元夫や元妻の戸籍謄本を離婚後に取得できる?子供の戸籍は取寄せ可能?

養育費の関係で相手の再婚や再婚相手と子どもの養子縁組の有無を知りたい場合など、離婚後に元夫または元妻の戸籍記載事項を確認したい状況になることがあります。

しかし、日本の戸籍は、夫婦とその間の子ども(親子)を1つの単位として編成され、離婚すると夫婦の一方が戸籍から出ることになっています。

そして、離婚した後に元夫または元妻の戸籍謄本を取得する場合、元配偶者という扱いはなく、他人と同じ扱いとなります。

つまり、離婚すると、元夫または元妻の戸籍謄本を簡単には取得できなくなるのです。

この記事では、離婚後に元夫・元妻・離れて暮らす子供の戸籍謄本を取得する方法について解説します。

戸籍謄本を請求できる人

戸籍謄本が取得できる人は、戸籍法で規定されています。

戸籍謄本を無条件に請求できる人

戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によつてされたものであつて、当該記載が第二十四条第二項の規定によつて訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。

(戸籍法第10条第1項)

戸籍法に規定された戸籍を無条件に請求できる人をまとめると、以下のとおりとなります。

  • 戸籍に記載されている人(本人)
  • 配偶者
  • 直系尊属(父母、祖父母など)
  • 直系卑属(子、孫など)

婚姻中は、配偶者として夫婦の戸籍を無条件に請求することができます

また、戸籍に記載がない直系尊属や直系卑属も、親子関係などが明らかであれば戸籍を請求することができます。

条件つきで戸籍謄本を請求できる人

一方で、戸籍法は、条件つきで戸籍謄本を請求できる人も規定しています。

前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

  1. 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
  2. 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合 戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由
  3. 前2号に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合 戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由

(戸籍法第10条の2第1項)

簡単にまとめると、以下のとおりです。

  • 自分の権利の行使や義務の履行のために必要
  • 公的機関へ提出するために必要
  • その他、正当な事由がある

また、弁護士などの専門職が職務上請求できることも規定されています。

第一項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地家屋調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項において同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。

(戸籍法第10条の3第1項)

弁護士だけでなく、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士も業務遂行に必要があれば、請求できます。

元夫や元妻の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の交付を請求する方法

元夫や元妻の戸籍謄本を取得する方法は、元配偶者が婚姻中に戸籍の筆頭者だったかどうかで異なります。

戸籍筆頭者だった元夫や元妻の戸籍を請求する方法

日本の戸籍制度では、婚姻時に夫婦の一方が相手の戸籍に入り、離婚時に相手の戸籍から出ます。

一般的には、婚姻によって妻が夫の戸籍に入って夫の氏を称し、離婚によって夫の戸籍から出ることが多いので、以下、「婚姻中に戸籍の筆頭者だった人=元夫」、「離婚によって戸籍から出た人=元妻」とします。

元妻が離婚によって元夫の戸籍から出た後も、元夫の戸籍には離婚の事実、元妻が除籍されたこと、異動先の戸籍の記載が残されています。

そのため、戸籍に記載されている人(本人)として無条件に戸籍を請求することができます

ただし、元夫が再婚相手の戸籍に入るなどして転籍した場合、婚姻中の戸籍が除籍されます。

転籍後の戸籍には離婚に関する記載が引き継がれず、請求者の名前も記載されないので、戸籍に記載された人(本人)として請求することはできません。

転籍後の元夫の戸籍を取得するには、戸籍法上の正当な理由を主張しなければなりません。

戸籍筆頭者でなかった元夫または元妻の戸籍を請求する

次に、婚姻中に戸籍の筆頭者ではなかった人(婚姻時に相手の戸籍に入った人)の戸籍を請求する方法です。

日本では、婚姻時に妻が夫の戸籍に入ることが多いので、以下、元妻の戸籍を請求する方法を解説します。

元妻は、離婚によって元夫の戸籍を出て別の戸籍に入りますが、必ずしも婚姻前の戸籍(父母の戸籍)に戻るわけではありません。

元妻が離婚後に入る戸籍の種類は、以下のとおりです。

  • 父母の戸籍
  • 父母の戸籍から分籍された戸籍
  • 離婚後に新しく編成された戸籍
  • 離婚前に編成された戸籍
  • 再婚相手の戸籍

元妻の戸籍には、離婚の事実や元夫の名前は記載されないので、戸籍に記載された人(本人)として請求することはできません

そのため、自分の戸籍謄本で元妻の戸籍の異動先を確認した上で、異動先の市区町村役場で元妻の戸籍謄本を請求することになります。

元妻の戸籍が再婚などにより除籍されていれば、正当な理由を主張して除籍謄本を取得し、再び異動先を確認して現在の戸籍まで追っていきます。

  1. 自分の戸籍謄本を取得(戸籍に記載された本人として無条件に取得)
  2. 自分の戸籍謄本で、離婚直後の元妻の戸籍の異動先を確認する
  3. 異動先の市区町村役場で元妻の戸籍謄本を請求(正当な理由が必要)
  4. 除籍されていた場合は、異動先を確認

(以下、3と4を繰り返して元妻の現在の戸籍まで辿る)

調停などの正当な理由を主張すれば、請求が認められないことはまずありません。

しかし、地道な作業であり、個人が行うには時間と手間がかかります。

正当な理由の証明方法

戸籍謄本の請求で求められる正当な理由は、原則として、口頭による説明で足りますが、書面による証明を求める市区町村役場もあります。

離婚後に養育費や財産分与などの調停を申し立てるときの添付資料として元夫の戸籍謄本を請求する場合、調停の添付資料とすることを記載し、除籍謄本(婚姻中の戸籍)を添付することで「正当な理由」があるとされます。

また、事件係属後であれば、家庭裁判所が発行する「事件係属証明書」を添付することで、「正当な理由」の要件が満たされます。

事件係属証明書の発行

事件係属証明書とは、ある事件が裁判所に係属していることを証明する書面です。

各家庭裁判所に証明書交付申請書を提出し、所定の手数料と郵便切手を支払うことで交付されます。

職務上請求を利用するか

上で条文を示したとおり、弁護士などの専門職は、「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」に戸籍謄本を請求することができます。

ただし、弁護士などに依頼すると高額な費用がかかります。

すでに解説したとおり、元夫または元妻の戸籍謄本は、手間はかかっても自力で請求することができるので、仕事が多忙で自ら請求する時間がない場合を除き、弁護士などに依頼するメリットはありません。

なお、離婚後の紛争について弁護士に依頼した場合は、職務上請求によって必要な資料を集めさせることで時間と手間を省略できます。

離婚後に離れて暮らす子供の戸籍を取得できるか

離婚して親権者(監護者)にならなかった場合でも、子どもの戸籍を請求して取得することができます。

子供の戸籍を取得すれば、子どもの戸籍が変動したかどうか確認することができます。

例えば、子どもが親権者の再婚相手と養子縁組をした場合や、親権者の戸籍へ入籍した場合には子どもの戸籍に記載されるので、その記載から養子縁組などを知ることが可能です。

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離婚ハンドブック編集部

投稿者プロフィール

家事事件(離婚、遺産分割、成年後見など)を専門に取り扱って12年の経験を踏まえ、「離婚ハンドブック」では、離婚に関する制度や手続きについて行政・司法機関よりも詳しく分かりやすく解説しています。
また、マイナンバー、国民年金、税金、養子縁組、青年後見など、日常生活の中で利用する制度や手続きを分かりやすく解説する記事も掲載しています。
サイト上では詳細なプロフィールは明かしておらず、仕事の依頼も受けていません。

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