離婚後同居とは?理由・メリットとデメリットは?母子手当は受給可能?

「離婚後は元配偶者との同居を解消して新たな人生を歩み始める」というのが離婚後の一般的なスタイルです。

しかし近年、離婚後も同居を継続する元夫婦が増加しており、「離婚後同居」という単語も知られるようになってきました。

離婚後同居とは

離婚後同居とは、離婚後も元夫婦が同居を継続している状態です。

「夫婦関係が悪化して離婚したにも関わらず、同居を継続するのはおかしい。」と思うかもしれませんが、法律的には何ら問題がなく、実際に離婚後同居を選択する元夫婦が増加しています。

離婚後同居は、離婚後も同居を継続する理由によって「単なる同居」と「事実婚」の2つに分類されます。

単なる同居(同棲)

単なる同居(同棲)とは、夫婦関係が破綻し、離婚に伴う諸条件(養育費、財産分与、慰謝料、年金分割)も取り決めて離婚したが、同居を継続している状態です。

例えば、離婚後に住む場所を変えたくない、子どもを転校させたくない、経済的な事情から別居に踏み切れないなど、離婚後に別居するよりも同居を継続した方がメリットが大きい場合に選択される離婚後同居です。

夫婦としての情緒的なつながりはすでにないので、「損得勘定に基づく同居」ということもできます。

互いに夫婦である認識や夫婦関係を成立させる意思はなく、元は夫婦で今は他人の男女が同棲しているだけの状態です。

事実婚(内縁)の離婚後同居

事実婚(内縁)とは、夫婦である認識や夫婦関係を成立させる意思はあるが、婚姻の届け出をしていない状態です。

法律上の婚姻は、夫婦関係を成立させる意思(実質的要件)と婚姻の届け出(形式的要件)の両方を満たす必要があるところ、「実質的要件は満たすが形式的要件を満たさない状態」が事実婚です。

離婚によって法律上の婚姻による権利義務は消滅し、子どもがいれば夫婦の一方が親権者になって、戸籍には離婚の事実が記載されますが、表面上は婚姻中の夫婦と何ら変わりません。

例えば、夫婦別姓のため、多額の債務返済に配偶者を巻き込まないためなど、夫婦関係は離婚するほど悪化していないが、何らかの事情で離婚した場合に選択される離婚後同居です。

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離婚後同居を選択する理由=離婚後同居のメリット

離婚後同居が増加しているのは、離婚後も元配偶者と同居することで得られるメリットがあるからです。

離婚後同居によって得られるメリットは様々ですが、一般的には以下のようなメリットがあるとされています。

住み慣れた環境での生活を継続できる

離婚して別居するとなると、夫婦の一方が住み慣れた自宅や地域を離れ、新たな住居に転居しなければなりません。

しかし、離婚後に新居を探すのは想像以上に手間と時間と費用がかかりますし、新しい環境に慣れるのも時間が必要です。

離婚後同居を継続すれば、住み慣れた環境で生活し続けることができ、新居を探したり新しい環境に慣れたりする必要がありません。

生活費の負担が少なくて済む

通常、離婚後は、元配偶者に頼らず、自分で働いて得た収入で生活を維持させなければなりません。

婚姻中に専業主婦(主夫)などであった人も、経済的に自立して生活することが求められます。

しかし実際のところ、無職期間が長い人が離婚後に安定した収入を得られる仕事に就くのは困難で、シングルマザーの貧困が社会問題にもなっています。

離婚後同居を選択することにより、婚姻中と同じとまではいかなくても、夫婦で生活費を分担することができるため、経済的な負担は軽くなります。

転勤をせずに済む

離婚後別居をすれば、離婚後に転居する必要がないので、転居に伴う転勤・異動の必要がありません。

自宅からの通勤手段さえ変える必要がなく、表面上は婚姻中と同様の就労生活を送ることができます

子どもを転校させずに済む

離婚時に問題になりやすいのが、子どもの転居とそれに伴う転校です。

日本では、離婚時に妻が子どもを連れて自宅を出るケースが多いため、子どもの転居や転校が問題となりやすいのです。

離婚時の転居や転校は、親の離婚で大きなダメージを受けた子どもに追い打ちをかけることになり、転居先で引きこもりがちになったり不登校に陥ったりする原因の一つとなっています。

離婚後も同居を継続すれば、子どもを婚姻中と同じ地域に住まわせ、同じ学校に通わせることができるため、離婚による影響を抑えることができます。

子どもが父母との同居を継続できる

子どもの健全な成長には、父母両方の関わりが欠かせないことは周知の事実です。

離婚後単独親権制を採用している日本では、離婚後は父母の一方が親権者となって子どもを引き取ります。

また、諸外国のように非親権者の面会交流権が十分に保証されていません。

そのため、「月1回、数時間程度の面会交流」が一般的となっている上、面会交流の機会すら親権者の一存で奪われるケースが相次いでおり、非親権者と子どもの関わりが薄くなりがちです。

離婚後同居を継続することにより、子どもは父母との同居を継続することができ、父母の両方から愛情を注いでもらうことができます。

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復縁を働きかけやすい

日本には離婚届が受理されるだけで離婚が成立する「協議離婚制度」があるので、一時的な感情に流されて勢いで離婚してしまうケースが後を絶ちません。

しかし、勢いでも何でも離婚すると他人同士となり、別居すると関係性も希薄になって、復縁したくてもできない状況に陥ります。

離婚後も同居していれば、日常生活の中で自然に関係が改善されることもありますし、折を見て復縁を切り出すことも可能です。

夫婦別姓が実現できる

近年、夫婦別姓を求める声が高まっており、夫婦になる意思を持ちながら、夫婦別姓を実現するためにあえて事実婚を選択する男女が増加しています。

中には、婚姻中の夫婦が夫婦別姓を求めて離婚し、離婚後同居を続けるケースもあります。

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離婚後同居のデメリット

離婚後同居のデメリットは、以下のとおりです。

ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)とみなされない

離婚した事実は戸籍で確認できますが、離婚後同居を継続しているとひとり親家庭とみなされず、ひとり親家庭を対象とした各種支援制度を利用できなくなることがあります。

  • 児童扶養手当(母子手当)
  • 母子家庭の住宅手当(家賃補助)
  • 母子生活支援施設への入所
  • ひとり親家庭医療費助成
  • 国民健康保険料の減免
  • 国民年金保険料の免除
  • 母子家庭自立支援給付金制度
  • 寡婦控除(寡夫控除)など

いずれも離婚後の経済的困窮を免れるために役立つ制度であり、利用できないと日常生活に大きな支障が及びます。

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事実婚とみなされるおそれがある

単なる同居(同棲)をしているだけの場合でも、離婚後同居の期間が長くなると事実婚とみなされるおそれがあります。

事実婚とみなされると、法律婚と同じく、事実婚の相手に対する扶養義務が生じ、関係を解消する場合には財産分与などを行う必要性が生じます。

単なる同居(同棲)の場合はストレスが溜まる

離婚後同居のメリットを享受するために、離婚するほどに関係が悪化した相手と単なる同居(同棲)を継続していると、ストレスが溜まります。

特に、本来は別居したいがやむを得ない事情で同居を継続している場合、相手の些細な言動や態度も不快に感じ、精神的に参ってしまうことがあります。

離婚後同居と婚姻費用分担(生活費)

婚姻中の夫婦には婚姻費用分担義務が課されますが、同じ義務が離婚後同居中の元夫婦に課されるか否かは、同居の態様によって異なります。

単なる同居(同棲)の場合の婚姻費用分担

婚姻中の夫婦には互いに相手を扶養する義務(民法第752条)があり、それを現実に履行する義務として婚姻費用分担義務が課されています。

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

(民法第760条)

条文の「夫婦」とは法律婚の夫婦のことであり、離婚して単なる同居(同棲)状態になった元夫婦は当てはまりません。

つまり、離婚後に何らかの事情で同居していたとしても、事実上生活費を分担し合うことはできますが、互いに婚姻費用を分担する義務はなく、相手に婚姻費用分担を請求することはできません

離婚時に扶養的財産分与を取り決めた場合

例外として、離婚時の財産分与で離婚後に金銭を支払うことを取り決めた場合は、取り決めの範囲内で生活費を請求することができます。

例えば、扶養的財産分与として離婚後に生活苦に陥ると予想される夫婦の一方が経済的に自立するまで生活費を支援する約束をする、離婚時の一時金として幾許かの金銭を支払う約束をするなどが考えられます。

取決めが守られない場合、公正証書で離婚協議書を作成した場合は強制執行、離婚調停や離婚訴訟をした場合は履行勧告・履行命令・強制執行を利用し、支払いを促したり強制したりすることが可能です。

ただし、あくまで離婚時の取り決めに基づいて請求できるのであって、婚姻費用分担義務に基づいて請求できるのではありません。

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事実婚(内縁)の場合の婚姻費用分担

離婚後同居が事実婚(内縁)とみなされる場合は、婚姻費用分担義務が発生し、婚姻費用分担を請求できることがあります。

ただし、外見上は単なる同居なのか事実婚なのか分かりづらいので、離婚後同居を一定期間以上継続する、離婚前と変わらない夫婦関係を維持するなど、単なる同居とは異なる関係にあることを示す必要があります。

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離婚後同居と世帯分離

離婚後同居のデメリットとして、ひとり親家庭(母子家庭、父子家庭)として扱われず、ひとり親家庭向けの各種支援が受けられなくなる可能性があることを挙げましたが、世帯の所得制限を設けている支援制度が多いからです。

世帯とは

世帯とは、「住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、 若しくは独立して生計を営む単身者(厚生労働省ホームページより引用)」です。

世帯は、税金、健康保険料、生活保護などを決めるときの基準単位であり、住民票も世帯ごとに編成されています。

ひとり親家庭向けの支援制度では世帯所得制限を設けており、一定額以上の所得があると利用できなくなります。

そこで、世帯分離を検討することになります。

世帯分離とは

世帯分離とは、同居を維持しながら住民票の世帯を分けることです。

世帯分離をすると、税金や健康保険料などが分離後の世帯ごとに計算されるので、税金や保険料などが安くなります。

また、世帯収入が下がり、ひとり親家庭向け支援制度の世帯所得制限に引っかかりにくくなります。

離婚後同居と世帯分離

離婚後同居中の元夫婦が世帯分離するメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリット
  • 世帯所得が低くなり、支援制度の所得制限に引っかかりにくくなる
  • 保険料が安くなることがある
  • 税金が減免されることがある
デメリット
  • 保険料のうち世帯ごとにかかる部分を2重に支払うことになる(約1万円/月)
  • 生計を共にしている場合は認められない

離婚後同居と扶養

離婚後も同居を継続する場合、扶養の問題も生じます。

夫婦の一方が専業主婦(主夫)や一定額未満の所得しかない場合、配偶者の扶養に入ることで、保険が配偶者の社会保険でまかなわれ、扶養控除が適用されて税金も安くなります。

例えば、国民健康保険に加入して保険料を支払わずに済みますし、所得税や住民税なども控除によって安く済みます。

しかし、婚姻期間中は、夫婦の扶養義務に基づいて当然に扶養に入ることができますが、離婚すると扶養義務がなくなるため、原則として、扶養から外れます。

元配偶者の扶養に入り続ける方法

元配偶者の扶養に入り続けるには、離婚後同居が単なる同居ではなく事実婚(内縁)関係であることを勤務先などに示す必要があります。

離婚後同居が事実婚(内縁)であると認められるためには、一定期間以上の同居継続に加え、婚姻中と大差ない夫婦共同生活を営まなければなりません。

例えば、生計を共にして生活費を分担する、財産を共有する、家事育児を分担する、互いの家族や親族との交流を維持するなどが考えられます。

事実婚(内縁)が認められると、扶養資格が「夫または妻」から「内縁の夫または妻」に変更され、扶養に入り続けることができます

子どもの扶養

子どもは、離婚後同居中は当然に扶養に入れることができます

離婚により、夫婦は他人になって扶養義務が消滅しますが、親子関係はそのままで親の子に対する扶養義務は残るからです。

離婚後同居を解消して子どもと別居した場合は、扶養から外すことになります。

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離婚後同居と児童扶養手当(母子手当)

児童扶養手当(母子手当)とは、ひとり親家庭で子どもを育てている低所得の養育者に支給される手当です。

ひとり親家庭に対する経済的支援の代表的な制度で、2019年度の支給額は以下のとおりです。

子どもの人数全額支給(月額)一部支給(月額)
1人42,910円42,900円~10,120円
2人53,050円53,030円~15,190円
3人59,130円59,100円~18,230円

しかし、父母が離婚していても、婚姻中と大差ない生活実態が維持されている(事実婚関係にある)場合にはひとり親家庭とはみなされず、支給対象外となります。

したがって、離婚後同居中に扶養に入るには事実婚関係を主張する必要がありますが、事実婚関係が認められると児童扶養手当は受給できないということです。

扶養に入るために勤務先には事実婚であると主張し、児童扶養手当受給のために市区町村役場には単なる同居であると主張した場合、不正受給となり、悪質な場合は詐欺罪に問われます。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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