあります。

親ガイダンスを受講するデメリット

親ガイダンスは、一般的な離婚調停の当事者などを受講対象として、プログラムが作成されています。

そのため、家庭の状況によっては親ガイダンスの内容に反感を覚えたり、つらい思いをしたりするおそれがあります。

例えば、DVやモラハラの被害者や、夫婦間紛争により精神的に不安定になっている人が受講すると、「子どものために父母が協力すべき」、「子どもの前では親として振る舞うべき」などの内容に強いストレスを感じたり、「自分にはとても無理だ。」と思ったりすることがあるようです。

受講するメリットは大きいですが、受講するだけの心構えができていない場合は、事情を説明して受講を遅らせるなどしてください。

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【参考】

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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