離婚調停と離婚届!調停成立後の離婚届提出は義務!未提出の場合は?

離婚届は、協議離婚する夫婦が作成して市区町村役場に提出するための書類です。

しかし実は、離婚調停が成立した場合も、離婚届を提出しなければならず、期限内に提出しないと過料制裁の対象となります。

離婚調停が成立して裁判所書記官によって調停調書が作成された時点で、離婚は成立します。

しかし、離婚調停が成立しただけでは戸籍の記載が変更されず、離婚届と必要書類を提出して変更しなければなりません。

離婚調停成立後の離婚届

離婚調停成立後の離婚届は、戸籍法第77条第1項(第63条を準用)で規定された義務です。

第63条の規定は、離婚又は離婚取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。

(戸籍法第77条第1項)

第77条第1項だけでは分からないため、準用されている第63条も確認しておきます。

  1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
  2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

(戸籍法第63条)

戸籍法第63条の「認知」は「離婚」に置き換えて読んでください。

また、離婚の裁判と聞くと離婚訴訟をイメージすると思いますが、協議離婚以外の裁判所が関与する離婚手続き(調停、審判、判決、和解、認諾)という意味です。

以下、具体的な届出方法について解説します。

離婚届の届出義務者

調停条項の内容によって異なります。

調停条項届け出義務者
申立人と相手方は、本日、調停離婚する申立人
申立人と相手方は、相手方の申し出により、本日、調停離婚する相手方

離婚調停を成立させる場合の調停条項は、原則として、「申立人と相手方は、本日、調停離婚する」であり、調停成立後の離婚届の提出義務者は申立人です。

しかし、申立人が離婚届を提出することが困難な場合などは、例外的に、「相手方の申出により」などと文言を付け加えることで、離婚届を届け出る人を相手方に指定ことができます。

また、戸籍法第63条第2項は、「訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判(離婚調停)が確定した旨を届け出ることができる。」と規定されています。

これを離婚調停に当てはまると、「離婚調停の申立人が10日以内に離婚届を提出しない場合、相手方が離婚届を提出することができる。」となります。

届出場所

届出人の本籍地または所在地の市区町村役場です。

本籍地とは、戸籍がある場所です。

所在地には、住所地だけでなく一時的な滞在地も含まれますが、本籍地または住所地の市区町村役場に届け出るのが確実です。

また、郵送による届け出も可能ですが、不備不足があると訂正や追完に手間と時間がかかるため、窓口へ出向いて届出を行った方が安全です。

届出の必要書類

  • 離婚届
  • 調停調書謄本(省略謄本でも可)
  • 戸籍謄本(全部事項証明書、本籍地以外の市区町村役場に届け出る場合)
  • 本人確認書類(運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど)
  • 印鑑(認印可)

調停調書謄本

調停調書謄本は、離婚調停成立時に申請しておけば、調停成立日の翌開庁日または翌々開庁日には交付されます。

申請には1ページにつき150円分の収入印紙が必要でありますが、裁判所内では販売していないことが多いため、郵便局などで購入しなければなりません。

調停調書謄本の受け取り方法は窓口か郵送の2択ですが、調停成立から調停調書の完成までに1~2日かかっているところ、完成から郵送手続きまでに1~2日、郵送でさらに1~2日かかるため、休日や祝日を挟むと手元に届くのが届出期限直前になるおそれがあります。

そのため、窓口に受け取りに行くのが確実です。

省略謄本

省略謄本とは、調停調書の記載事項から戸籍記載に関係のない調停条項を省いた謄本です。

調停調書には、離婚に伴う諸条件についての調停条項が記載されますが、子どもの親権以外の条件は離婚届には不要なので、省略した謄本を提出できることになっているのです。

戸籍謄本(全部事項証明書)

本籍地以外に届け出る場合は、戸籍謄本(全部事項証明書)を添付する必要があります。

戸籍謄本は本籍地の市区町村役場に請求する必要があり、郵送請求の場合は手元に届くまでに日数を要するため、離婚調停成立後すぐに請求する必要があります。

費用はかかりますが、請求書面などを本籍地宛に速達で送り、返信用封筒にも速達分の郵便切手を貼って、速達で返送してもらいたい旨のメモ書きを同封すると短期間で手元に届きます。

離婚届の記載事項

離婚調停成立後に離婚届を提出する場合、協議離婚時とは記載内容が異なります。

記載欄記載事項
離婚の種別
  • 調停にチェック
  • 調停調書に記載された調停成立日を記載
未成年の子の氏名調停調書のとおりに記載
届出人署名
  • 申立人欄にの署名、押印
  • 相手方欄は空白
証人空欄

離婚調停の成立を前提とした報告的届出であり、協議離婚と違って申立人が一人で離婚届を作成して提出できます。

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離婚届の届出期限

離婚調停が成立した日から10日以内(調停成立日を1日目とカウント)です。

通常、離婚調停は、裁判官が夫婦の合意した調停条項を読み上げて調停成立を宣言することで成立し、その時点で離婚が成立します。

しかし、調停調書については、裁判所書記官が清書して裁判官が確認するため調停成立当日には交付されないのが一般的です。

離婚届の提出には調停調書の謄本を添付する必要があるため、実質の期限は、謄本を取得してからの1週間程度となります。

また、ゴールデンウィークや年末年始など休日や祝日が重なっても10日以内(10日目が閉庁日の場合は翌開庁日)なので、調停成立時期によっては期限が相当タイトになります。

離婚調停成立から10日以内に離婚届を提出しなかった場合

離婚調停成立から10日以内という届出期限内に離婚届を提出しなかった場合、戸籍法第135条の規定に基づいて、届出義務違反で5万円以下の過料に処されます。

正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、5万円以下の過料に処する。

(戸籍法第135条)

過料とは

過料とは、行政上の秩序維持のために金銭を徴収する制裁の一つです。

罰金や科料のような刑罰ではありません。

「正当な理由」とは

法律上、正当な理由がない場合に限って、届け出義務違反の過料に処されると規定されています。

正当な理由がない場合とは、期限を忘れていた、届出が面倒くさかった、届出なくても問題ないと思っていたなどの場合です。

一方で、正当な理由があると認められるのは、調停調書謄本が家庭裁判所から交付されない、本籍地の市区町村役場に戸籍謄本を請求したが届かないなど、届出義務者に過失がない場合です。

実際のところ、離婚届の届出義務違反で過料に処されるケースは稀です。

10日以内に離婚届が提出されなかった場合

離婚届を期限までに提出しなかった人がいることを知った市区町村役場は、届出義務者に対して、期間を定めて届出を催告します。

  1. 市町村長は、届出を怠つた者があることを知つたときは、相当の期間を定めて、届出義務者に対し、その期間内に届出をすべき旨を催告しなければならない。
  2. 届出義務者が前項の期間内に届出をしなかつたときは、市町村長は、更に相当の期間を定めて、催告をすることができる。
  3. 第24条第2項の規定は、前2項の催告をすることができない場合及び催告をしても届出をしない場合に、同条第3項の規定は、裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上届出を怠つた者があることを知つた場合にこれを準用する。

(戸籍法第44条)

戸籍法上は、届出義務者に対して2回まで催告することを規定しており、戸籍法施行規則第64条により、いずれの催告も書面で行われます。

ただし実務上は、2度以上の催告を行うこともあり、2回に限定されているわけではありません。

また、催告できない場合や、2回の催告をしても届出がない場合には、戸籍法第24条を準用すると定めています。

  1. 戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、市町村長は、遅滞なく届出人又は届出事件の本人にその旨を通知しなければならない。但し、その錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるときは、この限りでない。
  2. 前項の通知をすることができないとき、又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは、市町村長は、管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。前項ただし書の場合も、同様である。
  3. 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを知つたときは、遅滞なく届出事件の本人の本籍地の市町村長にその旨を通知しなければならない。

(戸籍法第24条)

つまり、催告しても離婚届が提出されない場合、最終的には市町村長が職権で戸籍を訂正するのです。

催告されても離婚届を提出しなかった場合

市町村長からの催告にも応じなかった場合、より高額な過料に処されます。

市町村長が、第四十四条第一項又は第二項(これらの規定を第百十七条において準用する場合を含む。)の規定によつて、期間を定めて届出又は申請の催告をした場合に、正当な理由がなくてその期間内に届出又は申請をしない者は、十万円以下の過料に処する。

(戸籍法第136条)

家庭裁判所から市区町村役場への通知

実は、離婚調停が成立すると、裁判所書記官が、当事者の本籍地の市町村長(戸籍事務管掌者)へ通知する必要があります。

通知は遅滞なく行わなければならず、通常は、調停成立後すぐに通知されるため、市区町村役場は、当事者が離婚届を提出する前から、当事者が調停離婚して離婚届の提出が必要な状態にあることを把握しています。

そのため、届出に遅滞があることを把握し、催告することができるのです。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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